
【採択者が語る科研費獲得のコツ】科研費 若手研究:高齢者看護学および地域看護学関連 - vol.4
2025.08.17
看護学分野の教員であり、博士号を取得した筆者は、地域健康課題の把握における実用的な現任教育プログラムの開発を研究テーマとしています。
本記事では、成功のポイントや失敗から学んだことを交えながら、「科研費 若手研究」の採択に至るまでのプロセスをご紹介します。
博士研究員(ポスドク)の方や、科研費を初めて申請しようとしている若手研究者にぜひ読んでいただきたい内容です。
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- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- 獲得ノウハウシリーズ
- 申請者情報
- 助成金情報
- 助成金名
- 助成団体の種類
- 助成団体名
- 助成制度・助成団体の理念
- URL
- 応募対象の条件
- 最大助成金額・期間
- 実際に支給された助成金額・期間
- 募集頻度・時期
- 研究内容
- 申請時の研究タイトル
- 研究概要
- 【mJOHNSNOW入会受付中|7日間無料お試し】
- 申請までの経緯
- 助成金を知ったきっかけ
- この助成金を選んだ理由
- 応募に至るまでのストーリー
- 申請ノウハウ
- 募集要項で特に注目した点
- 申請準備で実施したこと
- 申請書に記載が求められる項目
- 各項目の記入分量
- 構成・ストーリーについて意識したポイント
- 独自性や社会意義でアピールしたポイント
- 文章表現の工夫
- 記入が難しかった項目と、その理由
- 申請書レビューの有無
- 申請書レビューをした人
- 採択につながったと考えるポイント
- 採択後の成果
- 助成金の使用用途
- キャリアへの影響
- これから応募する人へのエール
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- 【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
研究活動若手研究の申請条件
採択者が申請書を書く際に意識している点
採択される申請書の書き方
この記事は誰に向けて書いているか
研究助成金の申請をしようと考えている方
申請書の書き方に悩んでいる方
採択された方の経験談を知りたい方
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連(本記事)
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
【奨学金】
申請者情報
氏名:匿名
所属:非公開
職位:常勤教員
専門分野・領域:看護
助成金情報
助成金名
科学研究費助成事業 若手研究
助成団体の種類
公的機関(省庁・自治体など)
助成団体名
日本学術振興会
助成制度・助成団体の理念
独立行政法人日本学術振興会法(平成14年12月13日法律第159号)に基づき、学術研究の助成、研究者の養成のための資金の支給、学術に関する国際交流の促進、その他学術の振興に関する事業を行う。
URL
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/
応募対象の条件
保有学位に条件あり、 所属属性に条件あり
最大助成金額・期間
2~5年 500万円以下
実際に支給された助成金額・期間
4年で総額286万円
募集頻度・時期
毎年決まった時期に公募
研究内容
申請時の研究タイトル
地域健康課題への対応力を高める現場向け教育プログラムに関する研究
研究概要
本研究は、地域保健専門職が行う健康課題の把握・分析において、疫学的手法によるデータ分析が困難とされている現状を明らかにし、実践に即した現任教育プログラムを開発することを目的としています。
面接及び質問紙調査により現場での実践上の課題を明らかにし、それらを踏まえたプログラムを試作・改善します。この成果は、地域保健分野の人材育成や地域支援体制の強化に資すると期待されます。
(続きはページの後半へ)
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申請までの経緯
助成金を知ったきっかけ
所属機関の公募情報
この助成金を選んだ理由
本制度は、研究の規模や内容に対して過度な要件が課されておらず、比較的少額で独立して実施可能な若手研究者向けの助成である点が、本研究テーマと相性が良いかなと感じました。
実のところ、所属機関からは科研費の応募が事実上必須とされており、応募実績がないと一般研究費が傾斜配分となる上、毎年「今年は申請しましたか」と念押しの連絡もあります。
こうした事情から、応募の必要性は十分に認識しており、その中でも本研究の規模感や進め方に無理のない「若手研究」の枠が最も現実的かつ妥当であると判断しました。
応募に至るまでのストーリー
採択までには数年間の連敗が続き、分担研究に加わっていたことでかろうじて所属機関からの研究費減額は回避していました。
不採択が続いても、幸か不幸か、他の膨大な業務に忙殺されたことで精神的に追い込まれることはなかったのですが、同時に「採択されたらタスクが増える…」とすら感じてしまう後ろ向きな時期もありました。
しかし、博士号取得の過程で自立した研究者としての立場を再認識し、「現場を研究で支えたい」という初心に立ち返ることができました。
