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【UCSD MPH受験】海外MPH選択の最適解:内科医が挑んだカリフォルニア留学の全貌 - vol.13 前編

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【UCSD MPH受験】海外MPH選択の最適解:内科医が挑んだカリフォルニア留学の全貌 - vol.13 前編

2025.04.01

MPHという学位は、ご存知の通り国内や海外の大学院で取得ができます。

私が海外留学を志したきっかけは、医学生時代に経験した短期留学や国際学会での発表でした。

日本にとどまらず、世界の人々の健康に貢献したい――そんな思いが強まる中、臨床医としてのキャリアを考えた時、MPH(Master of Public Health)取得という選択肢に行き着きました。

多くのMPHプログラムがある中で、なぜランキング外のカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)を選んだのか?リウマチ・膠原病分野の研究環境、カリキュラムの特徴、受験時の決め手について詳しくお伝えします。これからMPHを目指す方の参考になれば幸いです。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 医師でアメリカMPH留学を実現した過程

  • 大学院選びの方法

  • UCSD MPHプログラムの特徴

この記事は誰に向けて書いているか

  • アメリカ大学院留学に興味がある方

  • 海外MPHに関心がある方

  • アメリカ大学院入学に必要な準備が知りたい方

MPHシリーズ

  • vol.8:【ジョンズホプキンスMPH受験】臨床と家庭の両立と断念した現地留学 - オンライン海外MPHが拓く選択肢

  • vol.11:

    (前編)【ハーバードSPH受験】1万字の密度で語る外科医のハーバード留学戦略

    (後編)【ハーバードSPH受験】1万字の密度で語る外科医のハーバード留学戦略

  • vol.28:【ジョンズホプキンスMPH受験】働きながら、臨床と研究に深みを - 血液内科医が選んだオンラインMPHという最適解

  • vol.34:【ハーバードSPH受験】卒試・国試・MPHのトリプル合格記 - 医学部6年生でハーバードに挑んだ限界突破の記録

執筆者の紹介

氏名:匿名
所属:某外資製薬会社
経歴:聖路加国際病院にて内科専門研修およびリウマチ・膠原病専門研修を修了し、内科専門医・リウマチ専門医を取得。その後、大学病院でリウマチ・膠原病診療に従事しながら、免疫内科学の博士号を取得。大学院在学中に海外留学を志し、MPH受験を開始。UCSDのMPH(疫学専攻)を修了。帰国後は、留学経験を活かしグローバルに活躍するため、外資系製薬会社に入社。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

MPHを受験しようと思ったきっかけ

臨床研究の道を選ぶ

私が海外留学を考え始めたのは、大学院博士課程に在学していた時でした。

医学生時代のマレーシア国立心臓病センターでの短期留学の経験や、アメリカリウマチ学会などの国際学会での発表・参加を通じて、「日本という枠を超え、世界の人々の健康に貢献したい」という思いが強くなりました。

しかし、当時はまだ具体的なイメージを描けておらず、基礎分野での留学か、それとも別の方法を選ぶべきか迷っていました。

医師として海外留学を実現する方法には、大きく分けて以下の三つがあります。

  1. 有給ポスドクポジションまたは奨学金を利用した留学
    有給ポスドクポジションや奨学金を得て、無給または補助的な給与を受け取りながらvisiting scholarとして研究室に所属する方法です。

  2. USMLEを取得して臨床留学
    アメリカ医師免許(USMLE)を取得し、臨床留学を目指す方法です。

  3. 大学院に入学して学位を取得
    修士号(Master's degree)や博士号(Ph.D.)を取得するために大学院へ進学する方法です。私はこの道を選びました。

