2026.5.28

【病棟教育のリアル:あの場面、どう教える?】「考えているつもり」から「伝わる臨床思考」へ - 後輩指導にも活きる現病歴とA&Pの型 - vol.1

「自分なりに、ちゃんと考えたはずなのに……」
「一生懸命カルテを書いたのに、指導医に伝わらないのはなぜ?」

そんなもどかしさや疑問を持ったことはないでしょうか。

本シリーズでは、総合内科医として15年間、数多くの臨床教育に携わってきた著者が、病棟でのリアルな“対話”を通して、臨床現場における「思考の言語化」と「指導の型」をゼロから解説していきます。

第1回となる本稿では、一つの症例を通して、診断に直結する現病歴の整理法と、論理的に伝わるアセスメント&プランの「型」を紐解きます。

「主訴の深掘り」「陽性・陰性症状」「受診理由」から現病歴を組み立て、「最も疑う病態」「鑑別診断」「管理方法」へとつなげる一連の思考プロセスを提示します。“考えているつもり”を卒業するための第一歩を、一緒に踏み出してみましょう。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 診断につながる現病歴の「3点セット」と情報整理の考え方

  • 鑑別→診断→マネジメントを一貫して言語化するA&Pの基本構造

  • 「思考している」状態を「他者に伝わる形」に変える実践的な型

この記事は誰に向けて書いているか

  • 現病歴やアセスメント&プラン(A&P)に「何を書けばいいか分からない」と感じている方

  • カルテを書いても「考えが伝わらない」と指摘されたことがある方

  • 後輩に思考プロセスをうまく教えられず悩んでいる上級医の方

病棟教育のリアル:あの場面、どう教える? 

vol.1 「考えているつもり」から「伝わる臨床思考」へ - 後輩指導にも活きる現病歴とA&Pの型 -(本記事)

執筆者の紹介

氏名:濱田 治(Osamu Hamada)
所属:愛仁会井上病院 総合内科/京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野
自己紹介:鳥取大学卒業。東京ベイ・浦安市川医療センターで総合内科後期研修を修了。練馬光が丘病院、愛仁会高槻病院を経て、2024年4月より現職。京都大学大学院医療経済学分野の客員研究員として、臨床・教育の現場で生じた疑問や、日本におけるホスピタリスト・診療看護師の有用性に関する研究に取り組む。総合内科専門医。博士(医学)、ECFMG Certificate取得。米国内科学会上級委員(FACP)、同日本支部理事。雑誌『Hospitalist』編集委員。

考えているのに伝わらない問題

「現病歴やアセスメント&プランは何を書けばいいか分からない」。

研修医や医学生、診療看護師(NP)からそう言われることがあります。指導する立場の医師からも、「どう教えたらよいか分からない」と相談されることがあります。

現病歴は、患者さんから得た情報を診断につながる形に整理する場所です。 アセスメント&プランは、その情報をもとにどの病態を疑い、何を否定し、次に何をするかを示す場所です。つまり、現病歴とアセスメント&プランは 臨床における思考プロセスを、他者に見える形にするための道具です。

現病歴やアセスメント&プラン(A&P)に「何を書けばいいか分からない」「どう教えたら良いか分からない」と感じている人に向けて、「思考している」状態を「他者に伝わる形」に変える実践的な型を伝えます。

TALK 1

内科外来で診療を始めた研修医が、問診・診察後に現病歴を書き、指導医へ症例プレゼンテーションを行った。

症例

主訴:腹痛
現病歴:特に既往のない30歳男性。

昨日の夜から腹痛が出現した。発熱と嘔気があり、食欲は低下している。下痢はない。来院当日、当院内科外来を受診した。

👩‍⚕️「先生、現病歴の書き方が難しいと思っています。現病歴って時系列で起きたことを全部書いた方がいいんでしょうか?」
👨‍⚕️「“全部起きたこと”を書く場所じゃないんだよね」
👩‍⚕️「じゃあ、何を書けばいいんですか?」
👨‍⚕️「僕が学んだ型を伝えるね」

