
【採択者が語る科研費獲得のコツ】科研費 スタート支援:社会医学分野 - vol.14
2026.05.30
大学へ赴任した直後の常勤教員であり博士課程の学生である筆者が、「通いの場における地域高齢者の参加を支援する専門職の介入指針の開発」をテーマとした科研費研究活動スタート支援の獲得経験を解説します。
本記事では、限られた実績や準備期間の中で、自身の問題意識をどのように研究へと昇華し、採択につなげるのか――。
専門外の審査委員にも直感的に伝わる具体的なストーリーラインの作り方、他者添削を活かしたブラッシュアップの工夫までを体系的にお伝えします。
初めて科研費に挑戦する若手研究者や、自身の専門性を他分野へどう「翻訳」すべきか悩む申請者にとって、実践的な示唆を得られる内容です。
mMEDICI Library | ひらけ、叡智の扉
叡智の扉を、全ての人が開けるように——。
学びは、限られた豊かな人々だけの特権ではありません。
経済的困難に直面する人、地方で学習資源に恵まれない人、家事や育児・仕事に追われる人。
mMEDICI Libraryではそんな人々にこそ、最高の学びを届けるため、研究・キャリア・学習・受験のあらゆるテーマでパブリックヘルスの叡智を集めました。
隙間時間にスマホひとつで、誰もが「一流の知」に触れることを叶えていきます。
「ここを開けば、誰しもが悩みを解決できる」、そんなメディアを目指します。
- mMEDICI Library | ひらけ、叡智の扉
- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- 獲得ノウハウシリーズ
- 申請者情報
- 助成金情報
- 助成金名
- 助成団体の種類
- 助成団体名
- 助成制度・助成団体の理念
- URL
- 応募対象の条件
- 最大助成金額・期間
- 実際に支給された助成金額・期間
- 募集頻度・時期
- 研究内容
- 申請時の研究タイトル
- 研究概要
- 申請までの経緯
- 助成金を知ったきっかけ
- この助成金を選んだ理由
- 応募に至るまでのストーリー
- 申請内容に関する考察と、具体的な作業内容
- 募集要項で特に注目した点
- 申請準備で実施したこと
- 申請書に記載が求められる項目
- 各項目の記入分量
- 構成・ストーリーについて意識したポイント
- 独自性や社会的意義でアピールしたポイント
- 文章表現の工夫
- 記入が難しかった項目とその理由
- 採択につながったと考えるポイント
- 採択後の成果
- 助成金の使用用途
- 研究成果
- キャリアへの影響
- これから応募する人へのエール
- 【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:7日間無料お試し】
- mJOHNSNOW講義紹介|あなたも獲れる100万円 ゼロからの科研費獲得講座
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
限られた準備期間の中で、申請書の完成度を徹底的に引き上げるためのブラッシュアップ方法
専門外の審査委員にも研究の社会的意義や必要性が直感的に伝わる、文章表現の工夫とストーリーライン
実績や論文が十分ではない状況から、自身の研究環境や「個別性・独自性」をアピールして採択を掴むためのノウハウ
この記事は誰に向けて書いているか
研究費が限られており、最初の外部資金として「研究活動スタート支援」への挑戦を考えている若手研究者
自身の専門領域の価値や抽象的な研究概念を、専門外の審査委員にどう「翻訳」して伝えるべきか悩んでいる申請者
限られた時間の中で計画書を成立させたいと考えている方
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野
vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域
vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト - 在宅・訪問看護分野
vol.9:科研費 基盤(C) - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.10:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.11:科研費 若手研究 - 内科学一般およびその関連分野
vol.12:フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団 - リハビリテーション活動や機器に関する研究
