TOP

/

キャリア

/

【キャリア解説】リハビリを社会のインフラに:理学療法士が挑む “リハビリ難民”問題 - vol.33

キャリア

【キャリア解説】リハビリを社会のインフラに:理学療法士が挑む “リハビリ難民”問題 - vol.33

2025.09.08

退院後も機能改善の可能性を持ちながら、制度の限界によって十分なリハビリを受けられず、社会復帰の機会を失う人がいる――。

理学療法士として回復期リハビリテーション病院でキャリアをスタートさせた私が直面したのは、退院後の生活に困難を抱える患者様の姿と、公的保険リハビリの制度的な限界でした。

自身の無力さを痛感し、課題意識を原動力に科学的根拠(EBM)を学び実践。やがてEBMを徹底する自費リハビリ施設との出会いが、私のキャリアを大きく変える転機となります。

安定した病院を離れ、誤解や偏見の中で挑んだビジネスの壁、そしてサービスの価値を証明するための研究活動――。本記事では、その葛藤と成長の軌跡を通じて、「自費リハビリを社会のインフラへ」という使命に至った背景をありのままお伝えします。

mMEDICI Library | ひらけ、叡智の扉

叡智の扉を、全ての人が開けるように——。

学びは、限られた豊かな人々だけの特権ではありません。

経済的困難に直面する人、地方で学習資源に恵まれない人、家事や育児・仕事に追われる人。

mMEDICI Libraryではそんな人々にこそ、最高の学びを届けるため、研究・キャリア・学習・受験のあらゆるテーマでパブリックヘルスの叡智を集めました。

隙間時間にスマホひとつで、誰もが「一流の知」に触れることを叶えていきます。

「ここを開けば、誰しもが悩みを解決できる」、そんなメディアを目指します。

この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 自費リハビリの社会的意義と背景

  • 理学療法士が自費リハビリへ転職することのリアル

  • 自費リハビリ業界の課題と今後の展望

この記事は誰に向けて書いているか

  • キャリアに悩んでいる理学療法士/作業療法士/言語聴覚士の方

  • 自費リハビリに興味ある医療従事者の方

  • ヘルスケア業界でリハビリ専門職の知識や技術を活かしたいと思っている医療従事者の方

キャリアシリーズ

  • vol.18:研究も臨床もやりたい! - 若手作業療法士の欲張りキャリア戦略

  • vol.20:語られぬ現場を論文に綴る - "その人らしさ"を支援する精神科作業療法士の使命

  • vol.26:「見えない価値」から「見える価値」へ - 向き合い続ける臨床薬剤師の確かな一歩

  • vol.30-1:ある総合内科医の15年 - 学びを求めて飛び込んだ、建築途中の病院へ

執筆者の紹介

氏名:荒井一樹
所属:(株)豊通オールライフ AViC THE PHYSIO STUDIO
自己紹介:認定理学療法士(脳卒中)。千葉県の回復期リハビリテーション病院で経験を積んだ後、一般企業のヘルスケア事業部が運営する、自費リハビリ施設へ転職。リハビリ難民ゼロを目指し、「自費リハビリを社会のインフラへ」という思いで、リハビリ施術だけでなく、企業や行政、医療機関との連携など幅広い業務を担当している。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に対する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

私のキャリア年表

これまでのキャリアについて

私は理学療法士としてのキャリアを回復期リハビリテーション病院からスタートさせ、現在は「公的保険適用外のリハビリ」である通称「自費リハビリ」に従事しています。

「それって、違法じゃないの?」「結局、金儲けがしたいだけだろう」「そんなやり方で、真っ当なリハビリができると思ってるのか?」――

これは、私が企業運営の自費リハビリ施設への転職を決めた時、病院時代の同僚や先輩から投げかけられた言葉です。当時は自費リハビリに対する風当たりが強く、理解されないもどかしさに唇を噛み締めた日のことを、今でも鮮明に覚えています。

