
キャリア
新谷歩教授インタビュー Part.2 「アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに」
2024.12.28
今回のプロフェッショナル
背景
医学研究に携わる者であれば、一度は耳にしたことがあるはずの名前。
大阪公立大学教授 新谷歩先生。
「今日から使える医療統計」や「みんなの医療統計 12日間で基礎理論とEZRを完全マスター!」など医療統計学を学び始めた初学者に絶大な人気を誇る書籍の著者である。
その教育は大学や書籍に留まらず、YouTubeではチャンネル登録者数1.55万人と多くの悩める医療職の支えとなってきた。さらに驚くべきはYouTubeを開始した年であり、なんと最初の動画が11年前にアップロードされて以来、これまで283本もの動画を世に生み出し続けている。
その教育の魅力は、一言で言えば「弱者への共感」。
医療統計に触れる者は「呪文にしか思えない、これは私が学ぶべきものじゃない」と諦めた者も少なくはないはずだ。しかし、そうしてかつて医療統計を諦めた者であっても「新谷先生の講義なら楽しめる」と、医療統計に再びチャレンジする入り口となっているのである。
新谷先生の語りには、常に「分からない者」への共感がある。
だからこそ、複雑怪奇な統計の世界に飛び込んだ者にとっても「この先生になら着いていきたい」と思わせるだけの吸引力があるのだろう。
かくいう私も新谷先生の書籍やYouTubeで学んだ者の一人である。私が東大SPHに在学していた時などは、「お風呂に入りながら新谷先生の動画を1本見る」ことを日課としていた。特に混合効果モデルの動画がお気に入りだ。
そうして新谷先生の動画に学んだ私は、大学院を卒業して自身も教える側になったときに気付かされた。
いったいどうしてあれほどまでの情熱を教育に注げるのだろうか。
新谷先生がYouTubeに動画を初投稿したのは今から11年前の2013年である。
一方、日本のトップユーチューバーである「はじめしゃちょー」さんの初投稿は2012年。そう、日本の最古参のトップユーチューバー勢とほぼ同時期にYouTubeでの教育活動を始めている。
しかも数本の動画を投稿しただけではなく、そこから現在に至るまで投稿し続けている。
恐れ多い表現にはなるが、これは常軌を逸した執念である。
大学の教員は、当然ながら激務だ。研究、教育、そして大学や研究室の運営のための活動、そこにさらにプライベートの子育てが加わればもう空き時間などほぼないに等しいだろう。
そんな過酷な環境下にありながらも、11年もの歳月をかけて医療統計を教育するための動画を世に発信し続けている。しかも無償で。
いったいなぜ、それほどまでの情熱と執念を教育に対して抱くことができるのか。
そこには、普遍化して世に伝えるだけの意義があるはずである。
そんな思いから、新谷歩先生へのインタビューを行わせて頂いた。
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キャリアシリーズ
疫学、その熱狂と魂 - 佐々木敏名誉教授インタビュー
- Part 1:伝説の疫学講義はこうして生まれた
- Part 2:地に生きる者たちのための疫学、ヨーロッパから世界をまなざして
- Part 3:一つの学問が立ち上がり、波紋は広がる その稀有な現象を、栄養疫学という窓から垣間見た新谷歩教授インタビュー
- Part 1:アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに
- Part 2:アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに
新谷先生のゼロから極める医療統計シリーズ
2025年4月5日から、全12回に渡る新谷先生の講座が開講されます!

