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【ハーバードSPH受験】1万字の密度で語る外科医のハーバード留学戦略 - vol.11 前編
2025.03.09
海外MPHの受験は、当初の想像以上に骨の折れる作業でした。初めからどのような準備が必要かを知っていたらもっと効率よく準備が進められていたと思います。
前編であるこの記事では、臨床医であった私がハーバードSPHへの進学を決意するまでを、研修医時代から遡ってお伝えします。
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この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
臨床医が公衆衛生に興味を持つまでの過程
海外MPH受験に大切な準備
この記事は誰に向けて書いているか
海外MPH受験を考えている方
海外MPHに挑戦するか迷っている方
海外留学に興味のある方
MPHシリーズ
vol.12:【LSHTM受験】貧困支援のあるべき姿を問い続ける - ボランティアの真髄を照らすためのロンドンSPH進学
vol.13:
(前編)【UCSD MPH受験】海外MPH選択の最適解 - 内科医が挑んだカリフォルニア留学の全貌
(後編)【UCSD MPH受験】海外MPH選択の最適解 - 内科医が挑んだカリフォルニア留学の全貌
vol.34:【ハーバードSPH受験】卒試・国試・MPHのトリプル合格記 - 医学部6年生でハーバードに挑んだ限界突破の記録
執筆者の紹介
氏名:吉田拓人(Google scholarはこちら,Linkedinはこちら)
所属:岩見沢市立総合病院外科
経歴:外科専門医・内視鏡技術認定医・公衆衛生学修士・JDLA-E資格。2014年から一般外科医として8年間勤務した後、米国ハーバード公衆衛生大学院でMPH取得。卒業後はカナダのUniversity Health Networkで外科医療AIのリサーチフェローを修了し、2024年9月より現職。専門は消化器癌およびヘルニア診療、内視鏡手術。外科医のスキル評価、合併症の低減のためのデータ分析・医療AI開発に取り組んでいる。
編集者
氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。
監修者
氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。
SPHを受験しようと思ったきっかけ
SPHの以前に、そもそも私は医学部生の頃から海外留学に強い憧れを抱いていました。
幼少期を田舎で過ごしたからか、外の世界への興味が非常に強く育ち、とにかく外に外に興味が向いていたのだと思います。よく一人旅をし、海外のホームステイ先や留学先を探して長期滞在し、異文化交流を楽しんでいました。
医学部時代は、当時の私には外科の最高峰とも思えた移植外科医になって臨床で海外留学したいとも思っていました(なお、私は移植医療は今でも当然素晴らしいものだと思っていますが、私の興味が一般外科寄りになったため、移植外科での臨床留学はあまり考えなくなりました)。
MPHに対して興味を持つきっかけになったのは、主に二つの出来事がありました。
初期研修での出来事
初期研修を行った聖路加国際病院では、当時としては(今でも?)珍しく、研修医が2年間の研修の終わりに自分の臨床研究の発表をする必要がありました。
各研修医に、臨床医のメンターと生物統計家が割り当てられ研究を進めていくという非常に画期的な制度でした。
私も当時、アレルギー膠原病科でステロイド内服患者500名ほどのカルテレビューをし、ステロイド内服量とサイトメガロウイルス感染症の関連についての発表を行いました。
今振り返ると穴だらけの発表でしたが、これが初めての観察研究の経験で、それなりの達成感がありました。
そして、なんだか研究って面白いかもと思うようになりました。
外科専攻医中の出来事
上記の観察研究は、私にとって全てが初めての経験で、知識もスキルも何もない状態でした。そもそも、Excelを使ったことがなく、研修2年目の大晦日や正月は研修医室でずっとExcelと睨めっこしていたのを覚えています。
今考えるとあり得ないのですが、全ての変数を打ち込み、場合によっては手計算して、データシートを作成していました。
しばらくして外科専攻医になった時に、上司にデータの整理や分析に非常に強い先生がいらっしゃいました。
話を聞くと、カルテからデータをエクセル形式で抽出し、変数の計算やピボットグラフを用いたデータの可視化をものの数分で見せられました。
「あれ、自分の費やした数ヶ月の時間と労力は一体なんだったのだろう・・・。」
「データを扱うスキルはものすごい可能性を秘めているのではないか・・・。」
と、当時の自分なりに色々と感じ取っていたと思います。笑
この時はまだ全く全貌が見えていませんでしたが、この衝撃からデータサイエンスをしっかり腰を据えて勉強したいと思うようになりました。
