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 【採択者が語る科研費獲得のコツ】スタート支援:社会医学、看護学およびその関連分野 - vol.10

 【採択者が語る科研費獲得のコツ】スタート支援:社会医学、看護学およびその関連分野 - vol.10

2026.02.27

公衆衛生学などの非常勤講師、NPOでの社会貢献活動、不定期の健診・保健指導業務に従事する非正規保健師であった筆者は、念願であった正規の大学職員となり研究者番号を取得しました。

兼ねてより「ライフワークとして取り組みたい」と考えてきたテーマであった「親子の愛着形成支援」を研究しています。

本記事では、社会課題を「研究テーマ」に翻訳する思考プロセス独自性・社会的意義として評価される研究計画の作り方不確実性の高い状況下で計画倒れを避ける研究計画の考え方、「研究活動スタート支援」だからこそ評価されたポイントをご紹介します。

これから研究を始めたい方々に向けて、具体的なヒントを共有します。

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この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 社会課題を、研究テーマとして成立させるまでの思考プロセス

  • 科研費「研究活動スタート支援」で評価された、独自性・社会的意義・研究デザインの組み立て方

  • 不確実性の高い状況下(COVID - 19の最中)でも計画倒れを避ける研究計画の立て方と実装の工夫

この記事は誰に向けて書いているか

  • これから研究を始めたいが、テーマ設定や申請書作成に悩んでいる若手研究者

  • 公衆衛生・看護・医療分野で、社会課題を研究として形にしたいと考えている研究者

  • 科研費などの初期キャリア向け助成金への応募を検討している大学院生・新任教員

獲得ノウハウシリーズ

【研究助成金】

  • vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連

  • vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野

  • vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連

  • vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野

  • vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野

  • vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域

  • vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト - 在宅・訪問看護分野

  • vol.9:科研費 基盤(C) - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.10:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野(本記事)

【奨学金】

  • vol.1:吉田育英会 海外プログラム

  • vol.2:JEES・三菱商事 科学技術学生奨学金

申請者情報

氏名:藤田 碧
所属:秋田看護福祉大学看護福祉学部看護学科
職位:常勤教員
専門分野・領域:公衆衛生看護学

助成金情報

助成金名

科学研究費助成事業 研究活動スタート支援

助成団体の種類

公的機関(省庁・自治体など)

助成団体名

独立行政法人日本学術振興会

助成制度・助成団体の理念

「研究活動スタート支援」は、我が国の研究機関に採用されたばかりの研究者や育児休業等から復帰した研究者等が行う研究をサポートするものであり、これらの研究者の当座のスタート支援に資することが期待されます。

URL

https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_startup_support/download.html

応募対象の条件

所属属性に条件あり、研究機関に採用されたばかりの研究者や育児休業等の取得又は未就学児の養育から復帰する研究者等が一人で行う研究

最大助成金額・期間

300万円以下(研究期間が1年の場合は150万円以下)× 1~2年間

実際に支給された助成金額・期間

117万円・2年間

募集頻度・時期

毎年決まった時期に公募

研究内容

申請時の研究タイトル

体罰によらない子育てを学ぶ場としての保護者支援プログラムの効果的な展開手法の検討

研究概要

2019年改正・2020年施行の改正児童虐待防止法で、親権者によるしつけを目的とした子どもへの体罰が禁止となった。

法改正に伴うパブリックコメントには、戸惑いの声とともに、「子育てを学ぶ場」を求める意見が多く寄せられた。本研究では、しつけと体罰を切り離す養育技術を学ぶ機会を夫婦単位で提供し、その効果を検証する。

申請までの経緯

助成金を知ったきっかけ

所属機関の公募情報

この助成金を選んだ理由

研究者としてはスロースターターですが、初年度しか応募できないこの公募にはぜひ応募すべきと考えたからです。

応募に至るまでのストーリー

私は家庭の事情などもあり、公衆衛生学などの非常勤講師、NPOでの社会貢献活動、そして後述する理由で保健師資格を活かした不定期の健診・保健指導業務に従事していました。

