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【キャリア解説】MPHホルダーの内科医:専門性の掛け算で、“一億人に一人”の人材へ- vol.27

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【キャリア解説】MPHホルダーの内科医:専門性の掛け算で、“一億人に一人”の人材へ- vol.27

2025.07.07

内科医/研究員をしております、松崎秀信と申します。
以前、ロンドンでのMPH留学について記事を書かせていただきましたが、今回は自身のキャリア選択に焦点を当て、その背景や判断軸を整理しました。

国際医療ボランティアを通じて「貧困で苦しむ人々を救う」という目標のもと、臨床から公衆衛生、さらに研究へと軸足を移してきた過程を振り返り、進路選択における視点やマインドセット、挑戦を続けるためのTipsを紹介しています。

MPH取得後の進路に悩む方、医師として研究キャリアを検討している方、また国際的なフィールドに関心のある方にとって、少しでもヒントとなるようなことをお伝えできればと思います。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 医師から研究へのキャリア

  • 競合を勝ち抜くためのマインドセット

  • 挑戦する人へのTips

この記事は誰に向けて書いているか

  • MD+PhDを目指す方

  • キャリア選択に迷っている方

  • MPHを取得して今後に迷っている方

キャリアシリーズ

  • vol.7:先進国の都市に埋もれた医療格差に挑む小児消化器肝臓医のストーリー

  • vol.13:10年の臨床経験はナマクラに - そして米国日本人初のライフスタイル医学認定プロへ

  • vol.24:介護のお医者さん - ニッチを貫くわたしのキャリア論

  • vol.30-1:ある総合内科医の15年 (前編) - 学びを求めて飛び込んだ、建築途中の病院へ

  • vol.30-2:ある総合内科医の15年 (前編) - 臨床・教育・研究をつなぎ、ロールモデルを築くまで

執筆者の紹介

氏名:松崎秀信(LinkedIn:http://www.linkedin.com/in/hidenobu-matsuzaki
所属:地方病院勤務+研究
自己紹介:医師・公衆衛生学修士。2022年に群馬大学医学部を卒業。国際医療ボランティアに興味があり、学生時代から海外留学や海外ボランティア、医学研究を通して活動。行政とボランティアの橋渡しをするために必要な公衆衛生の知識を学ぶことを決意し、医学部卒業後に海外公衆衛生大学院へ進学。公衆衛生学修士を2023年ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)にて取得。現在は内科医として働いており、2025年度LSHTM博士課程(感染症疫学)へ進学予定。

編集者

氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に対する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。

監修者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

はじめに

内科医/研究員をしております、松崎 秀信と申します。再びこのような執筆の機会をいただきmMEDICIの皆様には心より感謝を申し上げます。

以前MPHについて書かせていただいた内容よりも今度は自身のキャリアについてフォーカスし執筆させていただいております。内容が少しでも誰かのお役に立てましたら幸いです。

以前の記事はこちら:【LSHTM受験】貧困支援のあるべき姿を問い、ボランティアの真髄を照らすロンドン留学 - vol.12

“キャリア”とは?(厚労省HPより引用)

「キャリア」(career)は中世ラテン語の「車道」を起源とし、英語で、競馬場や競技場におけるコースやそのトラック(行路、足跡)を意味するものであった。

そこから、人がたどる行路やその足跡、経歴、遍歴なども意味するようになり、このほか、特別な訓練を要する職業や生涯の仕事、職業上の出世や成功を表すようになった。

つまり、キャリアとは今までの人生で歩いてきた道、とも言えるかと思います。自身の人生を振り返りつつ皆様の今後のヒントとなるようなことをお伝えできればと思います。

今のキャリアについて

私は現在、医師+研究員(PhD Candidate)として、内科医として勤務する傍らで都内での博士研究を行なっています。

記事を執筆されている方々と比べ“キャリア”という面ではまだまだなのですが、略歴をお示しさせていただきますと、群馬大学卒業後、同年にロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)へ公衆衛生学修士コースへ留学。帰国後に初期研修を修了し、2025年からNU-LSHTMの共同博士課程へ留学予定となっております。

現在は、内科医として地方の病院にて一般的な外来や入院病棟管理、介護老人保健施設と介護医療院を管理しつつ、訪問診療も行い地域医療に貢献しています。

また、研究員としては感染疫学分野、特に抗微生物薬耐性(Antimicrobial Resistance, AMR)についてデータベースを用いた研究を行なっています。

