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【論文執筆のためのAI活用術】最新AIで書く「国際ガイドライン準拠のMethods」 そのまま使えるプロンプトで簡単作成!!  - vol.2

【論文執筆のためのAI活用術】最新AIで書く「国際ガイドライン準拠のMethods」 そのまま使えるプロンプトで簡単作成!!  - vol.2

2025.07.24

論文のIntroduction、Methods、Results、Discussionの中で、最も生成AI(以下、AI)に頼りやすいセクションはどれだと思いますか?

答えは「Methods」です。

なぜなら、Methodsの記載項目は報告ガイドラインによって詳細に規定されているため、「型」に沿った文章生成が得意なAIと相性が非常に良いからです。

独創性や心を引き付けるナラティブは基本的に必要ありません。

筆者は以前、観察研究や、システマティックレビューなどの研究デザインに沿ったMethodsを作成する人気GPTsを開発し、大きな反響をいただきました。

・STROBE準拠Methods作成チューター
・PRISMA準拠Methods作成チューター

今回は、そのノウハウを活かして、AIと会話するだけでMethodsの下書きを完成させる実践ガイドをお伝えします。
しかも、報告ガイドラインに沿って進めるので効率化とクオリティを両立させることができます。

この記事を読めば誰でも、自分の研究デザインに沿ったMethods執筆を大幅に効率化できます。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 論文のMethodsセクション執筆をAIで効率化する方法

  • AIとの対話を通して報告ガイドラインに沿ったMethodsを自動作成する方法

  • ChatGPTやGeminiをMethods作成用にカスタムして活用する方法

この記事は誰に向けて書かれているか

  • AIを研究に取り入れて、論文執筆を効率化したい方

  • 研究論文の報告ガイドラインに沿った質の高いMethodsを書きたい方

  • AIを独自にカスタムする方法を具体的に知りたい方

論文執筆のためのAI活用術シリーズ

  • vol.1:最新AIで書く「論理的なIntroduction」作成ガイド Part1

  • vol.2:最新AIで書く「国際ガイドライン準拠のMethods」 Part1 そのまま使えるプロンプトで簡単作成!!(本記事)

  • vol.3:最新AIで書く「図で魅せるResults」手書きメモが一瞬で図に!! Part1

  • vol.4:最新AIで書く「明快なDiscussion」リミテーションにおけるバイアスの整理方法 Part1

  • vol.5:最新AIで書く「投稿規定に沿った論文」確認作業をAIで時短!!

  • vol.6:最新AIで叶える「スマートな文献検索」最短ステップ

執筆者の紹介

氏名:わたヤク(SNSアカウント名)
所属:病院勤務
自己紹介:病院に勤務する傍ら、臨床研究支援組織にて研究コンサルタントとして活動する薬学博士。様々な臨床研究のデザインや統計解析に携わる。他、筆頭論文が国際的ながんサポーティブケア学会のガイドラインに引用され、自らもシステマティックレビュー委員としてガイドライン作成に携わるなど、研究活動や社会活動も積極的に行っている。その専門知識を活かし、臨床研究におけるAI活用の情報をSNSやブログで積極的に発信。𝕏アカウントは開設から100日で4,000フォロワーを突破し、ブログではAIを活用したデータ解析に関する記事で主要キーワード検索1位を多数獲得。AIと研究を繋ぐ第一人者として、mJOHNSNOWのセミナー講師も務める。
𝕏:https://x.com/ai_biostat
AI医療統計(ブログ):https://ai-biostat.com/
Note:https://note.com/ai_biostat

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の日本・グローバルにおいて疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究に従事。その後、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

1.論文の「Methods」がAI活用の"最適解"である理由

論文の数あるセクションの中で、AIによる執筆支援が最も効果を発揮するのが「Methods」です。

なぜなら、Methodsは「報告ガイドライン」の中で、記載すべき項目が明確に決まっているからです。

執筆の拠り所となる「報告ガイドライン」という世界標準

報告ガイドラインとは、研究の透明性や再現性を担保し、誰もが内容を正しく評価できるようにするための世界標準のルールです。

いわば、質の高い論文を書くための「設計図」と言えるでしょう。

代表的な報告ガイドラインには、以下のようなものがあります。

  • CONSORT声明:ランダム化比較試験

  • STROBE声明:観察研究(コホート研究、症例対照研究、横断研究)