【講座タイトル】
新谷先生のゼロから極める医療統計シリーズ
【講座概要】
「医療統計、私にもできるかも!」
統計が嫌いな人にこそ届けたい、新谷先生がおくるどこまでも優しく、どこまでも情熱的な医療統計ウェビナー。
初心者向けだからと言って、医療統計の表面だけをなぞって終わりではありません。初心者向けと言いながら、難解な数式ばかりで画面を埋め尽くしたりはしません。
「私には統計は無理だ」と感じる人のために毎月1つの手法を1つの講義でじっくりと解説し、なぜ・いつ・どうやってその手法を使うのかという原理原則から深く理解し、全12回を通して重要な統計手法を丸ごと実践で応用できるレベルまで「極める」ことがこのシリーズの目的です。
「あの日、あのウェビナーにでたおかげで」、そう言ってもらえるウェビナーになるよう腕によりをかけてつくります。
【講座開催概要】
開催期間:2025年4月5日(土)~2026年2月28日(土)
見逃し配信:各講義開催日の2日後から2026年4月2日(木)まで
※単発購入の場合は講義終了から1ヶ月間
【参加費】
一般 :79,800円
学生: 39,900円 (※社会人学生を除く)
※各講義単発購入も可能です
※研究費等でご参加の方を含め、全ての方に受講証を発行いたします
※請求書・領収書は数クリックで発行できます
詳細のご確認とお申込みはこちらから
https://mmedici.co.jp/merasmus/research/connect/statistics
語り手
新谷歩先生(大阪公立大学院医学研究科 臨床医科学専攻 教授)
2000年に米国エール大学で生物統計学の博士号を取得後、テネシー州ヴァンダ―ビルト大学で講師准教授を経て、2013年より大阪大学医学部臨床統計疫学寄附講座教授。2016年より現職。ヴァンダービルト在籍中は医師研究者の育成を目的とした臨床研究修士コースで10年以上150人に及ぶ医師サイエンティストの育成に携わる。著書に「今日から使える医療統計(医学書院)」「みんなの医療統計(講談社)」「あなたの臨床研究応援します(羊土社)」がある。日本REDCapコンソーシアム代表。 2022年9月にスタンフォード大学が発表した「世界で最も影響力のある研究者トップ2%」に生涯区分・単年区分両方で選出された。Youtubeでも医療統計に関する動画を多数配信し登録者は1万5千人以上。
https://www.youtube.com/@ayumishintani7044
聞き手
廣瀬直紀(mMEDICI株式会社CEO/Principal Epidemiologist)
東大学部時代に生物統計の必修試験を2年連続で落第し、3年目の追試でようやく合格する。学部時代に受けた授業にまったく着いていくことができず、「統計は私なんかがやっちゃいけない天才の学問なんだ」と苦手意識を抱く。しかし、同大学のSPHへ進学したことで統計を学ぶ必要性が生じる。そんな時、新谷先生のYouTubeに出会って「こんな私でも理解できるかもしれない」と一縷の望みが生まれる。上から下まで動画を視聴したが、特に混合効果モデル、多重検定、一般化推定方程式の解説は繰り返し視聴したお気に入り動画である。
前回はアメリカでのお話を伺いましたが、本日は日本にご帰国されてから研究室を立ち上げていくお話を伺いたいと思います
アメリカを離れ、日本の大学に着任したのが2014年です。
ただ、これは本当に悩みました。
アメリカでは優秀な同僚と部下に囲まれて、生物統計家としての業績も伸びていき、夢だったアメリカのマイホームまで建てることができました。
マイホームは360平米お風呂付のトイレが4つあって。古い家が建っていた1エーカーの土地を買って、その家をただで提供する代わりに更地にしてもらい、自分の設計した家を建てました。古い家はトレーラーに乗せて別の土地に移すんです。これには驚きました。
娘たちも大学附属の幼稚園から高校まで一貫のとても良い学校に通っていましたし、大変優秀な共同研究者と5人の部下のおかげで、年間20本くらいは論文が出ていました。
当時ヴァンダービルトではでは物価調整費として毎年給料が3%自動的に上がるんです。
それにプラス1.5%くらい能力に合わせて上乗せしてくれて、給料も十分頂戴おりましたし。
