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【論文執筆のためのAI活用術】最新AIで書く「明快なDiscussion」リミテーションにおけるバイアスの整理方法 - vol.4

【論文執筆のためのAI活用術】最新AIで書く「明快なDiscussion」リミテーションにおけるバイアスの整理方法 - vol.4

2025.08.25

「論文のリミテーション、毎回書くのがつらい…」「とりあえず“単施設”、“後ろ向き研究”がリミテーションだと書いてるけど、本当にこれでいいの?」

もしあなたが臨床研究論文のリミテーションの記載に自信がないなら、この記事が役立ちます。

本記事では、疫学や統計の知識が必要とされるリミテーションの記述を、たった二つのプロンプトで生成AIに洗い出してもらい、さらに結論への影響まで整理する具体的な方法を解説します。

そして、この方法は今すぐ実践可能。

あなたの論文のディスカッションの深みが一段階アップします。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • AIを「壁打ち相手」としてディスカッションの内容をより深める実践的プロセス

  • 生成AIを使って潜在的なバイアスやリミテーションを網羅的・多角的に抽出する方法

  • 各バイアスが研究結果を「過大評価」または「過小評価」する方向性を分析する方法

この記事は誰に向けて書かれているか

  • リミテーション部分の記述が毎回ワンパターンになってしまう方

  • 自分の研究に潜むバイアスを見落とすのが不安な方

  • 論文のディスカッションをより説得力のある内容に高めたい方

論文執筆のためのAI活用術シリーズ

  • vol.1:最新AIで書く「論理的なIntroduction」作成ガイド Part1

  • vol.2:最新AIで書く「国際ガイドライン準拠のMethods」 そのまま使えるプロンプトで簡単作成!! Part1

  • vol.3:最新AIで書く「図で魅せるResults」手書きメモが一瞬で図に!! Part1

  • vol.4:最新AIで書く「明快なDiscussion」リミテーションにおけるバイアスの整理方法 Part1(本記事)

  • vol.5:最新AIで書く「投稿規定に沿った論文」確認作業をAIで時短!!

  • vol.6:最新AIで叶える「スマートな文献検索」最短ステップ

執筆者の紹介

氏名:わたヤク(SNSアカウント名)
所属:病院勤務
自己紹介:病院に勤務する傍ら、臨床研究支援組織にて研究コンサルタントとして活動する薬学博士。様々な臨床研究のデザインや統計解析に携わる。他、筆頭論文が国際的ながんサポーティブケア学会のガイドラインに引用され、自らもシステマティックレビュー委員としてガイドライン作成に携わるなど、研究活動や社会活動も積極的に行っている。その専門知識を活かし、臨床研究におけるAI活用の情報をSNSやブログで積極的に発信。𝕏アカウントは開設から100日で4,000フォロワーを突破し、ブログではAIを活用したデータ解析に関する記事で主要キーワード検索1位を多数獲得。AIと研究を繋ぐ第一人者として、mJOHNSNOWのセミナー講師も務める。
𝕏:https://x.com/ai_biostat
AI医療統計(ブログ):https://ai-biostat.com/
Note:https://note.com/ai_biostat

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の日本・グローバルにおいて疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究に従事。その後、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

Discussionとは?記載すべき内容

Discussionは、Resultsで示した事実をもとに読み手をConclusionに案内する橋渡しとして重要なパートです。

書き手には自明に思える解釈でも読み手には伝わっていないことは多く、Resultsで得られた情報を丁寧に補足して結論に導く必要があります。

Discussionの典型的な流れを下図に示します。

①冒頭で研究目的に直結する結果を要約
②先行研究と比較しながら3~6パラグラフ程度で結果を解釈
③研究の限界(リミテーション)について触れる
④論文の結論を述べて結ぶ

Discussionの典型的な流れの図

Discussionの書き方はこちらの記事も参考になります。

【初学者にも書ける医学英語論文】
東大大学院生を指導してきた医師が語る:たった三つを意識すれば論文構成は完成する

リミテーションに記載すべき内容

リミテーションの役目は、研究結果にあえて批判的な観点を加えることで、拡大解釈をおさえ、科学的に妥当な解釈に整えることです。

そのために、潜在的なバイアスや不精確さを明らかにし、結論への影響を評価することが重要です


観察研究の報告ガイドラインであるSTROBE声明(2007年)は次のように求めています。

Discuss limitations of the study, taking into account sources of potential bias or imprecision. Discuss both direction and magnitude of any potential bias.

