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【採択者が語る助成金獲得のコツ】フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団:リハビリテーション活動や機器に関する研究 - vol.12

【採択者が語る助成金獲得のコツ】フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団:リハビリテーション活動や機器に関する研究 - vol.12

2026.03.25

リハビリ領域の常勤教員である筆者が、「マーカーレス動作分析を用いた、地域在住脳卒中患者の前庭機能低下と転倒リスクの高精度かつ簡便な予測システムの開発」をテーマとした民間助成金の獲得経験を解説します。

本記事では、一連の論理構造に沿って情報を段階的に提示する構成で、技術革新の導入により新規性と応用性を両立させる点や、視覚的資料により研究全体像と進行計画が一目で理解できる構成など、単に技術的な成果にとどまらず、社会的インパクトを読み手が実感できる形で提示する具体的な工夫をご紹介します。

臨床の課題を研究として形にし、助成金申請に挑戦したい方にとってのヒントとなれば幸いです。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 在宅ケア分野の研究助成採択されるために、研究計画書で意識すべき構成・論理展開のポイント

  • 技術革新の導入時に、新規性と応用性を両立させる工夫

  • 助成金申請において、研究の社会的意義・実現性を審査者に伝えるための具体的な書き方や工夫

この記事は誰に向けて書いているか

  • 在宅ケアやリハビリ分野で、研究助成への応募を検討している医療職・研究者

  • 臨床現場の課題をテーマに助成金申請や研究計画書の作成に初めて取り組む医療職

  • AIや動作解析などの技術を活用した、新しい技術を活用した在宅ケア・地域医療の研究に関心のある研究者・大学教員

獲得ノウハウシリーズ

【研究助成金】

  • vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連

  • vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野

  • vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連

  • vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野

  • vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野

  • vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域

  • vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト - 在宅・訪問看護分野

  • vol.9:科研費 基盤(C) - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.10:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.11:科研費 若手研究 - 内科学一般およびその関連分野

  • vol.12:フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団 - リハビリテーション活動や機器に関する研究(本記事)

【奨学金】

  • vol.1:吉田育英会 海外プログラム

  • vol.2:JEES・三菱商事 科学技術学生奨学金

申請者情報

氏名:五十嵐 達也
所属:文京学院大学
職位:常勤教員
専門分野・領域:リハビリ

助成金情報

助成金名

公益財団法人フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団 令和7年度(第36回) 研究助成 リハビリテーション活動や機器に関する研究

助成団体の種類

公益財団・一般財団

助成団体名

公益財団法人フランスベッド・ホームケア財団

助成制度・助成団体の理念

在宅ケア推進の一環として、在宅ケアに関する研究及び事業に対する助成並びに在宅ケアに関する調査研究及び情報提供を行い、もって国民医療の向上に寄与する事を目的とする。

URL

https://www.fbm-zaidan.or.jp/subsidy/index.html

応募対象の条件

所属属性に条件あり、研究分野に条件あり

最大助成金額・期間

50万円×1年

実際に支給された助成金額・期間

30万円×1年

募集頻度・時期

毎年決まった時期に公募

研究内容

申請時の研究タイトル

マーカーレス動作分析を用いた、地域在住脳卒中患者の前庭機能低下と転倒リスクの高精度かつ簡便な予測システムの開発

研究概要

本研究の目的は、地域在住の脳卒中患者における前庭機能低下と転倒リスクを、マーカーレス動作分析技術を用いて簡便かつ高精度に評価・予測するシステムを開発することである。

脳卒中患者では、前庭機能の低下がバランス不良や転倒リスクを増大させるが、在宅ケアの現場では十分な評価が困難である。転倒は生活の質(QOL)を低下させ、要介護状態へ移行する主要因であり、その早期発見と介入が求められる。

本システムの導入により、在宅ケアや訪問リハビリの現場でも簡便な前庭機能スクリーニングが可能となり、転倒予防のための早期介入とケアの質の向上が促進されることが期待される。

