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【京大SPH受験】パブリックヘルスと臨床実践の交響から政策提言を志して - vol.7

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【京大SPH受験】パブリックヘルスと臨床実践の交響から政策提言を志して - vol.7

2025.02.07

2011年に医師となり救急集中治療に従事。敗血症診療ガイドライン策定への参加をきっかけに臨床研究への興味が高まり、京都大学SPH受験を決意。

多忙な臨床と受験勉強の両立。研究と臨床を繋ぎ、ガイドラインや政策レベルで医療の質向上を目指す医師の不断なる挑戦をここに。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 臨床や教育だけをやっていた人間でも京大SPHに進学できること

  • 京大SPHは様々なバックグラウンドの方がいること

  • やろうと思った時が始め時であること

この記事は誰に向けて書いているか

  • 救急集中治療医の方

  • これから臨床研究を勉強したい方

  • 京大SPHに興味がある方

京大SPHをもっと深く知りたいあなたへ

受験のかたちは人それぞれ。京大SPHを目指す歩みには、十人十色の物語と、それぞれに合った勉強法があります。

大切なのは、自分自身にフィットする戦略を見出すこと――それこそが、合格への鍵となるのです。

ここでご紹介する体験記は、受験に向けた思考と準備のヒントに満ちています。
これから進む道の羅針盤として、ぜひ他の京大SPH受験記もあわせてご覧ください。

執筆者の紹介

氏名:狩野謙一
所属:京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野
経歴:主に福井県立病院で救急と集中治療に従事しており、重症患者の診療に取り組む。特に敗血症領域や栄養管理領域に関心を持ち、集中治療領域におけるデータベース研究を行う。また、院内外での教育活動やガイドラインの活用支援を通じて、医療従事者のスキル向上にも貢献する。患者一人一人の生活の質を重視し、科学的根拠に基づいた治療を提供することを心がけ、臨床研究では統計解析にも力を入れ、特にSASやRを活用したデータ分析を行う。今後も地域医療と救急医療の発展に力を尽くす。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

SPHを受験しようと思ったきっかけ

0.はじめに

私は2011年に福井大学医学部医学科を卒業し、救急集中治療領域の道に進みました。

救急集中治療医として、迅速な対応が求められる救急外来(ER)の現場を主戦場としつつ、集中治療室(ICU)で重症患者管理を行う傍ら、研修医や若手医師、コメディカルの教育にも力を入れる環境の中で仕事をしていました。


救急領域は総合的な医学的知識と技術が求められる領域であり、患者の年齢や疾患の多様性・重症度もあり常に自己研鑽が欠かせません。

そのため『臨床医として日々の経験を積みながら学んでいく』というだけでなく、『自ら学ぶ姿勢』を維持することが必須であり、それを救急に関わる全てのスタッフに伝えていく役割を担っていました。


臨床と教育を両立してきた中で、私は敗血症診療ガイドラインの策定に関わる機会に恵まれ、この経験が私のキャリアを新たな方向へと導くきっかけとなりました。

敗血症は、救命率向上のために国際的なガイドラインが更新され続け、国内でも多数の専門家が集まり情報を共有・議論しながら指針をアップデートしていく病態です。

ガイドライン策定の場では、エビデンスの吟味や各国の研究成果の参照、そして国内での実情を踏まえた調整が必要となります。

そこでの経験は、私の『単なる臨床を超えて、もう一歩深い研究に携わりたい』という気持ちを高めました。


当初は漠然と『大学院で研究をするべきだろうか』『この学年くらいに研究しよう』と考えていましたが、具体的に動き出すと様々な選択肢があることに気づきました。

その中でパブリックヘルスの視点を学ぶことで、患者個人や病院単位だけでなく、より大きな視点で社会、医療システムを捉えられるのではないかという思いが芽生え、京都大学SPH(School of Public Health)受験を決意しました。

しかし、フルタイムで業務を行いつつ、受験に必要な準備や時間をどうやって捻出するか、そして2011年卒という自分の学年が『研究に着手するには遅いのではないか』という焦燥感や不安は常に付きまといました。


