
キャリア
【キャリア解説】産業医が描く実践と研究の往復書簡 - vol.2
2024.12.21
資本主義の次なるモデルを模索する公衆衛生学の研究者が、自身のキャリアを振り返り、環境を活かす姿勢、師匠の選び方、そして本当の研究テーマを見つけるまでの挑戦から得た三つの教訓を共有します。
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- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- キャリアシリーズ
- 執筆者の紹介
- 編集者
- 監修者
- 今のキャリアについて
- 「資本主義の次のモデルを考えたい」
- 【ヘルスケア人材のためのキャリア支援サービス mDAVINCI】
- そのキャリアにたどり着くために努力したこと
- ①自分がいる場所の恩恵を最大限受けられる環境に身を置く
- ②自分がかっこいいと思う人を師匠にする
- ③本当の研究テーマに出会うまで数をこなす
- そのキャリアを目指す人へのメッセージ
- 引用文献
- 先人の多様な知識と経験に学び、パブリックヘルスのキャリアパスを築くならmJOHNSNOW!
- 【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
自分のいる環境からの医学分野の専門性の身につけ方
医学研究のテーマの探し方
産業保健研究の進め方
この記事は誰に向けて書いているか
医師としてどこの環境に身をおくか悩んでいる方
医師として何を研究テーマにするか悩んでいる方
産業医に興味がある医師
キャリアシリーズ
新谷歩教授インタビュー
- Part 1:アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに
- Part 2:アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに
vol.10:アカデミアからグローバル製薬企業へ - 医師&研究者が語る海外キャリアチェンジの実情とヒント
vol.30-1:ある総合内科医の15年 (前編) - 学びを求めて飛び込んだ、建築途中の病院へ
vol.30-2:ある総合内科医の15年 (前編) - 臨床・教育・研究をつなぎ、ロールモデルを築くまで
執筆者の紹介
氏名:酒井洸典(researchmap:https://researchmap.jp/kosukesakai)
所属:東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学
自己紹介:医師、産業医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医、産業衛生専門医、産業衛生学修士、産業衛生学博士。産業医科大学を卒業後、新日鐵住金株式会社、住友電気工業株式会社で専属産業医として働きながら、専門医や博士号を取得。現在は東海大学医学部に所属し、公衆衛生学、産業医学の教育と研究に励んでいる。
編集者
氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に対する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。
監修者
氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。
今のキャリアについて
「資本主義の次のモデルを考えたい」
そんな思いから、私は公衆衛生学の教員として活動しています。
教員となるにあたり壮大なテーマを掲げたのは良いものの、その抽象性ゆえに、何から手をつければ良いのか悩む日々が続いています。
それでも、目の前の研究に取り組みながら一歩ずつ進んでいます。
「資本主義の次なるモデルを模索する」という目標は、単なる理論的・学術的探求にとどまりません。
現実社会で働く人々の健康や福祉、さらには社会全体の持続可能性を向上させるための実践的な取り組みでもあります。
この果てしない探求こそが、私にとって最高のテーマであると確信しています。
私は産業医科大学(産業医大)の医学部を卒業後、長崎県で初期研修を行いました。
その後、大企業の専属産業医や中小企業の嘱託産業医として実務経験を積み、2024年4月より研究者としてのキャリアをスタートさせました。
疫学の勉強を始めようとした矢先、mJOHNSNOWを通じて、高校時代の学友である廣瀬君と感動の再会を果たしました。
今回、執筆の機会をいただいたのでこれまでのキャリアを振り返ってみようと思います。