その上ヴァンダービルドでは自分の子供が大学に行く時にヴァンダービルド大学の学費の7割に相当する額をひと家族延べ20セメスター分払ってくれるんです。今のヴァンダービルトの学費が年間7万ドルほどなので、結構なインセンティブなんですね。
こうしてとても幸せな日々をおくっていたんですけれど、「夢が叶った」という満足感とともにどこか虚しさも感じていたかもしれません。
最初の本の「今日から使える医療統計」を書いたときもこのころでした。日本語で医療統計のYoutubeを作り始めたのもこのころです。
Youtubeの視聴者の皆様から、日本では統計がなかなか学べず、わたしの動画を重宝しているというコメントもいただくようになり、その頃から日本に対する思いを募らせていったのでしょうね。
そんな時に日本の大学から「日本の医療統計に新しい風を吹かせてくれ」とお誘い頂き、同じく研究者だった夫にも同時に日本の大学から誘いが来て。日本では2012年にディオバン事件があって、日本の医学アカデミアに統計家が不足していることが議論され始めたときだったんです。
アメリカに骨をうずめる気でおりましたので、頭では帰りたくないと思っていたけれど、運命だったのかもしれませんね。
2年間悩み続けて、時には「新しく建てたこの家さえなければ帰れる、誰か火をつけてくれないか」とまで思い詰めることもありました。
「バカみたい、それってそこまでしても日本に帰りたいってことなのに」と自問自答を繰り返す毎日です。アメリカに永住するために頑張って頑張ってここまでやっと来たのに、と頭ではアメリカに残りたいと考え、でも心は日本にとても帰りたがっていた。
帰国を考える中で色んな人にアドバイスをもらったんですが、その中で「これまで相談してきた人たちのことを思い浮かべて?人間は、自分が求める答えをくれる人に相談にいくものよ」と言われて、「日本に帰るのはやめなさい」と言うだろう人には相談していなかったことに気づきました。
そして、帰国を決意したんです。
生物統計家としての日本での新たな暮らしはいかがでしたか?
まず、帰国した時に驚きました。
成田空港に帰ってきたときですが、西内啓先生の「統計学が最強の学問である」がベストセラーになっていて、書店でどーんとポスターで宣伝されていたんです。
だって、私がアメリカに行く時には「統計なんてやってもなんにもならない」って言われましたからね笑。
それで日本の大学で働き始めて、その頃の日本のARO(Academic Research Organization)では臨床研究はまだ紙でデータ収集をしているものもありました。
一方でヴァンダービルド大だとREDCap*を使っていたんですが、実はこの開発者が私仲の良かった同僚なんです。
*世界的に使用されている臨床研究のデータ収集システム
同僚が「Ayumi、こんなの作ったよ」とふらーっと紹介してくれて。「Paul がなんか面白そうなもの作ってるなー」くらいに最初は思っていたのですが、あっという間に世界中で使われるシステムになりましたよね。
そういうわけでヴァンダービルド大ではREDCapが空気のように当たり前のように使われるようになっていたので、日本ではデータを効率的に集めるシステムがないというのがとても不便で。
だから、日本で大学から家に帰る途中、大学時代バンドで歌っていた「翼の折れたエンジェル」を毎晩歌っていました。
統計家にとってデータというのは翼ですから、それが折れた国に帰ってきてしまったのかと。
でも、だからこそ「アメリカで学んだことを日本に伝えていきたい」とも思いました。
アメリカでやっていた教育を日本に取り入れ、そして日本のEDC*をなんとかする、それが私のミッションだと感じて。
*治験において電子的にデータを収集すること、またはそのためのシステム
日本の医学研究は基礎研究ではノーベル賞をとれるくらい世界でもトップレベルですが、臨床研究ではなんと30位くらいなんです。
アメリカはもちろん両方の領域で1位ですから、私が経験しているこの不便さが臨床研究における1位と30位の国の環境の違いなんだと痛感しました。
