
【初学者にも書ける医学英語論文】型で攻略するIMRADの書き方:一貫性のあるDiscussionを書くコツ - vol.13
2025.10.22
英語で医学論文を執筆するのは大変そうですよね。初めての方は「一体何から始めれば良いの?」と思うはずです。私も昔はそうでした。
先行研究を参考に見よう見まねで執筆してみるものの最初の数本は見向きもされず、Rejectの連続でした。今では良い思い出であり、その経験があるから今があると思っていますが、当時はめちゃくちゃ辛かったです。
その後、図書やセミナーで論文の書き方におおよその「型」があることを学び、徐々に査読者に内容が伝わっていないなということが減るのを実感しました。
その論文執筆の型を含む書き方を、筆頭著者・共著者として100本以上の論文に携わり、最近は査読者や編集者を務めているなかで感じたエッセンスを全5回(第10~14回)に渡り公開します。
第13回の今回は、研究によって得られた知見が、その分野において、どのような意味や価値を持つのかを説明するDiscussionについて解説します。
このセクションはIntroduction同様、ストーリー性が必要なので難易度は高めです。
本稿を読んで、研究結果の価値が読み手に伝わるDiscussionの書き方を身につけましょう。
- この記事のまとめ
- この記事を読むと分かること
- この記事は誰に向けて書いているか
- 英語論文執筆シリーズ
- 執筆者の紹介
- 編集者
- 監修者
- Discussionの役割
- 研究の意義・価値・貢献を示すセクション
- 結果を解釈する
- 研究限界を認めて、将来の研究のために
- 講座紹介|【ゼロからの】英語で書ける医学論文執筆講座
- Discussionの基本構成
- 結果のサマリー
- 過去の研究結果との比較
- 結果の解釈
- 研究の意義・強み
- 限界(Limitations)
- 結論(Conclusions)
- 効果的なDiscussionを書くポイント
- 可能な限りシンプルに
- 一つのパラグラフには明確な一つのメッセージを
- 結論に向かうストーリーを
- よくあるミスと改善策
- Introductionと全く対応していない
- 論理が飛躍しすぎている
- 結論にSpinがある
- 次回予告
- 研究計画・医療統計から、英語論文執筆・アクセプトまでトータルサポートならmJOHNSNOW!
- 【YouTubeラジオコンテンツ 耳から学ぶシリーズ】
この記事のまとめ
この記事を読むと分かること
学術論文におけるDiscussionの意義と役割
Discussionの基本構成
Discussionの陥りやすいミスと執筆のポイント
この記事は誰に向けて書いているか
いつもDiscussionの執筆に手こずっている方
Discussionを自由に書いていた方
論文執筆を指導したい方
英語論文執筆シリーズ
vol.1:東大大学院生を指導してきた医師が語る - 英語論文執筆の心理的ハードルを下げよう
vol.2:東大大学院生を指導してきた医師が語る - たった三つを意識すれば論文構成は完成する
vol.3:東大大学院生を指導してきた医師が語る - 学会発表を論文化する最短ルート
vol.4:東大大学院生を指導してきた医師が語る - 投稿から査読対応までの基本プロセス
vol.5:
(前編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - AI時代に求められる論文リテラシーとは?
(後編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - AI時代に求められる論文リテラシーとは?vol.6:
(前編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - 論文の量産を可能にする習慣×統計手法
(後編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - 論文の量産を可能にする習慣×統計手法vol.7:生成AIで進める英語論文執筆の全体戦略 - プロンプト付きで即実践!