現病歴やA&Pの書き方を、体系立てて教わる機会は多くありません。私自身も、先輩や同僚のカルテを見よう見まねで学んできました。転機となったのは、海外研修や英国人医師からの問診・診察指導、米国医師免許試験の準備を通じて、「良いカルテには再現可能な型がある」と学んだことです。

現病歴は時系列の羅列ではなく、診断に必要な情報を選び、相手に伝わる形に整える文章なのだと理解しました。

では、どのような型で書けばよいのでしょうか。

1.現病歴の書き方:診断につながる「思考の型」を言語化する

私は現病歴を書く時、まず次の3点を意識するよう伝えています。

  1. 主訴の深掘り

  2. 鑑別診断のための陽性/陰性症状

  3. 受診した理由

この3点は、現病歴を書くための最低限の骨格です。 これを意識するだけで、現病歴は「時系列のメモ」から「診断に向かう文章」に変わります。

1-1.主訴の深掘り

患者さんが「お腹が痛いです」と言った瞬間に、その腹痛を深掘りする必要があります。主訴の深掘りと言われても、何を記載したら良いのでしょうか。

例えば、疼痛の深掘りには『OPQRST』が有用です。発症様式(O)、増悪・寛解因子(P)、性状(Q)、関連症状(R)、部位・放散(R)、重症度(S)、時間経過(T)を確認します。OPQRSTは初学者にも役に立つゴロだと感じています。

一方で、この順番自体が重要ということではありません。例えば、腹痛であれば発症様式や部位が特に鑑別診断を進めるうえで重要です。発症様式から「病因」を、部位からは「解剖」の視点で類推することができます。

突然発症であれば「詰まった(例. 上腸間膜動脈血栓症)」「捻れた(例. 卵巣茎捻転)」「破れた(例. 胃潰瘍穿孔)」「裂けた(例. 大動脈解離)」といった原因が類推されます。

部位も重要です。心窩部痛なら胃十二指腸、膵臓、胆道系、心臓、血管を考えます。右上腹部痛なら消化管、肝胆道系、膵臓、泌尿器、呼吸器、筋骨格も考える必要があります。部位から解剖学的に疾患を推定するのが有用です。

このように、まず、主訴が現病歴で出現したら、その症状の詳細な情報を記載します。そして、これらは鑑別診断に有用な情報です。

1-2. 鑑別診断のための陽性/陰性症状

主訴があれば、必ず鑑別診断が生まれます。一つクイズをしてみましょう。

  • 「私は赤いです」

  • 「私は丸いです」

  • 「私は果物です」

さぁ、皆さんは何を思い浮かべたでしょうか?過去に研修医や医学生・NP学生に同じ質問をしたら、「りんご」「桃」「さくらんぼ」や「スイカ」と答えた人もいました。

皆さんの頭の中では、果物のリストからその特徴に合致するものを検索していたはずです。そして、「赤い」「丸い」「果物」などの情報が正解に至るのに必要でした。鑑別診断の過程もこれと同じです。

皆さんの頭の中では各疾患の特徴・ポイントと照合・解析が行われていました。各疾患の特徴・ポイントは「illness script」とも呼ばれています(Custers EJ. Thirty years of illness scripts: Theoretical origins and practical applications. Med Teach. 2015; 37(5): 457-62.)。

illness scriptとは、皆さんがこれまで学んできた中で、各疾患(illness)に対して、患者背景・病態・症状と経験に基づく臨床知識の圧縮メモ(script)のようなものです。

例えば、急性虫垂炎のillness scriptは以下のようにストックされているかもしれません(Moris D, Paulson EK, Pappas TN. Diagnosis and Management of Acute Appendicitis in Adults: A Review. JAMA. 2021; 326(22): 2299-2311.)。

急性虫垂炎のillness script

ピーク年齢:10-30歳、特に10代前半
初期:虫垂の拡張・充血
→ T8-T10内臓求心性神経刺激
→ 臍周囲の漠然とした痛み

進行期:周囲の壁側腹膜刺激
→ 体性神経刺激
→ 右下腹部痛

身体診察:McBurney点に圧痛


このように各主訴が生まれた瞬間に、年齢や性別や基礎疾患から鑑別診断の上位となる疾患のリストが頭の中に出現します。患者さんにこれらの疾患の症状を聞いていくことで、その患者さんが持つ陽性症状と、持っていない陰性症状が明らかになります。