このような心境の変化が重なり、採択された年度の申請書は、自らの経験や課題意識を真正面から見つめ直し、初めて気合を入れて書き上げたものであったと思います。
博士課程では、研究助成金申請書の作成において
「『無いのはお金だけ!研究費さえあれば即実行可能』という計画を書け」
「研究が面白いと思ってもらえなければ採択されない。『これのどこが面白いの?』に答えられるように」
「科研費は国がスポンサーだということを意識しているか。その研究は社会的に(国にとって)有益なものか?」
という三点を指導されました。
準備状況、遂行能力、期待される成果を具体的に記すよう促され、研究の背景だけでなく、社会的意義やアウトカムの見せ方まで問われた経験が、今回の申請にも活きたと感じています。
申請ノウハウ
募集要項で特に注目した点
審査基準、書式・文量について、 記載方法
申請準備で実施したこと
過去の採択例を収集・分析、他者に研究計画書の添削を依頼、申請書に挿入用の図表の作成、助成金獲得に関するセミナー・書籍の購入
申請書に記載が求められる項目
研究目的・背景、研究方法、スケジュール、研究の独自性・新規性、研究の社会的意義、予算の使用用途
各項目の記入分量
科研費に関しては、記載方法が定まっているので、その記載方法に忠実に従います。この「忠実さ」が意外と大事だと思っています。
各項目の冒頭に、「これについて書くところです」という案内があるので、それに従って書きます。ページ数が決まっているので、それに従います。
分量が自由に設定できる部分では、最初の「(1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的『問い』」の部分に重点を置き、他よりやや厚めに(背景部分は冗長にならないよう、学術的問いまで含めて簡潔に1ページ強ほど)、「(3)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」も、図表を用いて1ページ分くらいを割きました。
構成・ストーリーについて意識したポイント
前年度の申請書を採択経験の豊富な上司に読んでもらった際、「明らかにしたいのは『この一点だ!』とギリギリ攻める感じが無い」との感想を頂きました。
自身では丁寧に書いていたつもりでも、核心がぼやけていたことに気づかされ、「何を一番伝えたいのか」を強く意識し、削ぎ落とす覚悟で構成と表現を見直しました。
まず、地域健康課題の把握における実践上の課題を起点に据え、社会背景と現場の文脈をつないで問題提起を行いました。
次に、仮説や目的を明確に提示し、データ分析の課題を明らかにするパートと、それに基づいた教育プログラムの開発という2部構成をとりました。
研究の進行に沿った時間軸と関係性を意識し、「なぜこの順番か」「どうしてこの方法か」が自然に伝わるように配置を心がけました。
さらに、申請書全体を通じて一貫した問題意識と視点を維持することで、論理的な流れと熱意の双方を両立できるように意識しました。
独自性や社会意義でアピールしたポイント
本研究の独自性は、従来の基礎教育に偏りがちな地域アセスメント教育に対して、現任教育、特に新任期の実践過程に焦点を当てている点にあります。
また、実際の自治体との協働を通じて課題を抽出し、教育プログラムに昇華させる構造は、データヘルス改革に伴う地域の保健活動の高度化と合致しており、政策的なタイミングとも一致しています。
疫学的手法など量的アプローチの教育的支援は、現場では未整備な領域であり、実践と結びついた支援モデルの構築はこれまでにほとんど例がありません。
試行錯誤を重ねながら、どのようにすれば「現場で使える」内容になるかを意識して構想を練り直しました。
さらに、本研究では教育と人材育成を通じて得られた知見を、地域保健施策の改善にも還元可能であると考えており、専門性と社会的意義の両面から貢献できる構成を目指しました。
文章表現の工夫
審査員にとって読みやすい文章とは何かを常に意識し、「一文一義」を徹底しました。特に、「誰が・何を・どうするか」が明確になるよう主語と述語の関係を整え、冗長な表現や主観的な言い回しを削減しました。
また、専門用語には注釈を添えたり、日常業務と接続できる具体例を挿入することで、読み手のイメージを補完するよう努めました。
学外URAによるレビュー支援を活用し、段落の配置や表現のニュアンスを複数回見直しました。
タイトルや概要にはインパクトと明確なキーワードを盛り込み、審査員の関心を初期段階で惹きつける工夫も行いました。
さらに、表現にメリハリをつけるために、要所で箇条書きや段落分けを活用したり、強調(太字、下線)を加えたりして、情報の整理と視認性を意識しました(強調については、学外URAより『1ページに一、二か所が望ましい』と指摘されたのでそれに従いました)。
また、文章全体を通して論理の飛躍がないか、申請書全体を通じて主張と構成に一貫性があるかを繰り返し確認しました。
申請書は学術論文とは異なり、説得力と読みやすさの両立が求められる文書であることを常に意識し、「読み手に伝える」ことを主眼において推敲を重ねました。
記入が難しかった項目と、その理由
審査基準の評定要素の一つである「研究方法の妥当性」を示すのは、特に苦労しました。
正直なところ、「課題を明らかにする」というところまでは見えていたのですが、その先の「で、どう展開するの?」という部分になると急に霧がかかったように見えなくなり、まさに五里霧中とはこのことかという感じでした。
