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【京都大学SPH受験】私は私が望む姿で生き残る、女性医師として - vol.24

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【京都大学SPH受験】私は私が望む姿で生き残る、女性医師として - vol.24

2025.06.07

医師13年目の私は、出産・子育てを経験し女性がキャリアを積むことに対する障壁を感じる中で、「未来の自分を、今の自分は好きになれるのか?」と自問する日々。

子供が生まれる前のように自由に働けるかと言ったらそうではない中で、「人に迷惑をかけないように働くには、外来だけをやるべきなのか?」とも考えました。

しかし、答えはNo でした。

自分の望む姿を実現するために、自分の強みを自分で作っていかなければいけない」

そんな葛藤の中で、「自分の強みを自分で作る」ために京都大学SPHへの進学を決意し、そこでどのようなことを得たのかを以下に記します。

出産・育児と仕事の両立に悩む女性医師、臨床から研究へ一歩踏み出したい医療従事者に必見の記事です。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 女性医師が直面するキャリア上の困難と考え方

  • 「望む姿で生き残る」ためのキャリア戦略としての京大SPH進学

  • 京都大学SPHの魅力やMCRコースの実際

この記事は誰に向けて書いているか

  • 出産・育児と仕事の両立に悩む女性医師

  • 臨床に加えて研究・教育にも軸を広げたいと考える医療従事者

  • 京大SPHで学べる事が知りたい方

京大SPHをもっと深く知りたいあなたへ

受験のかたちは人それぞれ。京大SPHを目指す歩みには、十人十色の物語と、それぞれに合った勉強法があります。

大切なのは、自分自身にフィットする戦略を見出すこと――それこそが、合格への鍵となるのです。

ここでご紹介する体験記は、受験に向けた思考と準備のヒントに満ちています。
これから進む道の羅針盤として、ぜひ他の京大SPH受験記もあわせてご覧ください。

執筆者の紹介

氏名:S
所属:京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
自己紹介:リハビリテーション科専門医、整形外科専門医。特に地域医療での経験が長く、運動器疾患はもちろん、脳卒中や神経難病、内部疾患に伴う機能障害など幅広く対応し、多くの職種や外部機関とコミュニケーションをとりながら急性期から回復期、生活期まで一貫した支援を行えることが強み。初期研修医・専攻医の教育にも携わり、先を見据えた医療の展開を重視した指導を実践する中で、教育の重要性と医療に結びついていない患者の存在を知る。その問題を解決するために京都大学SPHに入学し、リハビリテーション医学と親和性のあるQOLや社会格差についての研究を行っている。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

SPHを受験しようと思ったきっかけ

女性医師として生き残っていくために

率直に言うと、一番の理由は、「女性医師として、自分の望む姿で生き残るため」です。

私は医師13年目ですが、おそらく我々の親世代に比べると随分女性は働きやすくなったと言えるでしょう。

それでも依然として、女性がキャリアを積むことに対する障壁は多く存在します。

その中で、私はいつも自問自答します。

「未来の自分を、今の自分は好きになれるのか?」——なぜSPH受験に至ったのかを語るには少し話が長くなりますが、女性医師としてのキャリア形成をどう考えるかの基盤になった出来事をお話します。


私は整形外科医として所属していた医局で、初めての妊娠・出産を経験しました。

医局に属していた為人事異動がありましたので、妊娠後に転勤、出産して育休中にも再度転勤がありました。加えて産前より相談していた育休期間も突然短縮を求められ、産後4ヶ月で復帰しました。

それでも医局長からは「9時 - 5時の勤務はフルタイムじゃないからね?それ以上働けない人が専門医必要なの?」と言われたのを覚えています。他の女性医師達も同じようなことを言われたり、手術の機会を与えてもらえなかったりなどといった事実が存在していました。

しかし、子供が生まれる前のように自由に働けるか、夜中まで仕事ができるか、と言ったらもちろんそうではありません。

どれだけ保育園を延長しても制限があり、家に帰れば育児家事が待っています。

勤務時間内に組んだ手術も、他の緊急に押し出され時間外になることもよくありました。そのたびに自分ができなくなった場合の代わりを誰かに必ず依頼し、手術を組んでいましたが、精神的負担も大きくどんどん疲弊していきました。