二足のわらじ、ならぬ"わらじ多重履きで走る非正規保健師"として、性質の異なる業務を同時並走していた時期が長くあります。その不安定な身分であっても、学会発表などは全額自費で可能なものに参加していました。

一方で、所属がないことによる信頼の薄さに直面していました。医中誌をはじめとする論文データベースにアクセスすらできず、倫理審査を受けることもできません。SPSSが購入できないため、EZRを用いて統計解析を行っていました。

このように、研究を行うには圧倒的に不利な条件の中で、可能な限り研究に触れ続けてきました。

こうした経験を経て正規の大学職員となり、研究者番号を取得しました。新参者の境遇に理解のある研究事業であること今しか出せない研究事業であること、そして"ずっとやりたかったことが公的に取り組める"という喜びとともに申請しました。

申請内容に関する考察と、具体的な作業内容

募集要項で特に注目した点

  • 審査基準

  • 助成対象となる研究領域

申請準備で実施したこと

  • 上級職に研究計画書の添削を依頼

  • 研究計画にある保護者支援プログラムの効果を示す先行研究の収集

申請書に記載が求められる項目

研究目的・背景、研究方法、スケジュール、研究の独自性・新規性、研究の社会的意義、予算の使用用途

各項目の記入分量

学振の申請様式に規定があります。

  • 研究項目・研究方法など:A4用紙2枚以内

  • 本研究の着想に至った経緯など:A4用紙1枚以内

  • 応募者の研究遂行能力及び研究環境:A4用紙1枚以内

  • 人権の保護及び法令等の遵守への対応:A4用紙1枚以内

  • 研究経費とその必要性:別途計算用紙・説明用紙あり

助成事業により項目や文字数の規定が異なるので、これから申請する方はその都度確認をしてください。

構成・ストーリーについて意識したポイント

2019年改正・2020年施行の児童虐待防止法における「親権者による体罰の防止」について、法改正が目指す理念と、多くの国民の思いとのギャップを明記しました。

その上で、「体罰によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~」(以下、ガイドライン)の策定過程で、有識者会議が行ったパブリックコメントの公表内容を全件熟読し、分類しました。

そして、その戸惑いに共通する要因として、「日本の育児文化には、しつけと体罰を切り分ける育児のノウハウが普及していない」点を明記しました。

この学修機会がないままわが子の子育てを担う現代の保護者の様相を踏まえた上で、「学習機会があれば、いずれは法の目指す、子育て中の親子に寛容な社会の醸成にも結び付く」という長期的な将来展望を書きました。

独自性や社会的意義でアピールしたポイント

①社会意義

法改正の理念を叶えるための取り組みとして提案
法で目指す理念と、多くの国民が感じる戸惑いとの間にギャップが存在することについて、その理由として、「体罰としつけを切り離した養育方法を学ぶ機会の不足」を挙げました。

その上で、その学びの機会を設定することで、望ましい育児を実践する親子が増えるのではないかという仮説を明示しました。


独自性

・保護者支援プログラムを夫婦単位で受講する設計
プログラムで学ぶこどもへの関わり技術やその根拠は、同じこどもに関わる複数の大人が共通理解をしていてこそ、プログラムの価値が発揮されると考えました。このため、同一家族の夫婦、すなわちこどもにとって両親となる二人のユニットで受講する設計としました。


・全面オンラインでの保護者支援プログラムの実施
なぜ全面オンラインとしたか、当時の状況も踏まえて少し詳細にご説明させていただきます。

2020年4月。COVID-19の感染拡大を防ぐため、4月7日には7都府県、16日には全国に、緊急事態宣言が発令されました。感染症への不安で、幼いこどもを連れた外出を多くの家庭が控えました。そうでなくても、子育て中の移動のしづらさなど、子育て中の保護者の外出を妨げる要因は多々あります。

