
【採択者が語る科研費獲得のコツ】スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野 vol.1
2025.05.26
救命救急士の資格を取得し、修士号・博士号を経て大学教員へと進んだ筆者は、拡張現実を用いた救命救急講習の開発を研究テーマとしています。
本記事では、研究生活のスタートダッシュを図るべく申請し、採択に至った「研究活動スタート支援」助成金獲得までのプロセスをご紹介します。
これからアカデミアのポジションに就く読者の方々にとって、有益な指針となる内容です。
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- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- 獲得ノウハウシリーズ
- 申請者情報
- 助成金情報
- 助成金名
- 助成団体の種類
- 助成団体名
- 助成制度・助成団体の理念
- URL
- 応募対象の条件
- 最大助成金額・期間
- 実際に支給された助成金額・期間
- 募集頻度・時期
- 研究内容
- 申請時の研究タイトル
- 研究概要
- 【mJOHNSNOW入会受付中|7日間無料お試し】
- 申請までの経緯
- 助成金を知ったきっかけ
- この助成金を選んだ理由
- 応募に至るまでのストーリー
- 申請ノウハウ
- 募集要項で特に注目した点
- 申請準備で実施したこと
- 申請書に記載が求められる項目
- 各項目の記入分量
- 構成・ストーリーについて意識したポイント
- 独自性や社会的意義でアピールしたポイント
- 文章表現の工夫
- 記入が難しかった項目と、その理由
- 採択につながったと考えるポイント
- 採択後の成果
- 助成金の使用用途
- これから応募する人へのエール
- 【mJOHNSNOW入会受付中|7日間無料お試し】
- 【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
研究活動スタート支援の申請条件
採択者が申請書を書く際に意識している点
採択される申請書の書き方
この記事は誰に向けて書いているか
研究助成金の申請をしようと考えている方
申請書の書き方に悩んでいる方
採択された方の経験談を知りたい方
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野(本記事)
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
【奨学金】
申請者情報
氏名:中川洸志
researchmap(https://researchmap.jp/koshi-nakagawa)
所属:中央大学 理工学部 人間総合理工学科
職位:常勤教員
専門分野・領域:臨床医学
助成金情報
助成金名
研究活動スタート支援
助成団体の種類
公的機関(省庁・自治体など)
助成団体名
独立行政法人日本学術振興会
助成制度・助成団体の理念
「研究活動スタート支援」は、我が国の研究機関に採用されたばかりの研究者や育児休業等から復帰した研究者等が行う研究をサポートするものであり、これらの研究者の当座のスタート支援に資することが期待されます。
URL
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_startup_support/download.html
応募対象の条件
所属属性に条件あり
最大助成金額・期間
150万円×2年 (Max300万円)
実際に支給された助成金額・期間
247万円(間接経費含む)
募集頻度・時期
毎年決まった時期に公募
研究内容
申請時の研究タイトル
拡張現実を用いた心肺蘇生講習の開発と教育効果の分析
研究概要
拡張現実(AR)を使用したよりリアルな心肺蘇生法(CPR)トレーニングシステムを構築することを目的とする。
病院外心停止(OHCA)の救命率向上のためには、心停止発症から迅速なCPRの実施が重要である。近年、一般市民を対象としたCPR講習の普及は拡大しており、心停止の現場に居合わせた人(バイスタンダー)によるCPR実施率は上昇傾向であるものの、改善の余地がある。
バイスタンダーのCPR実施に際して、心理的な焦りや不安が障壁になり得ると報告されており、より実際の心停止の現場を想定したトレーニングが求められる。
一般的には訓練用マネキンを使用し、心停止の認知やCPRのトレーニングが実施されるが、本研究ではAR技術を用い、よりリアルな心停止傷病者を再現する。
さらに、ARを用いたCPRトレーニングがどのような教育効果をもたらすかの効果分析を実施する。
(続きはページの後半へ)
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申請までの経緯
助成金を知ったきっかけ
上司・同僚からの紹介
この助成金を選んだ理由
キャリアの初期段階で研究基盤を確立したいと考えていた私にとって、この助成金は見逃すことのできない良い機会でした。
特筆すべきは、その採択率です。
一般的に競争の激しい研究費獲得において、この制度の採択率が40%程度と比較的高水準であることは、資金獲得の可能性を現実的に考える上で大きな魅力でした。
もちろん、採択される保証はないものの、この数字は「質の高い研究計画を練り上げれば、資金を得て研究を大きく前進させられるのではないか」という具体的な希望を抱かせるのに十分で、挑戦する価値があると判断する強い後押しとなりました。
応募に至るまでのストーリー
5つ上の先輩教員も大学着任1年目に研究活動スタート支援に応募し、採択を受けた姿を私が大学院在学中に近くで見ていました。そのため「自分も大学教員になったら当然申請をするものだ」と思い、申請を行いました。
また、先輩が採択を勝ち取る姿を見ていたため、「自分もいけるんじゃないか」という根拠のない自信を持って申請に挑みました。申請に至るまでには先輩にも体験談を聞きつつ、申請書の作成を進めることができたため、不安なく挑戦することができました。
申請ノウハウ
募集要項で特に注目した点
書式・文量について、過去の採択者情報
申請準備で実施したこと
他者に研究計画書の添削を依頼、申請書に挿入用の図表の作成
申請書に記載が求められる項目
研究目的・背景、研究方法、研究の独自性・新規性、研究の社会的意義、予算の使用用途
各項目の記入分量
