2025.8.6

【科研費 申請書書き方のコツ】科研費「不採択」から再挑戦するあなたへ:「採択される」戦略を徹底解説  - vol.5

    この記事では、科研費の不採択の経験を経て、数々の科研費採択を果たしてきた筆者が、科研費に不採択となっても再チャレンジを目指す方に向けて、採択に近づくための工夫や改善点を解説しています。

    科研費全体の採択率は約3割であるため、申請者の約7割が不採択となっています。つまり、科研費に落ちることは珍しいことではありません。むしろ、多くの研究者が不採択を経験しながら採択に至るプロセスを積み重ねています。

    本項では、「不採択」という結果を次の採択につなげるために、どのような行動をとるべきかを整理し、具体的な不採択の原因の分析や改善に向けた具体的な戦略を紹介します。

    次の申請に向けた準備の一助としてお役立ていただけましたら幸いです。

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    この記事のまとめ

    この記事を読むと分かること

    • 科研費に不採択となった後にやること

    • 採択者が申請書を書く際に意識していること

    • 採択される申請書の具体的な工夫・書き方

    この記事は誰に向けて書かれているのか

    • 科研費の申請に落ちて自信を無くしている方

    • 科研費申請書の書き方に悩んでいる方

    • 採択された方の経験談を知りたい方

    採択者が語る研究助成金・奨学金申請書書き方のコツ

    【研究助成金 申請書書き方のコツ】

    • vol.1:科研費とは何かを知り、スタートで差をつけろ - 複数採択歴のある研究者が解説

    • vol.2:「審査員の視点」で申請書を徹底解説 - 複数採択歴のある研究者が解説

    • vol.3:採択確率を上げる第三者チェックという裏ワザ - 複数採択歴のある研究者が解説

    • vol.4:具体例で学ぶ「採択される研究計画調書」の書き方 - 審査員経験者が徹底解説

    • vol.5:科研費「不採択」から再挑戦するあなたへ - 「採択される」戦略を徹底解説 (本記事)

    • vol.6:具体例で学ぶ「採択される予算計画」の書き方 - 審査員経験者が徹底解説

    • vol.7:科研費を継続して獲得するための「具体的戦略」 - 採択経験者が徹底解説

    執筆者の紹介

    氏 名:匿名
    所 属:大学常勤教員
    専門性:専門は運動疫学・社会疫学。看護学部にて健康科学、公衆衛生、疫学の教育を行うとともに、身体活動を促進する社会環境や健康以外のアウトカムに対する運動・スポーツの効果に関する研究に従事。科研費は初めて申請した研究活動スタート支援にて不採択を経験するも、その後、研究代表者として継続して5件の獲得経験を有する。

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    1.はじめに(科研費の審査結果を確認する)

    例年、各研究種目の審査通知の日にはSNSが賑わいます。

    採択報告が飛び交う中、不採択であった時の無力感や喪失感はうまく言葉にできません。しかし、いつまでも落ち込んでいても、不採択という結果が変わることはありません。

    冷静に振り返り、そして次への第一歩をすぐに踏み出すことが大切です。

    ※科研費の審査結果通知の日程は以下より確認できます。

    科学研究費助成事業(科研費)公募から交付決定までのスケジュール(予定)https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/02_schedule/index.html

    1-1.結果の開示

    科研費の審査結果に基づく採択・不採択の結果は、電子申請システムにより研究代表者及び研究機関に通知されます。

    研究種目によって異なりますが、「基盤研究(B・C)」、「若手研究」、「挑戦的研究 (萌芽)」等では、応募時に開示希望のあった研究代表者に対し、書面審査の結果について、不採択となった課題の中でのおおよその順位評定要素ごとに本人の平均点と採択課題の平均点審査委員が不十分であると評価した具体的な項目応募研究経費の妥当性などの情報が開示されます。

    ※「総合審査」を行う「特別推進研究」や「基盤研究(S)」、「基盤研究(A)(応募区分「一般」)」の他、 「挑戦的研究(開拓)」、「国際先導研究」の応募課題のうち、書面審査及び合議審査の対象となった課題では、採択・不採択に関わらず応募課題ごとに審査結果の所見をまとめて研究代表者に開示されます。

    参考:独立行政法人日本学術振興会 科研費FAQ R7.7版より
    https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf

    これら審査結果の情報は、自分の申請書の位置関係や採択された申請書との具体的な違い、改善点を知るために大変貴重な評価となりますので、応募時には必ず開示希望をすることをお勧めします。