外出制限がいつ緩和されるかわからない上に、元々核家族の多いこの時代に、夫婦同時受講のプログラムを行う上では外出に伴う困難さを少しでも小さくすることが重要と考えました。

その当時、行動制限がいつまで続くかは想像もつきませんでしたが、(そして数年に渡るとは流石に予想できていなかったけれど)、プログラムを全面オンライン提供をする計画としました。保護者支援プログラムの参加を望むご家族にとっての、参加の疎外要因を緩和することが大切だと考えました。


研究デザイン
保護者支援プログラムの受講の前後で、保護者が感じる子育ての思いの変化を把握する、一群事前事後比較の介入研究。

1. 対象者
2-6歳の幼児を養育中の夫婦
開催回全てに夫婦でオンライン会議システムを用いて参加できる。
半年以内に重大なライフイベント(大切な人の喪失や 自身の重大な疾患など)を経験していない

2. 介入方法
保護者支援プログラムCARE(Child Adult Relationship Enhancement)のオンライン実施

3. 主要アウトカム:
受講による保護者の養育に関する感情の変化。
1)心理尺度得点の変化
・ECBI(Eyberg Child Behavior Inventory:日本語版アイバーグ子どもの行動評価尺度)CARE研究で頻繁に使用される。
・PNPS(Positive and Negative Parenting Scale) 肯定的・否定的養育行動尺度

こどもの問題行動ではなく、保護者の抱く子育ての思いについて、特に肯定的な感情を把握することを重視した。

CAREプログラムは保護者の養育スキルが変わることでこどもの行動が変わることを重要な理念としているため

2)上記を補足するものとして自由記載

3)支援かつ質的なサブ分析
受講期間中に受けた質問、意見の内容分析
倫理的配慮の一つ、そして分割・継続実施の際の重要なこととして、期間中に質問を受け付けることとしました。

受講者からの質問は、プログラム提供の際に考慮すべき点を明示するものであり、より保護者の立場に立ったプログラム提供をする上でのヒントになると考えました。

開催期間中に受けた質問・相談を分析することで、保護者支援プログラムを実施するファシリテイターの資質向上にいかすことを目指しました。プログラムそのものはエビデンスが認められており、その理論に忠実に実施することが大切ですが、受講の保護者との理解がずれやすい箇所を踏まえておくことや、「よくある質問」は「なぜ『よくある』のか?」に立ち返り、プログラム実施に留まらない親子支援をすることが大事なのではないか?などを、当時はもう少し朧げな言語化だったと思いますが、参加の親子との双方向性を大事にする旨を記述しました。

文章表現の工夫

①しつけと体罰を同一視した育児観に対する文化背景の理解
ガイドライン作成時のパブリックコメントに見られる体罰を肯定する意見に共通する点として、「しつけと体罰を一体のものと認識しており、『体罰を用いないしつけや子育ての方法がある』との観点に欠けること」を指摘しました。

さらに、研究計画書では、「(中略)体罰としつけを切り離して考え、体罰を用いずに子育てをする方法を、子育て中の保護者をはじめ、社会全体で学ぶ機会の設定が望まれる」との研究者の考えを明記しました。しつけと体罰の混同は個々人の問題ではなく、子育てを取り巻く社会文化的背景に存在する課題であることを指摘しました。

研究者は、個々の保護者や体罰を肯定する考えをもつ人々を責める意図はないことが読み手に伝わるよう、文章表現に力を注ぎました


②個別の支援から、子育てに寛容な社会を構築する公衆衛生看護学の視点の明記
「ガイドラインで目指すものは、体罰の禁止そのものではなく、良好な親子関係の形成、体罰を用いないしつけ・育児の方法が共通認識される子育て社会の実現である」と記述しました。