統計家の数もアメリカは日本の数十倍多いかんじですし、臨床研究のシステムもアメリカにはまだまだ追いつけていない状況で、「これはなんとかしないと」という使命感でここまでやってきました。
生物統計家のコミットメントという点では、日本とアメリカの給与制度の違いも大きいですね。
アメリカの医学部では給料の大部分を研究費でカバーせねばなりませんでした。そして、その研究費が余ってきたらスタッフを雇い、中小企業の親分みたいな経営スタイルですね。
エフォートを常に100%埋めておくようにボスから毎月求められるんですが、もし不足していると毎月ボスに「あなたのところの〜さんは◯◯%足りてません」と言われ続けます。
医学部大学院では全ての研究者の給料は研究費から出ているのでテニュアー制というのは名前ばかりで、テニュアーをとっても、研究費がなくなればラボを閉めて他の大学に移る研究者も多かったです。
ですから私たち生物統計家も給料は自分でとってこなくてはなりませんでした。研究費から給料を払ってもらうために共同研究者を探すんです
一方、日本では専任教員になると給与は大学が持ってくれるので共同研究をしなくても成り立つ研究室も多いので、アメリカほど共同研究のインセンティブが強くないのかもしれません。
そのため生物統計家と他の専門家との共同研究が積極的に行われにくい構造があるのではないかと思います。
ヴァンダービルド時代の臨床研究はどのように生物統計家が関わっていたんですか?
ヴァンダービルド大の生物統計学部の当時のディレクターだったFrank Harrell 先生から解析では「データの読み込みから報告書まで完全に自動化するようなプログラムをRで書け」と命じられていました。
Frank がいつも言っていたことですが「スタンフォード大学のサイエンス学部では、博士の学位論文が完成した時に、ソースデータと解析に用いられたプログラム以外を全て削除します。そこで、ソースデータをそのプログラムに取り込むことで学位論文に使われる全ての数値が再現できるかを確認する。人が手で数値を書き入れると、必ず人為的なミスが起こる。だから自動化がすべてだ」と。
実際彼の教えを聞かず、P値0.003を0.3と解析報告書に誤入力した統計家は即刻首にされてました。
今でも私の教室で臨床研究を支援する際にFrankのこのやり方を忠実に守っています。
REDCapでは誰がいつ、どのデータを入れたかが全て記録されます。消すことはできません。
REDCapから自動でデータをダウンロードして、さらにRを使ってロジカルにデータのチェックをして、データの整合性が得られない場合はクエリを自動で発行します。
発行したクエリをRECapに取り込み、研究者はREDCap上でデータの修正を行います。その様にして集められたデータを、論文化のために解析するプロセスも、すべて自動化しています。
よって、データが誰によりいつ集められたのか、そしてそれをどのようにして解析に用いたのか、すべてのステップが記録されることになるのです。
人間が介入すると間違える恐れがありますから、ソースデータから論文の図表までワンボタンでやれるように、という世界です。
一方、帰国後私が着任した頃のAROのデータセンターでは目視や読み合わせという言葉が使われていました。
日本に帰った当時の私はこの言葉がどうしても理解できず、目視とは人が目で見てデータをチェックすること、読み合わせとは一人がデータを読んで、もう一人がチェックすることだと分かった時には、心の底から驚きました。
大変なところに帰ってきてしまったと。
さらに「統計家はデータを触るな」と言われたこともあり、「なぜ?」と聞くと「不正の恐れがあるから、データマネジメントと統計は切り離すべきだ」とのことで。
でも、REDCapとRでアメリカでは誰がいつどのようにデータが触ったかが全て記録されるので、不正なんて心配する必要がないんです。
だからデータクリーニングは全部統計家がやってました。切り離すという意味も解りませんでした。
「これはなんとかしないと」と思ってデータマネージャーにもRの使い方を教え始めたら、「そんな難しいことやりたくない」と総スカンをくらったこともありました。
そうしたEDC改革と並行し、もう一つのミッションであった医療統計の教育にも取り組まれていたんですか?