今でこそ選択肢の一つとして認知され始めた自費リハビリですが、私がこの道に足を踏み入れた数年前は、まさに逆風の真っ只中。保険診療という「王道」から外れた異端者を見るような、冷ややかな視線に晒される毎日でした。

なぜ私はその道を選んだのか。何を目指し、何を社会に問いかけたいのか。この記事では、私のキャリアという個人的な物語を通して、自費リハビリが持つ可能性と、私たちが抱く使命についてお話ししたいと思います。

制度の隙間を埋める"自費リハビリ"という選択肢

本題に入る前に、私が身を置く「自費リハビリ」が生まれた背景について説明します。

一言でいえば、それは「公的保険適用外のリハビリ」であり、利用者が十割を自己負担するサービスです。

自費リハビリには、主に三つの形があります。

  1. 病院等が運営する自由診療のリハビリ

  2. 企業が運営する自費リハビリ

  3. 個人が運営する自費リハビリ

では、なぜこのような仕組みが必要とされたのか。原点には、現在の医療制度が生み出してしまった「リハビリ難民」の存在があります。

診療報酬の改定により、病院でリハビリを受けられる日数には上限が設けられました。

「目標達成」とされ退院したものの、その身体はまだ社会復帰には程遠い。職場に復帰したい、もう一度趣味に打ち込みたい、家族との旅行を夢見たい――。そんな切実な願いを抱えながらも、制度上、病院でのリハビリ継続が難しくなる人々がいます。

病院以外でのリハビリは、介護保険制度内での通所リハビリや訪問リハビリが主です。介護保険内でのリハビリは、生活期のリハビリの受け皿としてとても意義深い制度です。

しかし、日本の高齢者人口の増加と、それに伴う医療費の増大により、保険制度の維持は難しくなりつつあります。介護保険でのリハビリも、いまや岐路に立たされているのが現状です。

では、これから彼らがリハビリを継続する場はどこにあるのでしょうか。そのやるせない想いを、私たちは「仕方ない」の一言で片付けてしまっていいのでしょうか。こうした制度の狭間で希望を失いかけた方々の「新たな選択肢」として、自費リハビリは誕生しました。

理学療法士としての原点と転機

理学療法士としての原点

まずは、私が自費リハビリの道に進むまでのお話をさせていただきます。

私の理学療法士としてのキャリアの原点は、2013年に新卒で入職した千葉県の回復期リハビリテーション病院での3年間にあります。

私が理学療法士を志したきっかけは、中学生の時に祖母のリハビリを見学したことでした。祖母は脳梗塞で倒れましたが、病院での数か月のリハビリを経て、無事に自宅へ帰ることができました。その時、祖母を支える理学療法士の先生の姿がとても格好良く見えたのです。

理学療法士という専門職が、一人の人間の人生にどこまで貢献できるのか。それを追求したくて、新卒で迷わず回復期リハビリテーション病院を選びました。そこで向き合うことになったのは、想像以上に厳しい現実でした。

入職1年目、私は働き盛りの年齢で重度の脳卒中に倒れた患者様を担当しました。彼には支えるべきご家族がおり、生活の再建は急務でした。「この方を社会復帰させなければならない」という強い使命感は、同時にまだ経験の浅い私にとって大きなプレッシャーとなりました。

しかし、臨床現場は試行錯誤の連続でした。既存のアプローチだけでは明確な改善が見られず、次の一手に窮する毎日。私は、少しでも可能性があるならばと先輩の助言をすべて実践し、業務後には海外の論文を読み漁ってエビデンスを探す日々を送りました。

夏の暑い中、彼と一緒に汗を流しながらリハビリに励んだ日々を、今でも思い出します。私が新人であることを知りながらも、「今日もお願いします!」「頑張りましょう!」と前向きな言葉をかけてくれる彼に、私自身が励まされていました。