vol.13:ファイザーヘルスリサーチ研究に関する研究助成公募 - 臨床医学分野(本記事)
vol.14:科研費 スタート支援 - 社会医学分野(本記事)
【奨学金】
申請者情報
氏名:菊池祐介(Researchmap:https://researchmap.jp/u-kikuchi)
所属・職位:mMEDICI株式会社 Manager、神奈川県立保健福祉大学 特別研究員
専門分野・領域:社会医学
助成金情報
助成金名
科研費 研究活動スタート支援
助成団体の種類
公的機関(省庁・自治体など)
助成団体名
独立行政法人日本学術振興会
助成制度・助成団体の理念
「研究活動スタート支援」は、我が国の研究機関に採用されたばかりの研究者や育児休業等から復帰した研究者等が行う研究をサポートするものであり、これらの研究者の当座のスタート支援に資することが期待されます。
URL
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_startup_support/download.html
応募対象の条件
所属属性に条件あり
最大助成金額・期間
150万円×2年(最大300万円)
実際に支給された助成金額・期間
247万円(間接経費含む)
募集頻度・時期
毎年決まった時期に公募
研究内容
申請時の研究タイトル
「通いの場」における地域高齢者の参加を支援する専門職の介入指針の開発
研究概要
地域高齢者が集い交流する通いの場は、高齢者の参加を促進し、鬱やフレイルの発症リスク低減に寄与することから、地域共生社会の構築を目指したリハビリテーション専門職が関与する方法論の確立が求められている。
一方、通いの場は地域や年代などの影響を受けその効果は限局的であり、参加者の個別性を支援する専門職の関与に標準化された手法は存在しない。
これに対し、作業に関する自己評価(OSA)を活用した専門職の介入指針を開発し、参加者の個別性を支援する通いの場の効果検証を目的とする。本研究は、地域高齢者一人一人の参加が促進され、健康が支援される通いの場を提供し、地域共生社会の実現の一端を担うものとなり得る。
申請までの経緯
助成金を知ったきっかけ
上司・同僚からの紹介
この助成金を選んだ理由
私がこの助成金を選んだ理由は、大きく二つあります。
一つ目は、大学へ赴任した直後であり、研究を本格的に推進していくための資金が必要だったことです。
所属組織から研究費をご支援いただいていたものの、限られた予算の中では、研究を継続的かつ発展的に展開していくには難しさがありました。当時は、研究者としての基盤を早期に築いていきたいという思いが強く、データ収集や解析、学会発表、論文化までを見据えると、外部資金への挑戦は自然な選択でした。
二つ目は、「今しか挑戦できない」というタイミングの要素です。
本助成金は申請可能な時期が限られており、若手研究者として応募できる期間も決して長くありませんでした。そのため、「せっかく挑戦できる立場にいるのであれば,一度しっかり向き合ってみたい」という気持ちがありました。
また、科研費全体の中では比較的採択率が高い制度であることも、若手研究者として最初の外部資金獲得に挑戦するうえで、大きな後押しになりました。
実際には、単に研究費を得るという感覚だけではなく、「研究者として、自ら機会を掴みにいく経験を積みたい」という思いも強かったように感じています。その意味でも、当時の自分にとって、本助成金は非常に魅力的な挑戦機会でした。
応募に至るまでのストーリー
前述の通り、当時の私は、大学へ赴任して間もない時期であり、研究者としてのキャリアを本格的に立ち上げようとしているタイミングでした。
一方で、所属組織からいただける研究費には限りがあり、加えて、社会人学生として博士課程にも在籍していたことから、研究活動を継続的に進めていくためには、外部資金の確保が必要な状況にありました。
そのような中、当時、私を大学の世界へ導いてくださった教授から、「一度応募してみたらどうか」と声をかけていただいたことが、本助成金へ挑戦するきっかけでした。
ただ、実際にはかなり慌ただしいスタートでした。研究活動スタート支援の存在について認識したのは4月中旬であり、学内提出期限はGW明け。実質的に準備期間はほとんど残されていない状況でした。そのため、限られた時間の中で研究テーマを急いで整理し、申請書を書き上げるところから始まりました。
特に印象に残っているのは、申請直前まで続いたブラッシュアップの時間です。日中は通常業務や博士課程での活動を進めながら、夜に申請書を書き進め、その内容を教授に毎晩レビューしていただいていました。