    1-2.審査結果の内容

    以下は、筆者が不採択となった「研究活動スタート支援」の審査結果です。

    審査結果

    審査結果には、応募者が申請した種目・区分の応募件数と採択件数、採択率が示され、採択されなかった研究課題全体の中での書面審査の総合評点に基づくおおよその順位がA〜Cの3段階で示されます。

    つまり、これらの評価をみれば自分の申請書の位置(レベル)がわかります。

    また、評定の要素として、

    • 研究課題の学術的重要性

    • 研究方法の妥当性

    • 研究遂行能力及び研究環境の適切性

    の三つの観点(筆者が不採択となった年度は五つの観点)で、自分の評定要素ごとの平均点と採択された課題の平均点が記載されています。


    これらの観点には詳細な項目があり、

    4 優れている
    3 良好である
    2 やや不十分である
    1 不十分である

    の評定基準に基づき4点満点で評価されます。

    評定要素の平均点

    ※現在は以下の3観点での評定要素

    評定要素

    項目

    審査委員の数

    ①研究課題の学術的重要性

    ・学術的に見て、推進すべき重要な研究課題であるか

    ・研究課題の核心となる学術的「問い」は明確であり、学術的独自性や創造性が認められるか

    ・研究計画の着想に至る経緯や、関連する国内外の研究動向と研究の位置づけは明確であるか

    **

    ・本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できるか

    ②研究方法の妥当性

    ・研究目的を達成するため、研究方法等は具体的かつ適切であるか。また、研究経費は研究計画と整合性がとれたものとなっているか

    ・研究目的を達成するための準備状況は適切であるか

    ③研究遂行能力及び研究環境の適切性

    ・これまでの研究活動等から見て、研究計画に必要な十分な遂行能力を有しているか

    ・研究計画の遂行に必要な研究施設・設備・資料等、研究環境は整っているか

    評定に「2(やや不十分である)」又は「1(不十分である)」と評価された項目には、その評価をした審査員の人数分のアスタリスク(*)がつきます。

    1-3.審査結果は「最良のアドバイス」

    つまり、これらの審査結果から、自分の申請書の評定要素がどのくらいで、どの項目において「不十分」や「やや不十分」とされたのか(またはされていないのか)を確認することで、どの部分を重点的に改善すべきかが明確になります。

    審査結果は、「科研費を獲得する」という正解を導くための最大のヒントを教えてくれています。

    自分の研究計画や申請書の内容に対する最高の第三者評価となりますので、単なる「評価」として位置付けるのではなく、「最良のアドバイス」として、具体的に改善すべきポイントを綿密に検討・分析することが大切です。

    2.審査結果に基づいて、具体的な改善ポイントを分析する

    研究課題の選定について、「独立行政法人日本学術振興会が行う科学研究費助成事業の審査の基本的考え方」には次のように提示されています。

    「研究課題の選定に当たっては、研究目的の明確さ、研究の独創性、当該学問分野及び関連学問分野への貢献度等を考慮するとともに、当該研究者の従来の研究成果をも厳正に評価し(「挑戦的萌芽研究」を除く。)、研究成果が期待できるものを選定するようにする。」https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_0103_shinsakitei_g_3645/kangaekata20250528.pdf

    「審査委員」はこの考え方と評定要素に基づき、「申請書」と「申請者(研究者)」を評価します。

    具体的な改善点を考える上で、科研費の申請には以下の三つが関わることを常に念頭に置き、それぞれの質を高める必要があります。

    • 審査委員を意識した申請書の体裁

    • 研究課題の内容

    • 申請者の研究遂行能力

    2-1. 審査委員を意識していない申請書の体裁が原因?

    本質的には申請書の内容が最重要ではありますが、現実的には、「審査委員は多忙な中で多くの申請書を評価している」ということを念頭に置くことが大切です。

    そのため、最初に見るであろうタイトルや1ページ目の印象はとても大切です。

    ぱっと見て「読みたくない」と思われた時点で高評価が得られず、その先をじっくり読んでもらえないかもしれません。

    もちろん、各申請書に対する評価コメントを書く必要があるため、申請書に目を通してくれるとは思いますが、好意的には読んでくれない可能性が高いと考えられます。

    申請書の体裁については、「みやすく」「わかりやすく」は大前提ですが、「疑問や違和感をもたせない」ことも大切です。


    科研費の申請書には、以下のように設問の枠内に注意書き(決まり)が記されています。

    書式の決まり

    研究目的、研究方法などの項目では、「本文には(1)~(5)を記述すること」とあります。

    審査委員はこれらの項目について評価をしていきます。

    例えば、研究課題の核心をなす学術的「問い」がどこに記載されているかがわかりにくいと、審査委員は「読み手(審査委員)に対して不親切」と感じ、研究計画全体に対しても同様の印象を持つ可能性があります。

    申請書で求められているルールに従った上で、みやすく、わかりやすく、読みたくないと思われないように、体裁を整えることが重要です。

    論文投稿において、投稿規定に従っていない論文は査読してもらえないように、まずは、科研費申請書のルールに準じて記載し、申請書の内容をしっかりと見てもらえる土俵にあがる必要があります。

    2-2.研究課題の内容が原因?