実は帰国して最初に着任した大学では、寄付講座だったこともあり1年目は授業を割り当てられていなかったので、勝手に開講していました笑。
100人くらい入る講堂を予約して、館内放送も自分でやります。
「17時より◯◯講堂にて〜の講義を行います」って笑。
「みんなの医療統計」と名乗って、無料で教育をしていました。
そうしてシラバスにも載ってない授業を毎週3時間勝手にやっていたんですが、50人くらいきてくれていましたし、今だにその時の学生さんが「受講してました」と仰ってくださることもあります。
そうして次の年からは責任者の先生に頼んで、ようやく正式な授業にしてもらったんです。
その後、現在の職場である大阪公立大学へと移りました。
ここではミッションだった臨床研究のデータハンドリングの自動化を教室員が総力を挙げ成し遂げて、AROデータセンターとして数多くの臨床研究の支援をしています。
教室では大学院生の育成等統計教育にも力を入れていますが、日本の生物統計家の人材育成はまだまだ足りていません。
統計専門家を育成する大学院の数も圧倒的に少ないですし、私がヴァンダービルトで教えていた、医療者向けの臨床研究や医療統計を学べるプログラムも限られています。
アメリカだとMPHのようなプログラムが100以上もあり、そして医師向けの臨床研究の養成コースも充実しています。
日本でも公衆衛生の大学院は育っていているけれど、アメリカで教育されているようなBiostatとClinical Epidemiologyのプログラムは一部の大学院にしかありませんから。
また、大学院以外でも一般の医療者向けの教育の場も足りていません。
医療者向けのすそ野の広い医療統計の教育の必要性を本当に痛感し、書籍を書いたり、動画を作り続けています。
日本に帰ってくる少し前に、千葉で臨床工学技士さん向けの講演をしたことがあります。
その時はアメリカでも授業ではSPSSを使っていたのですが、技師さんが、「SPSSは有料なので自分たちには使えない。週末に病院に行って、医師の先生のパソコンをお借りして解析している」と言われたんです。
その時に、すそ野の広い教育をするためには、やはり無料の統計ソフトを使う必要があると痛感したんです。
「みんなの医療統計」はそうやって生まれました。アメリカではCOUSERAやEDxなど、無料で多くの大学の授業が受けらるようになっています。
教育とは全ての人々に開放されるべきという考えにとても共感しました。
前にいた大学ではEDxもやってたんです。
もちろん自分で手を挙げてやりたいやりたいって。その時1万人以上を超える方が登録してくださって、半分以上が海外の方でした。
全世界に向けた裾野の広い、教育を一生かけて続けていきたいと思っています。
日本へ帰国されたことは、いまはどう感じてらっしゃるのでしょうか?
帰ってきて良かったなと思っています。
ゼロから立ち上げた研究室も、最初の5年くらいは人の入れ替わりも激しく、志を同じくする人たちが集まるまでにはすごく時間がかかりました。
でも、徐々にメンバーが落ち着いてきて、そして学生さんも沢山入ってくれるようになって、そこまでいくのに7-8年かかりました。
また、アメリカでは差別を感じることもあり、特にアジア人の女性だと「ここまま給料はあがっていくだろうけど、グループのトップにはなれないだろうな」とも思っていたので。
今は自由に大学院で医療統計学の教室を運営させていただき、本当に毎日が楽しくて仕方ありません。
日本ではまだまだ医療統計の専門家がいないので、どこにいっても役に立たせて頂くことができます。
ですから私自身のバリューはアメリカよりも日本の方がはるかに発揮されています。どこにいっても見ず知らずの方が、「本を読んでいます」、「動画を見てます」って言ってくださって、すごく嬉しいんですよね。
組織の中で人が育っていくと、「誰かの人生に影響を及ぼせたかもしれない」って思えて、一人でもそういう方が増えていくと「人の人生に関わることができたかな」というふうに感じます。
もし私が「やっぱりアメリカにいた方が良かった」と言えば、そんな人たちの選択を否定することになりますから。
アメリカにいれば論文数もどんどん増えて、お給料もいまの倍くらいはあると思うんですが笑、でも今の方が幸せです。この幸せはお金では買えませんね。
今一番力を入れられていることは何でしょうか?