幸運なことに、私は友人や先輩方から多くの支援をいただき、充実した研究生活を送っています。
本稿では、これまでの歩みを振り返りつつ、研究者を志す方々に少しでも参考となるような情報をお届けできればと思います。
(続きはページの後半へ)
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そのキャリアにたどり着くために努力したこと
お伝えしたいのは、自分のキャリアを築く際に大切にしてきた三つの視点です。
①自分がいる場所の恩恵を最大限受けられる環境に身を置く
「医者になりたい」
そう思い立ち、国立大学や学費の比較的安い産業医科大学(産業医大)を受験しました。
そして、合格したのが産業医大でした。
そんな経緯で学生生活がスタートしましたが、当初は漠然と「なんとなく爽やかなイメージがあるから整形外科医になろう」と思っていました。
しかし、大学3年生で配属された基礎研究室が、その後のキャリアに大きな影響を与えることになります。
その研究室は産業保健経営学の分野で、労働安全衛生システムをどのように企業内で構築するか、また、経営学の観点から働く人々の健康を考える際にどのような課題があるのかを研究する場所でした。
研究室では、実際の産業医活動に同行する機会をいただき、若手産業医の先生方との勉強会に参加させていただく機会に恵まれました。
そうした経験の中で、産業医学について熱く語る先輩方に出会い、次第にその分野に興味を持つようになりました。
この研究室との出会いが、現在のキャリアにつながる最初のきっかけとなりました。
産業医科大学は、産業医を養成するために設立された日本唯一の大学です。
大学病院の裏手に位置する産業生態科学研究所には、10を超える産業医学関連の研究室があり、多様な研究が進められています。
産業医学が公衆衛生学の一分野であることを踏まえると、これほど目的が明確化され、研究環境が整った大学は世界的にも稀有だと言われています。
この環境で専門医課程を修了し、産業医学を学べたことは、私にとって最高の選択だったと感じています。
仮にもう一度医学生に戻るとしても、迷わず産業医学を専門に選ぶでしょう。なぜなら、ここには多くのチャンスがあるからです。
「医者になりたい」という漠然とした動機で進学した医学部が、たまたまある分野において圧倒的な専門性を身に付けられる環境でした。
このような幸運に恵まれた場合、よほど他に強い関心がない限り、その環境を活かすべきだと思います。
専門家としての道を歩む上で重要なのは、最初に身を置く環境がいかに多くのチャンスを提供してくれるかです。
専門家は、誰でも初めは何者でもないところから始まると思います。
専門性を身に着けていく過程では、様々な経験を積み上げるチャンスに恵まれなければいけません。
一流の脳外科医になりたいのに、手術の機会がほとんどない病院にいてはその夢は実現しません。
キャリアを選択する際に重要なのは、
自分の興味を持つ分野で最大限のチャンスを得られる環境に飛び込むか、
あるいは飛び込んだ環境の中で最も多くのチャンスが巡ってくる場所を選び取ること
だと思います。
②自分がかっこいいと思う人を師匠にする
キャリアを築く上で重要なことの一つは、「自分が尊敬し、かっこいいと思う人を師匠にする」ことです。
ただし、師匠を選ぶことには難しい側面もあります。
というのも、特定の分野での専門性を身に付ける前には、その分野で誰が良い師匠であるかを自分で判断するのが難しいからです。
医学生が、専門的な知識や技術を持つ前に理想的な師匠を見つけるのは、理論的にほとんど不可能だと言えるでしょう。
そのため、まずは人間的な魅力を基準に師匠を選ぶことが大切だと思います。
キャリア形成において、単に知識や技術を教えてくれるだけの人ではなく、自分が「この人のようになりたい」と思える人物を見つけることが重要です。
特に現在、医師のキャリア選択の幅は広がっており、従来のように「部活の先輩がいる大学の医局に入る」という流れが必須ではなくなっています。
その分、選択の自由が増えた一方で、どの道を選ぶべきか迷う場面も多くなっているのではないかと思います。
私自身は、「この人の考え方や研究姿勢を自分も持ちたい」と心から思える方を師匠に選びました。この選択は間違っていなかったと確信しています。
さて、私が「研究ができるようになりたい」と強く思うようになったのは、研修医時代の経験がきっかけです。
私は長崎医療センターで研修医として勤務する機会に恵まれました。この病院は、日本の初期研修制度が始まったとされる歴史ある病院で、若手医師を育成しようという雰囲気に満ちていました。