    審査の評定要素が明記されているということは、それらの質を高めることで採択に繋がる可能性が高まることが考えられます。

    ①研究課題の学術的重要性
    ②研究方法の妥当性については、以下の FINER と PECO/PICO を意識することで研究計画の内容が強化され、その質が向上します。

    ■ FINER

    • Feasible(実行可能性)

    • Interesting(面白さ、興味深さ)

    • Novel(新規性)

    • Ethical(倫理的妥当性)

    • Relevant(社会的・学術的意義)

    ■ PECO/PICO

    • P(Participants, Patients, Population):誰を対象とするのか

    • E/I(Exposure/Intervention):知りたい原因(要因)/介入内容は何?

    • C(Comparison):何と比べて?比較する者は何?

    • O(Outcome):知りたい結果は?

    ① 学術的重要性
    自身の研究に対して、FINERの個別の要素を以下のように問いかけることで、その学術的重要性を自分自身で再認識できます。

    • その研究は、これまでの研究と何が違うの?どんな知見が得られるの?(新規性、面白さ、学術的重要性)

    • その研究によって社会はどう良くなるの?(社会的意義)

    • それを本当にあなたができるの?やって問題ないの?(実行可能性、倫理的妥当性)

    これらの問いに対する回答を明確にすることにより、研究課題の学術的重要性における各項目(記載すべき内容)の骨子をまとめることができると思います。


    しかし、科研費を獲得することを出発点にして考えられた研究課題では、これらの問いに対する回答が取ってつけたものとなり、明確な回答にならないと思います。

    そもそもなぜ科研費に申請をするのか?大切なのは、健康課題・社会課題(リサーチクエスチョン)を解決したいというモチベーションです。

    研究費を獲得したいから研究課題を考えるのではなく、解決したい研究課題があるから、研究費を申請する。という流れであれば、想いのこもった申請書になる気がします。

    学術的重要性を意識した研究計画調書の書き方について、こちらの記事でも詳しく解説しています。

    採択者が語る科研費獲得のコツ
    【科研費 申請書書き方のコツ】具体例で学ぶ「採択される研究計画調書」の書き方 - 審査員経験者が徹底解説 - vol.4

    ② 研究方法の妥当性
    PECO/PICO を明確にすることにより、研究方法の妥当性の基本構造を整えることができます。

    背景からの流れと研究方法に一貫性があれば、審査委員もその妥当性をスムーズに理解し、納得感を感じてもらえると思います。

    特に以下の内容を具体化することにより、研究方法の解像度・妥当性が向上することでしょう。

    • 対象者(P)はどのように選択するのか

    • 知りたい要因(E/I)と結果(O)の測定方法は何を用いて評価するのか(妥当性・信頼性は確認されているのか)

    • E と O の関係を、どこまで明らかにできる研究デザインなのか

    2-3.研究遂行能力が原因?

    研究遂行能力は、先述した FINER の Feasible(実行可能性)にも含まれる概念ですが、「本当にあなたにその研究を実施できるのか?」という問いに答えられるかです。

    審査委員の中には、まずタイトルと研究目的に目を通し次に業績リストを確認して全体の印象をつかんでから研究内容を読み進めていく、という方もいるようです。

    参考:中嶋亮太, 狙って獲りに行く!科研費 採択される申請書のまとめ方.すばる舎

    科研費の審査の手引きには「researchmap及び科学研究費助成事業データベース(KAKEN)の利用について 令和元(2019)年度の審査より、電子審査システムから researchmap 及び科学研究費助成事業データベース(KAKEN)の掲載情報を、直接リンクを張る形で必要に応じて参照できるようになりました。」とあります。

    令和6(2024)年度 科学研究費助成事業 基盤研究(B・C)(応募区分「一般」)、若手研究 審査の手引 https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_0103_r6_g_2303/r06_tebiki04_kibanbcwakate.pdf

    審査は研究計画調書に基づいて行うことが基本とされていますが、researchmap科学研究費助成事業データベースhttps://kaken.nii.ac.jp/ の利用は、研究計画調書に記載された内容に対する研究遂行能力を確認するための参考にされることが想定されています。