医学部における医療統計教育です。
日本に帰ってきて、本当に多くの日本中の医師研究者にお会いしました。
お会いした皆さんのほとんどが、「もっと医学部生の時に医療統計を学んでおけばよかった。医師研究者にとって一番重要なのは、英語と統計です」って言われるです。
日本の医学部では統計の授業は1年時に必須なのですが、ほとんどの授業は難解な数理統計を教えてしまって、これから医学を学ぼうと意気揚々とやってきた学生が、数式ばかりを見せられて、受験が終わったのに何でこんなことをやらないといけないのか、その意義が分からず統計アレルギーを生み出す原因になっているのではないかと思っています。
大学院では年間10数名の学生を教えているのですが、医学部では1学年100名近くいるので、今後の日本の臨床研究をより発展させるには、医学部生に実用的な医療統計を教えることが重要だと思っています。
実は、私が医学部で初めて教えた学生の一人が、メディカルITグループというのを立ち上げて、自分たちでAIについて学び始めたんです。
全国医療AIコンテストを主催したり。
その活動に情報学部の先生が賛同してくださり、学内で研究資金をとって、一昨年から、医学部生と情報学部の学生がコラボして、ドイツのAI研究所に短期留学しています。
若い人の中で確かな変革が生まれているのを感じています。
終わりに
今回は新谷先生の日本にご帰国後のお話を伺いました。
「授業がなかったから勝手に授業を開講して、館内放送までやっていた」というエピソードに新谷先生の教育への執念、そして型破りの発想力が垣間見えますね。
新谷歩先生インタビュー|ゼロから極める医療統計
新谷歩先生に、現在開催中の「ゼロから極める医療統計講座」に込めた想いや、医療統計の魅力について語っていただきました。
初心者にもわかりやすく「どこまでもやさしく」「どこまでも情熱的に」伝える姿勢の根底にある想いとは?研究者として、教育者としての言葉が詰まったインタビューです。
ぜひご覧ください

詳細のご確認とお申込みはこちらから
https://mmedici.co.jp/merasmus/research/connect/statistics
【全12回セミナースケジュール】
※開催時間は全て13:00~15:30
特別回
『ゼロから極めるロジスティック回帰講座』(パッケージ購入者へのオンデマンド動画特典)
4月5日(土)
『傾向スコアを極める - 交絡を乗り越える手段、しかし過信してはならない』
4月27日(日)
『記述統計を極める - データセットを作り、記述するという最も大切な統計の基礎』
5月31日(土)
『P値と信頼区間を極める - 有意差に惑わされず、はびこる誤解を断ち切る』
6月28日(土)
『統計検定の選び方を極める - この目的ならこの検定、理により武器を正しく選ぶ』
7月26日(土)
『線形回帰と非線形回帰を極める - 連続値アウトカムを正しく調理する』
8月30日(土)
『疫学指標を極める - いつ、なぜ、どの指標を使うべきかをクリアに』
9月27日(土)
『交絡を極める - もうその交絡選択、やめませんか?』
10月25日(土)
『生存時間解析を極める - ハザードって何なんだ?速度をアウトカムにする』
11月29日(土)
『欠損を極める - 欠損は除外すべからず、空白を正しく補完せよ』
12月27日(土)
『繰り返しデータの解析を極める - 繰り返し測定されたデータの複雑性を紐解いていく』
2026年1月31日(土)
『予測モデルを極める - ただ作るのではなく、真に実用的なモデルを目指して』
2026年2月28日(土)
『メタアナリシスを極める - 複数の研究を統合し、さらなる強度の結果を得るために』キャリアシリーズ
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