NU-LSHTM Jointという長崎大学とロンドン大学衛生熱帯医学大学院の共同博士課程に合格させていただいたため、日本と英国のデータを使いながらAMRにおけるリスクを追求し、AMRの低減政策につなげていきたいと考えております。

今後は英国においても医師免許を取得することを目指しており、日本-英国を行き来しながら研究(+臨床)に従事し、自身の夢である国際医療ボランティアに携わることを目標としております。

他の記事を執筆されている方々と比べると些かお粗末ではありますが、まだ道半ばの私のキャリアをご紹介させていただきます。

なぜそのキャリアを選んだのか

様々な寄り道をしている私のキャリアですが、一貫している点があります。それは「低中所得国での国際医療ボランティアを行う上で役に立つ / 必要な能力」の習得です。

私自身、“国境なき医師団のような国際医療ボランティアを通して、貧困で苦しむ人々を救う”という目標に向けて、それに必要な技術・技能を逆算して一つずつ身につける形でキャリアを形成してきたつもりです。

しかし、同一目標へ向かう経路は様々であり、また時代の変遷とともに変わっていきます。私のキャリア選択のターニングポイントについて順を追ってご説明させていただきます。

ターニングポイント1:貧困への気付き

私は母子家庭で育つ中で、“貧困”の意識は幼い頃からなんとなく感じていました。そのため、自身を取り巻く環境について考えることも多くありましたが、小学校・中学校と進むうちに、社会構造への違和感や不平等性については「まあそんなもんか、しょうがないな。」くらいに考えていました。

しかし、中学時代のある日、市の取り組みの一環でUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の日本支部を訪問させていただく機会があり、そこで自身の感じていたものとは比べ物にならない“貧困”を目の当たりにしました。

自身とさほど変わらぬ年齢であるのにもかかわらず、“生まれた場所が違うだけで今日を生きぬくことさえ非常に困難な状況下にある子供たち”が世界に大勢存在するという事実を知り、貧困を理由に諦め癖がついていた自身を非常に恥じるとともに、自己の選択によらない出自などにより生まれる理不尽に強い怒りを感じました。

この経験が国際医療ボランティアへの関心につながりました。

ターニングポイント2:大学生活での研究を通して

高校生では、研究への興味から大学で研究を始めました(当時、高校生の私に丁寧にPCRやサザンブロットを教えてくださった先生方には頭が上がりません)。

この経験は、新しいことを自ら解明していくことの面白さを学ぶと同時に、研究に対するハードルを下げてくれたと思います。

医学部入学後は公衆衛生学教室で疫学調査や国際学会発表を経験させていただき、また大学4年時にはコロナ禍の影響もあり始めたプログラミングの知識を活かすために医療AIの研究室に移り、画像認識を活用した医療AI研究に取り組みました。

公衆衛生学教室では、まず世界の貧困がどのように形成されているのかを学ぶために医療AIについては、低中所得国における課題の一つが医療資源の不足であると考え、AIによって人的資源の不足を補うことを目的として研究を行いました。

ターニングポイント3:海外への暴露

また、高校生の頃は低中所得国=アフリカ諸国というイメージを強く持っていました。そのため、それらの国においてもボランティア活動をする上で患者とコミュニケーションを取れるよう高校から独学で英語とフランス語の学習を始めました。

その後、大学3年と6年時にフランス留学(熱帯感染症分野)を経験し、大学4年時にはフランス語の大学院入学レベル(DEFL B2)を取得しました。

このような経験をしていく中で、さまざまな医療システムや背景の違い、それにより多種多様な社会問題が生まれていることを痛感しました。

多くの人々を救うに個人へのアプローチ(医師として患者を治療する)に加え、医療政策のような「集団へのアプローチ」が必須であると認識し始め、医療の側面から政治にアプローチする「公衆衛生学」という分野への進学を目指すようになりました。


公衆衛生学修士の留学先であるLSHTMで非常に優秀かつ才能豊かな学友に恵まれ、公衆衛生学、特に感染症学の分野での知識をさらに深めたいという思いを持つようになりました。

この気持ちは帰国後に臨床で働く中でも変わらないどころか、「公衆衛生/感染症の専門家となるには知識も経験も修士号だけでは足りない」と思うようになりました。

というの公衆衛生学修士(MPH)を取得した方なら感じたと思うのですが、公衆衛生学と一括りにされる分野は大変範囲が広く(医療経済、医療政策、統計、疫学、ヘルスプロモーションなど)、修士(LSHTMでは1年)の期間では到底全ての分野でプロフェッショナルになるのは不可能であるからです。