  • PRISMA声明:システマティックレビュー・メタアナリシス

例えば、観察研究で最も使われる「STROBE声明」では、Methodsセクションに書くべき項目が以下のように細かく指定されています。

  • Study design:研究デザイン

  • Setting:研究を実施した場所や期間

  • Participants:対象者の適格基準や選択方法

  • Variables:全ての変数の定義

  • Data sources/measurements:データソースと測定方法

  • Bias:バイアスへの対処法

  • Study size:サンプルサイズの算出根拠

  • Quantitative variables:量的な変数の扱い方

  • Statistical methods:用いた統計解析手法

これだけ詳細な「型」が決まっているため、Methodsの執筆は、創造性が求められるIntroductionやDiscussionとは異なり、むしろ「決められた情報を正確に配置するパズル」に近い作業です。

AIは「型」に沿った文章生成が得意

そして、このような構造化されたタスクこそ、AIが最も得意とするところ

報告ガイドラインで要求されている要点(箇条書きのメモで十分です)をAIに渡すだけで、ガイドラインの基準を満たした、論理的で分かりやすい文章を瞬時に生成してくれます。

これにより、研究者は執筆にかかる時間を大幅に削減し、研究のクリエイティブな部分により多くの時間を割けるようになるのです。

2.【実践編】AIでMethodsを書く具体的なステップ

ここからは、実際にAIを使ってMethodsを執筆する具体的な手順を解説します。

今回は代表例として、多くの研究で使われる観察研究の報告ガイドライン「STROBE声明」に沿って進めます。

もちろん、今回ご紹介する方法は、ランダム化比較試験(CONSORT)システマティックレビュー(PRISMA)など、あらゆる研究デザインにも応用可能です。詳細は後半でお伝えします。

ステップ1:Methods作成に必要な「設計図」と「指示書」を準備する

まずはAIに必要な情報とルールを与えて「Methods作成用コンサルタント」になってもらいます。

といっても、難しいことはありません。必要なのは「設計図」となるガイドラインと、AIへの「指示書」となるプロンプトの二つだけです。

ステップ1 - 1.設計図:報告ガイドライン(PDF)の準備
まずは、論文執筆の「設計図」となる報告ガイドラインを準備します。

臨床研究ガイドラインのポータルサイトであるEQUATOR Networkにアクセスし、ご自身の研究デザインに合ったガイドラインを探しましょう。

EQUATOR Network

今回はSTROBE声明を例に進めるので、以下の二つのPDFをダウンロードしてください。

  • チェックリスト(Checklist):記載すべき項目の「抜け漏れ」を防ぐためのリストです。

  • 解説と詳細(Explanation and Elaboration):各項目で「なぜそれが必要か」「どう書くべきか」を理解するための教科書です。

【STROBE声明のダウンロードリンク】

  • 解説と詳細:Vandenbroucke,J.P., et al.(2007). Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology(STROBE):explanation and elaboration. PLoS Medicine, 4(10), e297.

  • チェックリスト

ステップ1 - 2.指示書:AIへのカスタムプロンプトを使用
次に、AIに役割を理解してもらい適切な回答を促すための「指示書(カスタム指示)」です。
今回は観察研究に特化した以下の「STROBE準拠 Methodsセクション作成」プロンプトを使います(少し長いプロンプトですが、そのままコピー&ペーストで使用できます)。

【Methodsセクション作成プロンプト(STROBE準拠)】

# STROBE準拠Methodsセクション作成支援AIのガイドライン

## 1. AIの役割と目的
役割:あなたは、観察研究(コホート研究、ケース・コントロール研究、横断研究)の論文を作成する研究者を支援するAIアシスタントです。特に、論文の「方法(Methods)」セクションを、国際的な報告ガイドラインであるSTROBE声明(Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology)に準拠して明確かつ網羅的に記述できるようサポートし、最終的に対話内容に基づいたMethodsセクションの英文ドラフトを提供します。

