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【東大SPH受験】看護師から東大SPHへ:志望から合格までの軌跡 - vol.1
2024.12.05
臨床看護師による東京大学大学院公共健康医学専攻(SPH)受験体験記 - 仕事と両立しながらの半年間の軌跡をお伝えします。
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この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
東大SPH受験に向けた具体的なタイムライン
実際に役立った参考書や教材
仕事との両立を含めた現実的な勉強方法
この記事は誰に向けて書いているか
SPH(公衆衛生大学院)受験を検討中の方
東大SPHの受験情報を探している方
仕事と両立しながらSPH受験にチャレンジしようとしている方
東大SPHをもっと深く知りたいあなたへ
受験のかたちは人それぞれ。東大SPHを目指す歩みには、十人十色の物語と、それぞれに合った勉強法があります。
大切なのは、自分自身にフィットする戦略を見出すこと――それこそが、合格への鍵となるのです。
ここでご紹介する体験記は、受験に向けた思考と準備のヒントに満ちています。
これから進む道の羅針盤として、ぜひ他の東大MPH受験記もあわせてご覧ください。
看護師から東大SPHへ:志望から合格までの軌跡(本記事)
執筆者の紹介
氏名:大久 敬子(researchmap:https://researchmap.jp/keikohisa)
所属:株式会社JMDC
経歴:看護師・保健師資格保持。聖路加国際大学看護学部卒業後、都内がん専門病院での病棟看護師経験を経て、東京大学大学院医学系研究科に進学し、公衆衛生学修士(MPH)を取得。修士課程在学中は臨床疫学研究室にてリアルワールドデータの解析手法を学び、DPCデータベースを用いた疫学研究論文(抗がん剤の血管外漏出に対するステロイド皮下注射の効果について)を執筆。その後、レセプトデータを用いた研究やデータを用いた価値創出についてより理解を深めるため、株式会社JMDCに入社。現在は製薬・医療機器メーカーを対象としたコンサルティング業務に従事している。
編集者
氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。
監修者
氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。
SPHを受験しようと思ったきっかけ
臨床経験から見出したデータ活用の可能性
私は看護師として3年間、がん専門病院で勤務する中で、医療現場特有の課題に直面し、以下のような理由からSPHに進学したいと考えました。
可視化されない看護の価値
がん専門病院の病棟で働く中で、最も強く感じていたのは看護ケアの評価に関する課題でした。
例えば、熟練看護師による細やかな観察や適切なタイミングでの介入が、患者さんの急変を未然に防いでいる場面を幾度となく目にしてきました。
また、治療の副作用に苦しむ患者さんに対して、エビデンスに基づいた症状マネジメントを提供することで、QOLの改善に貢献している場面もありました。
しかし、このような質の高い看護実践の価値を、客観的な指標として示すことは極めて困難でした。
「良い看護」は確かにそこにあるのに、それを数値化し、エビデンスとして示すことができない状況にもどかしさを感じていました。データ活用の現状と課題
病院には電子カルテを始めとする様々なシステムが導入され、日々膨大な臨床データが蓄積されています。
しかし、それらのデータの多くは、単なる記録として保存されているだけで、積極的な分析や活用がなされていませんでした。
特に看護研究の現場では、この課題が顕著でした。
データ収集の手法や統計解析の方法が適切でないために、せっかくの研究結果の信頼性が損なわれてしまうケースを何度も目にしました。
「もっと科学的な方法で研究を設計し、適切な統計手法を用いることができれば、現場の実践をより強固なエビデンスとして示せるのではないか」—この思いは、日を追うごとに強くなっていきました。
このような課題に直面する中で、私の中で次第に明確になってきた目標がありました。
それは、「データサイエンスの手法を用いて、看護実践の価値を可視化し、よりよい医療の実現に貢献したい」という思いです。
具体的には、
疫学・統計学の専門知識を体系的に学び、データ分析の本格的なスキルを身につけること
臨床データを適切に分析し、医療の質向上に活かせる知見を導き出すこと
自身で質の高い研究を設計・実施し、新たなエビデンスを生み出せる人材になること
これらの目標を達成するために、私は公衆衛生大学院進学を検討し始めました。
なぜそのMPHを選んだか
様々なMPHプログラムがある中で、私が東京大学のSPH(公共健康医学専攻)を選択した理由は、以下の3点です。
本格的な研究環境
まず魅力に感じたのは、その研究環境の充実度でした。東大SPHには、各分野の第一線で活躍する研究者が揃っており、直接指導を受けられる機会があります。
また、疫学・統計学の基礎から最新の研究手法まで、体系的に学べる環境が整っていると感じました。
「研究をするなら、まず適切な方法論をしっかりと学びたい」という思いが強くありました。