最終的に彼は、ご家族のサポートを受けながらも身の回りの動作が可能となり、ご自身の足で歩いて退院されました。そのことに安堵する一方で、私の心には専門家として大きな課題が残りました。

それは、彼の復職や社会活動への参加といった、退院後の長期的な人生の質にまで、病院の理学療法士として関与し続けることの難しさでした。

「自宅でもリハビリ頑張ります!」「先生も頑張ってください!」――彼が退院する際にかけてくれた言葉です。この時に感じた無力感課題意識こそが、私のキャリアを考える上での重要な原点となったのです。

「その効果、どう証明する?」 - 客観的視点の獲得

私は、初めて担当した患者様ということもあり、この経験を学術的にまとめたいと考えました。その際、チームメンバーに相談したところ、ある上司から投げかけられた問いが、私の転機となります。

「君のやっているリハビリが、目の前の患者さんに効果があったと、なぜ言い切れる?」

私は「入院時と比較して身体機能は向上し、ADL(日常生活動作)の自立度も高まっているので、効果はあったと判断しています」と答えました。

しかし、上司はさらに問いを重ねます。「それは、何と比較して、どの程度改善したと客観的に言えるんだ?君の熱意や努力と、リハビリの効果を混同してはいないか?

この指摘に、私は言葉を詰まらせました。

専門家である以上、提供する介入の効果を客観的な事実(エビデンス)に基づいて説明する責任がある――。この時、上司からEBM(Evidence-Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)の思考プロセスを徹底的に教え込まれたのです。

私が取り組んだのは、以下の三つのプロセスです。

  • エビデンスの創出:臨床での課題を研究テーマとし、データ収集と分析を通じて新たな知見を生み出す。

  • エビデンスの伝達:得られた知見を論文や学会で発表し、個人の経験を業界全体の共有財産として公表する。

  • エビデンスの活用:既存の論文を批判的に吟味し、その情報を目の前の患者様に合わせて応用する。

この一連の研究活動は、私の臨床スキルを飛躍的に向上させました。

学会発表の経験では、膨大な情報を整理し、聴衆に合わせて要点を的確に伝えるプレゼンテーション能力を養いました。論文執筆の過程では、一つひとつの言葉の定義を厳密にし、情報の正確性を担保する姿勢が身につきました。

さらに、数多くの論文を読み解くことで、多様なアプローチの中から最適なものを選択できるようになり、患者様への提案も、より円滑で説得力のあるものへと変わっていったのです。

EBMを実践する姿勢は、現在の自費リハビリ事業における私のポリシーそのものです。自費リハビリは医療行為ではありませんが、「ヘルスケアサービス」に分類されます。

ヘルスケアサービス:健康の保持及び増進、介護予防を通じた健康寿命の延伸に資する商品の生産若しくは販売、又は役務の提供を行うこと。

つまり、公的なサービスでなくとも、そこには一定水準の品質が求められると私は考えます。

だからこそ、客観的根拠に基づき自らのサービスの品質を検証し、利用者様へ真に価値あるものを提供するために、EBMは不可欠な思考の基盤となるのです。

"自費リハビリ"という選択肢との出会い

臨床経験5年目、キャリアの転機はあるセミナーで訪れました。それは病院時代の上司が主催するもので、そこで再会した上司から、彼が新たに企業の運営する自費リハビリ施設の立ち上げに携わっていることを聞いたのです。

当時の私は、自費リハビリの存在こそ認識していたものの、「高額で、効果の不確かなサービス」という先入観を少なからず持っていました。しかし、上司が語ったその施設のコンセプトは、私の考えを一変させるものでした。

それは、「EBMを徹底的に実践し、利用者の主体的な意思決定を最大限に尊重することで、真に納得度の高いリハビリを提供する」という、明確なビジョンでした。

退院後のリハビリの受け皿不足に課題を感じていた私にとって、そのような施設が社会に必要とされていることは直感的に分かりました。ただ、その時点では自分がその世界で通用するとは到底思えず、興味深く話を聞くことしかできませんでした。

