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 【採択者が語る助成金獲得のコツ】ななーる訪問看護研究助成プロジェクト:在宅・訪問看護分野 - vol.8

 【採択者が語る助成金獲得のコツ】ななーる訪問看護研究助成プロジェクト:在宅・訪問看護分野 - vol.8

2026.02.05

看護学の大学教員である筆者は、自身の経験から在宅介護・在宅看護に高い関心を持ち、介護者をサポートしたいという思いを抱いており、「訪問看護師による別居介護者への支援に関する研究」を研究しています。

本記事では、研究の社会的価値と助成後の利益につながる可能性の両立により民間助成金を獲得するノウハウ先行研究やデータが十分ではない時の研究意義の書き方をご紹介します。

これから民間助成金を獲得したい方々に向けて、研究の必要性助成後の利益につながる可能性の両立について具体的なヒントを共有します。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 在宅介護・在宅看護領域における助成金申請の考え方と工夫のポイント

  • 「研究の社会的価値」と「助成後の利益につながる可能性」の両立により民間助成金を獲得するノウハウ

  • 先行研究やデータが十分ではない時の研究意義の書き方

この記事は誰に向けて書いているか

  • 看護領域で研究や調査に取り組みたいと考えている医療・福祉職の方

  • 助成金申請に関心はあるが、研究実績や書き方に不安を感じている初学者の方

  • 研究成果を社会課題の解決につなげたいと考えている方

獲得ノウハウシリーズ

【研究助成金】

  • vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連

  • vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野

  • vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連

  • vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野

  • vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野

  • vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域

  • vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト:在宅・訪問看護分野(本記事)

【奨学金】

  • vol.1:吉田育英会 海外プログラム

  • vol.2:JEES・三菱商事 科学技術学生奨学金

申請者情報

氏名:姫野 雄太
所属:植草学園大学
職位:常勤教員
専門分野・領域:看護学

助成金情報

助成金名

ななーる訪問看護研究助成プロジェクト

助成団体の種類

民間企業

助成団体名

ななーる訪問看護デベロップメントセンター

助成制度・助成団体の理念

ななーる訪問看護研究助成プロジェクトは、在宅看護・訪問看護に関する研究を対象とした助成金事業です。在宅看護・訪問看護の発展に寄与することを目的とし、在宅看護・訪問看護に関する研究活動に対して助成します。特に訪問看護の現場実践に役立つ研究を歓迎します。

URL

https://www.nana-dc.jp/nanar-grant-project/

応募対象の条件

研究分野に条件あり

最大助成金額・期間

30万円 ×1~2年間

実際に支給された助成金額・期間

30万円 /1年間

募集頻度・時期

毎年決まった時期に公募

研究内容

申請時の研究タイトル

訪問看護師による別居介護者への支援に関する研究

研究概要

本研究は、訪問看護師が実践している別居介護者への支援と、支援における課題を明らかにすることを目的としています。

近年、日本において、要介護者と居住を別にして、通いながら介護を行う別居介護者が増加しております。本研究により、訪問看護師による別居介護者への支援の現状を明らかにし、訪問看護師が別居介護者と連携しやすくなるための方策を検討します。

申請までの経緯

助成金を知ったきっかけ

学会・研究ネットワーク

この助成金を選んだ理由

本助成金制度は、研究費の支援だけでなく、在宅看護・訪問看護領域の研究者同士、さらに研究者と実践をつなぐという目的も有しています。

研究成果を実践に還元してこそ価値があるという考え方が、私が大切にしている考えとマッチしていました。

さらに、研究内容によっては、助成団体が有する訪問看護ステーションを研究フィールドとして活用できる点も魅力的でした。

コロナ禍などの影響で研究協力に対して消極的になりがちな在宅看護領域においても、研究を継続できるという安心感が大きかったです。

応募に至るまでのストーリー

私自身の経験から、在宅介護・在宅看護に高い関心を持ち、介護者をサポートしたいという思いを抱いていました。

在宅での介護においては、介護保険の認定があると各種サービスを利用できるようになります。

しかし、介護保険の認定がない状態でも介護を必要としている高齢者は存在しています。そのような場合、介護は家族が中心となって担っていることが多いです。

介護認定を受けていない高齢者を介護する家族は、外部のサポートを受けづらく、問題が潜在化しやすいと感じていました。

そこで、まずはこの問題を知ってもらいたいという思いを持ち、本助成金への応募に至りました。

申請ノウハウ

募集要項で特に注目した点

助成対象となる研究領域

申請準備で実施したこと

過去の自身の申請書の分析

申請書に記載が求められる項目

研究目的・背景、研究方法、スケジュール

各項目の記入分量

申請書全体としては、A4サイズで2〜4枚という指定でした。

研究要約600字程度(ホームページ公開用)に加え、研究背景、研究目的・研究意義、研究方法(研究対象者・データ収集方法・分析方法・倫理的配慮)、研究スケジュール(月毎に大まかな内容)で構成されていました。

