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【ハーバードSPH受験】1万字の密度で語る外科医のハーバード留学戦略 - vol.11 後編

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【ハーバードSPH受験】1万字の密度で語る外科医のハーバード留学戦略 - vol.11 後編

2025.03.15

▼ 前半はコチラ
【ハーバードSPH受験】1万字の密度で語る外科医のハーバード留学戦略(前編

前編では、臨床医であった私がハーバードSPHへの進学を決意するまでをお伝えしました。

後編となるこちらでは、実際の受験対策と苦労、最後に海外SPHを目指す方々へのメッセージをお伝えします。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • ハーバードSPH受験に必要な準備

  • ハーバードSPH受験に必要な戦略

  • 海外SPHを終えた人がどういう心境にいるのか

この記事は誰に向けて書いているか

  • 海外MPH受験を考えている方

  • 海外MPHに挑戦するか迷っている方

  • 海外留学に興味のある方

MPHシリーズ

  • vol.12:【LSHTM受験】貧困支援のあるべき姿を問い続ける - ボランティアの真髄を照らすためのロンドンSPH進学

  • vol.13:

    (前編)【UCSD MPH受験】海外MPH選択の最適解 - 内科医が挑んだカリフォルニア留学の全貌

    (後編)【UCSD MPH受験】海外MPH選択の最適解 - 内科医が挑んだカリフォルニア留学の全貌

  • vol.34:【ハーバードSPH受験】卒試・国試・MPHのトリプル合格記 - 医学部6年生でハーバードに挑んだ限界突破の記録

執筆者の紹介

氏名:吉田拓人(Google scholarはこちら,Linkedinはこちら
所属:岩見沢市立総合病院外科
経歴:外科専門医・内視鏡技術認定医・公衆衛生学修士・JDLA-E資格。2014年から一般外科医として8年間勤務した後、米国ハーバード公衆衛生大学院でMPH取得。卒業後はカナダのUniversity Health Networkで外科医療AIのリサーチフェローを修了し、2024年9月より現職。専門は消化器癌およびヘルニア診療、内視鏡手術。外科医のスキル評価、合併症の低減のためのデータ分析・医療AI開発に取り組んでいる。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

受験対策でやったこと

早速ですが、なぜ英語が得意ではない純ジャパの私がHSPHに合格できたか、という点についてお話ししていきます。

私は、Harvard Medical School の Master of Medical Science in Clinical Investigator(MMSCI)を第一志望として、Harvard T.H. Chan School of Public Health(HSPH)、ジョンズホプキンス大学、エモリー大学を受験しました。

自分のとった戦略で一番効いたと思われるのは、日本にいる段階でHarvard Medical School (HMS)が当時開催していたIntroduction of Clinical Research Training(ICRT) - Japanというプログラムを受講していたことです。

これは、約半年間、RCTについてオンラインで勉強するプログラムです。

予習 → 授業 → 復習のサイクルがあり、ディスカッション、グループワーク、プレゼンなども多数課されました。最終課題では、割り当てられたグループ毎に研究テーマを決め、研究デザインをプレゼンする必要があります。

私はグループメンバーのおかげで、アワードを取ることができました。

この経験から、ICRT-JapanのHMSのファカルティに相談し、MMSCIやHSPHの受験のための推薦状を書いてほしいと依頼したところ、ご快諾してくださりました。恐らく、これが自分でもHSPHに合格できた唯一にして最大の理由であると思います。

詳細は「出願書類」の項で書かせていただいています。

英語

TOEFL対策
まず、ベースの英語力についてですが、外科専攻医1年目(医師3年目)の時に、ほぼ無勉で受験したTOEFLのスコアは60でした。

HSPHの募集要項には最低限、スコア100が必要と明記されていたため、相当高い壁に感じていました。

まずは手当たり次第、公式問題集や参考書などを購入しました。単語帳は一冊を極めると良いと思い、『TOEFL英単語3800』を購入しました。

TOEFLの英単語のレベルはかなり高いのですが、私の場合はリスニングなどで知らない単語が出てくると、途端にその言葉が気になってしまい、後の文章が頭に入ってこなくなるので、単語をひたすら覚えました。