    「絵に描いた餅」になりそうな研究課題に税金を投入することはためらわれます。

    申請者がこれまで何をやってきたのか、申請書のストーリーに沿った研究成果を出しているか(論文を書いているかどうか)は、申請内容の信頼性や実行可能性の重要な根拠となります。

    3.次の科研費獲得に向けて実践すべきこと

    3-1.審査区分を再考する

    科研費では、各審査区分に専門分野の異なる審査員が配置されます。どの審査区分を選ぶかによって、審査する専門家の「目線」や「評価基準」が異なってくるため、研究内容と審査員の専門性がかけ離れていると、適正な評価が得られにくくなります。

    2018年度からは基盤研究(S・A・B・C)挑戦的研究(開拓・萌芽)若手研究については、「系・分野・分科・細目表」を廃止し、「小区分(基盤研究B, C)、中区分(基盤研究A, 挑戦的研究 [開拓・萌芽])、大区分(基盤研究S)」で公募・審査が行われています。

    科学研究費助成事業 公募情報 審査区分表等
    https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/02_koubo/shinsakubun.html

    ① 審査区分の参考と要素
    自分の研究と類似のテーマ」が多く採択されている審査区分、及び審査委員の専門性や審査区分ごとの採択率を把握することも参考になります。


    ② 審査区分・採択率の確認
    KAKENデータベースを使い、自分の研究と似たテーマがどの区分で採択されているかを確認できます。

    同じ中区分(類似の審査区分)でも、小区分ごとに採択される研究内容の傾向が異なるため、たとえば「実験系の課題が採択されやすく、自分のテーマが採択されにくい傾向がある区分は避ける」といった判断材料にもなります。

    また、各区分ごとに採択率や採択件数に違いがあるため、自身の研究テーマが採択されやすい審査区分の傾向を把握することが参考となります。

    ただし、採択率の差がわずかである場合には、研究内容との親和性を重視することが推奨されます。


    ③ 過去の審査委員の確認
    日本学術振興会の審査委員名簿https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/14_kouho/meibo.html)から、各審査区分に所属する委員を確認し、researchmap等で審査委員の専門性や業績を調べることで、自身の研究テーマと親和性のある分野の専門家が審査に関わっている区分を把握することできます。

    3-2.審査結果に基づき、申請書を刷新する

    筆者が不採択となった研究活動スタート支援の審査委員の所見は以下の通りでした。
    (※過去の年度のものであるため、評定要素が5観点になっています)

    研究活動スタート支援の審査委員の所見

    「研究目的を達成するため、研究計画は十分練られたものになっているか」
    「研究計画を遂行する上で、当初計画通りに進まない時の対応など、多方面からの検討状況は考慮されているか」
    「これまでの研究業績等から見て、研究計画に対する高い遂行能力を有していると判断できるか」

    上記の三つの評価項目について、「2(やや不十分である)又は「1(不十分である)」と評価されていました。

    この結果を踏まえ、研究目的の記述を見直すとともに、インターネット上で公開されている採択された申請書(科研費.com:https://kakenhi.com/など)を可能な限り収集しました。


    また、科研費に獲得に関する書籍児島将康.科研費獲得の方法とコツ.羊土社中嶋亮太.狙って獲りに行く!科研費 採択される申請書のまとめ方. すばる舎)も参考に、採択された申請書と不採択であった申請書の違いを分析し、改善点を抽出しました。

    その結果、やはり審査委員の所見の通り、「研究方法に関する内容・分量ともに不十分で、わかりにくい」といった初歩的な問題が明確になりました。

    改めて時間を置いて自分の申請書を読み直すと、「なぜこれで通ると期待していたのか…」と恥ずかしくなりました。


    例として、不採択であった方法の図と、採択された方法の図を提示します。

    不採択であった方法の図と、採択された方法の図

    ※この図が最適ではないと思いますが、図を変更したことによって、少なくとも不採択の図よりは審査委員に研究方法を理解していただいたのかもしれません。

    審査委員は毎回変わりますので絶対的な正解はありませんが、どんな審査委員に対しても、まずは好意的にみてもらえる申請書の体裁と研究課題の内容を精査することが大切です。