私の申請書では、最終的にA4で3枚の申請書を作成し提出しました。

構成・ストーリーについて意識したポイント

「これからの日本では、高齢者の介護を国全体で支えていく必要がある」ということが伝わるようなストーリー作りを意識しました。

また、今回は、これまで多く実施されてきた介護の形態とは異なる介護形態を対象としていたため、「なぜこの研究が必要なのか」「この研究を実施した先に何があるのか(どのような効果があるのか)」を、審査員に分かるように示しました。

さらに、本助成金は訪問看護ステーションを運営する企業による助成金であったため、この研究が企業にとってどのようなメリットを生むのか(収入につながる可能性があるか)という点も意識して作成しました。

構成上の工夫としては、本文に入る前に短い要約を記載し、本文で伝えたいメッセージを明確にするようにしていました。

独自性や社会的意義でアピールしたポイント

構成の部分とも重なりますが、高齢者の介護は、これからの日本を考えていく上で切り離せない課題であることを示しました。

その上で、介護は同居家族によるものだけではなく、離れて生活している家族も担っている現状があるという問題提起を行いました。

そして、離れて生活している家族による介護は、介護度の上昇など様々な要因により、介護者や高齢者の生活に影響を及ぼしやすいことを強調しました。最悪の場合には、介護者の離職や、高齢者が住み慣れた場所での生活を中断せざるを得なくなる可能性があることにも言及しました。

以上のように、本研究は在宅介護だけの問題ではなく、経済、雇用、生活など多方面に影響を及ぼす課題であり、現在、親と離れて生活している全ての人に関係する問題であることが伝わるよう努めました。

文章表現の工夫

本助成金は訪問看護ステーションを運営する企業による助成金であり、専門職や研究者以外の方が審査する可能性があったため、専門用語は極力使用せず、平易な言葉と読みやすい文章構造を意識して作成しました。

加えて、論理の飛躍が生じないよう、申請者の考えを主張する際には、"なぜそれが大事なのか"という根拠も併せて記述し、読み手が物語として納得できる申請書を意識しました。

また、今回のテーマは全ての人が遭遇する可能性のある問題であったため、自身の具体的なエピソードも含めて記述し、共感が得られる表現に努めました。

本助成金の申請書は、全ての内容において規定の枚数がA4サイズで4枚以下と少なかったため、伝えたい内容を絞りつつ、削りすぎて意図が伝わらなくなる箇所がないかを意識し、複数回推敲しました。

記入が難しかった項目とその理由

「研究の意義」の記述は、特に難しい部分でした。

在宅看護に関する研究は既に多く行われていましたが、離れて生活している家族による介護に関する研究は少なく、研究の必要性や意義を審査員に納得してもらうための先行研究やデータが十分ではありませんでした。

そこで私は、正直に自身の体験も含めて記述し、数は少ないかもしれないものの、困っている人が確かに存在していること、そして、看護として人々の「健康」を守ることが必要であり、介護を行う家族も看護の対象であることを示しました。

実際の申請書では、介護が破綻した場合の介護者および高齢者への影響に加え、以前に行った、離れて生活している介護者による介護の実態についても記述しました。

その上で、介護度が高くない状態であっても、介護者はサポートを必要としているという点が伝わるよう努めました。

採択につながったと考えるポイント

採択に至った要因は、これまでに研究が十分に行われていなかったものの、これからの日本が直面する可能性のある問題であることが伝わった点にあると考えています。

実際に、申請者自身の経験から生まれた問いであり、社会的意義が評価されたのだと思います。

また、本研究は質的研究ではありますが、離れて生活をしながら介護を行う介護者の存在を明らかにしている点で、申請課題の必要性を裏付ける内容となっていました。

さらに、研究対象である離れて生活をする介護者への支援は、現在の介護保険制度ではフォローしづらい一方で、企業にとっては参入の余地がある分野であったことも、評価につながったのではないかと考えています。

以上のことから、研究の必要性助成後の利益につながる可能性の両立が、採択の決定打となったのではないでしょうか。

採択後の成果

助成金の使用用途

機器・ソフトウェア購入, データ収集・分析

これから応募する人へのエール

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【研究助成金】

  • vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連

  • vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野

  • vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連

  • vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野

  • vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野

  • vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域

  • vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト:在宅・訪問看護分野(本記事)

【奨学金】

  • vol.1:吉田育英会 海外プログラム

  • vol.2:JEES・三菱商事 科学技術学生奨学金

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