その点で、東大SPHの提供する研究環境は、私の希望に合致していました。研究室選びの柔軟性
二点目に魅力に感じたのは研究室選びにおける自由度の高さです。
東大SPHでは、入学後に研究室や研究テーマを決定できます。これは、具体的な研究分野を決めかねていた私にとって、大きな魅力でした。
様々な分野の講義を受けながら自分の関心領域を見つけ、それに応じて研究室を選択できる。この点が、他大学院にない東大SPHの特徴だと感じました。先輩方からの具体的な情報
決め手となったのは、実際に東大SPHで学ばれた先輩方からの情報でした。
先輩方のSNSでの発信からは、充実した学習環境や研究生活の実態を具体的に知ることができました。それらの情報が、「ここで学びたい」という強い思いにつながったと思っています。
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受験対策でやったこと
受験時のスタートライン
受験を決意したのは受験の約1年前でしたが、実際の受験勉強は約半年前から開始しました。
開始時点での学力レベルは以下の通りです。英語:TOEIC700点台(センター試験換算85%程度)
統計学:高校数学の復習から必要な状態
公衆衛生:保健師国家試験レベルの基礎知識あり使用教材と学習戦略
科目ごとに、以下のような教材選択と学習戦略を立てました。
英語:
主軸としたのは過去問(2009年〜2018年)の徹底的な分析です。
医学・公衆衛生関連の専門用語は、Weblioアプリを活用して通勤時間などに学習しました。
統計学:
基礎固めとして「統計学演習」や「統計学の時間」、「コア・テキスト統計学」などを活用し、過去問(2013年〜2018年)で演習を行いました。
加えて、YouTubeの「予備校のノリで学ぶ」シリーズで理解を補完しました。
公衆衛生学:
「公衆衛生がみえる」を基本テキストとしつつ、過去問(2013年〜2018年)を中心に学習を進めました。
時事的な話題については、「公衆衛生がみえる2018-2019」「一目でわかるヘルスプロモーション理論と実践ガイドブック」などの厚生労働白書で補完しました。
専門科目:
専門科目についてはひたすら過去問演習を実施し、出題傾向を掴むことに注力しました。
過去問(2013年〜2018年)では、疫学、予防医学、精神保健、健康教育、公衆衛生調査方法論に焦点を当てました。
その他の参考図書として、「わかりやすいEBNと栄養疫学」「社会と健康:健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ」を使用しました。具体的な学習プロセス
受験6か月前(3月):統計学演習の例題を1周完了。
受験3~5か月前(4月〜6月):過去問2周を目標に学習(英語は9年分、公衆衛生学一般・統計学は5年分)。
受験1~2か月前(7月〜8月):過去問3周目に挑戦。専門科目の過去問学習開始(2周目標)。
試験直前期:小論文の原稿作成と過去問での模擬試験実施(直近1年分を模擬試験用に活用)。時間管理と学習スケジュール
平日:勤務後2〜3時間の学習時間を確保(日勤後にカフェで閉店まで居座り勉強)。
休日:5時間以上の学習時間確保。ただし、予定のある日は思い切って息抜きし、それ以外の日は集中的に学習するといったようにモチベーションを維持するためメリハリを持たせました。科目別学習アプローチ
英語:
①速読練習 - 過去問や、レベルの高い医学雑誌であるLancetの社説を使用し、短時間で多くの文章を読む練習を繰り返しました。②要約練習 - 読んだ文章の内容を、自分の言葉で簡潔にまとめる練習も欠かしませんでした。特に、一つの段落ごとに要旨を把握する練習は、文章全体の理解を深める上で非常に役立ちました。また、抽象的なテーマの文章は重点的に学習しました。
③語彙力強化 - スマホアプリのWeblioを活用して、新しい単語を覚えたり、忘れてしまった単語を復習したりしました。
公衆衛生学一般・専門科目:
過去問中心の学習を実施しました。特に類似問題は完全に把握できるように、参考書を補助的に使用し背景理解を深化させました。
時事問題については、白書知識で対応できるよう心がけました。
統計学:
統計学演習での概念理解、例題による実践力養成で基礎固めを行いました。また、応用力向上として、過去問による総合演習や解法の使い分け習得、適宜公式の復習を実施しました。
小論文:
研究計画や目標を自由に執筆したことに加え、受験生活を共にした友人との相互チェックや、知人への添削を依頼しました。
受験期に大変だったこと
特に大変だったことは、以下の二つです。
時間管理:不規則な勤務シフトの中で学習時間を確保すること。
モチベーション維持:忙しい業務後(特に夜勤明け)の集中力確保や、長期的なモチベーションを管理すること。
受験生に伝えたいメッセージ
東大SPHの入試問題は、単なる暗記では太刀打ちできません。
他方で、学習過程そのものが将来のMPH生としての生活や研究活動に直結する貴重な学習機会となります。
私からの三つのアドバイスです。
1.過去問演習を徹底的に行う
2.英語の得点確保を最優先する
3.無理のない学習ペース配分を心がける
時には大変なこともありますが、この学習過程自体が自身の成長につながります。
皆様の受験生活を心より応援しています!
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