教育プログラムにどうつなげるのか、頭の中ではぼんやりしていても、文章にすると説得力がなく、何度書き直しても「なんか違う…」の連続でした。
初稿を学外URAに見てもらったところ、やはり構成が曖昧で、審査員にとって実施の道筋が見えにくいという指摘を受けました。
そこから、「誰が・どのように・いつ実施し・どのような成果を得るのか」という、いわば「申請書の型」に沿って書き直し、ようやく筋が通るようになってきました。
また、類似研究との差別化や対象者の設定も、見えた気になっていた部分を一つ一つ解像度を上げていく作業が続きました。
書いては悩み、戻ってはまた直し…を繰り返すうちに、ようやく納得できる表現にたどり着いたというのが正直なところです。
申請書レビューの有無
有
申請書レビューをした人
上司・同僚、外部コンサル
採択につながったと考えるポイント
社会的意義の明確さ
プレゼン力(申請書の書き方・構成)
他者からの添削
やる気と本気と自己理解
だと考えています。
学外URAによるレビューでは、構成上の論理性、キーワードの使い方、研究の独自性や実現可能性に関して、多角的な視点から丁寧なフィードバックを受けました。
特に、審査員にとって論旨が飛躍して見える箇所や、研究の強みが不明瞭に映る表現などについて具体的な指摘があり、それらは申請書を「読み手の目線」で再構成する契機となりました。
単に情報を足すのではなく、「何を削るか」「何を前面に出すか」という編集視点を持つことの重要性を学び、結果として、研究の焦点と意義がより明確に伝わる構成へとつながりました。
このような対話的な推敲プロセスが、採択の大きな後押しとなったと実感しています。
準備段階での意識改革が最も大きな転機でした。過去の落選理由を分析し、学外URAによる添削支援を積極的に活用したことで、論理構成や表現の粗さを徹底的に修正しました。
また、「データを扱える地域保健専門職の育成は今後の地域づくりに不可欠である」というメッセージが、国の保健医療施策の動向と一致していた点も大きいのではないかと思います。
研究実施体制についても、既存の自治体連携実績を根拠に具体的に示すことで、実現可能性を裏付けました。
これらを通じて、「なぜこの研究が今必要なのか」「なぜ自分が取り組むのか」「どのような社会的意義があるのか」という三点が一貫して伝わったことが、採択の決め手になったのかな、と考えています。
申請書づくりは、単に書類を整える作業ではなく、自分自身の専門性や社会との関係を見つめ直す機会でもあったと思います。
書き直しに迷う時期もありましたが、粘り強く向き合うことで、研究の核が研ぎ澄まされていったように感じます。
学外URAによるレビュー支援を通して、自身では見えにくかった論理の飛躍や焦点のぼやけが客観的に浮き彫りになり、「何を削り、何を強調すべきか」という視点を学ぶことができました。
結果として、「なぜこの研究が今必要なのか」「なぜ自分が取り組むのか」「どのような社会的意義があるのか」という三つの軸が一貫して伝わる申請書に磨き上げられたのではないかと感じています。
私もまだまだ未熟者ですが、これから挑戦する方にとって、私の経験が少しでも参考になれば幸いです。
採択後の成果
助成金の使用用途
機器・ソフトウェア購入、旅費・学会出張費、データ収集・分析、論文投稿費用など
キャリアへの影響
以前より講演依頼が増えたように思います。
これから応募する人へのエール
申請書を書いていると、ふと「あれ?結局何がしたかったんだっけ?」と、哲学的な穴に落ちることがあります。
気づけば、進まない申請画面と提出締切がそばにいて、PCを開いては閉じる日々。申請〆切前は、わりとこれが正常な日常でした(そして、またその日常がやってきます)。
通りそうなことを書こうとして、自分の声が消えていく不安もあるかもしれません。私はそうでした。
でも、やや気恥ずかしいほどの「研究への執念」は、書き手の熱として、ちゃんと読み手に伝わるのではないかなと思っています。
申請書は、一種の自己紹介文であり、人生の履歴書であり、ちょっとした作品でもあります。
どこかに、自分らしい「ひとこと」を潜ませたら、それが案外、決め手になることもあるかもしれません。
そして、心が折れそうになったら、私のように「不採択を重ねてようやく採択された」という人もいると思い出してください。
あなたの問いは、まだ終わっていません。道はこれからも続きます。
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シリーズ一覧
獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】
vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野
vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連
vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野
vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連(本記事)
vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野
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