本記事では、このような経緯や受験準備の具体的な方法、そして仕事との両立を模索した日々を振り返りながら、私のSPH受験記を綴っていきます。

1.救急集中治療医としての日々

私は研修医時代から、重症患者に対する処置や臨床的判断に携わる時の緊張感や責任感を糧に、自分を高めていきたいと考えていました。

一方で、診療科を選ぶ際には体力的に非常にハードであり、将来ずっと続けられるのだろうかという戸惑いもあったのは事実です。

しかし、私にとって救急という最前線の現場で働くことが極めて刺激的であり、多職種で連携して一人の患者の命を救い、社会復帰を目指していく過程には何物にも代えがたい達成感がありました。


救急集中治療領域へ籍を置いてからは、日常的に非常に幅広い病態を扱うため、自然と多方面の専門知識に触れる機会がありました。

心筋梗塞や脳卒中、重症外傷から重症感染症まで、救急集中治療領域ではあらゆる疾患が『重症化』という共通項で集約されます。

その中で敗血症は、救命率向上のための新しい治療法やガイドラインが次々と更新される疾患領域です。

ERからICUへと移行する中で、患者の全身状態や重症度を総合的に把握し、チームでマネジメントをします。

そこには迅速さだけでなく、常に最新の知識を拾っていく努力が必要で、救急集中治療医には学び続ける姿勢が欠かせません。


臨床に向き合う中で『生涯学び続ける姿勢』はもとより、『現在行っているプラクティスをもう一段客観的に見直す目』を育てる必要があると感じるようになりました。

そのきっかけが、敗血症診療ガイドラインの策定に関わる機会に恵まれたことです。

臨床現場の感覚とエビデンスを結び付けて、いかに標準的なプロトコルを作っていくのか。

そこで取り扱われるエビデンスは、世界中の多岐にわたる質の高い臨床研究やシステマティックレビュー、メタアナリシスなどに基づいており、『こういう研究を自分でもきちんとデザインできるようになってエビデンスを発信したい』という気持ちが強くなりました。

2.敗血症診療ガイドラインとの出会い

私が敗血症のガイドラインに関わることになったのは、同じ領域で活躍されている先輩医師達に誘われたことがきっかけでした。


しかし、いざガイドラインの策定過程を目の当たりにすると、その奥深さに驚かされ何とか喰らい付いていくのに必死でした。

医療者といっても職種や専門性は多岐にわたり、また国内外で実施される臨床研究の質や患者背景はまちまちです。一つ一つの根拠を検証し、その上で日本の臨床現場の実情に合う形にする必要があります。

『推奨グレードの決定根拠はどれだけ頑健性のあるデータに基づいているのか』

『そのエビデンスをどのように解釈して日本の臨床現場の実情にフィットさせるのか』

を多角的に検討することで、ようやく改訂版ガイドラインの文言が形になっていきます。

言い換えれば、世界から集められる臨床研究を自分で正しく評価できる能力が必要となります。


このような過程の一部に関わってみると、自分の中で『臨床研究』に対する興味が高まりました。

ガイドラインに関与する前から、私は『臨床研究するなら大学院に進むしかないだろうか』と漠然と考え始めていましたが、大学院といっても多種多様なカリキュラムや専門領域があり、必ずしも従来型の大学院だけが道ではないことにも気づきました。

その時、目に留まったのが公衆衛生学を専門に学ぶことができる京都大学SPHでした。

なぜそのSPHを選んだか

3.公衆衛生学との出会い:より大きな視点を求めて

敗血症診療ガイドラインに関わる中で、私が最も衝撃を受けたのは、欧米の臨床研究が示す結果を日本の臨床現場にそのまま適用することの難しさでした。

人種や医療保険制度、医療アクセスや地域特性など、国や地域によって同じ治療や介入でも効果が異なる可能性があります。

重症患者の管理に対する決定には、個別の患者に合わせた検討が必要だと実感していましたが、それと同時に医療を大局的に捉え直すことにも興味を抱きました。


公衆衛生学は、患者個人の治療だけでなく、健康増進や社会全体の医療システムを広く見渡す学問であり、疫学や統計学、健康政策などの知識を駆使して『どのように医療を提供すれば最大の効果を得られるか』を考えます。