目的:添付されたSTROBEチェックリスト(Methods部分)を参照しながら、STROBE声明の「方法」セクションに関する項目(項目4~12)の各要求事項について、ユーザーが自身の研究内容に即して理解し、記述内容を整理できるように導くこと。

チェックリストの各項目について、報告すべき情報をユーザーに質問し、記述内容の骨子となる情報を収集すること。

研究デザイン(コホート、ケース・コントロール、横断研究)に応じて、報告すべき特有の情報を適切に案内すること

対話を通じて収集・整理した情報に基づき、STROBEガイドラインに沿ったMethodsセクションの英文ドラフトを生成すること。

ユーザーが最終的に質の高いMethodsセクションを作成できるよう、記述漏れや不明確な点を自己点検する手助けをすること。

注意:あなたが生成する英文は「ドラフト(叩き台)」です。ユーザーがそのまま使用できる完成稿ではありません。ユーザー自身による内容の精査、修正、加筆、表現の調整が必須であることを強調してください。研究内容の科学的妥当性や統計解析の適切性を評価・判断するものではありません。


## 2. 対話の基本フロー
1. 開始と目的確認:ユーザーに挨拶し、「このチャットボットは、STROBEガイドラインに沿った観察研究論文のMethodsセクション作成を支援します。お手元のSTROBEチェックリスト(Methods部分:項目4-12)を確認しながら、対話を通じて必要な情報を整理し、最後にそれに基づいた英文ドラフトを提供します。」といった形で、サポート内容(STROBE準拠の支援、チェックリスト参照、英文ドラフト出力)を明確に伝えます。

2. 研究デザインの特定:最初に、ユーザーの研究が「コホート研究」「ケース・コントロール研究」「横断研究」のいずれに該当するかを明確に尋ねます。

3. STROBE項目(4~12)に基づく対話:添付されたチェックリストの項目4から12を順番に(あるいはユーザーの希望に応じて)取り上げ、対話を進めます。

項目の提示とチェックリスト確認:「まず、チェックリストの項目[番号]「[項目名]」について確認しましょう。」のように、項目の番号と名称を提示し、ユーザーにチェックリストの該当箇所を参照するよう促します。

項目の解説:チェックリストの「Recommendation」および添付のSTROBE解説文書に基づき、その項目がなぜ重要なのか、何を目指しているのかを簡潔に説明します。

具体的情報の質問:ユーザーの研究内容に合わせて、その項目で記述すべき具体的な情報を質問形式で引き出します。

記載例とヒントの提示:専門用語を使う時は初心者でも理解できるような説明や記載例を含めてください。

研究デザイン特有の質問:特定した研究デザインに応じて、チェックリストの(a),(b),(d)などの詳細項目に沿って質問内容を調整します。

ユーザーの回答整理:ユーザーの回答を要約・確認し、後段の英文生成に必要な情報を構造化して内部的に保持します。「これで項目[番号]はカバーできましたね。」のように、チェックリストの進捗を確認します。

4. 網羅性の確認:項目4~12の対話が一通り完了した後、「これでMethodsのチェックリスト項目4から12まで一通り確認しました。英文ドラフトを作成する前に、追加・修正したい情報はありますか?」といった形で確認します。

5. 英文ドラフトの生成:
ユーザーの確認後、「それでは、これまでの対話内容に基づいてMethodsセクションの英文ドラフトを作成します。これはあくまで叩き台ですので、必ずご自身で内容を確認し、修正・加筆してください。」と伝えた上で、英文ドラフトを生成・提示します。生成する英文は、学術論文に適した客観的かつ簡潔なスタイル(例:過去形を基本とする)で記述します。対話で得られた情報を、STROBE項目4から12の順序に沿って論理的に構成します。項目間で情報が重複する場合(例:変数の定義と測定方法)は、自然な流れになるよう統合・整理します。


## 3. 対象とするSTROBE項目(Methods:項目4~12)
4. 研究デザイン(Study design):研究デザインの主要な要素を論文の早い段階で提示する。※対話時、コホート研究、ケース・コントロール研究、横断研究について、初心者にも理解できるよう簡単な例を挙げて説明を補足する。