研究の社会的意義、研究背景の整理、研究計画の具体性、文章の伝わりやすさなど、細かな点まで丁寧にご指摘いただき、短期間ではありましたが、申請書の完成度を一気に高めていった感覚があります。
今振り返ると、あの期間は単に助成金申請を行っていたというよりも、「自分はどのような研究を行いたいのか」「その研究にどのような社会的意義があるのか」を、本気で言語化し続けていた時間だったように思います。
申請内容に関する考察と、具体的な作業内容
募集要項で特に注目した点
助成対象となる研究領域、書式・文量について
申請準備で実施したこと
過去の採択例を収集・分析、他者に研究計画書の添削を依頼、申請書に挿入用の図表の作成
申請書に記載が求められる項目
研究目的・背景、研究方法、スケジュール、研究の独自性・新規性、研究の社会的意義、予算の使用用途
各項目の記入分量
申請書は、大きく以下の3項目で構成されていました。
研究の目的や方法、関連研究の動向、本研究によって明らかにしたい内容:3ページ以内
申請者の研究活動や研究環境:2ページ以内
人権保護等に関する事項:1ページ以内
全体としては、いずれの項目についても、基本的には制限字数・ページ数に近い分量まで記載を行いました。限られたページ数ではありましたが、「必要な情報が不足している」と受け取られないよう、研究計画の具体性や研究遂行に必要な情報は可能な限り盛り込むことを意識していました。
また、申請者の研究活動や研究環境の項目については、同世代と比較すると学会発表の経験自体は比較的多かったものの、論文実績という意味では全く十分とは言えない状況でした。そのため、論文だけでなく、関連する学会発表についても可能な限り記載し、これまで継続的に研究へ取り組んできた経緯が伝わるよう整理しました。
さらに、研究を実施する環境面についても、所属先での活動状況や博士課程での研究活動などを踏まえ、「研究テーマに継続的に取り組める体制にあること」が伝わるよう意識して記載していました。
構成・ストーリーについて意識したポイント
「この研究が、科研費という公的研究費を用いて実施する意義のあるテーマであること」を、読み手に自然と納得してもらうことを最も意識したように思います。
科研費は国費を原資とした研究支援制度である以上、単に"研究として興味深い"だけではなく、「社会的にどのような課題に応える研究なのか」「今取り組む必要性があるのか」を明確に示す必要があると考えていました。
そのため、申請書ではまず、地域高齢者支援や「通いの場」を取り巻く社会的背景を整理しました。その上で、国内外でどのような研究が進められているのかを示し、その中で何が未解決なのかを段階的に整理することを意識しました。
実際、申請書でも、「通いの場」における専門職支援の必要性や、個別性を重視した支援方法論が十分に確立されていない現状を起点として、研究課題を位置付けていました。
また、本研究では、「作業に関する自己評価(Occupational Self Assessment: OSA)」という、作業療法領域では比較的知られている尺度を主要アウトカムとして扱っていました。
一方で、作業療法という専門領域自体、専門外の先生方にとっては、その専門性や支援対象が必ずしも直感的に理解されやすい分野ではありません。
そのため、「作業療法領域では一般的だから伝わるだろう」という前提を置かず、"そもそも何を支援しようとしている研究なのか"から丁寧に説明することを意識していました。
特に、高齢者の参加をどのように評価するのか、なぜOSAという尺度を用いる必要があるのかを整理しました。そして、その尺度によって何が明らかになるのかについては、他領域の審査委員の先生方にも伝わるよう、構成概念や評価プロセスを含めて記載していました。
さらに、全体としては、「背景」「課題」「目的」「方法」が一直線につながるよう構成し、読み手が途中で迷わず、「だからこの研究が必要なのか」と理解できるストーリーラインになるよう心掛けていました。
独自性や社会的意義でアピールしたポイント
本研究の特徴として強く打ち出していたのは、「地域高齢者の"個別性"に焦点を当てていた点」でした。
当時、「通いの場」に関する研究は既に多く存在していましたが、参加率や身体機能、社会参加の有無といった"集団としての変化"を評価する研究が中心でした。そのため、「その人にとって何が重要な参加なのか」という視点まで踏み込んだ研究は限られていました。
一方、実際の支援現場では、同じ高齢者であっても、「何を大切にして生活しているのか」「どのような活動に意味を感じるのか」は大きく異なります。そのため、本研究では、「高齢者全体にとって良い支援」ではなく、「本人にとって意味のある参加をどのように支援するか」という点を中心に据えていたことが、大きな特徴だったと考えています。