国内外で活躍している研究者や政策立案者の多くが、公衆衛生学の修士号や博士号を持っていることを知り、公衆衛生学を学ぶことで目の前の臨床だけでなく、より広い視野で医療を考えられるようになると感じました。


中でも京都大学SPHが強く惹きつけられたのは、その先進性と国際色の豊かさにあります。

京都大学は伝統と実績を兼ね備えていることはもちろん、海外からの留学生が多く、国際共同研究なども盛んに行われています。

自分の興味分野である敗血症をはじめとした救急集中治療領域の臨床研究を深めるにあたって、国際的なネットワークにアクセスできる環境は大きな魅力であったのと同時に、今から受験を目指すと、仕事を続けながらの準備は並大抵ではないだろうとも覚悟をしました。

4.2011年卒としての悩みとキャリアの模索

私は2011年卒の医師で、これはちょうど専門医資格の取得や更なる研鑽を積む時期と重なる人が多い世代にあたり、家庭がある世代でもあります。

その一方で、研究を始めるなら少し早めに動き出していた方が良い、という先輩方の声を聞くこともあり、焦燥感と悩みがありました。

周囲を見ても、20代後半や30代前半で大学院へ進んで研究を始める同級生もいれば、臨床一筋で医師人生に全力投球する人もいます。

どの道が正解かは分からないし、自分の興味がある方向に突き進むしかないと分かっていても、今後のキャリアがどうなるのか、はっきりとイメージができない不安はとても大きかったです。


特に救急集中治療領域は、キャリアパスが多様化しています。
大学病院のICUやERで勤務する人もいれば、市中病院の救命救急センターで専門技術を磨く人、ドクターヘリ等の高度な現場を経験していく人もいます。

その中で大学院(医学研究科や公衆衛生学の研究科)へ進むことに対して、『臨床の勘が鈍るのではないか』という懸念を抱く人も多くいます。例に漏れず、私も大学院に行っている間にERやICUの現場感覚を損なうリスクを恐れていました。


しかし、敗血症診療ガイドラインに関わった経験や、教育現場で若手への指導を通じて痛感したことは、『単に診療スキルを追求するだけではなく、客観的かつ体系的にエビデンスを生み出せる能力が不可欠ではないか』ということでした。

臨床現場では、確立したガイドラインを使いつつも、新しい研究成果を素早く理解し、場合によってはそこから得られた示唆を応用していく力が求められます。

さらに、大きな視野で医療を動かす仕組みに影響を与えるには、やはり公衆衛生学の視点や研究手法を体系的に学ぶ必要があると感じました。

5.京都大学SPH受験を決意するまで

京都大学SPHの受験に向けて私が具体的に動き始めたのは、京都大学SPHのオープンキャンパスからでした。

実際に受験要項を取り寄せ、募集要項や試験内容、必要書類をチェックすると、どれも簡単にクリアできるハードルではないことに気づきました。

筆記試験では疫学や生物統計の基本的素養や臨床医学、基礎医学も問われ、これまで臨床現場で得た知識や自己学習で触れてきた知識だけでは不十分かもしれない、と危機感を抱きました。


また、英語力に関しても論文読解だけでなく、面接試験でのディスカッション能力が一定レベル求められます。

忙しい業務をこなしながら、果たしてこれらの試験対策を十分に行う余裕があるだろうか、と焦りがありました。

しかし同時に、受験相談の際に先輩方から『SPHでは働きながら大学院へ通っている人もいる』と聞いたことは大きな励みになりました。

夜勤や当直の多い救急集中治療医がどうやって時間を作るかはかなりの難題ですが、働きながら大学院生活を送っている方がいることを知り、自分にも可能性はあると思えました。