5. セッティング(Setting):セッティング、実施場所、関連する日付(募集、曝露、追跡、データ収集の期間を含む)を記述する。

6. 参加者(Participants):
(a)コホート研究:適格基準、および、対象者のソースと選定方法を示す。追跡の方法についても記述する。ケース・コントロール研究:適格基準、対象者のソース、ケースの確定方法、および、コントロールの選択方法を示す。ケースとコントロールの選択における論拠を示す。横断研究:適格基準、および、対象者のソースと選択方法を示す。

(b)コホート研究:マッチングを行った研究ではマッチングの基準と曝露群と非曝露群の数を示す。ケース・コントロール研究:マッチングを行った研究ではマッチングの基準とケースあたりのコントロールの数を示す。

7. 変数(Variables):すべてのアウトカム、曝露、予測因子、潜在的な交絡因子、潜在的な効果指標の修飾因子を明確に定義する。該当する場合は、診断方法を示す。※対話時、「潜在的な交絡因子(例:結果と曝露の両方に関連し、比較したい関係を見かけ上歪める可能性がある因子)」や「効果指標の修飾因子(例:曝露とアウトカムの関係の強さが、この因子のレベルによって異なる因子)」について、初心者にも理解できるよう簡単な例を挙げて説明を補足する。

8. データソース/測定方法(Data source/measurement):関連する各因子に対して、データソース、評価・測定方法の詳細を示す。2つ以上の群がある場合は、測定方法の比較可能性(comparability)を明記する。

9. バイアス(Bias):バイアスが生じないようにとられた方策があればすべて示す。※対話時、バイアスについて説明する際に、「選択バイアス(研究参加者の選び方に偏りがあることで生じる誤差)」や「情報バイアス(データの収集方法や測定方法に偏りがあることで生じる誤差、例:思い出しバイアス)」といった主な種類について、初心者にもわかるように具体例を交えて説明を補足する。

10. サンプルサイズ(Study size):サンプルサイズがどのように決められたかを説明する。※対話時、サンプルサイズ計算の方法を尋ねる際に、「事前に統計的なサンプルサイズ設計を行いましたか?それとも、利用可能なデータ数など、他の理由で決まりましたか?」のように、設計を行わなかった可能性も選択肢として提示する。

11. 量的変数(Quantitative variable):量的変数の分析方法を説明する。また量的変数をグループに分けた場合は、どのように分けたかをその理由とともに記載する。※対話時、量的変数の扱い方について、「例えば、年齢を連続した数値のまま使いましたか?それとも『50歳未満』『50歳以上』のようにグループ分けしましたか?グループ分けした場合、なぜその境界値を選んだのですか?」のように、具体的な例を用いて説明し、ユーザーの回答を促す。

12. 統計・分析方法(Statistical methods):
(a)交絡因子の調整に用いた方法を含め、すべての統計学の方法を示す。
※対話時、「交絡因子」について再度触れ、もし調整を行った場合、どのような統計手法(例:層別解析、多変量解析モデルなど)を用いたかを尋ねる。必要であれば交絡因子の簡単な説明を繰り返す。

(b)サブグループと交互作用(interaction)の検証に用いたすべての方法を示す。
※対話時、「交互作用(ある因子(例:性別)によって、注目している曝露とアウトカムの関係の強さが異なること)」について初心者にもわかるように説明し、もし交互作用を検討した場合、どのような方法を用いたかを尋ねる。

(c)欠損データ(missing data)をどのように扱ったかを説明する。

(d)コホート研究:該当する場合は、脱落例(loss to follow-up)をどのように扱ったかを説明する。ケース・コントロール研究:該当する場合は、ケースとコントロールのマッチングをどのように行ったかを説明する。横断研究:該当する場合は、サンプリング方法を考慮した分析法について記述する。

(e)あらゆる感度分析(sensitivity analysis)の方法を示す。


## 4. AIの応答スタイル
丁寧で分かりやすい言葉遣いを心がける。専門用語は必要に応じて解説を加える。ユーザーを励まし、対話的に進める。ユーザーの回答を否定せず、より明確にするための質問を重ねる。長文での回答は避け、簡潔さを保つ。英文ドラフト生成時は、学術的な客観性と簡潔性を重視する。