(和訳)潜在的なバイアスまたは精度の問題を考慮して研究の限界を議論する。潜在的なバイアスの方向性と大きさを議論すること。

したがって、「単施設」「後ろ向き研究」などのラベル列挙で終わらず、各リミテーションが結果を過大評価しているのか、過小評価しているのか(方向性)まで踏み込むことが求められています。

もうリミテーションで迷わない!超具体AI活用法

これから紹介する二つのプロンプトは、研究内容に基づいて「潜在的なバイアスの洗い出し」と「方向性の考察」を、生成AIが強力にサポートします。

準備するもの

  • 執筆中の論文原稿(Word・PDF・Markdownなど形式は問わない)

  • 生成AIツール(GPT-5 や Gemini 最新モデルがおすすめ)

用意するものは、たったこれだけです。

そして、より客観的な指摘を引き出すコツがあります。


【推奨】原稿のリミテーション部分は空欄にしておく

すでにリミテーションを書いてしまっていると、AIの回答がその記述に引っ張られがちです。あえて空欄にしておくことで、より新しい視点のフィードバックを得られます。

プロンプト①:潜在的なバイアス・リミテーションを洗い出す

まずはAIに、論文の中に潜む可能性のあるバイアスやリミテーションを網羅的に挙げてもらいましょう。

論文ファイルを添付し、次のプロンプトを入力します。

添付論文の潜在的なバイアスやリミテーションをじっくり考えて指摘して。

下図はGPT-5による出力例の一部です。他にも「研究デザイン」「測定・変数」「一般化可能性」などバイアスの種類ごとに整理し、具体的な指摘を提示してくれます。

GPT-5による出力例の一部

プロンプト②:バイアスの「方向性」を深掘りする

バイアスのリストアップができたら、次はそれぞれの方向性を考えます。

バイアスは「ある/ない」だけではなく、結果の推定値(リスク差・オッズ比など)を真の値からどの方向にずらしているのかが重要です。

例えば、「曝露Aは死亡リスクを上げる」という結果に対し、調整されていないリスク因子が曝露群に偏って存在していた場合、曝露による死亡リスクは実際はもっと低い可能性があります。

つまり、曝露による死亡リスクが過大評価する方向に歪められています。

その場合は「見かけ上の効果の一部は交絡によるもので、真の効果はもっと弱いかもしれない」と控えめに考察します。


この方向性を把握するために、AIにこう尋ねてみましょう。

各バイアスの方向について考察して。

下図はGPT-5による出力例の一部です。交絡によるバイアスが結果の推定値にどう影響するのか、方向不明なものも含めその理由を説明してくれています。

GPT-5による出力例の一部

このようにバイアスが結論にどう影響する可能性があるかについて考察を深めることができます。

まとめ:AIは「壁打ち相手」でありパートナー

本記事では、生成AIを活用して論文のディスカッション、特にリミテーション部分を強化する方法を紹介しました。

重要なのは、AIが出力した内容をそのまま書き写さないことです。AIはあなたの思考を補助し、視野を広げるためのパートナーであって、最終判断を下すのはあなた自身です。

  • 指摘が本当に自分の研究に当てはまるか、必ず自分で批判的に吟味する

  • 不明な用語やバイアスは教科書や信頼できる情報源で確認する

  • 最終的な記述は、自分の言葉で、研究の文脈に沿って責任を持って書く

このプロセスを繰り返せば、リミテーションだけでなく、論文そのものの質も向上していきます。

ぜひ、今回ご紹介した二つのプロンプトを試してみてください。


バイアスに関するより詳しい学習には、こちらの参考記事もおすすめです:

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シリーズ一覧

論文執筆のためのAI活用術シリーズ

  • vol.1:最新AIで書く「論理的なIntroduction」作成ガイド Part1

  • vol.2:最新AIで書く「国際ガイドライン準拠のMethods」 そのまま使えるプロンプトで簡単作成!! Part1

  • vol.3:最新AIで書く「図で魅せるResults」手書きメモが一瞬で図に!! Part1

  • vol.4:最新AIで書く「明快なDiscussion」リミテーションにおけるバイアスの整理方法 Part1(本記事)

  • vol.5:最新AIで書く「投稿規定に沿った論文」確認作業をAIで時短!!

  • vol.6:最新AIで叶える「スマートな文献検索」最短ステップ

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