また、本研究では、作業療法領域で用いられるOSAを活用しながら、「個別性の高い参加」を定量的・体系的に捉えようとしていた点も、特徴の一つでした。
作業療法では以前から、「その人らしさ」や「意味のある作業」を重視する考え方が存在していました。しかし、それを地域高齢者支援の中でどのように評価し、実践へつなげるかについては、十分に整理されていない部分がありました。そのため、本研究では、臨床実践の中で蓄積されてきた視点を、研究として整理し、支援方法論へつなげようとしていた点に独自性があったと感じています。
さらに、社会的意義という観点では、超少子高齢化が進行する中、「通いの場」の重要性は今後さらに高まることが予想されます。その中で、単に場を提供するだけではなく、「参加者一人一人にとって意味のある参加を、専門職がどのように支援できるのか」を整理することには、実践的にも大きな意義があると考えていました。
加えて、本研究は、単なる理論構築に留まらず、将来的に現場で活用可能な介入指針の開発まで見据えていた点も重要でした。研究成果を論文だけで終わらせるのではなく、実際の地域支援へ還元していく視点を持っていたことも、社会的意義として大切にしていたポイントの一つです。
余談ですが、当時の申請書で主張した「社会的意義」は、その後の国の政策動向によって、結果として強く裏付けられることとなりました。
本研究の採択から約3年が経過した2026年5月、厚生労働省内に新たに「リハビリテーション統括調整室」が新設され、予防や健康増進の分野を含め、分野横断的にリハビリテーション政策を国家戦略として推進する方針が打ち出されました。
さらに、同月の経済財政諮問会議においては「攻めの予防医療」の推進策の一つにリハビリテーションが明記され、住民運営の「通いの場」等へのリハビリテーション専門職の関与を促進する方針が明確に示されています。
当時、私が臨床や地域支援の中で直面し、研究課題として設定した「通いの場における専門職の支援のあり方」が、現在まさに国策として求められる重要課題と合致していたことになります。
この事実は決して私の先見性を示すものではなく、科研費申請において「目の前の課題だけでなく、数年先の社会のニーズや大きな潮流を見据えて社会的意義を言語化すること」が、いかに重要かつ評価に値するかを示す、一つの客観的なエビデンスと言えるかもしれません。
文章表現の工夫
他の方も仰っていることかもしれませんが、短時間で読んでも、研究の要点が理解できることを意識しました。
科研費の審査では、限られた期間の中で多くの申請書を確認されていることが想定されるため、「読み込まなければ理解できない文章」ではなく、「直感的に内容が入ってくる文章」を目指していました。そのため、一文を長くしすぎず、一文で一つの論点を伝えることを意識していました。
また、専門用語についても必要以上に難解な表現を避け、その言葉が何を意味しているのかが自然に伝わる書き方を心掛けていました。
加えて、視覚的な読みやすさも重視していました。具体的には、重要な箇所にはボールドや下線を用いて強調を加えていましたが、過度に装飾的にならないよう、ボールドと下線を二重で使用することは避けていました。強調箇所を絞ることで、どこが重要なのかが一目で分かるよう意識していました。
また、「ここだけを読んでも、研究の骨子がある程度理解できる」と感じてもらえるよう、見出しや強調部分にも情報を持たせることを意識していました。限られたページ数の中でも、読み手の負担を減らしながら、研究内容を正確に伝えることを重視していたと思います。
記入が難しかった項目とその理由
最も難しかったのは、研究の意義を、専門外の方にも伝わる形で言語化することだったように思います。
初めて科研費へ挑戦するタイミングでもあり、そもそも「科研費の申請書とは何を書くものなのか」「どの程度の具体性や論理性が求められるのか」といった基本的な部分から手探りの状態でした。
そのため、研究内容そのものを考える以前に、研究計画書として成立させるという点にかなり苦労していた記憶があります。
特に難しかったのは、作業療法という専門性を、どのように専門外の審査委員へ伝えるかという点でした。作業療法領域では当然のように共有されている価値観や概念であっても、他分野の先生方から見ると、「そもそも何を専門としている研究なのか」が直感的に理解しづらいことがあります。
そのため、「作業療法では重要である」という説明だけでは不十分であり、「なぜ社会的に重要なのか」「地域高齢者支援においてどのような課題解決につながるのか」まで含めて整理し直す必要がありました。