たくさん手術を経験している同期を横目に、共働きであった私は自分の思うように手術ができず、医師としての遅れを感じていました。

「人に迷惑をかけないように働くには、外来だけをやるべきなのか?」とも考えました。

しかし、果たしてそれは自分が望む働き方なのか?と考えた時に、答えはNoでした。

それは自分の望む姿ではない

望む姿になるために、自分がどうしたいかと物が言える強みがあるか?——No、持っていないと思いました。

ではどうするか。

そうだ、自分の強みを自分で作っていかなければいけない。

そうしてリハビリテーション医学を学ぶ決意をしました。その先の道も同様です。

その場で課題を見つけ、それを解決しようとすることが自分の強みにつながるのではないかと考えながら、次に向かって行動を起こしていく。何にも潰されない自分を作っていく。そんなイメージでキャリア形成を考えています(潰されないって、どれだけの圧力あると思ってるねん、という話ですが)。

経験に基づく医療が多いリハビリテーション医学領域

当時整形外科医として働いていた私は、リハビリテーション医学をきちんと学んでいる整形外科医が案外少ないと知り、思いきってリハビリテーション科での研修を始めました。

すると、これがまた天職か? と思うほど興味深い仕事だったのです。

正直なところ、リハビリ科医がいなくても患者さんは退院できます。

優秀な療法士さんたちがいるので患者さんは良くなりますし、優秀な医療ソーシャルワーカー(MSW)さんたちが退院調整もしてくれます。

それでも、私たちリハビリテーション科医が関わることで、患者さんがより良い方向へ進めると感じられたことが、私にとって大きなやりがいとなりました。


「リハビリ科医って何してるの?」と聞かれることも多いので、少しだけ説明させてください。

私が考えるリハビリテーション科医の役割は、予後予測とマネジメントです。

身体的な障害だけでなく、社会的背景や生活環境まで把握した上で、どこまで回復しそうか、何をすれば良くなるか、そしてその後どんな生活を送れるのかを描きながら治療方針を立てます。

多職種と連携して、状況に応じて調整しながらマネジメントしていく——そんな仕事です。

実直で泥臭い調整業務から、論理的に構築された医療判断まで、多彩な業務を並行して担います。

知識だけではなく、経験値がものを言う場面も多く、まさに“現場力”が問われる領域だと実感していました。

しかし、現場力だけでは不十分ですよね。何事にも根拠は必要です。

じっくり調べてみると、「えっ、これってなんの根拠もないの?経験だけでここまで来ちゃったの?」という場面に出くわすことは多々あります。

実際、「良くなった」とされることの基準が曖昧なまま治療が進んでいたり、そもそもアウトカム評価という習慣がない病院も数多く存在しています(ただし、アウトカム評価をすればそれで良いのか、というのはまた別の議論なので、ここでは一旦スルーします)。

さらにガイドラインにちゃんと記載がある治療法よりも、経験則で伝えられた“匠の技”が選ばれていることもよくあり、エビデンス・プラクティス・ギャップがそこかしこに顔を出します。

エビデンス・プラクティス・ギャップとは:科学的に効果が証明された医療(エビデンス)が、実際の現場(プラクティス)で十分に活用されていない状況

これはまさに、リハビリテーション医学という分野が抱える本質的な課題の一つだと感じました。

だからこそ、エビデンスに基づく医療を実践し、もっと科学的で標準的な診療を提供できるようになるべきだと考えました。

そして、それを担う人材が必要なら、自分がやればいいじゃないかと。

そのためには、臨床経験に裏打ちされた力を身につけたい。
そう思い、私はSPHで学ぶ道を選ぶことにしました。

PhD大学院生時代の苦労

裏側には、もう一つ、SPHを目指すことになった理由があります。

それは、"教育の質は非常に重要だ"と強く感じたことです。

ここに書いてよいのか迷いましたが…まあ、書いてしまいます。きっと多くの方が抱えている問題だと思うからです。

実は私、PhDを取得しています。しかしながら、これがまた大変でした。

大学院によって環境は様々ですが、教育が十分に行き届いていない機関は確かに存在します。

適切な研究指導を受けたことのない方が指導をしていたり、研究経験が乏しい方が教える立場にいたりすることもあります。

中には誰からも指導を受けられず研究が進まないために、何年も留年している大学院生も...そんな話、耳にしたことがありませんか?