後日、その上司から「一緒にやらないか」と直接誘いの連絡がありました。突然の誘いに、正直、自信はありませんでした。

しかし、迷う私に上司はこう語ってくれたのです。「病院でやっていたように、目の前の利用者のことだけを考えてリハビリをすればいい。ここには、病院の制度では難しかった、利用者の自己実現を最大限サポートできる環境がある」

病院時代の私を理解してくれている上司のその言葉が、私の背中を強く押してくれました。

あの時抱いた「退院後の人生に関われない」という無力感。それを乗り越えるために身につけたEBMという客観的視点。その二つを融合させられる場所が、ここにあるのかもしれない――。

そう確信し、私は自費リハビリの分野へ挑戦することを決意したのです。

(続きはページの後半へ)

【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:
7日間無料お試し】

専門家が教える医学研究オンラインスクールmJOHNSNOW

1,000名以上が参加するパブリックヘルスコミュニティで、あなたの学びを加速させましょう。

  • 専門家監修の講義が全てオンデマンド見放題!

  • 研究・キャリアの悩みを24時間チャット相談!

  • スマホ1つで、いつでもどこでも学べる!

7日間無料で体験▶ 公式HP無料体験に申し込む

自費リハビリを社会のインフラへ

ここでは、私のビジョンでもある「自費リハビリを社会のインフラへ」についてお話しします。

日本の公的保険リハビリは、急性期から生活期まで切れ目なく提供され、世界的に見ても手厚い制度であることは紛れもない事実です。私自身も、その恩恵の中で理学療法士としてのキャリアをスタートさせました。

しかし、その光が強ければ濃い影が生まれるのもまた現実です。

近年、医療費は右肩上がりに増大し、保険制度内で提供されるリハビリの量や時間は、以前のように満足のいく水準を保つことが難しくなってきています。2006年の診療報酬改定でリハビリの算定日数に上限が設けられたことを皮切りに、「リハビリ難民」が社会問題となっています。

その影が特に色濃く落ちるのが、働き盛りであるはずの「若年脳卒中」の方々です。彼らは介護保険の対象とならないケースが多く(なっても希望通りリハビリできない)、退院後のリハビリの選択肢が極端に限られてしまうのです。

私は病院で担当した、ある若い患者様のことを思い出します。彼の「もう一度、自分の足で立つ」という一心な想いに、私も全力で応えました。数か月後、彼は自らの足で歩けるようになり、退院の日、「先生、ありがとう」と深々と頭を下げてくれたのです。

その言葉は、理学療法士として何物にも代えがたい喜びでした。しかし同時に、私の心には拭いがたい澱(おり)のようなものが残りました。――本当に、これで良かったのだろうか?

彼の「ありがとう」の裏には、歩けるようにはなったものの、社会復帰という次の大きな壁を前に、十分なリハビリ環境がないという厳しい現実が横たわっていました。この無力感、この悔しさこそが、私の原点です。

生活期であっても、専門的なリハビリで機能改善が見込めるというエビデンスは蓄積されているにもかかわらず、それを実践できる環境が限られている。この矛盾を、私はどうしても見過ごすことができませんでした。

だからこそ、私は自費リハビリを単なる「保険外サービス」ではなく、誰もが当たり前にアクセスできる「社会インフラ」にまで昇華させたい。それこそが、自分に課せられた使命だと確信しています。

ここからは、その確信を胸に、私が現在のキャリアを築くまでにぶつかった壁と、それをどう乗り越えてきたのかについてお話しします。

医療とビジネスの世界の違い

医療とビジネスにおける意識の違い

まず最初にぶつかった壁が、医療とビジネスの「考え方の違い」でした。

病院時代、私が収益を意識することは皆無でした。例えば、脳血管疾患の方にリハビリを20分提供すれば2,450円の売上になる、といった計算はできます。しかし、日々の業務でその数字を意識することはなく、ましてや「集客」や「経営戦略」を考えることなどありませんでした。