私たちは、この作業を通じて診断を行っているのかもしれません。

図. illness script

1-3. 受診した理由

最後に重要なのが、受診した理由です。

私はよく、「なぜこの患者さんは、今、自分の目の前にいるのかを書こう」と伝えています。症状が出たから受診した。もちろんそれはそうです。しかし、その中にも必ず理由があります。 痛みが急に強くなった。 歩けなくなった。 市販薬で改善しなかった。 家族が様子を見て心配した。 かかりつけ医から紹介された。

今回の症例では「本日朝から右下腹部痛が増悪し、歩行時に響くため仕事に行けず、家族に勧められて受診した」と書けるかもしれません。

この一文があると、なぜ今日受診したのかが分かります。そして、病態が進行している可能性も伝わります。

2.現病歴をブラッシュアップする:シグナルを残し,ノイズを削る

では、ここまでの情報をもとに、現病歴を書き直してみます。

症例

主訴:腹痛
現病歴:特に既往のない30歳男性 

昨日の20時頃から急性経過の臍周囲の腹痛が出現した。痛みは鈍痛で、NRS(Numerical Rating Scale:数値的評価スケール)は5/10、放散痛はなかった。排便で症状の改善はない。嘔気があり、食欲は低下している。下痢、黒色便、血便、血尿、頻尿、排尿時痛はない。本日の朝から痛みはNRS8/10まで増悪し、痛みは右下腹部に移動し歩行や咳で響くようになった。37.8度の発熱を伴うようになった。周囲に同様の症状の人はいない。心当たりの食事はない。市販の胃薬を内服したが症状が改善しないため当院を受診した。

「比較的若年者」「臍周囲痛から右下腹部痛への移動」「食欲低下」「嘔気」「発熱」「歩行や咳で響く痛み」などがあり、急性虫垂炎が想起されるかもしれません。

米国海軍病院で務めていた先生から、プレゼンテーションの語源は「プレゼント」という言葉を教えてもらいました。相手が受け取りやすく、満足するようにプレゼントしたいと、思い悩んだ経験はないでしょうか。症例のプレゼンテーションも同じだと思います。

現病歴に何を書いて、何を書かないかには思考が現れます。「有用な情報=シグナル」と、「省略すべき情報=ノイズ」があります。診断や意思決定に役立つ情報が「シグナル」であり、今回の問題に直接寄与しにくい情報が「ノイズ」です。

例えば、急性腹痛の患者さんに数年前からの肩こりがあったとしても、今回の診断に直接関係しないなら、現病歴の中心に置く必要はありません。必要であれば別のプロブレムとして扱えばよいのです。現病歴は、聞いたことをすべて置いておく場所ではなく、診断に必要な情報を選び、読み手に届く形に整える場所です。

3.A&Pの書き方:「何を書けばいいか分からない」を「論理的に伝わるA&P」に変える

症例の続き
身体診察:血圧104/72 mmHg    脈拍 100/分    呼吸数 20/分    
体温 37.8℃    意識清明
頭頸部:結膜蒼白なし・黄染なし
心音:I音・II音正常、過剰心音・心雑音なし
腹部:平坦、腸蠕動音は減弱、McBurney点に圧痛あり、反跳痛あり。肋骨脊柱角叩打痛なし

血液検査
白血球 10,200 /μL(好中球 85%)    Hb 13.6 g/dL   血小板 34万/μL
BUN 18 mg/dL    Cr 0.8 mg/dL    Na 138 mEq/L    K 4.1 mEq/L
Cl 114 mEq/L    CRP 11mg/dL

TALK 2

👩‍⚕️「症候へのアセスメント&プランを論理的に書くのに型はありますか?」
👨‍⚕️「プロブレムごとの使い分けは必要だけど、"考えを整理する基本の型"を紹介するね」