申請までの経緯

助成金を知ったきっかけ

学会・研究ネットワーク

この助成金を選んだ理由

第一に、本助成金は在宅医療・在宅ケアの質の向上を目的とする実践的・応用的な研究や活動を対象としている点であり、本研究が取り組むテーマと高い親和性を持っていると考えました。

地域在住の脳卒中患者に対するケアの質向上や、訪問リハビリでの簡便なスクリーニング手法の確立を目指す本研究は、本助成金の目的に合致していると考えました。

第二に、比較的採択率が高く、実用性や地域貢献性のあるテーマに対して前向きな評価がなされている点も、本助成金を選択した要因です。

これまでに取り組んできた研究・臨床活動と密接に関係し、社会実装を視野に入れた研究計画であることから、本制度の枠組みの中で実現性が高いと判断し、応募を決意いたしました。

応募に至るまでのストーリー

近年、脳卒中後の後遺症としてバランス障害や転倒リスクが問題視される中、とりわけ在宅ケアや訪問リハビリの現場では、これらのリスクを適切に評価・予測するための手法が乏しいことが臨床上の大きな課題となっていました。

特に、前庭機能の低下はバランス障害や転倒の根本要因となることが知られていますが、その評価には専用の装置や訓練が必要であり、現場での汎用性は非常に限られていました。

そこで本研究で着目したのが、シンプルで非侵襲的な前庭機能評価法と、近年注目を集めているマーカーレス動作分析技術でした。

この技術の発展により、スマートフォンやタブレットのカメラだけで、動作中の姿勢や加速度、揺れを高精度に定量化できるようになってきたことは、在宅ケアにおける評価のパラダイムを変える可能性を持っています。

そこで、「前庭機能スクリーニングと転倒リスク評価に応用できれば、在宅ケアの質を飛躍的に向上させるツールとなり得る」と考えました。

申請内容に関する考察と、具体的な作業内容

募集要項で特に注目した点

審査基準、助成対象となる研究領域、過去の採択者情報、採択率

申請準備で実施したこと

申請書に挿入用の図表の作成

申請書に記載が求められる項目

研究目的・背景、研究方法、スケジュール、研究の社会的意義、予算の使用用途、期待される成果(在宅ケアの推進と質向上にどうつながるか)

各項目の記入分量

①目的(背景・意義を含む)については、600字程度を目安に、研究の背景や社会的・臨床的意義、解決すべき課題を記載しました。

②方法については、1000字程度を目安に、研究対象の選定基準・除外基準、研究デザイン、評価項目、解析手法、さらに倫理的配慮までを網羅的に記載しました。

③期待される成果については、400字程度を目安に、研究の成果が在宅ケアの現場や臨床現場にどのように応用され、転倒予防や生活の質(QOL)の向上につながるのかを具体的に記述しました。

④期間については、3行程度で研究の実施予定期間を簡潔に記載しました。

⑤スケジュールについては、ガントチャート形式の表を用いて、年度内の活動(ベースライン評価、フォローアップ、解析、報告書作成など)を時系列で整理しました。

構成・ストーリーについて意識したポイント

審査者に研究の意義と実現性を明確に伝えるために、構成とストーリー展開における一貫性と論理性を重視しました。

目的では、社会的背景(在宅ケアにおける転倒リスクの問題)と臨床的課題(前庭機能評価の困難さ)を提示した上で、AI動作解析による革新的かつ簡便な評価システムの開発を解決策として示し、研究の必要性と独自性を明確にしました。

方法では、対象・評価・解析・倫理の順に網羅的かつ具体的に記述することで、実施可能性と信頼性を構造的に提示し、研究の信頼性を補強しました。

期間、スケジュールでは、現実的かつ明確なタイムラインを提示することで、計画性と実行力のある研究であることを印象づけるよう意識しました。

独自性や社会的意義でアピールしたポイント

従来、専門的機器や知識が必要とされていた前庭機能の評価を、スマートフォンとAIを活用したマーカーレス動作分析により、簡便かつ高精度に在宅でも実施可能な評価手法として確立しようとしている点を新規性として強調しました。

