
【書籍紹介】医学研究デザインの道標 9選 - 専門家が解説 - vol.3
2025.10.26
臨床研究を進めたいと思いながらも「何から学べばいいのか」「研究デザインは難しそう」と一歩を踏み出せずにいる医療者・研究者は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、臨床研究推進業務に携わり臨床研究に関する論文を41本公開した医師が、臨床研究の出発点にして要である「研究デザイン」について、臨床現場で生まれた疑問を研究疑問へと昇華し、研究として形にするルートについて森を見て(全体像をつかみ)、木を見る(個々の技法を学ぶ)順で解説しています。
初学者から最新知識をアップデートしたい方に向け、初学者でも着実に実践へ進めるための良書や近年発展の著しい生成AIの活用法を、書籍やツールで紹介します。
明日から臨床研究を始めるための“型”と“道具”を手に入れましょう。
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- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- 書籍紹介シリーズ
- 執筆者の紹介
- 編集者
- 監修者
- 医療者・研究者のための研究デザイン
- おすすめ書籍紹介
- 1.森を見る:全体像と初動の型をつくる
- 臨床研究の教科書 第3版:研究デザインとデータ処理のポイント
- 臨床研究作成マニュアル
- 2.アクションを行う
- 日常診療で臨床疑問に出会ったとき何をすべきかがわかる本 第2版
- 臨床疑問の構造化GPTs(By YUKI KATAOKA)
- できる!臨床研究 最短攻略50の鉄則
- ぼっちでもできる医学研究 - 初心者にちょうどいいデータ(食材)で論文執筆(料理)してみる
- 3.悩んだ時に手に取る
- 医学的研究のデザイン
- なぜあなたの研究は進まないのか?
- 4.木を見る(個々の技法を学ぶ)
- 5.一覧表「この悩みには、この1冊」
- 【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:7日間無料お試し】
- 【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】
- 書籍紹介シリーズ
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
臨床研究を行う際に役立つ書籍を知ることができる
臨床研究を行う際に便利なサイトを知ることができる
臨床研究を行う際に活用できる生成AIツールを知ることができる
この記事は誰に向けて書いているか
これから臨床研究を始めたい方
臨床研究の参考書などを知りたい方
生成AIも活用して臨床研究について学びたい方
書籍紹介シリーズ
vol.1:3年で副業売上1,500万円の研究者が勧める 副業まずこの1冊【ジャンル別】
vol.2:医療データサイエンティストを目指す人へのお勧め書籍8選
vol.3:医学研究デザインの道標 9選(本記事)
vol.4:臨床研究最初の一歩おすすめ書籍9選
vol.5:因果推論おすすめ書籍8選
vol.6:英語論文執筆からアクセプトまでのおすすめ書籍5選 - 大学教授が解説
執筆者の紹介
氏名:KY
所属:慶應義塾大学病院
経歴:医師。これまで臨床研究に関する論文を合計41本(うち、筆頭著者もしくは責任著者として20本)公表。現在は臨床研究に携わる研究者の方々対して、教育リソース、セミナー、ワークショップなどを提供する業務に従事。
編集者
氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。
監修者
氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。
医療者・研究者のための研究デザイン
臨床研究は、患者さんの生活の質(QOL)を高めるために行う営みです。
その目的を実現する為には研究を適切に実施することが不可欠であり、その土台となるのが倫理性(参加者の安全と権利の保護)と科学性(データの客観性・公正性)です。
両者を確保するうえで、臨床研究の出発点にして要である研究デザインを学ぶことは避けて通れません。
もっとも、「言うは易く行うは難し」です。研究デザインを構想し、科学的妥当性を保ちながら運用まで一人でやり切るのは容易ではありません。
だからこそ、拠り所となる道標が必要です。
本記事は、読者の皆様にとっての地図となるように作成しました。
臨床研究の第一歩は、臨床現場から生まれた臨床疑問(Clinical Question:CQ)を、検証可能な研究疑問(Research Question:RQ)へと昇華させることです。具体的には、臨床疑問をメモし、それに関する先行研究の有無を文献で調べ、なお未解決であれば、研究疑問という形式に落とし込みます。
この一連の流れを学ぶために、まずは森を見て(全体像をつかみ)、次に木を見る(個々の技法を学ぶ)ことが大切です。
本記事では、臨床研究の全体像とCQ→RQの型を体得できるよう、初学者に有用な日本語の参考書やサイト/ツールを紹介するとともに、近年発展の著しい生成AIの活用法も併せてご紹介します。
本記事が、臨床研究に携わる読者の皆様に、ささやかながら確かな一歩をもたらすことを願っています。
おすすめ書籍紹介
本記事では、以下の学習ロードマップに沿って、学習に役立つ書籍をご紹介します。
森を見る:全体像と初動の型をつくる
アクションを行う
悩んだ時に手に取る
木を見る(個々の技法を学ぶ)
1.森を見る:全体像と初動の型をつくる
臨床研究を初めて体系的に学ぶなら、まずは全体像をつかむ必要があります。下記の書籍やWebサイトは、まさに臨床研究の森を見ることができます。
臨床研究の教科書 第3版:研究デザインとデータ処理のポイント