環境問題の英語などを覚える必要があり、イソギンチャク(Sea anemone)みたいな単語も多く、億劫に感じる一方、医学英語は大体知っていたのでその辺りはアドバンテージがあったかもしれません。

しかし、この他にどうしたらTOEFLの点数が伸びるのかは皆目見当がつきませんでした。

そこで、AGOSのTOEFL対策講座を受講しました。授業料は高額ですが、背に腹は変えられないとの思いから受講しました。

結果的には、ReadingやListeningの対策については個人的には良かったと思います。

自分に一番しっくりきた対策方法は、音読やディクテーションです。

スラスラと読むことができない文章は、話すことはおろか、試験時間内に読んだり、音声を正確に聞き取れないため、問題集のReadingの文章やリスニングのスクリプトを、まるでその話者に成り切ったように音声に続けて読む練習を何度も何度も暗記するほど繰り返しました。

この方法を行ってからスコアがグッと伸びたように思います。

しかし、SpeakingやWritingは最後まで点数が伸びませんでした。

Speakingはそもそも純ジャパが数ヶ月対策してどうにかなるようなものでもないと感じました。

Writingに関しては、今ならChatGPTなどのアプリを使えばいくらでも練習できると思いますので、あまり高額なお金を払って対策する必要はないかもしれません。

私は、結局のところ、TOEFLは合計で6回受けましたが、最高で98と最後までスコア100を超えることはできませんでした。

MMSCIは恐らくスコア100辺りを足切りにしていたのではないかなと思います。HSPHもホームページ上では、スコア100を要求していますが、実際には私のように到達していなくて受かっている人もいらっしゃるように思います。

ただし、これはスコア100を狙う必要がないというわけではありません。当たり前ですが、大学院に入ってからが本番で、授業内容を理解しついていくためにも、英語は出来るなら出来るほど良いです。

私はHSPH卒業後、トロントで1年間リサーチフェローをしました。

トロント大もAIのメッカなのですが、そこで出会うComputer Scienceの留学生より、圧倒的にHSPHに来る留学生の方が英語が上手でした(これはトロントの土地柄もあると思いますが)。HSPHではネイティブレベルに話すのは当たり前のような世界でした。

GRE対策
GREは正直なところ、全く手が回りませんでした。公式問題集を一周やって、絶望して終わった記憶があります。

幸い、私が受験する際はコロナ禍の影響もありMMSCIやHSPHはGREを要求しておりませんでした(今は分かりません)が、その他の大学院の受験を視野に入れていたため一度だけ受験しました。

しかし、スコアがあまりにも酷かったと記憶しており、もはやこの点数を登録しない方が良いのではないと思うほどでした。

数学に関しては、問題自体は簡単なため、数学の英語をしっかり覚えれば満点を十分狙えると思います。逆にいうと、米国では大学院の受験でこのレベルの算数を要求するのかという気持ちにもなりました(台形の面積を求めるとか)。

一方で、英語はTOEFLよりもさらに難しいレベルの問題が続きます。英単語に関しては、世の中にこれほどまでに皆目見当もつかない英単語が山ほどあるのか、というくらい高い語彙力が要求されます。

百聞は一見にしかずですので、GREが必要な人は早めに問題集に目を通した方が良いかもしれません。

出願書類

Statement of Purpose (SOP) / Curriculum Vitae (CV)
英語の試験勉強が大変なのもさることながら、受験に必要な書類作業もかなり骨の折れる作業です。

日本で言うと、SOPは志望理由書、CVは履歴書に相当します。

医学部医学科のことしか私はわかりませんが、多くの方は留学するまで、SOPのような志望動機を書いたことがないと思います。

SOP記載内容:
・自分が何をしたいのか、そのためにこれまでどんなストーリーを積み上げてきたのかについて(一般論ではなくパーソナルに)
・自身の目標を達成するために、なぜ米国でないとダメなのか、なぜMPHでないとダメなのか、について