私の所属していた大学院だけではなく、様々なところでそうして行き詰まっている学生がたくさんいる話を耳にしました。

しかし、それが『当たり前』として受け流され、誰も本腰を入れて改善しようとしないのが現状であると感じます。

確かに、大学病院の医師は忙しいです。最先端の臨床に、学生や研修医、専攻医の教育、自分の研究もできてないのに大学院生の指導まで…となると、どうしても不十分になってしまうのもわかります。


ただ、それで本当にいいのでしょうか?

大学院は研究者を育てる場のはずです。研究を始めたばかりの人にとって、教育は生命線です。

私のメンターの先生は多忙の中で面倒を見てくださっていましたが、私は『何が正しいのか分からないまま、時間だけが過ぎていく』ことへの焦りを日々感じていました。

良質な研究を世に出し、それを社会に還元していくためには、まずその力を持つ人を育てなければなりません。

しかし、それができる医療者は実のところそう多くはありません。

これこそ、大学院教育が抱える大きな課題の一つであると気づきました。研究指導を行う立場を作るにあたって、指導力がない人間が物を言っても説得力はない。

ならば、自分がその指導者になれるような力を身につけよう。

SPHで学ぶことは、そんな自分の基盤を築くのにふさわしい選択肢であると感じました。

なぜそのSPHを選んだか

京大であるということ

受験を考え始めた頃、東大SPH出身の先生とお話しする機会があり、SPHを受けようと思っていると相談したところ、「関西に住んでいるのであれば、京都大学がいいですよ」と勧めていただきました。

それをきっかけに京大SPHについて詳しく調べてみたのですが、修了生たちが国内外の研究機関、行政、企業など多岐にわたる分野で活躍していることを知り、ワクワクしたのを覚えています。

さらに、今でもよく耳にしますが、京大のネットワークの広さはやはり魅力的です。

SPH内の繋がりはもちろん、学内外に自然と広がっていく人脈も含めて、学ぶ場を超えて視野を広げてくれそうだと感じました。

実際、リハビリテーション科医という職業は、人と協力しないと何も始まらない世界です。つくづく、「人との繋がりは酸素レベルで必要だな」と思わされる場面ばかりでした。

だからこそ、京大という環境に身を置くことは、将来的に研究者や教育者としての道を考える上で、大きな力になると確信したのです。

MCRコースの存在

京都大学SPHには、臨床研究者養成コース(MCR)という1年間のみの専門プログラムがあります。

臨床経験を活かしながら研究手法を学べるこのプログラムは、『臨床から研究へ一歩踏み出したい医師』である私にとって理想的な内容でした。

このMCRがあることも、京大を選択した大きな理由の一つです。

SPHの講義に加えて、MCR生だけが履修できる授業もあり、少人数制ということもあって講師とのインタラクションが豊富です。

中でもMCRのハイライトとされる「臨床研究計画演習(通称プロマネ)」は非常に重要な演習で、その準備段階として「プレプロマネ」と呼ばれる演習も設けられています。

こちらは正直なところ、両方ともかなりの負荷があります。

ものすごくざっくり言うと、自分の研究の進捗を発表する会なのですが、特にプロマネではMCR生に加え、各教室から教員の先生方が一堂に会し、発表15分・質疑応答30分という、なかなか濃厚な時間が待っています。

加えて、質疑の内容がまた濃いのです。指定された教員2名からの質問は、研究の根幹を揺さぶるようなものから、痛いところを鋭く突いてくるものまで様々。

中には「その問い、今ここで聞く!?」というような鋭角なものもあり、まさに研究を磨き上げるための試練の場です。時には教授同士のバトルに発展することもあると聞いていたのですが、幸い(?)2024年度は比較的穏やかだった印象です。

もちろんプレッシャーは相当で、準備にも緊張にも胃にもダメージは及びますが、それでも、その道のプロたちから研究に対して直接意見をいただけるというのは、極めて贅沢な時間だと感じました。