vol.8:研究テーマの見つけ方と投稿先選び - 日常から着想を得て論文に育てるステップ
vol.9:短時間で“使える論文”を探す文献検索の手順 - PubMed×AI活用で効率化
vol.10:型で攻略するIMRADの書き方 - 読者に伝わるIntroductionを書くコツ
vol.11:型で攻略するIMRADの書き方 - 再現性の高いMethodsを書くコツ
vol.12:型で攻略するIMRADの書き方 - 過不足のないResultsを書くコツ
vol.13:型で攻略するIMRADの書き方 - 一貫性のあるDiscussionを書くコツ(本記事)
vol.14:IMRADを要約する論文の顔 - 印象に残るTitleとAbstractを書くコツ
執筆者の紹介
氏名:宮田一弘
所属:茨城県立医療大学
自己紹介:博士(保健学)。大学卒業後、理学療法士として病院勤務を経て、現在は医療系大学にて教育および研究に従事している。専門はアウトカムメジャーの検証・解釈や予測モデルの開発などの臨床研究であり、データ駆動型アプローチによる臨床意思決定支援の実現を目指している。これまでに臨床家と協同し100本以上の論文執筆に携わるとともに国際学術誌の査読を多数担当。現在は、国際誌のEditorial Board Memberも務めている。
編集者
氏名:菊池祐介
所属:mMEDICI株式会社
専門性:作業療法学修士。首都大学東京(現東京都立大学)・東京都立大学大学院を卒業後、病院勤務を経て専門学校・私立大学にて作業療法教育、地域共生社会の醸成に向けたリハビリテーション専門職の支援に関する研究に従事。現在は心身の健康とその人らしさの実現に向け、保険内外でのクライアント支援を展開している。作業療法の社会的意義向上を信念に、mMEDICI株式会社に参画。
監修者
氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。
Discussionの役割
研究の意義・価値・貢献を示すセクション
Discussion(考察)のセクションの役割は、研究の結果から得られた知見が、その分野において、どのような「意義」や「価値」を持ち、分野へ「貢献」するのかを説明することです。
研究は、今までに蓄積された知を土台にして、新たな知を創造することを目的としています。
これは、Introductionで「巨人の肩の上に立つ」という用語で伝えた通りです。
そのため、Discussionでは自身の研究で得られた知見(今回の知)が、どのようなことに繋がるのか(新たな知)を読み手にきちんと伝えることが大切です。
皆さんがDiscussionにどんな印象を持っているのかは分かりませんが、論理的な構成と英語表現の自由度が高く、私はこのセクションの執筆がもっとも苦手です…
そのため、初学者の方はかなり苦労するセクションだと思います。
しかし、そんな難易度の高めなDiscussionにも型が存在するため、それを本記事で理解し、読み手に伝わるDiscussionを執筆しましょう。
結果を解釈する
Discussionでは、「研究者・著者が結果をどのように考えて、解釈したのか」を記述します。
これは、研究デザインからデータ収集、統計解析までの一連のプロセスを担当した研究者として重要な点です。
結果を解釈すると言われてもイメージが湧かない場合は、以下の視点から整理するのがおすすめです。
・過去の研究との比較①:結果の一致(一致する点もしくは一致しない点)
・過去の研究との比較②:本研究の新奇性の明示
・当該分野への影響:本研究がどのような貢献をしうるのか
・限界点の指摘と今後の展望
Resultsでどれほど重要な発見を示しても、Discussionで丁寧に考察できていなければ、読み手に研究の重要性は伝わりません。
そのため、Discussionは非常に重要なセクションです。ベテラン研究者であっても、雑誌の編集者や査読者からDiscussionセクションの修正を求められることは少なくありません(初学者だけが苦手というわけではないので、安心してください)。
研究限界を認めて、将来の研究のために
完璧な研究というものは存在せず、どんな研究にも限界があります。
「その限界を研究者自身がどのように認識しているか」を読み手に伝えることはとても重要です。査読者はこの点を非常に注意深く確認しているため、丁寧に記述されていないと論文の評価が下がってしまいます。
具体的には、研究で得られた知見をどの範囲まで適用(一般化)できるのか、あるいはその限界点を明示することを指します。疫学の用語では、内的妥当性や一般化可能性に相当します。
Discussionの最後では、今後の展望として将来必要な研究の方向性を指摘します。
ここで述べるのは、研究者自身が行いたいことではなく、同じ分野の研究者に対して将来の研究を示唆する内容です。科学論文は研究者同士のコミュニケーションツールであることを思い出してください。
限界を示したあとに、今後継続的な研究の必要性が記述されていることで、読み手を最終的な目的地へと上手く導くことができます。
では、具体的にDiscussionには何をどのように書いていけば良いのかを解説します。