(続きはページの後半へ)
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なぜそのSPHを選んだか
国内SPHでの挫折
私は、留学はしたいものの、あくまでそれは臨床留学を念頭に置いていました。そのため、臨床留学前にリサーチのスキルを身につけたいという漠然とした気持ちでSPH進学を志望していました。
研修病院で修練しながらMPHを取得できることから、当初は聖路加SPHに行こうと思っていました。
しかし、私は日々忙殺されていることを理由に受験準備に着手するのがかなり遅くなりました。募集の途中から、応募者多数だったためかTOEFLの試験が課されるとアナウンスがありました。
締め切りも近づき全く勉強する時間が取れず、ほぼ無勉強で行ったところ、スコア60という非常に低い点数となり、当然大学院受験には失敗しました。
はっきり言って受験を舐めすぎていました。
この60というスコアは絶妙で、留学を本気で志している人からするとあり得ないほど低く、一方で世の中には英語のスコアが低かろうともすごく優秀な人もいます。
”留学に興味があった人間が60というスコアを取った”という事実が、自分の能力の低さを浮き彫りにするような結果だな、と当時は相当ショックを受けていたと思います。
ハーバードSPHへの進学
その後の、外科専攻医の研修もやはり楽ではなく、そちらに集中したい気持ちも強くなったため一旦、MPHのことは忘れていました。
しかし当時、外科のカンファレンスで外科系雑誌を一つ選び、その月に掲載された論文を全て読むというものがありました。
私が外科専攻医だった2016-2020年頃から、外科の雑誌でも機械学習、深層学習、自然言語処理などを用いた論文が散見されるようになりました。全然何をやっているか分からないけど、なんだか凄そうと感じ、その技術に未来を感じ魅了されている自分がいました。
外科研修の終わり頃から、やはりデータサイエンスを学びたいという思いが強まってきたのを覚えています。
また、同じ病院の学年の近い先輩で、北米の修士課程に留学し、データベース研究と臨床の研鑽を積まれている人がいたため、自分もそのキャリアパスに進もうと思っていました。
なので、「なぜ、ハーバードにしたか?」に対する答えは、期待ハズレかもしれませんが「正直なところ、近い先輩の影響」というのが大きかったです。
私はそれこそPublic Healthが「公衆衛生学」と和訳されることの悪影響を受けた立場の人間であり、外科医に公衆衛生学は関係ないと思っていました。
当初は、機械学習などの方法論を学びたいと思い、Harvard Medical School の Master of Medical Science in Clinical Investigator (MMSCI)のコースを第一志望としていました。
一つだけでは心許ないため、Harvard T.H. Chan School of Public Health(HSPH)やジョンスホプキンス大学、エモリー大学も受験しました。
結果的には、恐らく英語のスコアの足切りでMMSCIには合格できませんでしたが、その他の大学院には合格することができました。
メソッドの勉強をしたいことなどを複数の先輩にも相談し、HSPHの情報に偏っていましたが、自分が勉強したいことが出来そうだと分かり、HSPHに進学することに決めました。
海外MPHは狭き門ではないのか?
まず、よく言われるのは「HSPHはそれほど狭き門ではない」ということです。
これについて、私は地頭の良い人・帰国子女にとってはその通りだが、全員に当てはまらないのでは?と思っています。
そのような主張の人は、とても狭き門を突破した素晴らしい経歴の方々が多い印象で、私からすると「いや全然落ちうるでしょ」と思います。
合格してから大学院で知り合う人々は、例外なく優秀でした。どの方も何かキラリと光る部分があったかと思います。
合格倍率はそれほど高くないらしいですが、そもそも海外MPHの受験を考え始める層ですから元から優秀な方が多いかと思いますし、残念ながら準備が足りずHSPHに合格しなかった知り合いもいます。
何より私自身もMMSCIには落ちています。なので、私は今となってはHSPHを始め海外MPHは受ければ誰でも受かる大学院とは思えません。
ただ、これは能力の問題以上に、準備にどれだけ時間を割けたかが大事だと思います。
日本から海外MPH受験を考える方は30代前後で、仕事も忙しい方が多いと思います。そういった制約の中で”どこまで準備が出来たか”が大きいのではと感じています。
前編は以上となります。臨床医であった私が海外SPHへの進学を決意するまでを書かせていただきました。
進学に悩まれる方の参考となれば幸いです。
後編は実際の受験対策を中心に、子育てや仕事との両立についてお伝えします。
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