実際に、プロマネ終了後には研究が一段とブラッシュアップされた実感がありました。

京大SPHの雰囲気

MCRのお話をしましたが、最後に京都大学SPH全体と、私の所属する教室の雰囲気について触れておきたいと思います。

1年間通ってみて感じたSPHの大きな魅力の一つは、教員や同期との距離がとても近く、学びの中心が「対話」にあることです。SPH全体の講義でもグループワークが多く、決して楽とは言えませんが、他教室との横のつながりも自然に生まれます。

実際、他教室の先生と一緒にお仕事をさせていただいたこともありましたし、講義中に立てた仮の研究計画に対して、「この研究、本当にやってみたら?サポートするよ」と他教室の教授に背中を押していただいたこともありました。

いくつかの教室が合同で関わる研究に取り組んでいる学生もおり、学びの枠は決して一教室に留まりません。

また、講義内容がどうしても理解できなかったとき、先生に直接質問しに行ったりメールを送ったりしたこともありますが、どの先生も本当に丁寧に対応してくださいました。「そんなの自分で調べなさい」と突き返されたことは一度もありません。

教室間の垣根が低く、横のつながりも縦のつながりも広く持てるこの雰囲気は、京大ならではの魅力であると感じています。

私の所属する教室では、定期的にジャーナルクラブと研究ミーティングがあり、特に後者では毎回1人あたり40分ほどじっくり時間をかけて研究内容を検討します。

この発表があることで、自然と研究の進行にもリズムが生まれ、率直な意見をもらえることが、自分の研究をより良いものにするきっかけになっています。

プレプロマネとプロマネを含めると、私は1年間で同じ研究について7回ほど発表しました。ここまで人目にさらされる研究もそう多くないのではないでしょうか。その分、たくさんのフィードバックを得られるという意味では、最高の環境だと思っています。

(続きはページの後半へ)

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受験対策でやったこと

情報収集

まずオープンキャンパスに参加し、志望する教室との面談をお願いしました。

私は二つの教室で迷っていたのですが、直接足を運んだことでようやくイメージを持てるようになり、オープンキャンパスを経て教室を選択しました。

また、受験前には面談は必須となるため、いずれにせよ希望する教室との顔合わせの機会は持たなければいけません。どの課程で受験するかについても、その面談時に相談しました。

ただ面談だけでは試験に関する情報などは十分にわかりません。周囲には受験をした人がおらず、インターネット上にも情報が少なかったため、在学生や卒業生の方のブログをいくつか見つけ、コンタクトを取りました。

英語対策

英語についても情報がなく色々調べた結果、京都大学の理系大学院ではTOEIC800点以上が必要という声が多く見られたため、1ヶ月程度集中的に勉強しました。

入試日程的に受験のチャンスが1回しかなかったため、市販の参考書を購入し1日2-3時間を目標に勉強しました。ただ800点には届きませんでしたが、英語の比重は他専攻ほど高くない印象を受けました(あくまでも私見です)。

筆記試験

ブログを書かれていた先生から教えていただいた参考書に加えて、京都大学の先生が書かれた本や疫学の本を読みました。

また、過去問5年分を入手し、それぞれ自分なりの回答を作成しながらそれに肉付けしていく形で試験前に見返すことができるノートを作成しました。

正直、正解がわからないため答え合わせはできませんが、こういう問題が出るという心構えはできますし、特に環境衛生に関する問題などは、本を読むだけでは網羅できないため、問題を解いて知識をつけていく方が効率的だと思います。

また、受験枠によって筆記試験の問題数が変わります。

一般受験であれば3問、社会人特別選抜枠であれば2問になるため、悩んだ末に社会人特別選抜枠にしました。

私は成績開示をしましたが、筆記試験が9割を超えていたのでそれなりによかったのだと思います。これは2問にしたことが奏功したのだと思います。

読んだ参考書は以下のとおりです。ただ、参考書だけで試験をカバーするのは難しいと思います。今思えばこんなに読まなくてよかったな・・・?とも思います。

・臨床研究の道標 上下巻
・基礎から学ぶ 楽しい疫学
・読んでわかる!疫学入門
・健康・医療の情報を読み解く 健康情報学への招待
・医療ビッグデータがもたらす社会変革
・検証「健康格差社会」–介護予防に向けた社会疫学的大規模調査