MPHは公衆衛生学の特定の分野での専門家になるための土台となるステップでありMPHの資格が我々を専門家にするのではなくMPHで得た知識を使って医療政策の経験を積んだり、研究を行ったりしていくことが、その人を専門家にしていくのだと考えました。

また、さまざまな人々にお話を伺う中で、感染症専門家や疫学者としての国境なき医師団に参加できることを知り、「感染症専門家になりボランティアへ参加する」という目標が自身の興味の探究と自身の将来の夢を同時に達成できると考えました。

私の場合は、博士課程では医師としてのバックグラウンドと公衆衛生修士で学んだ内容を活かしながら専門家となるために必要なスキル(研究を自身で組み立てる力、統計や疫学等の専門知識の習得など)を磨くことができると考え、感染症学で有数のLSHTMへの入学を目指したということになります。

ターニングポイント4:NU-LSHTM Joint PhD

正直、国境なき医師団の疫学専門家にアプライするだけならば修士の資格でも可能です。

しかし、“サーベイを行った経験”“実際のデータを用いた解析の経験”は十分でなく、これらを経験するには以下のような選択肢が自身の中にありました。

①臨床と並行して専門医の途中または後に、所属する医局等がある大学院へ行く
②製薬企業等に就職し、研究者として働く
③大学院生としてフルタイムで博士課程に進む


日本で医師としてメジャーなのは①です。しかし①は臨床寄りなものが多く、自身の興味のある分野(感染疫学)での研究が行えるか、またそのための時間を十分に確保できるかという点に懸念がありました。

(※一昔前は「論博(ロンパク)」と呼ばれる、論文だけ書いて博士を取得するという医師キャリアが一般的にありましたが、臨床と並行しなければならないことも多く、質は高くないものが多かったと聞いています。)

②の製薬企業で働くならば給与も出ますし安定していますが、COIが関わってくるし、自分の興味に沿って研究できるかという点で疑問が残ります。

ということで、結局自身のスキル向上という面でも、研究実績を積むという面でも、フルタイムで博士課程に進むのが効率的であると考えました。

また、海外で博士課程というのヨーロッパだと給与が出る場所も多く(イギリスは出ないですが)、日本よりも精神的に余裕を持って研究ができると思いました。


NU-LSHTM Joint PhDとは、長崎大学(NU)とLSHTMの連携プログラムであり、修了時には両大学長の連名による学位を取得することができます。

このプログラムは、英国と日本の連携を強化と国際社会で活躍するリーダーを育成する目的で設立されました。期間は平均3年(2~4年)で、LSHTMとNUの両方の指導教官のもと、指導を受けながら国際研究への参加やプロジェクトの牽引といった経験を積むことができます。

また、同時に卓越大学院プログラムにも申請することができ、採択された場合は(三人/年まで研究費とともに月々の研究支援費も支給されます。

この博士課程は、感染症分野で有名な長崎大学とLSHTMの両方で学ぶことのできる素晴らしいプログラムであり、また日本人として日本のアカデミアをより盛り上げていきたいと思い、申請を決めました。

(続きはページの後半へ)

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そのキャリアにたどり着くために努力したこと

上記のキャリアを辿る上で、実はさまざまな困難がありました。

群馬大学では授業料免除を受けていたので、学費は全在籍期間を通して50万円ほどしか掛からず大変ありがたく感じていました。一方で、地方医学部ならではの課題ですが、当時の大学には海外留学に対する理解が全くありませんでした。

特に地域柄、浪人せずストレートで入学しそのまま大学を卒業して実家の医院を継ぐといった地元思考が強く、休学して海外留学という道は大学の教員を含めほとんどの人の選択肢にありませんでした。

大学には海外留学をサポートする体制が全くなく、留学のための奨学金を取得しても「前例がない」という理由で留学を白紙にされたこともありました(その中でも変わらぬ応援をくださった諸研究室の先生方や支えてくれた友人たちにこの場を借りて心より感謝を申し上げます)。


逆境と戦ってきた中で、私が大事にしていた(そして今も大事にしている)視点を四つ紹介させていただきます。

1.視野を広くする―柔軟な思考

地方医学部は非常に閉鎖的な環境でした。働き始めるとさらに限られたコミュニティのみと交流することになります。

世の中には自分が知っているよりも多くの考えを持つ人々が存在し、そのような人々と対話し理解すること(賛成するしないはさておき)が自身の思考の柔軟性を高めることにつながると考え、積極的に(特に他分野の)人と交流することを心がけています。

