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【RWD1000本ノック】 RWD事業の成否は「1人目」で決まる。採用すべきは“論文が書けるだけの研究者”ではない理由 - vol.04

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【RWD1000本ノック】 RWD事業の成否は「1人目」で決まる。採用すべきは“論文が書けるだけの研究者”ではない理由 - vol.04

2026.01.08

あなたは新たにRWD事業を立ち上げることを明示されました。

「よし、RWD人材を雇うぞ!」と考えたはいいものの、どんな求人票を書いて、どんな人材を採用して、どれくらいの年収を払えば良いか、全く分からずに困ってしまいました。

この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 企業がRWD事業を立ち上げる際にまず雇うべき人材

この記事は誰に向けて書かれているか

  • 企業でRWDに関する業務に取り組んでいる人

  • 企業の疫学専門家になりたい人

すきとほる先生のRWD1000本ノック

Vol.1 そのRWD研究、企業でやると痛い目みませんか?
Vol.2 その製造販売後データベース調査、失敗します
Vol.3 なぜあなたの医療データベースは売れないのか - 「食材」を売るな、「料理」を売れ
Vol.4 RWD事業の成否は「1人目」で決まる - 採用すべきは“論文が書けるだけの研究者”ではない理由(本記事)
Vol.5 なぜ製薬企業のRWD研究のプロトコールは40ページもあるのか
Vol.6 RWD研究で速やかにグローバル承認を獲得する方法を元グローバル疫学専門家が解説
Vol.7 製薬企業が買いたいRWDって、どんなRWD?
Vol.8 RWD研究の外注で失敗しないために - 外注先を見極めろ

執筆者の紹介

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の日本・グローバルにおいて疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究に従事。その後、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

廣瀬直紀著.企業研究者の教科書

こんにちは、疫学専門家のDr. すきとほるです。

本日は「リアルワールドデータ(RWD)事業を立ち上げる際、1人目の人材としてどんな人を雇えばいいのか?」という、非常に切実かつ重要なテーマを解説していきます。


今、ヘルスケア業界では「RWD研究ビジネス」への参入ラッシュが起きています。製薬企業はもちろん、データベンダー、CRO、コンサルティングファームなど、多くの企業が事業を立ち上げようとしています。

しかし、私の元には以下のような悲鳴に近い相談が後を絶ちません。

  • 「募集要項(JD)に何を書けばいいのか分からない」

  • 「応募は来るが、求めている人材と何かが違う」

  • 「高給で採用したのに、全然パフォーマンスが出なくて失敗した……」

私自身、製薬企業でRWDの実務家として働いていましたし、現在はヘルスケア領域に特化した人材紹介事業も行っています。

つまり、「雇われる側」と「雇う側」、双方の視点からこの業界の採用事情を見てきました。

今日は、失敗が許されない「最初の1人」の採用において、どのようなスペックの人間を狙うべきか。その基準をズバリ提示し、その背景にあるロジックを徹底解説します。

結論:「1人目」に採用すべき人材の定義

RWD事業の立ち上げメンバー、その中核となる「1人目」に採用すべき人材の条件は、以下の通りです。

「製薬企業において、リードの疫学専門家として、5本以上のデータベース研究を論文化した経験がある人材」

この定義には、三つの要素が含まれています。

  1. 「製薬企業において」(アカデミアや病院ではない)

  2. 「リードの疫学専門家として」(統計家やデータサイエンティストではない)

  3. 「5本以上の論文化経験」(研究の全サイクルを回した実績)

なぜ、これらの条件が必要なのか? 一つずつ深掘りしていきましょう。

理由1:なぜ「疫学専門家(Epidemiologist)」なのか?