ステップ2:Methods作成用AIを設定しよう

ここからは、先ほど用意した「設計図(ガイドライン)」「指示書(カスタム指示)」を使って、専用の「Methods執筆AI」を作る具体的な方法を解説します。

基本的には、AIにカスタム指示とファイルを記憶させる機能を使います。無料で高機能なおすすめツールを二つ紹介しますので、まずは気軽に試してみてください。

おすすめツール①:Gems
最もおすすめなのが、無料で利用できるGoogle Geminiの「Gems」機能です。無料版でも使えるのが一番のメリットです。

【設定手順】
1.GeminiのWebページにアクセス

2.サイドバーの「Gemを表示」をクリック

サイドバーの「Gemを表示」

3.「+ Gem を作成」をクリック

「+ Gem を作成」をクリック

4.「カスタム指示」ウィンドウにStep1で紹介したカスタム指示(プロンプト)を貼り付ける

5.「知識」ウィンドウにStep1でダウンロードしたガイドラインの「解説と詳細」「チェックリスト」のPDFをアップロードする

「解説と詳細」「チェックリスト」のPDFをアップロードする

6.最後に右上の「保存」を選択すれば完了
これでサイドバーにGemが追加され、いつでも呼び出せるようになります。

Gemが追加され、いつでも呼び出せるように

モデル選択のポイント Geminiには複数のモデルがありますが、基本的には高性能なGemini 2.5 Proがおすすめです。無料版では1日の使用回数に制限があるので、もし制限に達した場合はGemini 2.5 Flashに切り替えるのも良いでしょう。

おすすめツール②:ChatGPTの「プロジェクト」機能
普段からChatGPTを使い慣れている方は、「プロジェクト機能」で同様のカスタムAIを作成できます。こちらは現在、有料版(Plusプラン以上)を使用しているユーザーのみ選択可能です。 使い方はGemsと同様にカスタム指示と参考資料をアップロードするだけです。

【設定手順】
1.ChatGPTの左サイドバーにある「プロジェクトを新規作成」を選択

「プロジェクトを新規作成」

2.好きな名前を入力し「プロジェクトを作成する」を選択

3 - 1.「ファイルを追加する」を選択しガイドラインの「解説と詳細」「チェックリスト」のPDFをアップロード
3 - 2.「指示の追加」を選択しStep1で紹介したカスタム指示(プロンプト)を貼り付け

「ファイルを追加する」「指示の追加」

これで左サイドバーに作成したプロジェクトが表示され、保存した設定を保った状態でいつでも利用できます。

左サイドバーに作成したプロジェクトが表示

モデル選択のポイント
今回の使い方では推論に特化したo3モデルより、ChatGPT 4oの方が良い回答を得られることが多いです。

番外編:まずは手軽に試したい方向け「通常チャット」
「カスタムAIの設定は少し面倒…」という方は、通常のチャット機能でも実践できます。
毎回の手間はかかりますが、とりあえず試したい時に有効です。

【設定手順】
1.GeminiやChatGPTのチャット画面を開く
2.チャット入力欄に、Step1で紹介したカスタム指示を全文貼り付け
3.ガイドラインの「解説と詳細」「チェックリスト」のPDFファイルをアップロード
4.最後に、プロンプトの一番上に「以下のカスタム指示と添付したガイドラインに基づいて、臨床論文のMethods作成を支援してください」と入力し、送信します。


これで、そのチャット内に限り、カスタムAIと同じように動作してくれます。

(続きはページの後半へ)

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3.「Methods作成用AIコンサルタント」に話しかけてみよう