(続きはページの後半へ)

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受験期に大変だったこと

6.受験勉強と仕事の両立:具体的な対策

受験勉強でまず取り組んだのは、疫学と統計学の基礎的な教科書を手に取って、体系的に学び直すことでした。

臨床現場で論文は読んでいるつもりでも、研究者の視点から学問としての疫学や統計学を整理し直す機会はあまりありません。

オッズ比や相対リスク、信頼区間やP値などの概念をもう一度しっかり復習し、それらがどのように研究デザインに結びついていくのかを学ぶ必要がありました。


私は日頃の業務が非常に不規則だったため、業務の合間や通勤時間(自家用車で運転)で細切れ勉強をしました。

具体的には、タブレットを隙間時間に目を通して知識を積み上げました。また、車での通勤はポッドキャスト形式の学習音源を聞き、英語の学習時間に当てました。

また、英語に関しては主にTOEFLやTOEICなどのスコアが必要になるので、試験対策の参考書やオンライン教材を活用しました。

業務や通勤での隙間時間に、単語帳アプリや英作文アプリを使って反復練習を行い、日々の業務に追われて受験勉強をしているという意識がなくなってしまう可能性があったため、リマインダーとしてスマホのカレンダーに目標設定を細かく入力しました。

7.面接試験への取り組み

京都大学SPHの入学試験では、筆記試験に加え面接試験があります。

面接では、『自身の考えている臨床研究について』『卒業後のキャリアビジョン』を軸に質問をされました。

私の場合は、救急集中治療医としてのバックグラウンドを活かしながら、敗血症診療ガイドライン策定や救急集中治療領域の臨床研究において『臨床家と研究を行う橋渡しを行う』ことが大きな志望動機でした。

加えて、公衆衛生学的な手法を用いて救急医療体制の質向上や政策提言に繋げたい、という想いを伝えました。


面接対策としては、自分の医療従事者としての経験を『公衆衛生学とどう結びつけるか』を意識して整理したくらいで大きく対策はしていません。ただ、自身が考えている研究に対して質問されることは想定していたため、十分に研究デザインの検討をしました。

受験生に伝えたいメッセージ

8.合格後の展望と学び

こうした準備の甲斐あって、なんとか京都大学SPHに合格できました。ですが、ここからが本当のスタートだと感じています。

SPHのカリキュラムでは、疫学・統計学のコア科目をはじめ、健康政策や医療経済学、行動科学など多彩な授業を受けることができます。私が特に興味を持っているのは、救急医療システムや感染症対策などを社会的にどう構築していくかという分野です。

敗血症診療ガイドライン策定でも感じたように、エビデンスに基づいて大規模な研究を行い、その成果を社会実装や政策提言に繋げる手法を体系的に学んでいきたいと思っています。


救急集中治療医として患者の診療を行うことは、もちろんこれからも続けていきたい一本の柱です。

その一方で、研究者として『どういう研究デザインが政策レベルのインパクトに繋がるのか』を理解し、遂行できる力を身につけていきたいです。

現場感覚をもつ臨床医が公衆衛生学の視点を身につけることは、まだまだ発展の余地が多いと感じています。

臨床現場では、どうしても日々の患者の対応に追われるあまり、臨床研究や政策立案のような長期的・大局的な視点が後回しになる傾向があります。

しかし、それらを結びつけられる人材が増えれば、ガイドライン策定の過程で生まれるエビデンスの質もさらに高まるだろうし、医療の質を一段引き上げることに貢献できるのではないかと考えています。

9.仕事と学業の両立への覚悟

博士課程の4年間をどのように過ごしていくのか、これは今まさに私が取り組んでいるテーマです。

非常勤勤務日を工夫したり、研究に充てられる日を作ったり、家族との団らんの時間を作ったり、様々な方の協力を得ながら学業の時間をひねり出す必要があります。

一人で完結できる問題ではないため、人間関係が非常に重要です。

多くの先輩方が口をそろえて言うのは、『相当の覚悟と柔軟な時間管理が必要だが、やる価値は十分にある』ということです。


研究スキルや知識の習得だけでなく、SPHでの学びは多様な背景をもつ仲間とのディスカッションを通じて、新しい発想や価値観を得られる点も大きな魅力です。

救急集中治療領域に限らず、内科や外科、小児科、産婦人科などさまざまな診療科の医師、さらには看護師、薬剤師、行政官、公衆衛生分野を専攻してきた他大学出身者などと切磋琢磨できる環境は、視野を格段に広げてくれると確信しています。