RWD研究には、統計家、データマネージャー、データサイエンティストなど、様々な専門家が関わります。しかし、1人目には絶対に「疫学専門家(エピデミオリスト)」を選ぶべきです。


なぜなら、疫学専門家こそがデータベース研究における「設計図(プロトコル)」を描く中心人物だからです。

家を建てるとき、最初に必要なのは大工さんではなく「建築家」ですよね。それと同じです。 リードサイエンティストとして、リサーチクエスチョンを研究デザインに落とし込み、プロジェクト全体の指揮を執る疫学専門家が必要なのです。

理由2:なぜ「企業(特に製薬)」の経験が必要なのか?

よくある失敗が、「大学で有名な先生」や「アカデミアだけで実績を積んだ研究者」をいきなり採用してしまうケースです。

しかし、企業におけるRWDプロジェクトは、研究であると同時に「ビジネス」です。ただ解析ができれば良いわけではありません。

① ビジネスへの「翻訳能力」

企業の研究には必ず事業目的があります。

「自社製品の売上を伸ばしたい」「安全性の懸念を払拭したい」といったビジネス上のゴールを、科学的な「リサーチクエスチョン」に翻訳する能力。これはアカデミアでは養われないスキルです。

② 多様なステークホルダーとの合意形成

ここが非常に重要です。アカデミアの研究室は、基本的に「同質の専門家」の集まりです。

一方、企業のチームは「異種混合」です。 マーケティング担当、薬事担当、プロジェクトマネージャー、開発担当…

「非専門家」を中心としたチームの中で、専門用語を噛み砕き、合意形成を図り、各自のスペシャリティを引き出しながらプロジェクトを前に進める。 この「泥臭い調整力」は、企業での実務経験がないと持ち得ないものです。

③ 「財布の紐」を握るクライアントの理解

もし御社が、製薬企業から案件を受託するCROやデータベンダーであれば、「発注者(製薬企業)」の内情を知っている人材は最強の武器になります。

製薬企業の「稟議」をどうハックすれば通るのか?

彼らが重視するポイントはどこか?

製薬の言語(プロトコル)を話し、彼らのお金の出し方を熟知している「元・中の人」がいるだけで、ビジネスの成約率は劇的に変わります。

理由3:採用ミスマッチを防ぐ「三つのアセスメント基準」

昨今、疫学専門家は花形職種となり、「私、RWDできます」という人材が増えました。

しかし、いざ蓋を開けてみると「スキル不足で現場が回らない」という事故が多発しています。

面接や書類選考で、本物の実力を見抜くための具体的なチェックポイントをお教えします。

チェックポイント①:出身研究室

「公衆衛生学修士(MPH)」を持っているだけでは不十分です。 公衆衛生には様々な分野があります。

必ず「薬剤疫学」や「臨床疫学」を専門とし、データベース研究を行っている研究室で修士号(または博士号)を取得しているか確認してください。

博士号は必須ではありません。しっかりとした教育課程のある研究室であれば、修士卒でも十分なケイパビリティを持っています。

チェックポイント②:論文数「5本以上」

なぜ「5本」なのか? 