いよいよ、作成した「Methods作成用AIコンサルタント」を実際に使ってみましょう。
最初は「お願いします」など何でもよいので声をかければOKです。

声をかけたところから、AIコンサルタントとの会話がスタートします。
AIはガイドラインの項目を一つずつ分解して質問してくれます。

AIコンサルタントとの会話がスタート

質問に対して完璧な文章で答える必要はなく、箇条書きや単語の羅列で要点を伝えるだけで十分です。

例えば、AIから研究の要点について以下の質問をされた際、回答は【回答例】のようにシンプルなもので構いません

【AIからの質問】

箇条書きや単語の羅列で要点を伝えるだけで十分

【回答例】

糖尿病合併症の発生
新治療と標準治療
年齢、性別、飲酒習慣
効果修飾は検討しない

要点を伝えるだけでAIは文脈を理解し、対話の途中では、項目の解説やここまでの内容の要約も示してくれます。

研究初心者の方でも迷うことはありません。

ユーザーが答えた情報を基に、必要な項目がすべて埋まったとAIが判断した時点で、自動的にMethodsの下書きを作成してくれます。

【生成されたMethodsのサンプル】
実際に、「イリノテカン含有レジメンが投与された切除不能大腸がん患者におけるALBIグレードと予後との関連」という仮の研究計画でAIと対話した結果、次のようなドラフトが完成しました(今回は英語で出力していますが、もちろん日本語で出力することも可能です)。

<Methods>
<Study Design>
This was a retrospective cohort study conducted at X City Hospital.

<Setting>
The study was conducted at X City Hospital from April 1, 2020, to March 31, 2024. This period covered the identification of participants, assessment of exposure, follow-up, and data collection from electronic medical records.

<Participants>
Eligibility Criteria and Selection:
We included patients with unresectable colorectal cancer who received irinotecan-containing regimens at X City Hospital. Patients were identified and selected from the hospital's electronic medical records based on the predefined eligibility criteria. No matching was performed for exposed and unexposed groups.

Follow-up:
Participants were retrospectively followed through their electronic medical records to collect data on outcomes. For patients who transferred to other hospitals or were lost to follow-up, data were censored at the last known contact date or transfer date.

<Variables>
Outcome:
The primary outcome was overall survival, defined as the time from the start of treatment to the date of death from any cause.

Exposure:
The exposure variable was the ALBI grade, categorized into Grade 0, 1, 2, and 3. The ALBI grade was determined based on the ALBI score, which was calculated using the following formula: 0.66×log10(serum bilirubin value[mg/dL])

−0.085×serum albumin value[g/L].The categories were defined as:
Grade 1(Good liver function):ALBI score ≤ −2.6
Grade 2a(Moderate liver function):−2.6 < ALBI score < −2.27
Grade 2b(Moderate liver function):−2.27 ≤ ALBI score ≤ −1.39
Grade 3(Poor liver function): ALBI score > −1.39

Confounding Variables:
Potential confounding variables considered in this study included age, sex, Performance Status(PS),and number of metastatic organs.

- Age: Age at the start of treatment was treated as a continuous variable.
- Sex: Sex was defined as male or female.
- PS: Performance Status was assessed using the ECOG PS scale.
- Number of Metastatic Organs: The number of metastatic organs was treated as a categorical variable, categorized as 1 organ vs. 2 or more organs. No other specific predictors or effect modifiers were investigated.

<Data Source and Measurement>
All data were extracted from the electronic medical records of X City Hospital. This included blood test results for serum bilirubin and albumin (for ALBI score calculation), CT and MRI imaging reports for assessing metastatic organs, and clinical records for treatment start dates, death dates, age, sex, and PS. All measurements were performed using the same methods for all patients.

<Bias>
No specific measures were taken to address potential biases beyond standard data collection from routine clinical practice. Data were extracted from routinely recorded electronic medical records, which is expected to minimize information bias due to researcher intervention.

<Study Size>
The sample size was determined by including all eligible patients who met the inclusion criteria within the specified study period. No a priori sample size calculation was performed.

<Quantitative Variables>
Age was treated as a continuous variable. ALBI score was categorized into ALBI grades(categorical variable) as described above. The number of metastatic organs was categorized into "1 organ" and "2 or more organs."

<Statistical Methods>
Overall survival was estimated using the Kaplan-Meier method, and the median survival time, 1-year, 2-year, and 3-year survival rates with their 95% confidence intervals were calculated for each group. To adjust for confounding factors (age, sex, PS, and number of metastatic organs), a multivariable Cox proportional hazards model was applied. All statistical analyses were performed using R version 4.4.1. A two-sided p-value of < 0.05 was considered statistically significant. Subgroup analyses and tests for interaction were not performed. No missing data were observed. For patients who discontinued follow-up due to reasons such as transfer to another hospital, their data were censored at the last known follow-up date. Sensitivity analyses were not conducted.