(続きはページの後半へ)
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Discussionの基本構成
自由度の高いDiscussionですが、以下に示すような型が存在しています。
①結果のサマリー
②過去の研究結果との比較
③結果の解釈
④研究の意義・強み
⑤限界
⑥結論
リーディングジャーナルでは、Discussionの書き方が指定されている場合もあるため、投稿規定は必ず確認しましょう。
DiscussionのWord数の目安について質問を受けることがあるため、こちらで簡単に触れておきます。結論として、Discussionに明確な文字数の目安はありません。
各セクションのWord数の考え方は、以下のようになります。
Introduction:500 words前後
Methods:再現性を担保するために必要なすべての情報(Supplement material利用)
Results:400〜600 words
Discussion:「投稿規定で決められている上限」から上記を引いて残った分量
論文は上限のWord数まで埋める必要はないため、Discussionには書きたい内容を適切な分量で記載すれば問題ありません。したがって、Discussionは全体の分量を調整する役割を担うセクションとも言えます。
次は、Discussion内のそれぞれのパートについて、どのようなことを記述していくのか説明していきます。
結果のサマリー
この最初のパートでは結果の要約を記述します。
ここでは具体的な数値などは必要なく、結果の全体像が分かる形で記述してあれば十分です。
Resultsの記述が複雑で分かりにくい場合、このパートを読んで概要を把握する読者もいるため、その点を意識して記述しましょう。長さは3〜4文程度で十分です。
また、このパラグラフの最後に、コアとなるメッセージを入れると効果的だとする意見もあります。
過去の研究結果との比較
このパートでは、自分たちの研究が過去の研究の中でどのような位置付けにあるのかを説明します。
つまり、Introductionで提示したパズルのピースを埋められたかどうかを示す部分です。
そのためには、過去の研究との比較が欠かせません。
同じ文献を引用することもあるため、Introductionと一部内容が重複する場合がありますが、両セクションでは引用の意図が以下のように異なります。
Introduction:論文の方向性を示す
Discussion:研究結果の解釈を補強する
具体的な書き方としては、「似ている研究」 → 「似ていない研究」の順、あるいは逆でも問題ありません。
また、過去の研究と比べた自分の研究の新奇性や長所を上手く強調しましょう。長所の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・先行研究より多く、広い範囲の対象者を調査した
・アウトカムの測定タイムポイントを増やした(長期間とした)
・含まれていなかった予測因子を測定した
研究の新奇性や長所の強調は大切ですが、あくまで結果から言える範囲に留めましょう(可能性は低いですが、先行研究の著者に査読が回ることもあるためです)。
結果の解釈
このパートでは、今回の研究でなぜこのような知見が得られたのかを考察します。
言い換えると、結果を論理的整合性をもって解釈するということです。
臨床研究は、以下の視点から解釈することができるため、参考にしてください。
・Resultsは予想通りだったか?予想に反していたか?
・得られた知見は、どのように説明可能か?(臨床的、疫学的、生物学的)
この記述で大切なのは、事実と推測をはっきりと分けることです。事実はResultsで示した内容であり、推測は研究者の考えを指します。
結果の解釈の記述は難しいですが、先行研究を適切に引用しつつ、自身の研究結果の妥当性を論理的に説明できるよう努めてください。
研究の意義・強み
このパートでは、今回の研究が誰に、どのような影響を与えるのかを記述します。
臨床研究の場合は、専門職(その先にいる対象者)や研究者が主な対象となります。これらの人々にとって、どのような意義があるのかを具体的に記載しましょう。
また、研究には必ず強みと弱みがあります(弱みについては次の限界のパートで述べます)。
強みの部分では、研究の新奇性と重要性があることを前提に、得られた知見を著者がどのように解釈し、今後どのような方向性を示すのかを明確に主張します。
限界(Limitations)
このパートでは、著者が把握している研究の内的妥当性や一般化可能性(外的妥当性)などに関する問題点を記述します。
限界を丁寧に記載することで、読み手が研究成果を実臨床へ適用する際に、慎重な姿勢を取るよう促すことができます。
そして限界には、研究結果に少なからず影響を及ぼしている要因が該当します。具体的には、以下のようなものがあります。
・各種バイアス(選択バイアス、情報バイアス、交絡など)
・統計学的な問題
・一般化可能性(適格基準から外れた対象者、単施設研究など)