    3-3.研究遂行能力を高める

    申請書に記載された研究計画がどれほど優れた内容であっても、それを実行に移せる能力や環境が伴っていないと判断されれば、高評価を得ることは困難です。

    これまでの研究遂行実績や研究環境は、申請書に記された構想の実現可能性を裏付ける重要な根拠となります。

    さらに、大型研究費の場合には、申請者が今後その分野の研究を発展させられるかというポテンシャルの指標としても捉えられます。

    したがって、不採択となったとしても、研究を実施、継続、発展させるために研究業績を積み続けることは必須です。

    当たり前ですが、やはり、「研究費獲得のために研究計画を考える」のではなく、「研究計画を実施するために研究費を獲得する」という流れを維持し続けることが必要です。


    ① 研究成果を発信し続ける
    研究費が限られていても、できる範囲で研究活動を継続し、成果を外部に発信していくことが大切です。

    特に以下のような取り組みは、研究遂行能力の証拠として審査で評価されやすい要素です。

    • 査読付き論文の投稿・掲載(短報、事例報告、共著も可)

    • 学会発表(口頭/ポスター)

    • 既存データの二次分析による成果公表

    • 他分野や実務者との共同研究の実施

    これらの成果を出すことは、研究テーマに対する継続的な関心と実行力を示すものであり、研究環境が制約されていても主体的に研究を進めていることの証となります。

    ② 外部資金の獲得に挑戦する
    科研費以外にも、さまざまな研究助成制度が存在します。

    ■ 所属大学・所属学会の助成制度

    • 多くの大学や研究機関では、若手研究者の支援を目的とした学内研究費制度が設けられており、少額でも予備研究の実施申請書作成の訓練に役立ちます。

    • 科研費に申請し不採択となった研究者に対して、再申請へ向けた準備支援金を支給する制度を設けている大学もあります。

    • 専門学会でも研究助成を行っていることがあり、会員であれば応募できるケースが一般的です。

    ■ 民間財団の研究助成
    科研費のような大きな研究分野の枠組みの中で、申請者自身がテーマを提案する「ボトムアップ型」のものや、財団が指定する研究課題の解決につながる研究を募集する「トップダウン型」のもの、様々な種類の分野、助成金があります。

    また、予算規模についても様々で小規模な予算からスタートできるものも多くあります。

    以下のようなサイトや各財団のサイトで検索することが可能です。

    UMINの各種助成(研究助成、海外留学助成、留学生受入助成等)公募情報
     https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/josei/select/index.cgi?serv=jlist&func=search&nendo=now&order=end_date

    助成財団センター
    https://www.jfc.or.jp/search/

    外部資金への応募は、単に研究費を得るためだけでなく、申請書作成能力の成長につながる貴重な経験にもなります。

    特に以下の点で科研費への再チャレンジにつながります。

    • 自身の研究をわかりやすく言語化する力がつく

    • 自身の研究テーマの社会的意義を再確認できる

    • 外部助成で研究を進めた成果と科研費の申請テーマをリンクさせることで、研究の信頼性や実行可能性が高まる。

    • 結果として、研究構想がより洗練され、審査員に伝わりやすくなる

    このように、日常的な研究活動の中で地道な成果を積み重ねること、そして助成金申請を通じて自身の研究内容のアウトプットと実績を増やしていくことは、科研費申請における「研究遂行能力」の根拠を裏打ちする極めて重要なステップとなります。

    科研費で不採択になった後に、民間財団の助成金で予備研究を行い、その成果をもとに再度科研費にチャレンジして採択された事例も多く報告されています。

    まさに「論より証拠」実績を通して説得力を高めるという視点を常に持ち続けることが、次の採択への近道となります。

    4.まとめ

    本稿では、「科研費に落ちても再チャレンジで成功するための改善ポイント」として、多くの研究者の科研費の獲得事例から得た知見をもとに、以下のような視点で具体的な対策を紹介してきました。

    最近では、生成AIの台頭により文章構成や体裁上の質が“誰でも一定水準に達する時代”となりつつあります。そのなかで差がつくのは、「研究の質」と「自分の言葉で語られる構想・想いの強さ」だと感じます。

    申請書作成のテクニックも重要ですが、本質的には日々の研究活動の中で「研究遂行能力」を積み上げていくことが、自身の研究を長期的に継続していく礎になると思います。

    本稿が次の研究助成の獲得に向けた一助となれば幸いです。

     

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    • vol.1:科研費とは何かを知り、スタートで差をつけろ - 複数採択歴のある研究者が解説

    • vol.2:「審査員の視点」で申請書を徹底解説 - 複数採択歴のある研究者が解説

    • vol.3:採択確率を上げる第三者チェックという裏ワザ - 複数採択歴のある研究者が解説

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    • vol.5:科研費「不採択」から再挑戦するあなたへ - 「採択される」戦略を徹底解説 (本記事)

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