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【書籍紹介】統計解析ソフトRおすすめ本8選 - 専門家が解説 - vol.7

【書籍紹介】統計解析ソフトRおすすめ本8選 - 専門家が解説 - vol.7

2026.02.14

AI時代の今だからこそ、特定の環境にこだわらず「R」の基本となる解析や解釈を学ぶことが重要です。

この数年間で臨床研究に求められる統計解析の水準は急速に上がり、個人で入手可能な統計ソフトウェアでは追いつけない場面も増えてきました。そのような状況で、フリーソフトウェアとして提供され多くの最新手法を取り扱うことができる「R」への注目が集まっています。

プログラミング言語としてハードルが高かったRの学習環境も、2024-2025年にかけてChatGPTGeminiに代表される生成AIが実用的なプログラムコードを生成できるようになり、Cursorのような生成AI搭載エディターが登場したことで大きく変化しつつあります。

そのような過渡期にある2026年のR学習においては、特定の環境にこだわらず「どのように解析を行い、結果を解釈するのか」という過程そのものを知ることが大切です。むしろ、R言語そのものを扱った少し古い良書にも目を向けることにも意義があると言えるでしょう

本記事では、「統計解析ソフトRを使って医学研究で用いられる統計解析を実践する方法」「現代的なRの文法であるTidyverseの活用」、「論文や発表に使えるクオリティの図を作成する方法」などを学べる良書を、実務での使い方と共に紹介します。医学研究のためにRを学びたい方の一助になれば幸いです。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 「統計解析ソフトR」を使って、医学研究で用いられる統計解析を行う方法

  • 現代的なRの文法であるTidyverseの活用

  • 論文や発表に使えるクオリティの図を作成する方法(ggplot2)

この記事は誰に向けて書いているか

  • 手元のデータをどのように解析したらよいか迷っている方

  • 表計算ソフトのグラフ作成機能からステップアップしたい方

  • AIの提案してきたコードの中身を理解したい方

書籍紹介シリーズ

vol.1:3年で副業売上1,500万円の研究者が勧める 副業まずこの1冊【ジャンル別】
vol.2:医療データサイエンティストを目指す人へのお勧め書籍8選
vol.3:医学研究デザインの道標 9選
vol.4:臨床研究最初の一歩おすすめ書籍9選
vol.5:因果推論おすすめ書籍8選
vol.6:英語論文執筆からアクセプトまでのおすすめ書籍5選 - 大学教授が解説
vol.7:統計解析ソフトRおすすめ本8選(本記事)

執筆者の紹介

氏名:森 和貴
所属:静岡県内の病院勤務医
経歴:2004年卒・臨床研修制度1期生の内科医。静岡県内の病院で研修を積んでいた卒後6年目に上司の勧めで臨床研究に関わりはじめる。学生時代から趣味でプログラミングに触れており、EZR登場前から学会発表などで本格的にRを活用するようになる。博士(医学)の学位取得後は病院勤務医として働きながら、所属医局の研究の解析担当なども担っている。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

はじめに

私は、2004年卒の内科勤務医です。

卒後4年目に初めて症例発表ではない学会発表をすることになった時、お金も知識もなかったので"無料"に惹かれてRに触れ始めました。

当時はRStudioやEZRが発表される前でRに関する参考書も限られていたため、手探りで学習を進めました。(学生時代から趣味で少しプログラミングには触れていたので、全くのゼロからではありませんでしたが...)

現在では、所属医局の臨床研究で解析を担当させてもらうこともあります。

とくに、データ分析の再現性を確保する方法に関心があり、書き溜めたRMarkdown/Quartoによる解析レポートは100ファイルを超えました。

RStudio以前の時期に身についた「特定の環境に依存しないRの基礎」は、主要なR解析環境がRStudioから変わりつつある今でも役立っています。

生成AIの時代にこそ「R言語」を学ぶ意義

2024年以降の生成AIの進歩は、対話型AIを通じた解析コードの提案を可能としました。ともすれば、R言語のコードを自分で書く必要は最早なくなったかのように錯覚してしまいます。

しかし、マウス操作などで一般の研究者にも扱いやすい統計ソフトウェアが登場した時に言われた、「正しい方法でなくとも“解析できてしまう”」という問題があります。

これは生成AIの時代になり、Hallucination(幻覚)やSycophancy(迎合)として、より深刻な問題として私達の前に立ちはだかっています。

  • AIに聞いたコードを何度も試しても、解析が動かずに困ったことはないですか?

  • AIに任せて生成された図表に必要な値がなく、どうやって取り出せばよいか分からなかった、ということはないですか?

  • AIに「対照群と治療群に有意差が出るような解析方法をお見せしましょうか?」と提案され、息を呑んだことはないですか?