1人目の人材は、部門の立ち上げから解析、論文化までを全て一任されることになります。

リサーチクエスチョンを立て、プロトコルを書き、解析し、論文を執筆し、査読者と戦い、アクセプトされる。

この長く苦しい「研究の全サイクル」を最低5回は回していないと、単身で企業のRWD研究を進めていくというのは難しいものなのです。

チェックポイント③:臨床経験

医師、薬剤師、看護師などの臨床経験があるかどうか。

データは単なる「0と1の数字」ですが、その向こう側には患者さんの人生や、医療現場のリアルな息遣いがあります。

「この検査値の推移は、現場ではこういう意味を持つはずだ」という「クリニカル・イマジネーション(臨床的な想像力)」が、研究の質を左右します。

ただし、これは必須ではありません。チームに医師をアドバイザーとして入れれば補完できるため、「あれば尚良し」程度に考えてください。

一番知りたい「お金」の話:年収1,500万円の壁

最後に、皆さんが最も気にされているであろう「報酬」のリアルをお話しします。

大手製薬企業の疫学専門家(シニアマネージャークラス)を採用しようと思ったら、年収1,500万円以上は覚悟する必要があります。

このような人材が大手製薬でどんな待遇を受けているかというと、

  • そもそも人数が少なく希少(1社に数名)。

  • 放っておいても毎年100〜150万円単位で昇給していく。

  • 福利厚生が手厚く、グローバルキャリアの道も開かれている。

彼らが辞めることは、製薬企業にとっても大ダメージとなるので、高待遇で迎え入れているわけですね。

予算が限られる場合の「プランB」

「いきなり1,500万〜2,000万は出せない」という企業様も多いでしょう。その場合の現実的な戦略をお伝えします。


若手ポテンシャル層を年収500~800万円程度で採用しましょう。 アカデミア出身の新卒・修士卒や、経験の浅い若手(年収500〜800万円レンジ)を採用します。

しかし彼らにはまだ、1人で部門を回す力はありません。

そこで、外部の「頭脳」を借りるのです。

経験豊富な外部の疫学専門家(コンサルタント)を顧問として契約し、部門のオーバーサイトを任せましょう。

「そうは言っても、そんな人材どこにいるんだ」「面接でスキルを見抜く自信がない」という場合は、ぜひぜひ私にご相談ください。


それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

RWDでお困りの企業さんへ

「RWD研究の支援をしてほしい」というご相談を多くの企業様から頂戴するので、企業様向けに正式に窓口を設置しました。

以下のアドレスに連絡頂ければ私に直通しますので、「1時間の無料相談」も含めてお気軽にご連絡ください(3営業日以内にお返事させて頂きます)。無料相談は大変ご盛況となっており、先着順にて対応させて頂いております。

お問合せ先:naoki.hirose@mmedici.co.jp(廣瀬個人アドレス)



私が経営するmMEDICI株式会社ではRWD利活用支援を事業の柱の一つとしており、以下の強みを有しています。「企業の」RWD研究においては日本トップクラスの解像度と経験値を有する自信がありますので、ぜひ無料相談でご体験くださいませ。

  • 元大手外資の日本・グローバル出身の疫学専門家が全案件を担当するので、「企業の」RWD研究に高い解像度を有しています

  • ただ成果物を納品するだけでなく、グローバルやKOLとの合意形成、社内プレゼン、規制当局対応などRWD研究の「プロセス」も全てまきとれます

  • 企業のRWD研究を幾度となく経験しており、企画立案から論文化までの全フェーズを一気通貫で対応できます

  • アカデミアのRWD研究者と広い繋がりを有しており、必要に応じた専門人材のアサインが可能です

  • RWD研究だけでなく、事業立案、マーケ、広報、営業などのRWDビジネスも全て対応可能です

 

以下に私の実績を記載させて頂きます。

  • 大手外資製薬2社にて、部門唯一の疫学専門家として活動をリード

  • 「RWDビジネスの教科書」の書籍を出版(サイドバーをご覧ください)

  • 企業でのRWD研究の経験は50本以上

  • 製造販売後データベース調査のリード経験多数

  • これまで製薬、CRO、コンサル、総合商社、ヘルステックなど10社以上の企業のRWD研究・RWDビジネスを支援

  • 50組織以上にRWD研修を提供

  • 全体統括・講師を勤めたJapan RWD Summitでは初回から約1,700名の集客を実現

  

無料相談では、以下のような内容を含め企業様の「RWD」と名のつく相談でしたら全て対応させて頂きます。

  • このテーマでRWD研究はできるの?

  • RWD研究っていくらくらいかかるの?

  • RWD研究ってどんなプロセスでやれば良いの?

  • 製造販売後データベース調査のやり方を教えてほしい

  • RWD研究をするにはどんな専門家を雇えば良いの?

  • 自社のRWDサービスを売りたいんだけど、強みはどこ?集客はどうすれば良い?

 

無料相談は先着順での対応となりますので、ご希望の企業様はぜひお早めのコンタクトをお願い致します!

お問合せ先:naoki.hirose@mmedici.co.jp(廣瀬個人アドレス)

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