日本の博士課程で基礎研究と臨床研究の両方に携わる機会に恵まれたことで、自分の適性を見極めることができました。

その結果、基礎研究の道を選ぶ決断には至らず、それよりも実臨床との結びつきを感じやすい臨床研究の方が、自分には合っていると実感しました。

ポスドクポジションでの留学についても検討しましたが

  • 基礎研究分野での留学が主流である

  • 膠原病分野で臨床研究を留学する知り合いは少なく、情報が限られていた

  • 日本の財団からの奨学金を獲得しての留学には、現在のキャリアと関連した活動が求められる

といった理由から、ハードルが高いと感じました。

このような背景の中で、私は大学院に進学し、MPHプログラムに挑戦する道を選びました。

この決断には、自分がすでに専門としていたリウマチ・膠原病の分野で新たなキャリアを築きたいという思いも大きく影響しました。

疫学や統計学の重要性を痛感する

大学院時代、私はEZRを用いて臨床研究を行っていました。しかし、統計の先生や先輩の指導を受けながら解析を進める形であったため、「なぜその解析手法を用いるのか」を十分に理解していない状態でした。

近年、医学界では臨床研究の推進が進み、臨床医が統計学や疫学の知識を持つ重要性を痛感しました。

例えば、研究計画書を作成する際、統計の専門家とディスカッションを行うための基本的な知識があれば、効率的に話を進められます。 一方、すべてをゼロから確認してもらう場合、時間がかかり、プロジェクトの進行が遅れるリスクがあります。

これは、臨床現場における役割分担に似ています。経験の浅い医師と経験豊富な医師の間に、中堅医師がいることで患者の治療方針がスムーズに決まるの同じです。

そのため、1から疫学や統計学を学び、臨床研究を深く理解した上で研究を進められる医師・研究者になりたいと強く感じました。

こうした目標を持つ中で、MPHプログラムは私にとって理想的な選択肢でした。 基本的な知識から実践的なスキルを身につける絶好の機会だと考えたのです。

もちろん、国内のMPHプログラムの質の高さは十分認識しており、検討もしていました。

しかし、私が海外のMPHを選んだのは
「一度きりの人生、海外留学のチャンスを得たい」
という強い思いがあったからです。

海外の臨床研究に触れることで、自分のスキルをさらに向上させたいと考えていました。

国内と海外のMPHを単純に比較することは難しいですが、海外で学ぶことで得られる異文化体験やアカデミアの環境は、将来のキャリアにおいて大きな財産になると感じていました。

特に、アメリカなどの大規模な臨床研究に携わることで、国内では得られにくい経験やネットワークを築けると考え、海外MPHへの進学を決意しました。

(続きはページの後半へ)

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なぜそのMPHを選んだか

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)への進学を決めた理由

アメリカには約100ものMPHプログラムがあると言われており、その中から自分に合った大学院を選ぶ必要があります。

海外のMPH受験者がよく参考にするランキングとして、U.S. Newsが発表している「Best Public Health Schools」があります。

このランキングでは、ジョンズホプキンスやハーバードが上位に位置しています。これらのMPHプログラムへの留学者には日本人も多く、卒業生による受験ブログなどの情報も豊富に存在します。

ジョンズホプキンスの受験記はコチラ

ハーバードの受験期はコチラ

私が進学したUCSDは、このようなランキングに参加していない大学でした。 それは、進学先を決める際にハーバードのMPHを卒業した医師の先生に相談した際に、次のようなアドバイスをいただいたからです。

「ネームバリューではなく、自分が何をしたいのかを考えて大学院を選ぶのも大切。 もし専門分野が決まっているなら、その分野で有名な研究者がいる大学を選ぶことで、留学中にできる可能性も広がるかもしれません。」

私はリウマチ・膠原病専門医の資格を取得していたため、この分野で研究が盛んな大学を探すことにしました。 方法としては決して洗練されたものではなく、非常にアナログな手法でした。

具体的には、リウマチ・膠原病分野のトップジャーナルの一つ(おそらく5位以内のもの)の公式サイトを訪れ、そのEditorial Boardのメンバーが所属する大学を一つずつ調査しました。