特に、従来用いられてこなかった動作の種類や身体の加速度といった指標をAIが自動で解析し、転倒リスクを定量的に予測できる点は新規性が高く、実用性にも優れている点として強調しました。

高齢化が進む地域社会において、訪問リハや地域包括ケアの現場での活用が期待される点が、本研究の大きなアピールポイントとなっています。

将来的に、個別化された介入プログラムの開発につなげる可能性という点でも、在宅ケアの質の向上に大きく貢献する社会的意義があると考えます。

文章表現の工夫

まず、一連の論理構造に沿って情報を段階的に提示する構成とし、読者の理解を助けるようにしました。

冒頭では「全体の目的」を簡潔に示し、その後、①目的、②方法、③期待される成果、④期間、⑤スケジュールという構成に従って、各要素を順を追って説明しました。

次に、専門的な内容であっても、定義・背景 → 課題 → 解決策 の流れを明確にすることで、読者(審査者)が研究の必要性と独自性を理解しやすい構成となるよう意識しました。たとえば、アウトカムの測定方法の説明においては、測定方法と課題点を示した上で、その解決策としてAI動作解析の活用を提案する流れとしました。

また、「本研究の成果により、以下の点が期待される」といった箇条書きの活用も、重要な情報を整理して強調する上で用いました。

記入が難しかった項目とその理由

目的の部分では、研究の背景と意義、そして研究目的を限られた文字数の中で明確かつ論理的にまとめることが求められた点です。

特に、専門的な評価手法の説明を含めながらも、「なぜ在宅ケアにおいてそれが重要なのか」という臨床的意義と社会的意義を同時に伝える必要があり、記述のバランスに配慮する必要がありました。

方法の部分では、評価指標の定量化やAIによるパターン抽出といった技術的な要素を、非専門家にも伝わるよう平易な表現で説明する必要があり、文章表現に工夫が求められました。

また、単に技術的な成果にとどまらず、どのように実務に応用され、ケアの質がどのように高まるのかという社会的インパクトを、読み手が実感できる形で提示する必要がありました。

採択につながったと考えるポイント

在宅ケアとの明確な関連性を示した点
脳卒中患者の転倒リスクと前庭機能の評価困難さという課題を、在宅や訪問リハビリの現場における「未充足ニーズ」として明確化した点。

社会的意義の高さとタイムリーさ
高齢化や地域包括ケア推進の流れの中で、簡便な転倒リスク評価技術の開発は、制度的・臨床的にも強いニーズがあると認識された点。

技術革新(AI・マーカーレス解析)の導入
簡便な動作解析という先進的で実現可能な手法を提案し、新規性と応用性を両立させている点。

図解やスケジュールの可視化
視覚的資料により、研究全体像と進行計画が一目で理解できる構成としたことで、審査者の負担軽減と説得力につながった点。

などが評価されたのではないかと考えます。

採択後の成果

助成金の使用用途

人件費、機器・ソフトウェア購入、データ収集・分析

これから応募する人へのエール

挑戦すること自体に、大きな意味があると思います。

現場で感じたこと、解決したい課題、「なぜこの研究をやる必要があるのか」を、審査する方にまっすぐに伝えることが大事かと思います!

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獲得ノウハウシリーズ
【研究助成金】

  • vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連

  • vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野

  • vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連

  • vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野

  • vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野

  • vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域

  • vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト - 在宅・訪問看護分野

  • vol.9:科研費 基盤(C) - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.10:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.11:科研費 若手研究 - 内科学一般およびその関連分野

  • vol.12:フランスベッド・メディカルホームケア研究・助成財団 - リハビリテーション活動や機器に関する研究(本記事)

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  • vol.1:吉田育英会 海外プログラム

  • vol.2:JEES・三菱商事 科学技術学生奨学金

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