特に年齢を重ねるにつれ自身の中で“常識”というものが形成され、どんどん強固になっていきます。

もちろん、ある側面では悪いことではないのですが、頭ごなしに否定するのではなく一旦受け入れられる柔軟性を持つことが物事を円滑に進め自身の思考にヒントをもたらしてくれるのではないかと考えます。

また、私たちは居心地の良さから一度慣れたコミュニティに留まりがちです。コンフォートゾーンからあえて出ていくことはストレスですが、その適度なストレスが成長につながるのではないかと思います。

2.人脈を広げる―私が全てをやる必要はない

大学に入ってすぐに失敗して反省したのが上記の点です。

大学入学時は自分一人でボランティアの全てができるような人材になりたいと考えていました。

しかし、さまざまなプロフェッショナルな人々と交流する中で、ロジやインフラ整備、オペから内科系診療などを一人でできるようになるのは到底不可能という事実に直面しました。

むしろ、必要なのはその道のプロに頼るためのコネクションを持つことであり、自分自身も他の人から頼られるくらいの専門性を確立することであると考えるようになりました。

私自身はこれといって特に才能があるわけではないの専門性に関してもある一つの分野で世界で唯一の人材になることは現実的ではなかったためいくつかの専門性を掛け合わせることで独自性を生み出すことに注力しました。

これは「100人に一人の専門性であったとしても、それを四つ掛け合わせた分野で戦うならその専門性は100^4で、大体日本の人口の中で一人の人材になるよ」と助言してくれた友人の言葉があったからだと思います。

3.自分を見つめ直す―私の武器・手札は何か

上記の通り、私は能力としてはかなり凡庸で特記すべき才能は持ち合わせておりませんでした(「私も一!」と共感をしていただける方は多いのではないでしょうか。でも、実はそんなことないので大丈夫です。理由は後述)。

そのため他者と競うには、どの分野で何を強みとして自分をアピールしていくかを考えることが非常に重要でした。

自分の強みがわかればそれをどこで活かすことができるのかがわかります。それはつまり自身の戦うフィールドがわかるということです。

亀がウサギに脚力では敵わないように(それでも勤勉さという面でかけっこに勝ちますが)、「海」というフィールドを選ぶことでウサギに勝てます。戦う場を選ぶことは能力値云々よりもより簡単で有効なのです。

私自身の話をしますと、私の武器は行動力で戦うフィールドはコネクション作りでした。

自身の能力だけでは到底勝ち抜けない世界だったので、いかに自分の味方を増やすか。サポートを得るか。という立ち回りで戦ってきました。

特に博士過程へのアプライでは学業成績ももちろん重視されますが、最も重視されるのは“この人は博士課程で他の研究者と円滑に研究を遂行し、無事に修了できるのか”という点でした。

正直、私の能力ではそれらを面接の少ない時間の中で全て伝え切るのは難しかったので、対面で指導教官に会いに行ったり、さまざまなPhDに関連する先生にご挨拶に伺ったりと、事前に足でコネクションを構築していきました。

「ズル」と言われればそうなのかもしれないですが、対面で会うことにも相応の努力の上に成り立っているので、まあそれも能力として考えてもいいのではと思います(勉強不足で「こいつは無理だ」と思われる可能性だってあります)。


また、日本人は謙虚かつ完璧主義な国民性を持っていると感じます。

例えば「I have a pen.」はみんな知っているのに英語は喋れないと言う。ではフランス語で言えるかと問われると難しいですよね(ちなみにフランス語だと「J’ai un stylo.」です)。「I have a pen.」が言える時点で、実は英語喋れているのです。

「完璧でなければできていると言えない」という考え方は大変謙虚で良いのですが、他者と競合する時にはこの謙虚さと完璧主義は一度忘れた方がいいです。

トビタテ!留学JAPANという奨学金に採択された後、周りを見て感じたのは合格した人々は1を100に見せるのが恐ろしく上手いということでした。

流石に0を100にはできない(嘘はつけない)のですが、1はやりようによって100にもなるのだなあと非常に感動したのを覚えています。

先の英語の例に挙げたように皆さんには能力があり、皆さんは生きていく中で何かを成し遂げているはずなのです。私には才能ない、能力が低い、とかそんなことは実はなくて、要は見せ方次第なのです(本当に才能がある人は一握り。だってみんな才能あったら目立たないですよね)。