研究の背景から目的、研究方法を3ページ以内
応募者の研究遂行能力及び研究環境を2ページ以内
人権の保護及び法令等の遵守への対応を1ページ以内
の制限がありました。
①②に関してはギリギリまで記載をしました。
一方で、③の人権保護に関しては私の研究では大きな問題がなかったため300字程度の記載に留まりました。
構成・ストーリーについて意識したポイント
なぜ私がこの研究テーマに取り組むのか、その動機と意義の明確に表現しました。
個人的な探求心や長年抱いてきた問題意識が、具体的にどんな社会的ニーズや学術的課題と深く結びついているのかを掘り下げ、その接点を審査員にも明確に理解してもらえるよう努めました。
次に重視したのは「今、この研究を行うべき強い理由」、すなわち研究の必然性です。
関連分野の先行研究の状況や社会の動向、利用可能な技術の進展などを多角的に分析し、なぜ他の誰でもない私が、「今」この研究テーマに挑戦することが学術的・社会的に重要なのか、かつ成果を生み出す上で最適なのかを論理的にしましました。
最後に、これまでの研究活動で着実に積み重ねてきた実績と、本申請にあたっての周到な準備状況を具体的に示すことで、提案する研究計画の高い実現可能性を裏付けられるようにしました。
独自性や社会的意義でアピールしたポイント
当時、世界的に急速な拡大を見せていたXR技術の医療教育への応用に注目しました。
VRを用いた医学教育コンテンツは、その有効性から世界的に普及し始め、関連する学術論文の数も増加をしていました。
一方でAR技術に目を向けると、特に実践的な手技が求められる医療教育分野での本格的な研究・応用はまだ黎明期にあり、「次にARの波が来る」という予感が、本研究テーマが持つ技術的な独自性を形作る上で極めて重要な要素となりました。
また、本研究が具体的な応用先として見据えるのは、心停止時の救命率向上に不可欠とされる一般市民による一次救命処置の教育です。
現時点では、そのための教育手法や機会は未だ十分とは言えず、より効果的で質の高い訓練方法の確立が求められます。
実践的なスキル習得を促し、ひいては一人でも多く救命に貢献しうることを社会的意義として表現しました。
文章表現の工夫
研究計画の革新性や実現可能性を審査員に的確に伝えるためには、専門的な具体性を伴った記述が必要となります。一方で、多様な専門分野の審査員が目を通す可能性を念頭に置く必要もあるため、専門外の方が読んだ際に研究の核心や意義が十分に伝わらない事態を避ける必要があります。
そこで意識したのは、専門外の審査員であっても研究の骨子や重要性、そしてその面白さをスムーズに理解できるよう、意図的に平易な言葉遣いを心がけるという点でした。
難解な専門用語の多用は避け、どうしても使用が避けられない場合は
噛み砕いた説明を加える
より一般的な言葉に置き換える
図表を用いて視覚的に補足する
などをして審査員に過度な負担をかけないよう配慮しました。
これは、研究の学術的なレベルを維持しつつ、幅広い審査員層に内容を正確かつ魅力的に届けるための戦略的な取り組みでした。
さらに、文章の可読性を高め、審査員がストレスなく読み進められるようにするための視覚的な工夫も積極的に取り入れました。
単に情報を文字で羅列するのではなく、重要なキーワードや結論にあたる箇所や研究の独自性を示す部分など、特に注目してほしい箇所には太字を効果的に用いました。
また、各セクションのタイトルや図表内の説明文には、本文とは異なるフォントとしてゴシック体を採用するなど、フォントの種類やサイズ、行間にも変化をつけることで、視覚的なリズムを生み出し、内容の理解を助けることを目指しました。
記入が難しかった項目と、その理由
申請書の各項目の中でも、私が特に記入に時間を要したのは、研究内容の全体像を視覚的に示す「研究概要図」、いわゆる「ポンチ絵」でした。
私自身に絵心があまりなく、頭の中にある研究構想や実験計画のイメージ、あるいは研究の概念的な繋がりを、分かりやすい図やイラストとして表現するスキルに乏しかったからです。
当時、この個人的な弱点を補うために、とにかく多くの先行事例に触れました。
先輩方が過去に作成した申請書を数多く見せていただく機会に恵まれました。それらを分析し、優れたポンチ絵がどのように研究の要点を抽出することで、複雑な情報をシンプルに図式化しているのかを参考にしました。
近年は画像生成AIが発展しており、簡単なキーワードやコンセプトを指示として与えるだけで、研究内容に基づいた多様なイメージ図やイラストの雛形をAIが短時間で提案してくれます。それを参照しながら作成することが可能になるため、その負担は劇的に軽減されているでしょう。
採択につながったと考えるポイント
第一に、研究テーマ自体がXR技術の医療応用という当時の学術的・社会的な流行に合致しており、新規性や将来性を感じさせる「キャッチーなネタ」であったことです。この分野の発展への期待感が、審査員の関心を強く惹きつけたのだと考えています。
第二に、本申請の核心分野である「蘇生」に関して、私自身がこれまでに研究実績を有していた点が挙げられます。これにより、対象領域への深い理解と継続的な問題意識、そして研究を推進する上での基盤があることを具体的に示すことができました。
そして第三に、本研究の鍵となる「XR技術」を活用した研究経験も既に有していたことです。これが、提案する斬新な研究計画の実現可能性と、私自身の技術的な遂行能力に対する信頼性を高める上で、決定的な強みとして作用したと考えています。
採択後の成果
助成金の使用用途
機器・ソフトウェア購入、旅費・学会出張費
これから応募する人へのエール
論文を読むのが初めは難しかったように、申請書を書くのも初めは難しく苦しいものだと思いますが、本数を重ねるうちに論文を読む負担も少なくなっていきます。
申請書も同様に本数を重ねるうちに気楽に書けるようになります。今頑張れば、次の申請の機会の自分はさらに成長しています。
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シリーズ一覧
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野(本記事)
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
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