私はこれに非常に苦労しました。初めて英語でケースレポートを書いたときと同じような大変さだったと思います。

CVも同様です。日本人の感覚からすると、履歴書なんて型にはまったテンプレートに必要事項を書いていけばいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、そもそもそのテンプレートがなく、書くべき項目もどこにも書いていません。

今でこそ知識がついたので、ある程度資料を探せば参考になるもの(例えば米国人MDがネット上に公開しているCVなど)があるよな、とすぐに思いつくようになりましたが、そもそも見たことも書いたこともない書類を作成することは非常に大変でした。

書類を作成する際、まずAGOSの添削サービスを利用しました。

最初の担当者があまり合わなかったので、すぐに変更を依頼しました。2人目の方は非常に懇切丁寧に指導してくださいました。

その他、過去に米国の大学院を卒業された方や臨床 / 研究留学された方、米国人内科医など、5-6人には自分が書いた文章を見てもらい、それぞれフィードバックを頂きました。

自分の書いた書類をHSPH卒業生に見てもらった時は、ほぼ全て赤字で塗り直され、30歳半ばにしてこんなに悔しい思いをするとは準備を始めた頃は思いもしませんでした。

しかし、私の最も幸運だったことは親切丁寧に自分のSOPやCVを何度も何度も見てくれる人がいたことです。何往復したかわからないほど、書類を推敲しました。それぞれのフィードバックを参考に英文を書き直していきました。

恐らく、一番のハードルはこういった書類を親身になって添削してくれる(出来る)人を複数見つけることかもしれません。

推薦状
推薦状の用意は最低3通は必要になります。

あまり良くないと思いますが、日本の文化から推薦状は自分で作成することが多いと思います。私は医局の教授、研修時代の上司、HMSのファカルティに依頼しました。

通常、米国人は1から作成してくれる事が多いですが、日本のものは自分で大枠を作成しました(1から作成してくれようとして下さいましたが)。

そして、この時に推薦状も戦略的になる必要があります。

私は、TOEFLのスコアも悪く、かろうじて奨学金を取ることができた以外はCV(Curriculum Vitae:履歴書)も強みがありませんでした。

前述のICRT-Japanのファカルティの推薦状がなければ、不合格となっていたと思います。私の知っている方では、HSPHが主催するサマーコースを前年度に受講することで、HSPHのファカルティから直接推薦状を書いてもらう作戦をとっている方もいらっしゃいました。

合格の最大のポイントは、やはり米国ならではの人脈作りだと思いますが、日本人の捉える「コネ」ともまた少し違うように感じました。基本的に推薦者は候補者を推薦することに責任を負っているので、推薦者が候補者に関して知り得た事実のみを推薦状に記載します。

例えば、私はHSPH時代にクリニカルフェローに応募するため、推薦状の依頼をHSPHのファカルティ、リサーチメンターの米国人外科医、途上国の手術ボランティアで知り合った米国人外科医に書いてもらいました。

しかし、大学院のファカルティは授業での取り組みについてのみ記載しますし、リサーチメンターは同じ外科医であっても一緒に行った研究や人柄についてのみ記載します。

ボランティアで知り合った外科医の推薦状にも、「開腹手術のスキルは十分あるが、途上国で腹腔鏡手術は行っていないのでわからない」と書いてありました。

これは、紹介する側も嘘を書いては、後日、紹介先との関係に悪影響を及ぼすため事実のみが書かれるのだと思います。当たり前と言えば当たり前ですが、私の留学前のイメージよりもかなり厳格に感じました。

なので、より良い推薦状を書いてもらうには、その先々で小さな挑戦を続け、小さな成功を収め続けていく必要があると思います。


もちろん誰に書いてもらうかは当然として、その人に自分のどの側面を記載してもらうかを意識することです。自分は臨床面、研究面、性格・リーダーシップ面をそれぞれ分けて記載してもらうようにしました。