「限界が多い場合はどうすればよいか」という質問を受けることがありますが、思い付いたものはすべて記載しましょう。書きすぎを心配する必要はありません。重大な限界を把握していながら記載しない方が、むしろ問題です。
論文の査読はその分野の専門家が行うため、限界の記述が不十分な場合は必ず指摘を受けます。重大な限界が記載されていない場合、それが原因でRejectされる可能性もあります。
限界の存在は、記述すれば免責されるというものではありません。しかし、科学的知見を積み重ね、次の研究へと繋げるために極めて重要な情報であることは間違いありません。限界はしっかりと記述しましょう。
結論(Conclusions)
本記事シリーズでは、この結論パートをDiscussionの一部としていますが、Discussionに含める場合と独立させる場合があるため、投稿規定を必ず確認してください。特に指示がなければ、同雑誌に掲載されている論文の体裁に倣うと良いでしょう。
結論(Conclusions)は、シンプルであるがゆえに執筆難易度が高いセクションです。限界との関係を踏まえ、慎重に記載します。
結論の書き方には大きく分けて二つあります。
①シンプルに結果のみを書く:「本研究では△△が分かった」
②結果にメッセージを含めて書く:「本研究では△△が分かった。この結果は◇◇という点で重要である。」
査読や編集をしていて良く目にするのは②ですが、どちらの記述でも問題はありません。
結論は目的および結果と一定していることが大切ですので、その点を注意して書きましょう。
効果的なDiscussionを書くポイント
可能な限りシンプルに
Discussionはシンプルに書くことを意識しましょう。
Introduction同様、先行研究の解説を書くのは読み手の退屈を招くため避けるべきです。先行研究の解説は、1パラグラフ内で数行以内に簡潔にまとめましょう。
もう一つのよくあるパターンは、研究の目的や本筋から外れた蛇足をいくつも記述してしまうことです。このような文章があると、本当に強調したいポイントがぼやけ、何を訴えたいのか伝わりにくくなります。
これらの点には、特に初学者の方は注意が必要です。
康永先生の著書『必ずアクセプトされる医学英語論文 改定版』では、Discussionをシンプルに書くことの重要性が強調されています。
「文章単位でも、パラグラフ単位でも、Discussion全体としても、無駄な単語や冗長(redundant)な表現を排除し、なるべく短く書くべきである」とされています。
私もこの内容に賛成で、以前投稿した雑誌の編集長から類似のコメントをもらったことがあります。Discussionで一つのパラグラフはなるべく短くまとめ、長くなる場合は二つのパラグラフに分けることを推奨されました。
目安としては、1パラグラフは10行前後、1ページに2〜3パラグラフが適切とされています。
一つのパラグラフには明確な一つのメッセージを
一つのパラグラフでは、一つのトピックのみを扱います。これはパラグラフ・ライティングの原則です。
一つのパラグラフに二つ以上のトピックが含まれると焦点がぼやけるため、注意しましょう。
明確な決まりはありませんが、パラグラフの最初にトピック・センテンスを置き、そのパラグラフが考察の対象とする研究結果を明示すると、読み手が理解しやすくなります。
もちろん、先行研究の結果や一般的な事項から開始されるパラグラフも存在します。どのようなトピック・センテンスで始めれば読み手を引き込めるか、熟考してみてください。
結論に向かうストーリーを
Discussionでは、論旨に隙がなく、議論がブレずに最後の結論に向かって一直線に展開されていることが理想です。
論理的な一貫性が保たれているかを確認するために、一度書いた後で「本当にこの内容はすべて必要か?」という視点に立ち、何度か文章を読み直してみると良いでしょう。
DiscussionにはIntroductionほどのストーリー性は必要ありませんが、読み手にとっては「Discussionとは、自分の研究結果が先行研究における知識のギャップをどのように満たすかを語る物語」であると認識されます。
Discussionを明確な物語とするためには、シンプルで明確なメッセージを込め、結論に向かって一直線に展開していくことが重要です。
よくあるミスと改善策
Introductionと全く対応していない
「そんなことある?」と思う方もいるかもしれませんが、初学者の方にはよく見られるミスです。
Discussionの執筆に集中しすぎるあまり、論文全体の構成が見えなくなり、まとまりを欠いた文章になってしまうことがあります。
そのような時は、下記の砂時計のような図を意識してみてください(この図に正式な名称があるかは分かりません)。

上の図の見た目は、それぞれのパートで書くべき内容と強く関連しています。
Introduction部分は、第10回で示した通りのFunnel structureです。
MethodsとResults部分は第12回で示した通り、完全な一対一の対応です。上の図でも細い部分となるので、ゆらぎや余白は一切ない記述が求められます。