これにより、研究者が、個別の親子への支援にとどまらず、子育てに寛容な社会の形成を目指していることを示しました。

同時に、「悪いものをなくす」のではなく、「望ましい子育てができる親子を増やす」という健康増進のスタンスを明確にしました。

記入が難しかった項目とその理由

この研究課題では、児童虐待に対し予防的な要素を強く持つ保護者支援プログラムCAREを、子育て中の保護者に夫婦単位で実施する介入研究を計画していました。

これは、少人数グループで子供への望ましい関わり技法を学ぶものです。積み木などおもちゃを使った遊び場面でのロールプレイが豊富な学修スタイルが一つの特徴です。

正規の研究職になった喜びと希望で計画書を書き進めるさなかで発令された、緊急事態宣言。3月から「自粛」として人々の集合・密集を避けるなどの施策がとられていましたが、より明確に、過去にない行動制限を社会に強く求める施策。

学校は休校、ビジネスは在宅勤務を勧奨など「今まで通りの暮らしが一変した」時でした。

5月に解除されると聞いていたものの、その後もプログラムを集合形式で実施できるかどうか見通しが持てず、「計画倒れ」になることを危惧していました。

また、申請時点では私はCAREプログラム実施の旧型制度の指導者資格を保有していましたが、さらに新たな研修を受講する必要がある段階でした。この指導者向け研修も実施されるかどうか不明でした。

実装可能かどうか、世界中の誰にも未来が見えない中での計画立案は、大きな不安を伴うものでした。幸い、CAREプログラム側が早々に全面オンライン実施版のプログラムを公表したことで、研究計画も2020年5月時点で「全面オンラインで実施する」と打ち立てることができました。これが後の所属変更後にも大いに役立ちました。

採択につながったと考えるポイント

児童虐待防止の法改正の目玉である「親権者による体罰の禁止」は、当時、多くの人の関心を集めました。時代の旬に乗っていたことも大きかったと思います。

法改正への感じ方には個人差があるものの、「体罰を用いないしつけを学ぶ場が増えれば、よい社会、よい未来が待っているはずだ」という考えに対しては、「そんな方法があるなら、私も知りたい」という反応が大半でした。

また、「本当に効果があるなら、やってみたらいいのではないか」と、多くの方が関心を示してくれました。半信半疑だからこそ、検証する価値があると判断してくださったのだと思います。

加えて、“率直なパッション”を受け取ってもらえたのかもしれないとも感じています。

正規の大学職員となり、夢を抱いていた時期に、「やる気も仲間もそろい、研究機関にようやく身を置くことができた。今からなら何でもできる。ないのはお金だけ」という勢いで申請書を書きました。

このような姿勢が通用するのは、「研究活動スタート支援」ならではだと考えています。

採択後の成果

助成金の使用用途

人件費、機器・ソフトウェア購入、旅費・学会演題登録料、心理尺度購入、参加者送付教材等印刷・郵送費、データ収集・分析、オンライン配信機材など

研究成果

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K23146/

申請書レビュー

学校保健領域および社会福祉学をご専門とし、川喜田晶子氏主宰の「KJ法研修プログラム」を受講したKJ法による質的研究のエキスパートである、学内の地域看護学領域の上司にレビューをいただきました。

研究で明らかにしたいことに共感してくださり、また研究計画書でも指摘した「改正法の理念と、多くの国民が感じる戸惑いとのギャップ」が存在することについて、共に認識し、「解決が望まれる課題」との見解を共有してくださいました。

そのうえで、望ましくない事象を是正する解決モデルではなく、「親子のより良い絆があってこその社会性の教育であり、愛着形成がより促される養育方法を学ぶ機会を夫婦単位で提供する」という、ウェルネス志向の私の考え方を尊重してくださいました。


また、リサーチクエスチョンを明確化することで必然的に生じる「手放すこと」について、私自身が十分に認識できるよう、視点を開いてくださいました。具体的には、構想している研究手法を取ることでより明確になる点と、その一方で視線を向けられなくなる点があること、例えば一人親家庭は研究の対象外となることなどです。