同僚の研修医仲間とともに最高の教育を受けることができたと感じています。
特に印象深かったのは、臨床で生じた疑問をその日のうちに論文を読んで解決するというトレーニングです。この経験は非常にハードでしたが、EBM(Evidence-Based Medicine)の概念を実践的に身につける上で、何にも代えがたい財産となりました。
また、臨床業務の忙しさの中でも、臨床研究に取り組み、論文を執筆する指導医の存在がありました。
その指導医は、膨大な知識に裏付けられた高い臨床能力を持ち、それをさらに高めようとする探求心に溢れていました。
その姿に感動し、「自分もいつかあんなふうに研究ができるようになりたい」と強く思うようになりました。
③本当の研究テーマに出会うまで数をこなす
私は初期研修を終えた後、新日鐵住金株式会社(現:日本製鉄株式会社)で専属産業医として働き始めました。
鉄鋼業は「産業保健のデパート」と呼ばれ、有機溶剤や特別管理物質、放射線、騒音、重量物、熱中症対策、長時間労働、交代勤務、メンタルヘルスなど、幅広い課題に対応する必要があります。
機械化が進んでも、人の手でしかできない作業は多く残されており、労働による病気や怪我をいかに予防し、発生した場合にはどのように職場復帰をサポートするかが問われます。
1年間という短い期間でしたが、30年以上勤務している指導医と議論を重ね、産業医としての基礎を徹底的に叩き込まれました。この期間に、研修医時代のエビデンス偏重だった自分の視点を補正していただけたように感じています。
その後、産業医科大学に戻り、2年間修練医(後期研修医)として活動しました。
約10か所の事業所で嘱託産業医を務めつつ、産業保健に関する座学研修を受け、大学院での研究も始めました。
研究活動を始めた当初は、自分でテーマを決めることが難しかったため、研究室で取り扱っていた「プレゼンティーズム(病気や症状により本来のパフォーマンスを発揮できない状態)」をテーマとして与えられ、腰痛とプレゼンティーズムの関連について研究を進めました[1]。
この研究では、プレゼンティーズムの程度が高いほど市販薬の利用や医療機関への受診が増える一方で、セルフケアを行う人が少ないことが明らかになり、腰痛対策におけるセルフケア推進の重要性が確認されました。
また、働く人のアンケート回答過程を明らかにするため、プレゼンティーズムの程度が高いと判定された人を対象にインターネット調査を行い、職場の新たな課題を発見しました[2]。
この経験を通じて、現場の課題解決に直結する研究に取り組む意欲が高まりました。
その後、修士号を取得し、博士課程へ進みました。
大学での修練医としての2年間のトレーニングを経て、住友電気工業株式会社で専属産業医として働くことになりました。
はじめて指導医のいない環境で産業医として勤務することとなり、週に4日間産業医として勤務し、残りの3日は研究をする生活がスタートしました。
労働安全衛生法では従業員50名以上で嘱託産業医、1000人以上で専属産業医の選任が事業主に義務付けられています。
ということは、小規模であれば、産業保健へのアクセスは少ないのではないかと考えました。また、そういうところに限って、危険で有害な仕事につかなければならない人々がいることも予想されました。
そこで、非正規労働者が労働安全衛生の支援をどの程度受けられていないのかを明らかにすることを最初のテーマに設定しました。
結果は予想通り、派遣社員やパートタイマーは支援を得られていない状況にあることが明らかになりました[3]。
専属産業医として、会社で取得したデータをもとに論文を書くということにも挑戦しました。
ワークエンゲージメントが高い上司は、低い上司と違って部下にどのような支援をしているのかをテキストマイニングで明らかにしました。
管理職を対象に「部下が活き活きと健康に働けるようにあなたはどのような支援や配慮を行っていますか」という質問で、自由回答を求め、テキストデータを収集しました。
結果は、ワークエンゲージメントが高い上司は、情報発信や収集を示唆する言葉(聞く、伝える、相談するなど)を多く使用し、支援の丁寧さを示唆する言葉(毎日、日常的に、定期的になど)を多く記述していました[4]。
これらの成果は企業のプレスリリースにも採用され、産学連携の成功事例として評価されました。

その後、テキストマイニングの可能性に強く惹かれ、全国の保健所職員を対象にした感染症パンデミックへの課題抽出を行いました[5]。
