
【医療統計Q&A 教えて新谷先生】Vol.5:臨床的に意味のある差はどう判断する?
2026.03.17
はじめに
「医療統計、これってどうなってるの?」
あなたはそんな疑問に悩まされたことはありませんか?
「医療統計Q&A 教えて新谷先生」では、医療統計の第一人者である新谷先生が、あなたが抱える医療統計の疑問を、驚くほどやさしく解説していきます。
医療統計の「なるほど!」を楽しみ、苦手だった医療統計をあなただけの武器にかえていきましょう。
このシリーズ記事を読み進めていけば、「医療統計、任せてよ!」という自信がムクムクと育っていくはずです。
今回の質問
どのような基準で「臨床的に意味のある差」と判断するべきですか?新谷先生の回答
「どのような基準で、臨床的に意味があると判断するか」ですが、これは本当に胸が痛くなる質問ですね。
“臨床的に”ですので、“統計家”に聞かないでください、というのが答えでもあります。
ですので、基準というものはありません。「基準がないと判断できない」と思われる方は、もう“カット値の呪縛”にかかっていますので、気をつけてください。(ここは笑っていただくところです。)
だからといって、基準がないとものが言えないというわけではありません。
本当に直感的に、「この点推計値が、臨床的に、その領域においてどうであるか」を考えてください、ということになります。(例えば、がんの領域と循環器の領域でも臨床的な意義は違いますよね?)
あくまでも、「点推計値自体が、臨床的に意味のある差であるかどうか」で判断をしてください。統計的な判断ではないのです。ただし、これはとても難しい問題です。
例えば、「新しい治療薬を使ったら、コントロール群と比べてリスクが半分になる(リスク比が0.5)」と、比で言い表すとすごい事に思えますね。
ところが、差で言うと全く意味がなかったりするわけです。「実際にこの薬を使わなければ死亡確率は2%、使うと1%になる」という場合、「比」を見ると0.5ですが、「差」で見ると1%の違いなのです。そうすると、「あれ、意味がないな」となるかと思います。
ですので、統計的な「差」なのか「比」なのか、これを俯瞰的に見る能力が、データのリテラシーになりますので、やはり多面的な判断が必要になると思います。
ただ昔は、例数設計をする時に、臨床的に意味のある差として次の様な基準が使われてたこともありました。
例えば薬剤Aを使うとコレステロールが150になり、薬剤Bを使うと200になる時、群間差は50になります。
そして、それを標準偏差で割ったものが“エフェクトサイズ”と呼ばれるもので、「エフェクトサイズが0.25」というのが、臨床的に意味があると考えて、それを基に症例数設計をする人がとても多くいたのです。
平均の群間差 ÷ 標準偏差 の値を、SMD(Standardized Mean Difference)、標準化された群間差といいます。
このように、連続変数のアウトカムの場合は、平均の群間差 ÷ 標準偏差が0.25(最近では0.1)以上という基準を使う人もいますが、臨床的に意味のある差であるかどうかは、あくまでも臨床的な判断が良いと思います。
※この記事はウェビナー「新谷先生のゼロから極める医療統計」のQ&Aを基に作成されています。
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Vol.2:有意差があるので、「この薬は効く」といっていいですか?
Vol.3:P値ではなく95%信頼区間をみるべき?
Vol.4:95%信頼区間ってどう理解すれば?
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