10.最後に

私は2011年に医学部を卒業し、救急集中治療の道を歩みながら教育に携わり、敗血症診療ガイドライン策定という貴重な経験を通じて、公衆衛生学の可能性に気づきました。

そこから臨床研究に本格的に踏み込むために京都大学SPHを目指すことを決め、忙しい日々の中でも自分なりの受験対策を行いました。

研究に踏み出すのは少し遅いかもしれないという葛藤は常にありましたが、結局大切なのは『今の自分が何をやりたいのか、将来どうありたいのか』という個人の志です。

臨床と研究の両立は容易なことではないですが、興味を持った時こそが踏み出すべきタイミングだと強く感じています。


SPHに進学してからも道は続きます。むしろ、ここからが本当の学びのスタートであり、人生の新たなチャプターだという感覚があります。

救急集中治療医としての実務能力をさらに磨きながら、公衆衛生学の知識と研究手法を身につけ、多施設共同研究や政策提言にも挑戦したいと考えています。

医師としてのキャリアを積み重ねながら、研究者として客観的エビデンスの創出に貢献し、それを診療ガイドラインや医療システムに活かしていく――その道のりは長く、試行錯誤の連続になるでしょう。しかし、そこにはきっと、大きなやりがいや達成感が待っていると強く信じています。


最後に、この受験記が、これから同じように公衆衛生学の道を志そうか、あるいは救急集中治療医としてのキャリアに公衆衛生学を掛け合わせようか、と迷っている方々の一助になれば幸いです。

医師人生としての道は無数にあり、どの選択肢をとっても困難はついて回ります。しかし、自分が興味をもった分野の扉を叩くことは、自分の可能性を拡げ、さらに患者や社会に貢献できる新しいステージを開くことに繋がると考えています。

もし、少しでも公衆衛生学や臨床研究に興味があるなら、一度真剣に調べてみて下さい。きっと、自分にしか描けないキャリアの地平が見えてくるはずです。


私自身もまだまだ勉強中の身で、学業と仕事の両立は時に辛く、同期が優秀で挫けそうになります。

それでも、救急集中治療の現場で患者さんと向き合いながら、学んだ公衆衛生学や研究手法を少しずつ活かしていくことは、確実に私の医師人生を豊かにしてくれます。

これから先も、より広い世界を見据えながら『現場の声』を大切にし、臨床研究の成果をまた現場に還元していく。その循環をつくることで、私が憧れた『最前線の臨床現場とエビデンスの架け橋』になれたらと強く願っています。


以上が私の京都大学SPH受験記と、救急集中治療医としての軌跡、そしてこれからに向けた展望になります。

今この文章を読んでいただいている方の中に、同じように研究や公衆衛生の道に一歩踏み出そうとしている方がいるのであれば、ぜひとも勇気を出して自分の興味を追求して下さい。

壁は高いかもしれませんが、準備をしっかりすれば乗り越えられます。その先には、きっと充実した学びと大きなやりがいが待っています。


皆さんの挑戦が、より良い医療と社会を築く一助になることを心から祈っています。

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  • vol.23:【京都大学SPH受験】直前からでも諦めない、6月から始める極限の合格戦略

  • vol.24:【京都大学SPH受験】私は私が望む姿で生き残る、女性医師として

  • vol.25:【京都大学SPH受験】あの内定に、さよならを - 文系学士が挑んだ医学研究科という道

  • vol.26:【京都大学SPH受験】産婦人科医から製薬転職のリアル - 人生を変えたSPHという学び舎

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