
【採択者が語る助成金獲得のコツ】古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野 vol.3
2025.06.24
リハビリテーション学分野の大学教員である筆者は、筋シナジーをもとにしたロボットアシスト歩行練習の研究に取り組んでいます。
本記事では、科研費だけでは研究費が不足してしまう時、民間の助成金という選択肢を提示してくれています。
「多額の研究費が必要だけど、大きな助成金の獲得は難しい。」
そんな中でも、さまざまな助成金の組み合わせで研究を促進することができます。
筆者の経験には、あなたの研究生活を豊かにするヒントが満載です。
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- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- 獲得ノウハウシリーズ
- 申請者情報
- 助成金情報
- 助成金名
- 助成団体の種類
- 助成団体名
- 助成制度・助成団体の理念
- URL
- 応募対象の条件
- 最大助成金額・期間
- 実際に支給された助成金額・期間
- 募集頻度・時期
- 研究内容
- 申請時の研究タイトル
- 研究概要
- 【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:7日間無料お試し】
- 申請までの経緯
- 助成金を知ったきっかけ
- この助成金を選んだ理由
- 応募に至るまでのストーリー
- 申請ノウハウ
- 募集要項で特に注目した点
- 申請準備で実施したこと
- 申請書に記載が求められる項目
- 各項目の記入分量
- 構成・ストーリーについて意識したポイント
- 独自性や社会意義でアピールしたポイント
- 文章表現の工夫
- 記入が難しかった項目と、その理由
- 採択につながったと考えるポイント
- 採択後の成果
- 助成金の使用用途
- これから応募する人へのエール
- 【オンラインスクール mJOHNSNOW入会受付中:7日間無料お試し】
- 【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
古川医療福祉設備振興財団研究助成の申請条件
採択者が申請書を書く際に意識している点
採択される申請書の書き方
この記事は誰に向けて書いているか
研究助成金の申請をしようと考えている方
申請書の書き方に悩んでいる方
採択された方の経験談を知りたい方
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野(本記事)
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
【奨学金】
申請者情報
氏名:中條雄太
所属:関西医科大学
職位:常勤職員
専門分野・領域:医療・福祉
助成金情報
助成金名
一般財団法人 古川医療福祉設備振興財団 研究助成
助成団体の種類
民間
助成団体名
一般財団法人 古川医療福祉設備振興財団
助成制度・助成団体の理念
当財団は、我が国におけるライフイノベーション(医療・福祉分野の革新)を促進させるために、医療機器、医療設備、福祉機器、病院設計・建築、医療福祉情報等の領域に必要な助成を行い、以って広く社会に貢献、寄与するための事業を行う。
URL
https://furukawa-found.or.jp/josei/
応募対象の条件
年齢に条件あり、研究分野に条件あり
最大助成金額・期間
200万円×1年
実際に支給された助成金額・期間
199万円×1年
募集頻度・時期
毎年決まった時期に公募
研究内容
申請時の研究タイトル
脳卒中後片麻痺歩行における筋シナジーの障害像ごとのロボットアシスト歩行練習効果の検証
研究概要
脳卒中後片麻痺歩行で見られる多関節運動を制御する複数の筋活動(筋シナジー)の障害像ごとのロボットアシスト歩行練習の効果を検証することである。この研究を通じて、正常な下肢関節運動の誘導による歩行能力を改善させる筋シナジーの特性を明らかにし、個別化されたアプローチかつ効率的な治療指針を提案することを目指している。
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申請までの経緯
助成金を知ったきっかけ
上司・同僚からの紹介
この助成金を選んだ理由
本助成金制度は、あまり知られていない財団のようですが、若手研究者かつ福祉機器という広い範囲を対象としており、リハビリ業界でも比較的取得しやすいと思いました。