実際の会話のやりとりはこちらをご参照ください。

見ていただくと、ユーザー側からは研究デザインの要点のみしか伝えてないことがわかると思います。

AIとの質疑応答にかかった時間は、わずか5分程度
この短時間で、報告ガイドラインの要点を網羅した、質の高い「叩き台」が完成しました。

あとはこの下書きを基に、ご自身の研究内容に合わせて詳細を追記・修正していくだけです。

このようにAIを活用することで、これまで時間と手間がかかっていた論文のMethods執筆は、劇的に効率化できます。

4.【応用編】あらゆる研究デザインに対応させる「カスタム指示変換プロンプト」

今回は観察研究(STROBE)を例に「Methods作成用AIコンサルタント」を作る方法を解説しましたが、もちろん他のあらゆる研究デザインに応用できます。

ランダム化比較試験(CONSORT)、システマティックレビュー(PRISMA)など、ご自身の研究に合わせてカスタムAIを拡張させましょう。

そのために、これからご紹介する「カスタム指示変換プロンプト」を使って、カスタム指示自体を作成してもらいましょう。

この変換を行う時はGemini 2.5 Proを使うのがおすすめです。

【カスタム指示変換プロンプト】

これからAIに向けたカスタム指示を作成します。
AIの目的は、{{研究デザイン}}の報告ガイドラインに沿って、臨床論文のMethodsセクションを作成することです。

{{研究デザイン}}に関する以下の資料を添付します。
- 報告ガイドラインの詳細
- 報告ガイドラインのチェックリスト

例としてSTROBE用のカスタム指示を以下に記載します。STROBE用のカスタム指示を修正し、新たに {{研究デザイン}}用のカスタム指示を作成してください。

---以下、STROBE用のカスタム指示---

【使い方】
1.プロンプト内の{{}}で囲まれた部分を、あなたの研究デザイン名(例:ランダム化比較試験、システマティックレビューなど)に書き換えます。

2.「以下、STROBE用のカスタム指示」の下に、Step1 で紹介した STROBE 用のカスタム指示の全文を貼り付けます。

3.あなたの研究デザインに対応した報告ガイドラインの「解説と詳細」と「チェックリスト」のPDFを二つアップロードして、AIに送信します。


これだけで、AIがあなたの研究デザインに最適化されたカスタム指示を生成してくれます。あとはその新しいカスタム指示と「解説と詳細」「チェックリスト」のPDFを使って、新しいカスタムAI(Gemsなど)を作成すれば完了です。

5.まとめ

本記事でご紹介したAI活用法は、単なる「時短テクニック」ではありません。
世界中の研究者が参照する報告ガイドライン。その要求事項をAIが的確に満たすことで、論文の透明性と網羅性が高まり、読者が研究の質を正しく評価できるようになります。

特に、論文執筆に不慣れな方や、新しい研究デザインに初めて挑戦する方にとっては、AIがガイドラインに沿った道筋を示してくれるため、論文の質を一定水準以上に引き上げる心強い味方となるでしょう。

本記事が、皆さんの研究活動を加速させる一助となれば幸いです。

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シリーズ一覧

論文執筆のためのAI活用術シリーズ

  • vol.1:最新AIで書く「論理的なIntroduction」作成ガイド Part1

  • vol.2:最新AIで書く「国際ガイドライン準拠のMethods」 Part1 そのまま使えるプロンプトで簡単作成!!(本記事)

  • vol.3:最新AIで書く「図で魅せるResults」手書きメモが一瞬で図に!! Part1

  • vol.4:最新AIで書く「明快なDiscussion」リミテーションにおけるバイアスの整理方法 Part1

  • vol.5:最新AIで書く「投稿規定に沿った論文」確認作業をAIで時短!!

  • vol.6:最新AIで叶える「スマートな文献検索」最短ステップ

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