個々のソフトウェアや関数の使い方といった「操作する力」そのものよりも、AIに「どうしたら有意差が出る?」と聞きたい気持ちを抑えつつ、「AIに提示されたコードがなぜ期待通り動かないのか」を見極め、表示された結果から必要な情報を取り出すという「解釈する力」に比重が移っているとも言えます。

そのためには、R言語そのものに体系的に触れた文献が役に立つはずです。

1.プログラミング、データの取り扱いの基礎を学ぶ/初学者向け

Rでらくらくデータ分析入門~効率的なデータ加工のための基礎知識

Rでらくらくデータ分析入門~効率的なデータ加工のための基礎知識

医療者が日々の業務の傍らに「Rを学びたい」と考える時、おそらく手元には学会発表などのために解析しなければならないExcelのデータが有ることと思います。

本書は一般的なR言語自体の解説書とは異なり、早い段階から表データの行・列の考え方やデータの整形が登場します。そのため、「プログラミング言語R」を前面に打ち出した入門書より取り掛かりやすいはずです。

プログラミング言語あるいはR言語自体が初めての方は、第2章で基本的な文法、変数、関数の考え方を学んでください。

Rで重要なベクトルデータの取り扱いなども、手元でコードを実行しながら読み進めるのが理想的です(業界では「写経」といいます)。どの書籍にも触れられている内容ですが、本書は図表も含めて非常に見やすくまとまっています。

第3章以降は、Tidyverse(後述)を取り入れた現代的な文法で、Excelファイルの読み込みや加工について実践的な内容に沿って進んでいきます。サポートサイトで練習用データが配布されているので、写経しながら読み進めていくのがおすすめです。

そして何章か進んだら、そこまでの内容をExcel上で2回実行してみてください。Excel上でのデータ処理に慣れていれば造作ないことでも、同じ操作を間違いなく確実に繰り返すのは大変です。

その後で書き写したコードを初めから順に実行してみると、コード(プログラム)として作業経過が残っていることの魅力に気づけるはずです。

2.R言語の文法、統計解析の基礎を学ぶ/初学者向け

Base R と統計の基礎

Rで楽しむ統計 (Wonderful R 1)

2026年初頭の現在、生成AIが提示するコードは、学習データの関係かRの基本文法であるBase Rによるものが多い印象です。

じっくりRを勉強してみようと思った時には、基本的な文法に加えて、平均値などの基本的な統計量をRでどう求めるかを学べます。本書を一通り通読することで、t検定やカイ二乗検定といった統計学の復習を併せて行うことが可能です。

ウィットに富んだ読みやすい文章で、幅広い統計解析手法について触れられています。

等分散検定の結果でStudentのt検定やWelchの検定を使い分ける、2段階検定の問題点についても解説されています。また、ノンパラメトリック検定の注意点など、医学研究分野の統計処理でよく出会う検定の留意点にも触れられています。

Tidyverseの詳しい解説

改訂2版 RユーザのためのRStudio[実践]入門〜tidyverseによるモダンな分析フローの世界

改訂2版 RユーザのためのRStudio[実践]入門〜tidyverseによるモダンな分析フローの世界

Rでのデータ処理に慣れてくると、データを変形する過程でたくさんの中間変数が残ってしまったり、入れ子構造になった大量の括弧に悩まされるようになります。

Tidyverseは、tidy data(整然データ)という概念を軸に、統一された文法の関数群をパイプ演算子でつなぐことで処理の見通しを劇的に改善しました。その影響は大きく、現在ではR本体にもパイプ演算子が取り入れられています。

検索したコード例を読み解く際などにパイプが登場するコードは頻出です。また、強力な関数群は習得できればデータ処理の強い味方となります。

「Rでらくらくデータ分析入門」など、最近の入門書でもTidyverseの基本は解説されています。しかし、Tidyverseの全体像を学ぶ際には、国内Rコミュニティで活躍している著者陣による本書が非常に役立ちます。

通読できなくとも、他で基本を学んで発展的内容を知るための、辞書・参考書的な使い方でも役立つ書籍です。

3.医学統計で使う処理を学ぶ/ステップアップ

医学研究のためのRによる統計解析入門

医学研究のためのRによる統計解析入門

これまでに紹介してきた書籍は、R言語・データ解析全般を対象としています。

一方、医療統計の分野で多くの講演や執筆をされている大阪公立大学大学院の新谷先生による本書は、医学研究分野にフォーカスしている点が特徴です。その為、臨床でよく使われる解析方法について詳しく説明されています。

最近の論文査読で厳しく指摘を受ける多重検定の考え方についても、mMEDICIのオンライン講座と同様に詳細な解説があります。

また、多くの書籍ではR標準のデータ分析関数が用いられていますが、本書ではProf. Harrellによるrmsパッケージが広い範囲で取り入れられているのが珍しい点です。Rには同じ解析をするための方法が幾つも存在するため、実際にどのパッケージが使いやすいか試行錯誤を必要とする場面もしばしばあります。