A4のレターサイズ1枚に収まる文量で、CVやSOPには書いていない部分でアピールできるポイントを書いていただくようにしました。

これもなかなか一度では上手く書けず、これら一つ一つの推薦状の原案作成もSOPやCVと同じように大変な作業でした。

奨学金申請

私は、仮に大学院に合格しても奨学金を取ることができなければ留学は見送るつもりでした。

奨学金にはそれぞれ受験資格があります。私は受験当時すでに30歳を過ぎていたので、いくつかの奨学金はそもそも申請する資格がありませんでした。

年齢以外にも申請資格が団体によって細かく決められているので、自分に申請資格があるかどうかをよく確認してください。

また、締め切りが早いものだと入学の1年以上前に応募を締め切るものもあります。逆にいうと、この段階でTOEFLのスコアなどを揃えておく必要があり、財団側にこの人であれば大学院に合格し、間違いなく素晴らしい成果を上げてくれるであろうと思われるようなSOPやCV、推薦状を用意する必要があります。

どのような財団があるかは調べると割とすぐ出てきます。私は合計で七つの財団に応募しました。

どの財団でもTOEFLのスコアやSOP、CV、推薦状などの準備が必要になります。場合によっては、大学院の受験に作成する書類よりも膨大な量の文章を作成する必要があったり、面接やプレゼンが要求されます。

私が受けた財団はどれも倍率が10-20倍か、厳しいものだとさらに30倍近い倍率であったと記憶しています。つまり、奨学金を獲得することは大学院に合格するよりよっぽど難しいです。

これらの奨学金は公衆衛生大学院のみならず、様々な大学院を対象としておりますので当然と言えば当然です。

私自身は大変ありがたいことに、米日カウンシル渡邉利三寄付奨学金を受け取ることができました。留学中に、一度だけ米日カウンシル奨学生の集まりがありましたが、合倍率が高いのも納得のタレント集団で、終始周りから刺激を受けたことをよく覚えています。

無事、奨学金を受け取ることができると決まった時、「いよいよ留学が実現する」と思ったのと同時に、家族への負担、家族や両親への心配、金銭的な負担がいよいよ現実味を帯びてきました。

漠然と「もし失敗したらどうしよう」といった不安が強くなっていきました。

そのほか(面接対策など)

私の第一志望はMMSCIでしたので、HSPHとは違い、面接や自分がやりたい研究の研究デザインを書類にまとめて提出する必要がありました。

受験当時の私は理解できていなかったのですが、上記からもわかるようにMMSCIは修士課程ですが、あくまでもある程度知識を身につけた人が実践するのに良いプログラムだと思います。

面接対策もあまり当時はよく分かっておらず、MMSCI卒業生に連絡を取り、どのような質問をされたかなどを確認し、答えがスラスラ言えるように練習していました。

日本時間の夜中2-3時に面接があり、日程も急遽決まったため、勤務を調整した記憶があります。

面接では面接官6-7人から代わる代わる質問をされ、後日、MMSCIの卒業生とのミーティングもあり、恐らくそれも面接だったのかと思います。MMSCIの方がHSPHよりもさらに受験のプロセスは大変でした。

驚いた質問は、「MMSCI入学したらどこで研究予定か?メンターは誰か?」という質問でした。私はてっきり入学してから研究室を探すものと思っていたので、本当に自分の認識が甘かったと思います。


留学が始まると1-2年なんて一瞬で終わります。

確かに試験官の言う通り、どれだけ事前準備をしているかは非常に重要なので、留学がある程度現実味を帯びてきたら、実際に研究室にコンタクトを取り、本当に留学が決まったら、オンラインでPIとミーティングを開き、日本にいる段階から論文を読み漁り、研究デザインを作成し、なんなら論文を書き始めるくらいのつもりで準備をした方が良いと思います。

このような事情からも、留学前の私は一切研究の知識やスキルを持っていなかったので、MMSCIよりHSPHの方が向いていたのだと思います。


なお、HSPHに入学しても卒業後に次のポジションを狙う場合、上記とほぼ同じことをもう一度やることになります。

私は1年コースだったので、入学してから数ヶ月もしたらまたすぐにこの作業を繰り返すことになりました。

HSPHにはCareer Developmentの部署があり、どうやったらポジションが得られるか、SOP/CVの書き方、面接対策、LinkedInの使い方などのレクチャーや面談をしてくれます。