しかし、自費リハビリの世界では、市場調査、ペルソナ設定、サービス設計と価格設定、マーケティング、PL/BS管理など、これまで無縁だった業務が次々と降りかかってきます。日々の売上や月の予算達成まで、すべてを考えなくてはなりません。

ビジネスとして事業を継続できてこそ、利用者様の自己実現をサポートし続けられる――。これもまた事実であり、ビジネスから目を背けることはできません。

そこで私は、まず書籍やYouTubeで学び始め、体系的な知識の証明として簿記3級を取得しました。

書籍では『ジョブ理論』や『ビジネスモデル・ジェネレーション』などを読み込み、なぜサービスが売れるのかを「顧客目線」で考える思考の癖をつけました。YouTubeでは、経営者らがビジネスを解説する動画の中から、自分に合うものをひたすら視聴し、実践的な知見を吸収しました。

そして最も重要なのは、得た知識を"実践"することです。幸い、私にはすでに毎日PDCAを回せる環境があったため、インプットとアウトプットを高速で繰り返すことができました。

このような地道な積み重ねの結果、転職2年目には社内で成約率トップとなり、最高評価をいただけるまでに成長できました。もちろん、ビジネスの世界は奥深く、今もわからないことばかりですが、これからも日々挑戦を続けていくつもりです。

「違法?金儲け?」――社会に根強い誤解との闘い

次にぶつかった壁は、自費リハビリに対する社会の厳しい目、すなわち「誤解」でした

「それって、違法じゃないの?」「保険が使えないなんて、金儲けでしょう?」

このような声に、私たちは真摯に向き合う必要があります。そのために、まず守るべき法律の原則を確認しなくてはなりません。

医師法(第17条)
医師でなければ、医業をなしてはならない。

理学療法士及び作業療法士法(第2条)
(要約)理学療法士・作業療法士は、医師の指示の下に、理学療法・作業療法を行うことを業とする者をいう。

条文が示す通り、医師の指示なく診断や治療といった「医療行為」を行うことは、断じて許されません。これが、私たちが決して踏み越えてはならない絶対の境界線です。

では、その境界線を守った上で、私たちは何を提供するのか。

私たちは病気や怪我を「治療」するのではなく、医師の診断に基づき、身体機能が安定した方に対して「その人らしい人生を取り戻すための支援」を提供します。

それは、例えば次のような、一人ひとりの願いに寄り添うことです。

  • 「もう一度、あの店のカウンターに座って食事がしたい」――そのために、安定して座れる身体の動きを創り出す。

  • 「孫の運動会で、格好いい姿を見せたい」――その自己実現に向けて、専門家として伴走する。

  • 再発を防ぎ、生涯健康でい続けるための身体の使い方を指導する。

これらは「治療」ではなく、あくまで「QOL(生活の質)の向上」を目的とした支援です。この一線を守り抜き、そこに新たな価値を創造することこそ、自費リハビリの正当性の源泉であり、私たちの使命だと考えます。

しかし、法律上の正当性があるだけでは、社会の厳しい目は変わりません。だからこそ、私たちは自ら提供するサービスの有用性や安全性を、客観的な事実をもって地道に発信し続ける必要性があります。その最も強力な手段が「研究活動」です。

私は修士や博士といった研究者としての学位を持っているわけではありません。しかし、幸いにも今は病院時代の経験を活かしつつ、新たな知識を学べる機会に恵まれています。

新谷歩先生の医療統計講座」や『臨床研究の道標』といった書籍、さらには日本有数の専門家から学べるmJOHNSNOWのようなコミュニティもその一つです。

こうした学びを元に、私は現在の施設でも研究を続け、費用対効果分析に関する発表で学会の奨励賞をいただくことができました。

このような活動を対外的に公表し、私たちの取り組みの価値を一つひとつ証明していくこと。それこそが、誤解を乗り越え、自費リハビリが社会に認められるために不可欠なプロセスだと信じています。