4.アセスメントの三つの型

患者さんは症状(主訴)をもって受診します。しかし、最初から「私の病気は〇〇です」と診断名が与えられることはありません。

現病歴、身体診察、検査データを統合し、鑑別診断の中から診断に迫るプロセス—これが臨床推論です。そして、その思考プロセスを他者に伝わる形に言語化したものが、アセスメント&プランです。

4-1. 最も疑う病態と理由(2–3個)

まず、得られた情報を統合し、最も疑った病態(診断)とその理由を明確にします。ここでは、「なぜその診断を第一に考えたのか」を他者に伝わる形で示すことが重要です。

重要なのは、「診断名を書くこと」ではなく、「その診断に至った理由を示すこと」です。診断の根拠は、現病歴、身体所見、検査所見の順に整理すると伝わりやすくなります。

今回であれば、臍周囲から右下腹部へ移動する腹痛、食欲低下、発熱、McBurney点の圧痛、反跳痛、炎症反応の上昇があり、急性虫垂炎を第一に疑います。必要に応じてAlvaradoスコア(Flum DR. Clinical practice. Acute appendicitis--appendectomy or the "antibiotics first" strategy. N Engl J Med. 2015; 372(20): 1937-43.)などの客観的指標を用いると、判断の根拠を共有しやすくなります

腹痛というプロブレムに対しては、①最も疑う病態と理由(2–3個)の部分に関しては、以下のように記載できます。

#1 腹痛
急性発症の臍周囲に始まり右下腹部へ移動する腹痛であり、McBurney点の圧痛を認め、急性虫垂炎を第一に疑う。Alvaradoスコアが9点であることも診断を支持する。

4-2. 鑑別診断とその可能性

症状があるとき、鑑別診断は必ず複数生まれます。

そのため、妥当で網羅性のある鑑別診断(reasonable and thorough differential diagnosis)を挙げることが重要です。

最も疑う病態だけを述べ、鑑別診断を省略すると、思考過程が見えず、いわば"一本釣り"のように伝わってしまいます。特に若手が上級医にプレゼンテーションを行う際には、鑑別診断が提示されていることで安心感が生まれます。

では、鑑別診断の「否定理由」をどこまで書くべきでしょうか。(例:急性胃腸炎は下痢、疑わしい食事歴がなく、周囲に同症状者はおらず否定的)

私は、全ての否定理由を書く必要はないと指導しています。理由まで詳細に書くとカルテが冗長になり、かえって読みづらくなるためです。鑑別診断を列挙したうえで、「症状・所見から否定的と考えた」と簡潔に記載します。

このイメージはパソコンのフォルダ操作に近いと考えています。

  • 最も疑う病態:フォルダを「展開」し、中のファイル(理由)まで示す

  • 可能性が低い鑑別:フォルダ名のみを提示し、「閉じたまま」にする

図. 鑑別診断のフォルダを展開したり閉じたりするイメージ

ただし、上級医から「〇〇という診断の可能性はどう考える?」と質問された場合には、そのフォルダを展開し、否定的と判断した理由を説明します。

このプロセスを繰り返すことで、「鑑別を挙げる思考過程」そのものが鍛えられます。鑑別診断の可能性が十分に低い場合は、追加検査は不要です。一方で、可能性が残る場合には、その鑑別を絞るための検査を計画します。

この症例では、虫垂炎を第一に疑いながら、憩室炎も鑑別に上がります。また、腹膜刺激徴候があり、虫垂炎の合併症である穿孔や膿瘍形成の評価を造影CTで行うこととしました。

症例の続き
造影CT:虫垂に糞石を認め、虫垂径は10mm。虫垂壁の肥厚と造影増強効果を認めた。虫垂周囲脂肪織濃度の上昇を認める。虫垂周囲の液体貯留や腹腔内遊離ガス像は認めない。

4-3. 管理方法

最も疑う病態と理由、鑑別診断とその可能性を踏まえ、「次に何をするか」を具体的に示すのが管理方法です。入院適応や治療方針などの、その時点で適切なマネジメントを記載します。

急性虫垂炎では、複雑性虫垂炎(穿孔、膿瘍、腹膜炎)、抗菌薬治療が不適切な症例(重症敗血症、免疫不全など)、抗菌薬治療失敗例、手術希望例では手術が推奨されます(Moris D, Paulson EK, Pappas TN. Diagnosis and Management of Acute Appendicitis in Adults: A Review. JAMA. 2021; 326(22): 2299-2311.)。