こちらのWebsiteから参考資料も参照できます。私が感じたことは、米国で修士課程のネイティブですら、就活でこれだけの準備をしていると言うことでした。

日本から、それよりさらに上のポジションを狙うということは、それ相当の準備やコネクションが必要になると感じました。

教材について

意外と良かったもの
TOEFLに関しては、音読・ディクテーションです。

好きなプレゼンテーションの動画を決めたら、それを暗記するほどディクテーションを繰り返すことがいいと思います。

それ以外で個人的に良かったものは、勉強して英語がペラペラ話せるようになったタイプの人たちのYouTubeを見ることでした。

生まれてから海外で過ごしていた人たちの英語はどこか別世界ですが、なんとか日本から独学で英語を勉強して話せるようになった人たちの英語にはよく勇気づけれられていました。

例えば、芸能人のGacktさんの発音の動画なんかは、非常に面白く、発音を向上させたいと思う方にはオススメです。

芸能人格付けランキングが演出かどうかはさておき、彼自身が一つのことを掘り下げて、自分の言葉で説明することができる人柄であることがよく伝わってきます。

あまり効果がなかったもの
受験準備中の片道30-40分の通勤中は、いつも英語のポッドキャストを聴いていました。

しかし、あまりこれでリスニングが伸びたという感覚はありません。受動的なリスニング自体があまり頭に入ってこず、留学前は何を言っているか正直よくわからないと言った感じでした。

帰国後に改めて同じポッドキャストを聞くと、こんなにゆっくり話してくれていたのかと驚いたことを覚えています。

他には、SpeakingやWritingの有料講座です。これらは、どのような形であれお金を払っても、たかだか数ヶ月対策したところで伸びない気がしました。

Wrtitingはまだしもですが、Speakingは純ジャパには限界があるように思います。Writingの対策なんかは、AIに何度も壁打ちした方が良い気もします(MPHを終えた今はWritingの面白さを実感していますが)。

しかし、英語の勉強方法で何が自分に合っているかどうかは、三者三様だと思います。大事なことは、何が自分に合っているか、いろいろ試してみて一番楽しく続けられそうなものを見つけることが良いと思います。

(続きはページの後半へ)

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受験期に大変だったこと

子育てとの両立

受験準備当時、私にはまだ4歳と1歳の子供がいました。

子供と遊びたい一方、時間も有限なので自分は寝かしつけながら多読したり、おんぶしながらパソコンでSOPやCVを作成していました。

夜泣きで起きたら抱っこ紐で抱っこしながら単語を覚えたりディクテーションし、寝たかなと思って横にしたらまた泣くのでおんぶして、単語を覚えて、といったことを繰り返していました。

大変でしたが、時間を有効に使うしかなかったので、そういった形になりました。

キャリアの葛藤

消化器外科医としてキャリアと人脈を築いてきていたため、近しい外科の先輩に公衆衛生大学院のことや移植以外での臨床留学について知っている人が非常に少なかったことです。

消化器外科はガラパゴス化した世界で、留学といえば基礎研究や移植外科の臨床留学が多く、それぞれ大学院留学とは違う戦略での留学になります。

海外大学院留学を経験した外科医は当時の自分の周りには一人も見つけることができず、周りの理解を得ることや、どうやって受験の戦略を立てるのかを親身に相談できる人がなかなか見つけられなかったことが、受験の準備の効率の悪さにも繋がってしまったかもしれません。

ファーストペンギンと言えばかっこいいですが、頼る人がいない中で道なき道を進まないといけない感覚は、ワクワクより不安が圧倒的に大きかったです。


またこれは日本人の特性なのかもしれませんが、先に米国に進出している人の中にも、なぜか後続に冷たいパターンもあります。藁にもすがる思いでコンタクトを取っても、なぜか全く協力的ではない人も少なくはなかったように思います。