本書は、臨床研究の「計画→運営→解析→論文化」という流れを、実務視点で一気通貫に整理した一冊です。
入門の起点であり、"手元に置く辞書"としても活用できる位置付けといえるでしょう。まずは本書全体を概観し、深く理解していない箇所があれば、そこをしっかり読み解くことで新たな学びが得られるはずです。
私自身も先輩から本書を勧められ、まずは全体を一読しました。臨床研究の経験が浅いうちは本書のすべてを理解することは難しかったですが、読み進めることで臨床研究の全体像のイメージをつかむことができました。
臨床研究作成マニュアル
2015年に救急医の研究グループJEMNet(Japanese Emergency Medicine Network)が初心者向けに整理した内容を基盤に、臨床研究の全体像を余すところなく網羅した無料マニュアルとして公開されているものです。
Webならではの強みとして、適宜アップデートが続き、近年は生成AIの活用法も要所に組み込まれている点が特色の一つです。
工程ごとに「何を・どの順で・どの程度行えばよいか」を具体的に把握でき、迷いなく前進するための実務感覚を獲得できます。まさに、「今」から活用できるマニュアルといえます。
私がこのサイトを知ったのはつい最近ですが、内容は非常に網羅的で、臨床研究に関する事項で迷った時にはよくヒントを探しに訪れています。Webならではの強みを生かしたリソースですので、ぜひ一度ご覧ください。
2.アクションを行う
全体像がわかると次は実際の行動、つまり"実際の研究デザインを組み立てるフェーズ"に移せるかどうかが重要になります。下記の書籍は、頭で理解したことをアクションに移すための背中を押してくれるおすすめの書籍です。
日常診療で臨床疑問に出会ったとき何をすべきかがわかる本 第2版

臨床疑問を研究疑問へ昇華する為には、まずPICO(PECO)で構造化していく筋道を覚える必要があります。本書は現場直結のEBM実務書として、初動の“型”を身につけるための位置付けといえる一冊です。
また、生成AIの活用方法も盛り込まれており、再現性の高い手順に落とし込む実践性が大きな魅力です。
文字通り「臨床現場で出会う臨床疑問をどのように研究疑問へ落とし込んでいくか」を、わかりやすく実践的に学べます。
加えて著者は臨床研究にも生成AIにも造詣が深く、その知見に基づき臨床疑問を研究疑問へ昇華する方法と、そのプロセスにおける生成AIの活用法が理解できる一冊です。
臨床疑問の構造化GPTs(By YUKI KATAOKA)
https://chatgpt.com/g/g-6ZRDanfBU-lin-chuang-yi-wen-nogou-zao-hua-gpts
生成AIの一つであるChatGPTのGPTs(ChatGPTを自分の目的に沿ってカスタマイズできる機能)では、浮かんだ臨床疑問を入力することで、それをもとに臨床疑問を研究疑問へ落とし込む手伝いをしてくれます。
本ツールは、臨床疑問をPICO(PECO)形式に落とし込む作業を、一歩も二歩も進めてくれる心強い相棒です。
まずは、臨床現場で感じた疑問をそのままこのGPTsに入力してみましょう。その有用さが実感できるはずです。
この生成AIツールを活用すれば、一人でも多角的にディスカッションが可能ですし、チームでPICO/PECOを作成する際にも"議論の相手"が増える効果が期待できます。
もちろん、生成AIのアウトプットを鵜呑みにせず、最終的には人間の判断・吟味が不可欠です。その点に留意しつつ上手に生成AIツールを活用することで、その効果を最大化できるはずです。
できる!臨床研究 最短攻略50の鉄則

学びを行動に変える為には、「今この瞬間、何から動くか」という手順の解像度が必要です。
本書は入門〜中級の橋渡しとして、"明日から動ける具体策集"という位置付けといえる一冊です。
はじめて臨床研究に取り組む人がつまずきやすい「今、何からどう動く?」という問いを、50の鉄則として短い単位で解きほぐしています。
デザインの全体像→研究運営→データ収集→解析の見取り図→論文作成までを、"手順ベース"でつなぎ、明日から着手できる粒度に落とし込んでくれます。
ぼっちでもできる医学研究 - 初心者にちょうどいいデータ(食材)で論文執筆(料理)してみる