さらに、各研究者の論文内容や研究トピックが自分の興味と合致するかを確認し、エクセルにまとめていきました。

他にも、国際学会に参加した際に興味のある研究を発表した先生に直接声をかけ、留学について伺いました。

留学後に知ったことですが、興味のある研究者を見つけたら、NIH(米国国立衛生研究所)が公開している「RePORT」というサイトも参考になります。このサイトで研究者の名前を検索すると、NIHからどのような研究に対していくらグラント(研究助成金)を獲得しているかが分かります。

特に、ここ数年で多くのグラントを取得している研究者は、研究活動が活発で、研究成果につながりやすい可能性があります。一方、数年間グラントを獲得していない場合、研究活動の優先度が低くなっている可能性があり、一つの目安として活用できます。

こうして調査を進め、リウマチ・膠原病分野の研究者が所属する大学の中でMPHプログラムがあるかを一つずつ確認し、最終的な受験校を絞り込んでいきました。

補足:MPHとMScの違い

話が少し逸れますが、もし疫学や統計学など臨床研究に特化した修士課程を希望する場合、MSc(Master of Science in Clinical Research)の方が適している可能性があります。

私もハーバードのMMSCIというプログラムにも出願しました。迷うようであれば、出願前にアドミッションオフィスに問い合わせてみるのも一案だと思います。日本ではMScはMPHよりやや認知度が低いですが、意外と自分の興味にマッチするかもしれないので、慎重に選択してみてもいいかと思います。

私の場合、UCSDに著名なリウマチ・膠原病の教授が在籍しており、偶然にも日本でお世話になった上司とつながりがありました。

その上司を通じて、Graduate Student Researcherとして研究する機会を得られるか相談したところ、受け入れの許可をいただくことができました。

こうした機会は、自ら積極的に尋ねることで得られることも多いため、ためらわずに行動する勇気の大切さを改めて実感しました。

MPHの学位を取得しながら、無給ではあるもののアメリカで研究に携わるチャンスを得られる可能性があったため、UCSDを受験校の一つに加えました。 そして、無事に合格し、UCSDへの進学を決断しました。

UCSDのカリキュラムの特徴

UCSDのMPHプログラムは2019年にスタートしたばかりで、まだ歴史が浅いです。

UCSDのMPHは、医学生やMDなどの専門職学位をすでに取得している場合、1年コースを選択できますが、基本的には2年のプログラムとなっています。

1年コースは2年のプログラムを1年で修了する形になるため、英語が堪能で、テスト・課題・プロジェクトをスムーズに進められる人でないと、かなりハードな内容です。

専攻は以下の五つから選択できます。

  • Epidemiology

  • Health Behavior

  • Public Mental Health

  • Technology & Precision Health

  • Health Policy

印象としては、EpidemiologyHealth Behavior を選択する学生が多かったように思います。私はEpidemiologyを選択しました。

Epidemiologyのカリキュラムでは、Basic Epidemiologyから、因果推論を含むAdvanced Epidemiologyまでを学びました。

Biostatisticsの授業では、検定統計量、平均、標準偏差、分散などの基礎から、ロジスティック回帰分析や線形回帰分析までを、Rを用いて学習しました。 ただし、プロペンシティスコアなどを用いた高度な解析は、カリキュラムに含まれていませんでした。

授業以外では、Practicum(課外活動)の参加に加え、Thesis(修士論文)またはCapstone(卒業研究)を完成させることで卒業に至ります。 プログラムは柔軟に構成されており、膠原病科のラボでIndependent Studyとして研究を行い、単位を取得することも可能でした。

私が入学する以前に日本人の卒業生は一人しかおらず、私は二人目の入学者となりました。 もちろん、一人目の先輩卒業生と連絡を取り、入学前の準備や在学中のサポートについて相談させていただました。

この点では、卒業生が多い大学の方が受験や在学中の情報が豊富であり、自力で奮闘する必要が少ないというメリットがあると感じます。


ここまでお読みいただきありがとうございます。
以上が私がMPHを志した理由とUCSDのMPHプログラムの特徴でした。

後編では、具体的な受験勉強方法や入学のための準備、UCSDで学び、卒業しての感想を書かせていただきました。

是非、本記事と併せてご一読ください。

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