全国の保健所や自治体で働く人を対象に「将来の感染症パンデミックに向けて、保健所の改善するべき課題にはどのようなものがありますか」と自由回答を求め、その内容をテキストマイニングすることによって、新型コロナウイルス感染症の教訓からみえてきた八つの課題をまとめました。
健康経営度調査票の記述をもとに企業のヘルスプロモーションの動機とその評価の関連性をテキストマイニングで明らかにすることで、どのような動機で健康経営を行っている企業が高く評価されているかを明らかにしました[6]。
また、過去30年間の産業医学における研究テーマの変遷をテキストマイニングで明らかにする研究[7]では、資本主義やグローバリゼーションの影響を受けた研究の潮流を示し、トップジャーナルに掲載されました。
テキストマイニングには、これまで十分に扱いきれなかった文字データを数量化して分析できる強みを持ちます。今後も様々な研究テーマに応用し、方法論としての可能性を追究したいと考えています。
また、今後は日本が高齢化社会として世界をリードすることに着目し、高年齢労働者をテーマとした研究にも取り組みました。
高年齢労働者30名にインタビューして就業継続の影響要因を特定し、その後、インターネット調査で就業継続意思との関連を調査しました。インタビューで特定した影響要因が、本当に就業継続の意思と関連しているのか定量的に評価する混合研究法を行いました[8]。
実際にいくらか関連のない項目があったため、質的研究だけでは導き出せなかった結果に至り、混合研究法の価値を実感しました。
同時に、高年齢労働者のOccupational Future Time Perspective(将来へのキャリア展望尺度)との関連要因を調べた研究にも取り組みました[9]。
高年齢労働者の研究は、現在も助成金を受け、継続的に取り組むことができています。日本だからこそできるエビデンス創出なので、研究意欲は高まります。
気づけば研究の面白さに魅了され、自分の中で「本格的に研究に取り組みたい」と思うようになりました。
そこで、現在の研究室の先生より、ポストが空いたことを教えていただき、アプライすることになりました。
当時は、博士課程に在学中でしたが、無事に採用されました。博士課程での論文は8本を超え、夏には早期修了となりました。
専属産業医として企業での活動に関してもきちんと記録に残したいと考えたため、実践報告という形での論文化にも挑戦しました[10]。
ここまで、私が研究テーマをどのようにして決めていったかを振り返ってみました。
本来、研究テーマは自分で考えるべきとされていますが、自分にとっては、まず与えられたテーマに取り組むことの重要性を実感しました。
それが成果を出し、論文を発表する成功体験につながりました。
学ばなければならないことは果てしなくあります。まずは軌道に乗せていただいた指導医の先生にはとても感謝しています。
その後、すこしずつコツを習得していく中で自分でもできそうな興味のあるテーマに挑んでいきました。興味や関心は、少しずつシフトしていくものだと思います。
たくさんのテーマに取り組む中で、本当に取り組みたいことがやっと分かってきたように感じています。
その後、自分の興味や関心が徐々に明確化する中で、「資本主義の次のモデルを考える」というテーマにたどり着きました。
非正規労働者の研究、産業医学の書誌学研究、高年齢労働者の研究を通じて、資本主義という巨大な社会システムが抱える課題をどう解決し、人々の健康と福祉を実現する新たなモデルを提案するかという問いが常に頭をよぎるようになりました。
このテーマは、時間を忘れるほどに没頭できるものであり、産業医学にとどまらず哲学や経済学、社会学の知識を活かす必要があるため、決して飽きることのない挑戦だと感じています。
まだまだ研究者として踏み出したばかりですが、いくらかの論文を書く経験の中でやっと自分が追究したいテーマに出会えたように感じています。
そのキャリアを目指す人へのメッセージ
医師としての9年目がそろそろ終わろうとしています。この文章を執筆するにあたり、これまでのキャリアを振り返る貴重な機会を得ました。充実した研究生活を送れている背景には、自分が大切にしてきた以下の三つの姿勢があると感じています。
1.自分がいる場所の恩恵を最も受けられる環境に身を置く
2.自分がかっこいいと思う人を師匠にする
3.本当の研究テーマに出会うまで数をこなすこれらの視点が、mJOHNSNOWで学ぶ皆さんや、身を置く環境、研究テーマに悩める全ての医師のキャリア形成のヒントとして、少しでもお役に立てれば幸いです。もし私の研究に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。一緒に研究しましょう!