他の助成金制度と異なり、実践的な内容から福祉機器なども対象としており、私の研究テーマと非常に親和性が高かったです。
また、金額も単年で200万円と研究機器の購入に十分な額であることも魅力の一つでした。
私は科研費が採択されても、研究課題に必要な計測機器購入資金が不足していました。そこで、こちらの助成金を併用することよって研究の質と速度を向上させることができると考えました。
さらに、本助成金は申請書の記入項目の一つ一つで記入量が比較的少なく、研究の社会的意義を重視している点も、私の研究の強みを活かせると感じたため応募しました。
応募に至るまでのストーリー
普段から脳卒中患者の歩行障害について深い関心を持ち、歩行障害の神経学的メカニズムの解明およびロボットアシスト歩行練習による効果に関する研究に従事してきました。
私の研究キャリアの中で、特に歩行再建は患者さんのQOL向上に直結する重要なテーマだと実感しており、2023年4月に単施設でロボット歩行練習による効果を検証する予備的研究を開始しました。
初期データでは有望な結果が得られたものの、脳卒中の歩行パターンは損傷部位や重症度によって非常に多様であることが明らかになりました。このため、多様な障害像ごとのロボットアシスト効果の違いを科学的に検証するためには、少なくとも20名程度の対象者数を確保することが必要であると分析しました。
しかし、単一施設では十分な対象者数を短期間で確保することが困難であるため、多施設での協力体制構築が不可欠だと判断しました。幸いにも当大学附属病院には四つのデイケアセンターがあり、これらの施設間連携により研究の加速が見込めます。
ただし、各施設で統一された計測システムを導入するには相応の費用が必要となります。既存の研究費では計測機器の複数導入が難しく、研究の拡大と加速のためには追加資金の獲得が必須でした。
本助成金は対象領域が福祉機器という広い範囲をカバーしており、私のロボットアシスト歩行練習研究の目的と合致していることから、研究の次なるステップを実現する重要な機会として応募するに至りました。
申請ノウハウ
募集要項で特に注目した点
助成対象となる研究領域
申請準備で実施したこと
過去の採択例を収集・分析、他者に研究計画書の添削を依頼、申請書に挿入用の図表の作成
申請書に記載が求められる項目
研究目的・背景, 研究方法、スケジュール、研究の独自性・新規性、研究の社会的意義、予算の使用用途、推薦状
各項目の記入分量
研究の目的:300字程度
本研究助成金を特に必要とする理由:250字程度
推薦状:250字程度(素案を作成して、上司に確認していただきました)
現在までの申請課題に関する研究の概略:450字程度
研究計画:250字程度
研究の特色と独自性:500字程度
この研究に関連した国内外での研究状況:350字程度
図は合計三つ挿入しました。
構成・ストーリーについて意識したポイント
まず導入部では、筋シナジーという概念を「複数の筋肉を一つのまとまりとして中枢神経系が制御する仕組み」と平易に定義し、なぜそれが脳卒中リハビリテーションで重要なのかを説明しました。これにより、専門知識がない審査員でも研究の基盤となる概念を直感的に理解できるよう配慮しました。
次に、研究の背景として過去10年間の研究動向を簡潔に要約し、現在のリハビリテーション研究における「筋シナジー評価」の位置づけを明確にしました。この部分では、トレンドを押さえていることをアピールすると同時に、まだ解明されていない研究課題(筋シナジーと多関節運動の関連性)を特定することで、本研究の必然性を論理的に示しました。
研究内容の説明では、特に視覚的理解を促進するために図表を戦略的に活用しました。複雑な筋シナジーパターンの違いを示す図は、文章だけでは伝わりにくい我々の発見を直観的に示すことができ、「同じ歩行パターンでも制御メカニズムが異なる」という核心的発見を印象づけることができました。
また、「現在までの申請課題に関する研究の概略」では、単に研究実績を列挙するのではなく、前年度に重点的に取り組んだ研究活動を時系列に沿って詳細に記述しました。特に、データ収集方法の最適化や予備的解析結果など、具体的な研究プロセスを示すことで、研究遂行能力と研究の進捗状況を同時にアピールすることを意識しました。
独自性や社会意義でアピールしたポイント
本研究の最大の独自性は、脳卒中後片麻痺患者の歩行障害を「筋シナジー」という中枢神経系の制御パターンの観点から評価し、個別化されたリハビリテーション戦略の開発に応用している点です。