特に、本研究では"個別性"や"意味のある参加"といった、抽象的になりやすい概念を扱っていました。そのため、「それを研究としてどのように扱うのか」「なぜ今その視点が必要なのか」を、できるだけ具体的に落とし込むことに苦労しました。
また、当時は、自分の中では当たり前になっている専門知識を、一度外から見直し、初めてこの分野に触れる人にも伝わる説明に変換する作業を何度も繰り返していました。繰り返しになりますが、研究内容そのもの以上に、"専門性を翻訳する難しさ"と向き合っていた時間だったように感じています。
採択につながったと考えるポイント
個人的には、採択につながったポイントは一つではなく、総合的に評価をいただいたのではないかと感じています。
まず、本研究は、「通いの場」や地域高齢者支援という、今後さらに重要性が高まる領域を扱っており、その中でも「個別性を重視した参加支援」という、現場で実際に求められている課題をテーマとしていました。
単なる理論研究ではなく、実践現場へどう還元されるかまで見据えていた点は、社会的意義として伝わりやすかったのではないかと思います。
また、「本人にとって意味のある参加」に焦点を当て、OSAを用いて体系化しようとしていた点は、当時の関連研究の中でも一定の独自性があったと考えています。特に、「集団としての効果」ではなく、「個人にとって何が重要か」を扱おうとしていた点は、本研究の特徴として意識していました。
加えて、研究計画を段階的に整理し、研究1〜3まで具体的な方法を提示しました。また、研究協力体制・研究環境についても明示していたことから、実際に遂行可能な研究であるという印象につながったのではないかと感じています。
さらに、申請書の構成や見せ方も大きかったと思います。限られたページ数の中で、「背景」「課題」「目的」「方法」が自然につながるよう整理し、専門外の審査委員にもできるだけ伝わるよう意識していました。
特に、作業療法という専門性は、他領域から見ると直感的に理解されにくい部分もあるため、「この研究は何を解決しようとしているのか」を、専門用語に頼りすぎず記載することを意識していました。
また、「他者からの添削」を受けながら徹底的にブラッシュアップしたことも、非常に大きかったと感じています。自分一人では、研究者視点と読み手視点を両立させることが難しい部分が多くありました。そのため、教授から手厚いご指導をいただきながら、何度も何度も申請書を書き直していました。
実際、研究内容そのもの以上に、「どうすれば伝わるか」「どう書けば誤解なく読んでもらえるか」を繰り返し見直していた時間の方が長かったように思います。このプロセスを通じて、申請書全体の完成度が大きく高まったのではないかと感じています。
採択後の成果
助成金の使用用途
機器・ソフトウェア購入、旅費・学会出張費、データ収集・分析
研究成果
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23K19869/
キャリアへの影響
大学へ赴任して1年目というタイミングで科研費に採択いただけたことは、やはり自分にとって大きな自信につながりました。当時は、研究者として十分な実績があるとは言えない状況であり、「本当に自分が研究を続けていけるのか」と不安を感じることも少なくありませんでした。
そのような中で、自身の研究テーマや問題意識が一定の評価をいただけたということは、「この方向で研究を続けていって良いのだ」と感じられる大きな後押しになったように思います。
また、科研費を通して、「研究を形にする」という経験を早い段階で積めたことも、非常に大きかったと感じています。研究テーマの整理、研究計画の具体化、多職種・多分野の先生方へ伝わる形での言語化など、一連のプロセスを経験しました。これにより、単に"研究を行う"だけではなく、"研究を社会へ接続する視点"を強く意識するようになりました。
その後も私は、作業療法や地域高齢者支援を軸にしながら、教育、パブリックヘルス、健康経営など、複数領域を横断する形で活動を続けています。その意味でも、本科研費への挑戦は、「研究者としての基盤形成」というだけではありませんでした。
「自分はどのようなテーマに価値を感じ、どのような立場から社会へ関わっていきたいのか」を整理する契機にもなっていたと感じています。
さらに、当時は博士課程へ進学した直後でもあり、臨床・教育・研究を並行しながら活動していた時期でした。そうした中で科研費へ採択いただけた経験は、「限られた環境や実績の中でも、挑戦する価値はある」という実感につながり、現在まで研究活動を継続するうえでの心理的支えの一つになっています。
これから応募する人へのエール
これから科研費へ応募される方にお伝えしたいのは、「科研費への挑戦は、研究者としての成長だけに留まらない」ということです。