そして、Discussionですが、このセクションは末広がりになります。これは、研究成果を展開・応用していく提案などをするためです。
そのため、Introductionで提起した解決すべき課題をMethodsとResultsで解決し、Discussionで解釈・応用して、最後に新たな課題を提示できると理想的です。特に、Introductionで提起した課題にDiscussionで再び触れられるよう意識してみてください。
論理が飛躍しすぎている
DiscussionはResultsに基づくものでなければいけません。そしてこのことは、決して忘れてはいけません。
論理が飛躍する / 推論(speculation)が過剰になる / Resultsと関係ない妄想が書かれているなどのミスは初学者の方に多いです。
以下が論理の飛躍の例です。
・バイアスのかかった結果の過剰な解釈
・些細な発見の誇張
・統計学的に有意でないネガティブな結果を、ポジティブな結果のように記述すること
これらは、読み手に混乱を招くため、絶対に避けるべきです。
飛躍の範囲が適切かどうかの判断は自身では難しい場合もあるので、メンターに意見をもらうようにしましょう。
ただし、Discussionは学術論文内で唯一、推論が許されるセクションです。そのため、推論に基づく推論でなく、結果に基づく推論となるように心がけましょう。
結論にSpinがある
学術論文におけるSpinとは「実際の結果よりも有利に、または好意的に見せかける記述」のことです。つまり、結果をポジティブに見せるための誇張です。
このミスは、注意を払わなければ誰にでも起こり得るものです。
以下がSpinの具体例です。
・RCTで副次アウトカムの結果が強調されている
・リスク因子の研究で因果関係が強調されている
・予測モデルの研究で、外的検証がないのに優れたモデルであると主張されている
Spinは以前は良く見られましたが、近年は査読者も編集者も敏感になっているため、かなり減少していると考えられます。
せっかく時間を掛けて行った研究なので、少しでも結果を良く見せたい気持ちは分かりますが、Spinは厳禁なので注意しましょう。
以上で、IMRADの全てのセクションが終了となります。論文執筆のヒントは得られましたでしょうか。
執筆の型を理解することで、執筆者と査読者の双方に共通理解が生まれ、より良い論文を仕上げていただければ幸いです。
まだ記事はあと1回ありますが、IMRADの最後ということで、ある査読者が「優れた論文とはどういうものか」と聞かれた時の言葉を引用して締めくくりたいと思います。
"Introduction、Methods、Results、Discussionがそれぞれ前のセクションの内容や意味を受けながら流れるように構成されている論文"
優れた論文が書けるよう頑張りましょう!
次回予告
この【初学者にも書ける医学英語論文】シリーズも第13回を迎え、私の担当回としては4回目が終了しました。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
次回は、私の担当の最終回であると同時に、本シリーズ全体の最終回でもあります。
そんな第14回では、論文の顔であるTitleとAbstractについて解説します。
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シリーズ一覧
英語論文執筆シリーズ
vol.1:東大大学院生を指導してきた医師が語る - 英語論文執筆の心理的ハードルを下げよう
vol.2:東大大学院生を指導してきた医師が語る - たった三つを意識すれば論文構成は完成する
vol.3:東大大学院生を指導してきた医師が語る - 学会発表を論文化する最短ルート
vol.4:東大大学院生を指導してきた医師が語る - 投稿から査読対応までの基本プロセス
vol.5:
(前編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - AI時代に求められる論文リテラシーとは?
(後編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - AI時代に求められる論文リテラシーとは?vol.6:
(前編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - 論文の量産を可能にする習慣×統計手法
(後編)東大大学院生を指導してきた医師が語る - 論文の量産を可能にする習慣×統計手法vol.7:生成AIで進める英語論文執筆の全体戦略 - プロンプト付きで即実践!
vol.8:研究テーマの見つけ方と投稿先選び - 日常から着想を得て論文に育てるステップ
vol.9:短時間で“使える論文”を探す文献検索の手順 - PubMed×AI活用で効率化
vol.10:型で攻略するIMRADの書き方 - 読者に伝わるIntroductionを書くコツ
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©mMEDICI Inc. ALL RIGHTS RESERVED.




