私たちは、外見上の歩行パターンが類似していても、背景にある神経制御メカニズムが異なる患者群を初めて同定することに成功しました。この発見は、従来の表面的な歩行評価では捉えられなかった脳卒中後の運動障害の多様性を示すものであり、リハビリテーション医学における評価パラダイムの転換をもたらす可能性があります。
さらに、ロボットアシスト歩行練習の効果が障害像によって異なることを実証的に示した点も、本研究の重要な独自性です。
これまで「一律」に適用されがちだったロボットアシスト歩行練習を、筋シナジーパターンという客観的指標に基づいて「個別化」する科学的根拠を提供します。これにより、効果が期待できる患者には積極的にロボット療法を適用し、効果が限定的と予測される患者には別の治療戦略を早期から検討することが可能になります。
社会的意義としては、日本のリハビリテーション医療が直面する「時間的制約」という課題に対する具体的な解決策を提示している点が挙げられます。
診療報酬制度の制約により限られたリハビリテーション介入時間を最大限に有効活用するためには、個々の患者に最適な治療法を科学的根拠に基づいて選択することが不可欠です。本研究は、筋シナジー解析という新たな評価手法を臨床現場に導入することで、限られた医療資源の中でも最大限の治療効果を得るための道筋を示しました。
文章表現の工夫
申請書を作成する際、最も意識したのは「専門家ではない審査員にも理解される文章」を書くことでした。
そのために、まず複雑な研究内容を論理的な流れで説明できるよう全体構成を工夫しました。具体的には、各セクションの冒頭には要点を簡潔にまとめ、読み手がすぐに内容を把握できるようにしました。
専門用語については、初めて出てくる際に平易な言葉で説明を加えました。リハビリテーション分野に馴染みのない審査員でも理解できるよう、専門用語の使用は必要最小限に抑え、使う場合は必ず解説を添えるようにしました。
特に重視したのが図表の活用です。
「筋シナジーパターンの違い」や「ロボットのアシスト」といった抽象的な概念を、カラフルな図表やイラストで視覚化することで、文章だけでは伝わりにくい研究の独自性を直感的に理解してもらえるよう工夫しました。図表には簡潔な説明文を添え、本文と図表を行き来しなくても内容が把握できるよう配慮しました。
記入が難しかった項目と、その理由
「研究の特色と独自性」においては、筋シナジーという先端的概念を扱う研究の価値を幅広い背景を持つ審査員に伝えるという課題に直面しました。
専門用語を過度に使用せず、かつ研究の革新性を明確に示すというバランスは非常に難しかったです。図表を活用して視覚的に理解しやすくする工夫は、複雑な概念を直観的に伝える上で極めて効果的な手法でした。
「現在までの申請課題に関する研究の概略」では、私自身、研究論文の実績がほとんどなかったため、研究の進捗状況を説得力をもって示すという難しい課題に取り組みました。
この部分は、実施済みの研究プロセス(データ収集方法の確立、本研究に関わるデータ解析の実施、本研究の開始状況など)を具体的かつ詳細に記述することで、研究遂行能力と進捗状況を効果的にアピールしました。
採択につながったと考えるポイント
本研究が助成金に採択された要因として、最も重要だったのは「実行可能性の高さ」だと考えています。
申請時点ですでに単施設での研究を開始しており、初期データの収集と分析方法の確立が完了していたことが、審査員に研究の実現可能性を強く印象づけたと思われます。具体的には、デザインや方法論や解析方法の確立など、研究の基盤となる部分がすでに整備されていたことを詳細に記述できた点が説得力を持ったと考えられます。
また、本研究が単なる「現象の解明」にとどまらず「介入効果の検証」まで含めた実践的な研究設計であった点も、採択につながった大きな要因と考えます。
特に、ロボットアシスト歩行練習という具体的な介入方法と、その効果を筋シナジーという客観的指標で評価するという明確な研究フレームワークを提示できたことが、研究の社会的意義と臨床応用可能性を示すうえで効果的だったと思われます。
採択後の成果
助成金の使用用途
人件費、機器・ソフトウェア購入
これから応募する人へのエール
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vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
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