面接対策

社会人特別選抜枠での受験だったため、社会人特別選抜枠で想定される質問を調べ、回答例をあらかじめ準備しました。

特に、私は助教として働いていたので、その立場で何に力を入れ、どのような実績があるかを説明できるようにしました。

7対1の面接だったので大変緊張しましたが、ある程度想定していた質問が来たこともあり、落ち着いて答えることができました。

社会人特別選抜枠でなくても、なぜ京大なのか、なぜSPHなのかということは自信を持って答えられるようにしておくべきです。

今後のキャリアをどう考えているか、ということもよく聞かれるようです。

受験期に大変だったこと

受験を決めてから願書を出すまで3ヶ月しかありませんでした。

加えて普段英語の勉強はしておらず、何なら17年ぶり?に自分で試しに解いてみたTOEIC問題集のスコアは660点。「800点必要そうなのに?!大丈夫か?!」と焦りました。

しかも常勤でフルタイム勤務で、通勤は車で往復2時間半、共働きで保育園に通う娘がいながらの受験だったため、時間の確保が大変難しかったです。

指導的立場にもあったため、自分の臨床業務に加え研修医や専攻医の指導を行い、研究や学会発表、PhDの論文を進めたりと、筆記試験対策に着手するのが遅れたことにも焦りがありました。

それでも地道に、お昼休みに誰もいない診察室でシャドーイングをしたり、お迎えの時間までの15分で参考書を読んだり、小さな積み重ねを作っていきました。

受験生に伝えたいメッセージ

京大SPHでの1年間を終えて

京都大学に来て、私は『医師として現場に出ることだけが我々の仕事ではない』と知りました。

1年経った今では視野が大きく広がったことを感じています。そしてここで知り合った仲間たちは、私にとって宝物です。

1年目が終了する頃には、他教室の同期や先輩、先生方と飲みに行ったり、教室の同期と京大の農学部まで散歩をしながら、研究や今後のことについて語り合ったりもしました。

同期と研究手法について、半分喧嘩のような議論もしたことがあります。

その時間は、全て自分の人生の指針を変えてくれるものだったと思っています。

受験を迷っている方へ、受験を決めた方へ

「受験したいような気がするけれど、本当に今後に活きてくるのだろうか?」「その先のキャリアがまだ考えられない」「仕事を辞めて(あるいは休んで)飛び込む勇気が出ない」色々な思いがあると思います。

ただ、新しく学ぶことはどんな形であれ必ず人生を動かしてくれます。

受験を決めた人は、目の前のことにまずは頑張り、合格を勝ち取ってください。

人生は選択の連続です。今この瞬間にも選択しなければいけません。

それは時に大きな負担になりますが、その一つ一つを乗り越えた先に、全てはいつか繋がると信じて頑張ってください。

一緒に学び、仲間になれることを楽しみにしています。


京大に来てからよく聞くお話があります。

Connecting the dots

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチでの表現です。

その時に選んだ点は、いつか何らかの形で繋がる、それを信じてその時やりたいことをやるという風に私は捉えています。

私はいつも、5年後、10年後の自分はどういうふうに生きていたいかを考えて、自分の道を選んでいます。

あえて、私が考える「自分の望む姿」についてはお話しませんでしたが、皆さんの「自分の望む姿」はどのような物でしょうか。

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  • vol.7:【京大SPH受験】パブリックヘルスと臨床実践の交響を求めて - 政策提言を志す救急集中治療医の不断の挑戦

  • vol.10:【京大SPH受験】患者に寄り添う集中治療の共通地平を築く - 疫学がもたらす臨床と研究の共創

  • vol.23:【京都大学SPH受験】6月から始める極限の合格戦略 - 直前でも諦めない、内科医が駆け抜けた2か月の挑戦

  • vol.25:【京都大学SPH受験】あの内定に、さよならを - 文系学士が挑んだ医学研究科という道

  • vol.26:【京都大学SPH受験】産婦人科医から製薬転職のリアル - 人生を変えたSPHという学び舎

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