また、単純性虫垂炎でも糞石がある場合は治療失敗リスクが高く、手術が考慮されます。今回であれば、絶食、補液、鎮痛、外科コンサルト、手術適応の判断が初期対応の中心になります。

米国や英国の医師のカルテ記載では、バレットポイント(「―」)を用いて、アセスメントの後に具体的なプランを箇条書きで示すことが多いです。この形式は、情報を簡潔かつ視覚的に構造化し、要点を短時間で伝えるのに有用です。

また、これらのプランはアセスメントの記載内容から論理的に導かれている必要があります。検査・治療のプランは行動レベルまで具体化することが重要です。"誰が読んでもすぐ動けるカルテ"を意識するよう話しています。

例えば、
「細胞外液投与」ではなく、「生理食塩水 80mL/時で点滴」と記載します。なお、アセスメントとプランの記載は、内容の重複を避けて記載します。

記載例

#1 腹痛
急性発症の臍周囲に始まり右下腹部へ移動する腹痛、McBurney点の圧痛、造影CTで虫垂の炎症像を認め急性虫垂炎を第一に疑った。憩室炎、尿管結石、急性胃腸炎などは症状所見から否定的と考えた。画像検査では単純性に分類されるが、糞石を認め治療失敗リスクが高く、手術が考慮される。消化器外科へ手術適応について相談する。疼痛管理目的にアセトアミノフェンを投与する。絶食とし、細胞外液で補液を開始する。

―消化器外科へ相談
―アセトアミノフェン 1000mg 点滴静注
―絶食
―生理食塩水 80mL/時で点滴

プランとは「やることリスト」ではなく、「今すぐ動ける指示書」です。

5.現病歴とA&Pはつながっている

現病歴とA&Pは、別々の文章ではありません。現病歴はA&Pの材料を集める場所であり、A&Pはその材料を使って診断と方針を組み立てる場所です。

例えば、A&Pで「胃腸炎は可能性が低い」と書くなら、現病歴には下痢、嘔吐、周囲の流行、食事歴などをどう考えたかが必要になります。現病歴にない情報をA&Pで突然使うと、読み手は置いていかれます。逆に、A&Pに使わない情報を現病歴に多く書くと、読み手は迷子になります。

現病歴を書く時には「この情報はA&Pで使うか」、A&Pを書く時には「その判断の根拠は現病歴にあるか」を確認します。この往復によって, 臨床思考は文章として整っていきます。

6.教育の視点:型を渡すことが、次の症例を助ける

若手が現病歴やA&Pを書けないとき、多くの場合、「何を見ればよいのか」「何を書けばよいのか」「どこまで考えればよいのか」が見えていないだけです。そこで必要なのが、型を渡すことです。

現病歴

  1. 主訴の深掘り

  2. 鑑別診断のための陽性/陰性症状

  3. 受診した理由

A&Pの基本の型の一つ

  1. 最も疑う病態と理由

  2. 鑑別診断とその可能性

  3. 管理方法

これらの型があることで、若手は自分の文章を点検できるようになります。

型は若手を縛るものではありません。 むしろ、自由に考えるための足場です。臨床教育とは、正解を教えることだけではなく、次の症例でも使える思考の型を渡すことです。

まとめ

現病歴とA&Pは、臨床思考を他者に見える形にするための道具です。

現病歴では、主訴を深掘りし、鑑別診断のための陽性/陰性症状と受診理由を整理します。 A&Pでは、最も疑う病態と理由、鑑別診断、管理方法を示します。大切なのは、現病歴とA&Pをつなげて書くことです。現病歴で集めた情報がA&Pの根拠となり、A&Pで述べる判断は現病歴に支えられます。

「センスや持っているものではなく養うもの」という言葉があります。型を渡し、繰り返し思考することで、現病歴とA&Pは誰でも書けるようになります。

そして、「考えているつもり」は、他者に伝わる臨床思考へと変わっていきます。

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