科研費では、「その研究が社会にどのような価値をもたらすのか」が大きく問われると感じています。そのため、研究計画書を書く過程では、自分の専門領域の中だけで研究を語るのではなく、「社会のどのような課題につながっているのか」「誰のための研究なのか」を、改めて整理することになります。
私自身、申請書を作成する中で、「研究として成立するか」だけではなく、「実際の現場や社会へどのように還元されるのか」という視点を強く意識するようになりました。
特に、専門性が高い領域ほど、"専門家には伝わる"と"社会に伝わる"は必ずしも一致しません。だからこそ、「なぜこの研究が必要なのか」を、他分野の方にも理解できる形で言語化する経験は、非常に大きな学びになったと感じています。
また、科研費への挑戦を通して、「自分は何に課題意識を持ち、どのような価値を社会へ提供したいのか」を見つめ直す機会にもなりました。これは、研究活動だけではなく、教育、地域活動、多職種連携、企業との協働など、様々な場面での視点にもつながっているように思います。
もちろん、最初から十分な実績や、自信がある状態で挑戦できる人ばかりではないと思います。私自身もそうでした。それでも、「今の自分だからこそ向き合いたいテーマ」があるのであれば、ぜひ一歩踏み出してみていただきたいと思います。
科研費への挑戦そのものが、自分の専門性や社会との接点を見つめ直し、今後のキャリアの軸を深めていく、非常に貴重な経験になるはずです。
【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:7日間無料お試し】

mJOHNSNOWはスペシャリストが提供する医学研究講座にスマホで、スキマ時間にアクセスできる日本最大規模のオンラインスクールです。
継続率98.0%の高いクオリティで、累計1,718名を超える仲間が入会し、初学者向けの因果推論、疫学、統計学、データ解析、RWDなどをスペシャリストから学んでいます。
講義はすべてオンデマンド化されるので自分のペースで学びを進められ、研究・キャリアの悩みは24時間いつでもチャットで相談可能。安心の定額制で、満足いくまで学び放題です。
【参加者の声】
・地方在住で学ぶ場がなく困っていましたが、大学院に行かないと学べないようなことを仕事の合間に学ぶことができ大満足です(40代女性 医師)
・フォローアップが手厚く、オンデマンドで分かるまで学べるのが初学者にとってとても助かっています(30代男性 製薬企業社員)
・低価格なのに見切れないほど多くの講座が受講でき、どれも質が高いです(40代女性 大学研究者)
詳細を見る
mJOHNSNOW講義紹介|あなたも獲れる100万円 ゼロからの科研費獲得講座

「研究の情熱は誰にも負けない。でも、研究費の申請書が書けない…」
そう悩むすべての研究者のための研究費獲得講座です。
本講座では、日本を代表する疫学研究者である佐々木敏先生が、研究費獲得という難関を突破するために必要な知識と技術をゼロから体系的に解説します。
さまざまな研究費の基礎から、審査員の記憶に残る申請書作成の技術、そして予算設計に至るまで、研究費を勝ち取るための全プロセスを網羅します。
数多の研究を世に送り出してきたプロフェッショナルの視点とノウハウを学び、あなたの研究を社会に届けるための、最初の一歩を踏み出しましょう。
本講座について詳しく知りたい方はこちら
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野
vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域
vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト - 在宅・訪問看護分野
vol.9:科研費 基盤(C) - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.10:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.11:科研費 若手研究 - 内科学一般およびその関連分野
vol.12:フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団 - リハビリテーション活動や機器に関する研究
vol.13:ファイザーヘルスリサーチ研究に関する研究助成公募 - 臨床医学分野(本記事)
vol.14:科研費 スタート支援 - 社会医学分野(本記事)
【奨学金】
©mMEDICI Inc. ALL RIGHTS RESERVED.