私はこの経験から、声をかけてくれる人にはできる限りサポートしてあげたいと思っています。

金銭面での苦労

お金に関する悩みも尽きませんでした。奨学金は取れても、かなり厳しかったです。

私は所属する医局とも相談し、留学の前後では地方病院で常勤医師として勤務させていただきましたが、必ずしも全ての医局がこのように理解があるわけではないと思います。

留学前はまだ働き方改革の始まる前であったため、体力の続く限り当直を増やしていました。

比較的余裕のある病院でしたが、ずっと室内にいるストレスをこの時初めて実感し、お昼ご飯の時は駐車場に出て日光を浴びたりしていました。

精神的ストレス

最後はやはり精神的なストレスです。

HSPHに合格し奨学金を取れても、私はそこから更に次のポジションを狙っていたため、やらないといけないことがあまりに多くありました。こんなにも周りに迷惑をかけ、犠牲を払って、失敗したらどうしよう、といった不安に駆られていました。

どんな結果であれ、家族に胸を張って頑張ったと言えるよう努力しようと思い、自分を奮い立たせていました。この辛さは、正直なところHSPH入学後のボストンにいる間はずっと存在しました。

トロントに移ってから、現地で臨床現場を実際に見てみると、自分が思っていたものと違ったということもあり、リサーチフェローとしてトロントに行ったにも関わらず帰国を決意しました。

それでも、学生時代からずっと憧れていた臨床留学だったので、それをしないと決めたことに対し、自分はどう感じるのかと思っていました。

そして、現在もその状況は続いていますが、挑戦したことに対する後悔というのは全くありません。

留学前に自分がやりたいと思っていたことの7-8割ぐらいは出来たと思います。出来なかった2-3割に関しては臨床留学が主ですが、出来なかったことに対しての後悔というよりは、これはこれで一つの経験であり、この過程で十分成長したとすら感じています。

挑戦の先に後悔はないのではないか、というのが私の北米留学を終えた感想です。

受験生に伝えたいメッセージ

正直なところ、私はHSPHの受験をかなり舐めていました。

学歴ロンダリングのように揶揄する方もいらっしゃいますが、私もそう遠からず、当初受ければ受かるんでしょくらいに考えていた部分があります。

しかし、これまで書いた通り、少なくとも骨の折れる作業であることには変わりません。一方で、莫大な苦労を経た先には、間違いなく得難い経験があったと思います。

HSPHで受けられる授業の多くは、効率よく日本で得ることのできないものも多い印象です。

そして何より、授業だけでなく、海外の学生生活を体験すること、コンフォートゾーンをはるかに抜けること、海外でサバイブすること、学生生活や就職活動を通し米国の厳しさを知ること、マイノリティーを経験すること、世界をリードする米国にいる人たちの特性(考え方、得意不得意、コミュニケーションの取り方など)を知ることなどは、幾ら世界が小さくなったとは言え、現地に住まないことには分からないことだと思います。


MPH取得後の着地点に分かりやすいものが無いため、MPH取ったのになんだか上手く使えない、と周囲の人が認識しているパターンが多いように思います。

しかし、1-2年腰を据えて勉強をして何も身につかないなんてことはあり得ず、自分の中に根付いた知識・スキル・経験は確実に自分を成長させてくれていると思います。

周りにどう思われるかはそこまで重要ではなく(仕事を得るためにはある程度は必要ですが)、自分がやりたいことであれば正しくやって、世のため人のために、世界をより良くするために、得たものを思う存分発揮したら良いと思います。

もし学び足りないと思ったら、私のようにmJOHNSNOWに参加して、勉強し続けたらいいのだと思います。


やらぬ後悔よりやる後悔。因果推論的にいうと、本当はやりたかったのに、やらなかった時ほど「あ〜〜、あの時、自分は〇〇していたら、今もっと良い人生だったのに」という、後悔に繋がる反事実アウトカムを想起しやすいとされています。

前述の通り私の結論は「挑戦の先に後悔はない」です。後悔しないよう、自分のやりたいことが海外MPHであれば、円安やインフレに負けず、ぜひ挑戦してみてください。

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