
【医療統計Q&A 教えて新谷先生】Vol.9:何種類も解析を行い、有意差が出たものだけを報告してよい?
2026.04.23
はじめに
「医療統計、これってどうなってるの?」
あなたはそんな疑問に悩まされたことはありませんか?
「医療統計Q&A 教えて新谷先生」では、医療統計の第一人者である新谷先生が、あなたが抱える医療統計の疑問を、驚くほどやさしく解説していきます。
医療統計の「なるほど!」を楽しみ、苦手だった医療統計をあなただけの武器にかえていきましょう。
このシリーズ記事を読み進めていけば、「医療統計、任せてよ!」という自信がムクムクと育っていくはずです。
今回の質問
いくつか解析手法を変えて、有意差が出たものを報告してもいいですか?新谷先生の回答
例えば、薬剤Aの効果を検討する際に、まず投薬群と非投薬群でMann–Whitney U検定を行ったものの、有意差が認められなかったとします。ところが、続いてロジスティック回帰分析を行った結果、有意な結果が得られたとしましょう。
このように、解析手法を何度も変えて、P値を何度も計算することは問題となります。
また、ロジスティック回帰分析を実施する際にも多重性の問題に注意が必要です。ロジスティック回帰分析を行うために、元々は連続値のアウトカムをカット値で「あり・なし」にしている場合、そもそも「そのカット値はどうやって決めましたか?」と、私が査読者ならば確認しています。
「カット値を手当たり次第に試していませんか?そうであれば、多重性の問題が起こってますよね?」ということです。
カット値を「ここで切る」というように手当たり次第に解析して、有意差が出たところを、あたかも最初から選んだカット値のようにして論文を書く、というケースがありますが、これは本当にNGです。元々の連続変数は、連続変数のまま解析した方がいいと思います。
ただし、「臨床的に意味のあるカット値」が最初から存在してる場合は、データを見る前に、計画の段階でロジスティック回帰分析を実施することを決めておきましょう。
一方で、解析手法を変えたら結果が変わるか、「結果の頑健性」をみるという解析があります。これを「感度解析」と呼びます。
その場合は、どちらの解析が主解析で、どちらの解析が頑健性を確認するための副次的な解析なのかを、最初に決めておいてください。
有意差が出たものが、あたかも主解析だったかのように論文で報告するのはNGです。
※この記事はウェビナー「新谷先生のゼロから極める医療統計」のQ&Aを基に作成されています。
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Vol.2:有意差があるので、「この薬は効く」といっていいですか?
Vol.3:P値ではなく95%信頼区間をみるべき?
Vol.4:95%信頼区間ってどう理解すれば?
Vol.5:臨床的に意味のある差はどう判断する?
Vol.6:P値の多重性は、どのようなときに起こるのですか?
Vol.7:P値の多重性があるとき、調整は必須?
Vol.8:論文にいくつもP値を載せてよいですか?
Vol.9:何種類も解析を行い、有意差が出たものだけを報告してよい?
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