臨床研究を多少なりとも独学で進める為には、工程の見える化とひとりで回せる段取りが不可欠です。
本書は、メンター不在の環境でも完走するための実務ガイドという位置付けで、データ=食材、論文=料理という比喩を用い、材料選定から下ごしらえ、火入れ、盛り付け(図表・本文)までを具体化しています。
この比喩のわかりやすさとコンパクトな分量が魅力で、読後すぐに自分のテーマへ手を入れたくなる実践性があります。
「一人では無理かもしれない」という心理的な壁を崩し、最初の一歩を確実に踏み出させてくれる―――まさに背中を押してくれる一冊です。
3.悩んだ時に手に取る
臨床研究を進めていく過程で、悩むこと・つまずくことは必ず出てきます。そんな時に、助けになってくれる書籍を以下に列挙しました。
医学的研究のデザイン

医学臨床研究を学ぶうえでの王道かつ辞書的な立ち位置の一冊です。
研究デザインについて詳細に記されており、第5版では、ターゲットトライアル、ベイズ流試験、有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph:DAG)などの概念も取り上げられ、アップデートされています。
一冊丸ごとをいきなりすべて理解しようとするのではなく、臨床研究を進めていく上で分からないこと・より深く知りたいことに出会った時に何度も開いてみる価値のある書籍です。
私自身も特定トピックで悩んだ際に、本書の関連章を読み返し理解を深めることができました。
なお、本書を読んでもなお完全に腑に落ちない点やさらに理解を深めたい箇所があれば、その箇所について生成AIに質問して補助的に確認することで、学習効果が一段と高まると感じています。生成AI時代における新たな活用法が見出せる一冊といえるでしょう。
参考【ゼロから学ぶ因果推論シリーズ】
mMEDICI Library「ゼロから学ぶ因果推論シリーズ」では、『医学的研究デザイン』でも触れられる「ターゲットトライアル」や「有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph:DAG)」について徹底解説しています。
初心者のためのTarget Trial Emulation(TTE)
- Part 1:ETAFOCAフレームワークについて
- Part 2:三つの時点で考えるバイアスとその対処法
- Part 3:論文の実例で理解を深めるTTEDAGを徹底解説
なぜあなたの研究は進まないのか?

臨床研究のデザインや統計学を学びその進め方を頭では理解していても、なぜか研究が進まなくなる・つまずく時があります。
だからこそ、まずは停滞のパターンを知り、解決法の型を覚える必要があります。
本書は、臨床研究を進める上で阻害因子となる典型例を、現場感のある事例で言語化した一冊です。悩んだ時に読み返すことで再び前に進むことができますし、事前に目を通しておくことで予防策を取ることも可能です。
読み物としても興味深い内容となっています。
4.木を見る(個々の技法を学ぶ)
臨床研究デザインには、さまざまな種類があります。ここでは、初学者が最初に取り組むことも多いケースレポートの作成に役立つ書籍を取り上げました。

症例報告を形にする為には、テーマ選定から構成(背景・症例・考察・結語)、図表の作法、査読で指摘されやすいポイントと解決策まで、一連の型を短時間で身につける事が近道です。
本書はケースレポート特化の作法書という位置付けで、必要十分な要点をコンパクトに整理してあるのが強みです。
初めての症例報告を書く方でも何から始めて、どのように書けばよいのかがすぐ分かる!まさに実践的な一冊です。
私自身もケースレポートを書く際に何をどう書けばよいか悩んでいた時に、この一冊を紹介していただきました。ケースレポートにおける森の姿(全体像)が見え、木を見る(個々の技法を学ぶ)ことができ、英語論文を書き上げることができました。
ぜひ、ケースレポート作成の際にはご一読ください。
5.一覧表「この悩みには、この1冊」
悩み / 目的 | まず開く1冊 |
|---|---|
臨床研究の全体像を一望したい | |
今からアクセスできる臨床研究総合サイト | |
臨床疑問に出会った時の次の一手が知りたい | |
生成AIを活用して臨床疑問を研究疑問に昇華したい | |
臨床研究の全体像を最速で一望したい | |
メンター不在でも臨床研究を始めてみたい | |
臨床研究についてより深く理解したい | |
臨床研究に躓いた時の処方箋が欲しい | |
症例報告に取り組みたい |
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シリーズ一覧
書籍紹介シリーズ
vol.1:3年で副業売上1,500万円の研究者が勧める 副業まずこの1冊【ジャンル別】
vol.2:医療データサイエンティストを目指す人へのお勧め書籍8選
vol.3:医学研究デザインの道標 9選(本記事)
vol.4:臨床研究最初の一歩おすすめ書籍9選
vol.5:因果推論おすすめ書籍8選
vol.6:英語論文執筆からアクセプトまでのおすすめ書籍5選 - 大学教授が解説
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