自費リハビリを、社会のインフラへ

このビジョンを実現するためには、個々の努力に加え、より大きな枠組みの構築が必要不可欠です。具体的には、以下の三つの視点から取り組んでいきます。

  • 制度・政策:介護・医療保険制度を補完しうる価値をエビデンスで示し、行政との協議体制を構築する。

  • 資金・収益モデル:サービス価格の妥当性を検証し、公的保険財政にも貢献しうる可能性を医療経済学的に証明する。

  • ガバナンス・評価:社会的なサービスとしての責任を担保するため、外部機関とも連携した客観的な評価体制を確立する。

これらの壮大なテーマも突き詰めれば、目の前の課題を一つひとつ分析し、解決策を考え、最後までやり抜くことの連続にほかなりません。

あの日、一人の患者様を前に抱いた課題意識から始まった私の探求は、これからも形を変え、より大きな挑戦へと続いていきます。

そのキャリアを目指す人へのメッセージ

最後に、理学療法士としてのキャリアに悩んでいる方、自費リハビリに興味を持っている方々へメッセージを送りたいと思います。

まずお伝えしたいのは、理学療法士としての原点を忘れず、目の前の患者様に全力で寄り添ってほしいということです。

自費リハビリでも、病院でのリハビリでも、介護施設でのリハビリでも、理学療法士として目の前の患者様の人生に伴走するという本質は変わりません。

私は、リハビリの最前線は公的保険内でリハビリを提供する現場にあると思っています。

その中で、「もっと多くの方にリハビリを届けたい」「理学療法士としての専門性を活かして社会を変えたい」と思う方は、ぜひ勇気を持って挑戦してください。

「自費リハビリを社会のインフラへ」――その思いを共有する仲間が増えてくれることを心から願っています。

【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:
7日間無料お試し】

mJOHNSNOWはスペシャリストが提供する医学研究講座にスマホで、スキマ時間にアクセスできる日本最大規模のオンラインスクールです。

満足度95.6%・継続率98.0%の高いクオリティで、開講から半年で1,000名を超える仲間が入会し、初学者向けの因果推論、疫学、統計学、データ解析、RWDなどをスペシャリストから学んでいます。

講義はすべてオンデマンド化されるので自分のペースで学びを進められ、研究・キャリアの悩みは24時間いつでもチャットで相談可能。安心の定額制で、満足いくまで学び放題です。

【参加者の声】
・地方在住で学ぶ場がなく困っていましたが、大学院に行かないと学べないようなことを仕事の合間に学ぶことができ大満足です(40代女性 医師)
・フォローアップが手厚く、オンデマンドで分かるまで学べるのが初学者にとってとても助かっています(30代男性 製薬企業社員)
・低価格なのに見切れないほど多くの講座が受講でき、どれも質が高いです(40代女性 大学研究者)

詳細を見る無料体験に申し込む

【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】

YouTubeラジオコンテンツ「耳から学ぶシリーズ」は、仕事や育児で忙しい人が10分のスキマ時間に“ながら聞き”で学べる音声コンテンツです。

すべてのコンテンツを疫学専門家が監修し、完全無料で毎日投稿していきますので、ぜひチャンネル登録してお待ちください。

シリーズ一覧

キャリアシリーズ

  • vol.18:研究も臨床もやりたい! - 若手作業療法士の欲張りキャリア戦略

  • vol.20:語られぬ現場を論文に綴る - "その人らしさ"を支援する精神科作業療法士の使命

  • vol.26:「見えない価値」から「見える価値」へ - 向き合い続ける臨床薬剤師の確かな一歩

  • vol.30-1:ある総合内科医の15年 - 学びを求めて飛び込んだ、建築途中の病院へ

個人・企業からの寄稿を受付中

play_arrow
寄稿ページはこちら