これから学び始める場合は、幾つものパッケージの取り扱いを覚える必要はありません。生物統計家が作成したrmsに収録されているもので統一的な取り扱いを学び、「まずはこの中から」という入口を身につける方が、学習のストレスが少ないかもしれません。

4.発表に使えるきれいな図を作りたい/ステップアップ

超入門!Rでできるビジュアル統計学 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル

超入門! Rでできるビジュアル統計学 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル

超入門!Rでできるビジュアル統計学 解析編 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル

超入門! Rでできるビジュアル統計学 解析編 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル

データ可視化に関する著作の多い、藤田医科大学医療科学部の藤井先生によるシリーズです。

主にggplot2パッケージを用いた様々な可視化の例とコードが提示されています。順に読んでそれぞれのグラフ表現を学ぶことができるほか、可視化手法のショーケース的に使うこともできます。

頻出のグラフについては、よく考えずただ慣例的に使ってしまったり、不適切な軸の取り方をしてしまったりしていることも少なくありません。本書ではそれぞれのグラフ表現における詳細な注意点や応用について解説されており、困った時に頼りになる2冊です。

5.データハンドリングを学ぶ/発展

前処理大全-データ分析のためのSQL/R/Python実践テクニック

前処理大全 - データ分析のためのSQL/R/Python実践テクニック

本書はR言語に限定せず、データ分析の前段階として解析に使用できる「きれいなデータ」を作るためのデータハンドリングの手法を学ぶものです。

データ分析において前処理の過程は、全体の作業時間の8割を占めるとも言われる重要な過程です。しかし、公開可能な整理されていない生データは少なく、セミナーなどで実践的なデータハンドリングを学ぶ機会は限られています。

本書は様々な場面でどのようにコードを書くか、またその良い例・悪い例が示されており、実践的な学びが得られます。さらにSQLやPythonとの連携にステップアップしたい場合の橋渡しにもなる発展的な書籍です。

なお、2024年に出版された改訂新版では残念ながらRは外れてしまっています。しかし、2018年版は今でも電子書籍などで入手が可能です。

6.Rに慣れてきた段階の逆引きTIPS集/発展

Rクックブック 第2版

R言語は豊富な関数・パッケージの存在もあり、何か一つのことを実現するために複数の方法が存在します。

例えば、ベクトル vectの5番目を削除したい」ならばvect[-5]となります。

一方で、「5番目の要素のあとにnewを追加したい」という場面を考えたとき、力技で c(vect[1:5], new, vect[6:10]と書く他に方法はないでしょうか。この場合は、append() 関数を使ってappend(vect, new, after = 5)とスマートに書く事もできます(レシピ5.2より)。

現在ではチャットAIやエディターのAIエージェントに質問すれば、回答が得られるものも少なくありません。そのため、以前ほどこのようなTIPS集の需要は減っているかもしれません。しかし、電子書籍版をタブレットなどに入れておけば、インターネット接続がない状況でも手元で辞書的に調べられる心強さがあります。

7.一覧表「この悩みには、この1冊」

悩み/目的

まず開く1冊

手元のデータをRでどう処理すればよいかわからない

Rでらくらくデータ分析入門~効率的なデータ加工のための基礎知識

R言語の文法、統計解析の基礎を学びたい

Rで楽しむ統計(Wonderful R 1)

Tidyverseを学びたい

RユーザのためのRStudio[実践]入門〜tidyverseによるモダンな分析フローの世界

医学研究で使う統計処理を学びたい

医学研究のためのRによる統計解析入門

発表に使えるきれいな図を作りたい

Rでできるビジュアル統計学 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル/解析編 学会・論文発表に役立つデータ可視化マニュアル

データ分析の前処理を学びたい

前処理大全-データ分析のためのSQL/R/Python実践テクニック

に慣れてきた段階の逆引きTIPS集

Rクックブック

パソコンにRが入っていないけれど、Rに触れてみたい

Google Colaboratoryで「R」ランタイムに切り替えて書籍のコードを試してみる

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vol.1:3年で副業売上1,500万円の研究者が勧める 副業まずこの1冊【ジャンル別】
vol.2:医療データサイエンティストを目指す人へのお勧め書籍8選 - 専門家が解説
vol.3:医学研究デザインの道標 9選 - 専門家が解説
vol.4:臨床研究最初の一歩おすすめ書籍9選 - 専門家が解説
vol.5:因果推論おすすめ書籍8選
vol.6:英語論文執筆からアクセプトまでのおすすめ書籍5選 - 大学教授が解説
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