4.チャレンジ精神―知らない・できないを認める

最後の点は、チャレンジすることです。前述の通り適度な負荷は自身の成長を助けると思います。

歳を重ねると、どんどん自分が知らないことやわからないことに対して、「わかりません」と言いにくくなってしまうものです。しかし、できないこと・知らないことを認識するのが解決のための第一歩であり、成長に繋がるのだと思います。

自身のコンフォートゾーンから出て、わからないこと・知らないことに挑戦していくことが新たな世界を教えてくれ、自身の視野を広げてくれると信じています。

失敗することも多いですが、大事なのは失敗から何を学ぶかです。大抵のことはなんとかなります。

人生は一度きり(YOLO:You Only Live Once)ですし、ラテンには「Memento Mori(死を忘れるな)」という言葉もあります。この言葉は自身がいつ死ぬということに対しての警句であると同時に、「人はいつか死ぬのだから今を精一杯生きろ」という意味があるのではないかと思っています。

せっかくの人生ですし、後悔なく生きたいですよね。

私と似たキャリアを目指す人へのメッセージ

あなたのなりたい自分は?

究極的に言えば、私と同じことをすれば同じキャリアを歩むことができるかと問われれば、答えはおそらくNOです。

私のキャリアはさまざまなつながりや偶然の上に成り立っているので、そんな不確定なものに時間を割くのはナンセンスだと思います。

また、キャリアとは最初に述べた通り“歩んできた道のり”であって、目的ではありません。そのキャリアを目指すのではなくあなたが“あなたのなりたい自分”を目指して努力してきた道がキャリアになるのです。

私のキャリアは一つの“参考”です。このシリーズを通してn=1のキャリアにたくさん触れて、自身の目指すものへ、最も適合したキャリアを形成していくのが良いのではないでしょうか。


その上で参考として、また四つまとめてみました。興味があれば見ていってください。

1. やってみよう

“できない理由はいくらでもある。必要なのはやる気とちょっとの勇気。”

私が常に大切にしていることなのですが、やらない理由を探すよりもやりたいと思ったその気持ちを大切にしてあげてほしいなと思います。


2. 違うは美徳

“他人と違う、それってつまりは個性で武器では?
振り切れればむしろあなたを助ける。”

出る杭打たれる日本文化の中で嫌厭されがちですが、振り切れた個性はあなたの武器にもなります。要はそれをどう使うか。ということです。


3. 合わない人もそれはいる

“全ての人に愛される。なんてのは猫でも無理なんだから人には無理。
逆もまた然りで全ての人を好きになる必要はない。”

私は猫好き(犬も好き)ですが、猫の嫌いな人もいるこの世の中で誰からも愛されることは難しいと思います。

なにかの本で読んだのは人生の中でである全ての人を100とした場合、そのうち20%は何をしても自分に好意を持ってくれる人、60%は無関心、20%は何をしても自分のことを嫌う人みたいな感じでした。

上記の細かな数字はさしたる問題ではなく、重要なのは多くの人が自分に無関心であるということ。嫌われるのは仕方ないということ。そして最も大切にしなければならないのは、自分の味方であってくれる20%の人々だということです。


4. 学生は強い(学生向け)

“学生あれば多少の失敗は許される。失敗して強くなれ。 学生のうちに失敗しないで今後失敗しない自信・・ある?”

大学時代は早く卒業して社会に出たいと思っていました。自分の能力を実践で試したいという気持ちや、安定した収入のない学生というものは不完全な身分で社会に認められていないと感じていたことが主たる原因です。

しかし、学生という身分はある種の特権階級なのです。

海外の大学病院に得体の知れない一般人が“見学させてください”と尋ねてきたら、多くの場所では訝しがられること間違いありません。“○○大学の学生です”と言えば、そうか学生なら将来のために見せてやろう。という気分になる人々は多いのはないでしょうか。

また、失敗したとしても“まあ、学生だものね。。”と許してもらえることもありますし、私はかなり雑で大雑把な性格なので、「人生のノーミスクリアよりも必要な時にミスをしない。そのための経験値を増やす。」ということが大切だと思っています。

そっちの方が大多数だと思いますので、失敗を恐れず、学生の身分を十分に活かし、将来への糧にしていってほしいと思います。

結語

ここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございました。私が今まで感じてきたことが皆様にとって少しでも良い方向に働きましたら幸いです。

皆様が各々の分野でご活躍されますことをお祈りしております。

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