引用文献
Sakai, K., Nagata, T., Nagata, M., Kajiki, S., Fujino, Y., & Mori, K. Relationship between impaired work function and coping behaviors in workers with low back pain. Journal of Occupational Health, 63(1), e12272 (2021).
Sakai, K., Nagata, T., Nagata, M., Fujino, Y., & Mori, K. The new practice of interviews focusing on presenteeism provides additional opportunities to find occupational health issues. Environmental and Occupational Health Practice, 4(1), 2021-0021-GP (2022).
Sakai, K., Nagata, T., Odagami, K., Adi, N. P., Nagata, M., & Mori, K. Inequality in workplace support for various types of precarious workers compared with permanent workers in Japan: A cross-sectional study. Journal of Occupational Health, 65(1), e12431 (2023).
Sakai, K., Nagata, T., Odagami, K., Nagata, M., Mori, T., & Mori, K. Supervisors’ work engagement is associated with interactivity and carefulness in supporting subordinates: A cross-sectional study using text mining in japan: A cross-sectional study using text mining in japan. Journal of Occupational and Environmental Medicine, 65(7), e465–e471 (2023).
Sakai, K., Igarashi, Y., Tounai, S., Shirai, C., Tsurugi, Y., Kakuno, F., Komasa, Y., Fujimura, M., Uruha, M., Mori, K., & Tateishi, S. Key issues in Japan’s public health centers to prepare for future pandemics: a text mining study using a topic model. BMC Health Services Research, 24(1), 636 (2023).
Sakai, K., Nakazawa, S., Furuya, Y., Fukai, K., Tatemichi, M. Corporate motivation and performance to participate in the government-led health productivity and management initiatives in Japan: a cross-sectional study using text mining. Journal of Occupational and Environmental Medicine (in press)
Sakai, K., Nagata, T., Mori, T., Inoue, S., Fujiwara, H., Odagami, K., Adi, N. P., Tatemichi, M., & Mori, K. Research topics in occupational medicine, 1990-2022: A text-mining-applied bibliometric study. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 50(7), 567–576 (2024).
Sakai, K., Nagata, T., Mori, T., Sueyoshi, N., Inoue, S., Odagami, K., Shibata, Y., & Mori, K. Determinants of job continuity among older workers: a mixed-methods research in Japan. Industrial Health, 2024–0081 (2024b).
Sakai, K., Nagata, T., Mori, T., Sueyoshi, N., Inoue, S., Odagami, K., Shibata, Y., & Mori, K. The individual and work-related factors associated with the occupational future time perspective: A cross-sectional study of older workers in Japan. Journal of Occupational Health, 66(1), uiae032 (2024a).
Sakai, K., Mori, T. How can occupational physicians communicate effectively? The practices of lunchtime consultation room and web page on the Intranet. Health development. (in press)
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