申請にあたる計画書様式の各セクションについては、書くべきこと」や「その際の留意点」を教えてくださいました。


一方で、私が研究者として主体的に考えるべき研究計画の真髄については、問いかけや、書きかけの原稿を読み上げるよう促すなど、思考を引き出す指導が多かったと記憶しています。

当時の私の力量に合わせた絶妙なバランスで、リサーチクエスチョンを掘り起こし、よき研究として進行するよう形を整えていく、計画作成のナビゲートをしてくださったのだと、今振り返って思います。

計画書の書き方のみならず、それを書き上げ、提出する私の心情をも支えていただきました。

COVID - 19による緊急事態宣言下では、誰もが未来の見えない状況の中でした。初の遠隔授業に向けた準備、日に日に変わる国からの指示に対応する会議、会議中に変更される行政方針、そして一から再議論を迫られる徒労感が続く日々でした。


当時の公衆衛生看護学教員には県外から指定日に出勤していましたが、その移動にも制限がかかっていました。「今は研究どころではなく、新入教員として大学の動きに全力を挙げるべきではないか」という思いに飲み込まれそうになる私に対し、その労務を労うとともに、忘れかけていた研究意欲に再起動をかけてくださったのも、この先生でした。

この研究によるスタートダッシュがあったからこそ、私は今に至ることができました。

人間環境大学松山看護学部看護学科の岡多枝子先生に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

キャリアへの影響

本研究により、「藤田碧(筆者)は、健康な時からの親子の愛着形成を重視する研究者である」という名刺代わりになったと感じております。

これから応募する人へのエール

研究は、結局は最後の最後に自分を支えるのは、自分の内側にあるパッションだと思います。粗削りでもゴリゴリと前進していくパワーを初期に出して、そしてよき伴走者に出会えるといいですね。応援しています。

そしてもう一つ。

冒頭に書いたように、私は研究者としてはスロースターターです。そのことに忸怩(じくじ)たる思いや、意欲があっても研究をするための資源に触れにくいことの不利が生む「超えられない壁」への絶望感・不公平感も抱いていました。

2020年4月1日、研究者としての私の誕生日は、改正児童虐待防止法の施行の日でありました。2019年6月に改正案が国会で全会一致で成立、夏に有識者会議が組織され、秋にパブリック・コメントがなされ、2020年3月に産声を上げたガイドライン。

ある意味制度が受精卵のような段階からこの経緯を追いかけていたわたしは、研究者デビューにあたり、このガイドラインを大切に抱いて、研究計画書を書き上げました。一年前でも、一年後でも、採択されなかったのではないかと思います。運命のタイミングでした。

様々な人生を歩む人々に いつかこんな運命の巡り合わせが来ますように。

補足:各プログラムの概要

1.PCIT(Parent Child Interaction Therapy)
概要:
子どものこころや行動の問題に対し、親子の相互交流を深め、その質を高めることで回復に向かうよう働きかける心理療法。

対象:こころや行動の問題を有する子ども(2.5~7歳)と、その子育てに悩む保護者。親子単位で個別に実施する。
プログラムの構成: CDI(こども指向相互交流)とPDI(親指向相互交流)の2段階構造。治療室内で保護者と子どもが遊びながら関わり、セラピストが別室から通信機器を使って保護者にライブコーチをすることが最大の特徴である。60分のセッションを1週間おきに行い、保護者のスキルが基準到達後に次の段階に移行する。通常は12-20回(3~6か月)で修了する。 (加藤,2014)(PCIT-Japan)。(図1)

図1. PCITの流れ

(図1.PCITの流れ)


2.CARE
概要:
PCITの理論をベースに、親子の良い関係づくりを学ぶコンパクトな構成の心理教育プログラム。受講の保護者も肯定的な関与を受けることを重視して実施する。

対象:2歳前後から思春期の子どもに関わる大人を想定している。保護者以外にも、里親、各種専門職など、子どもと関わる全ての大人を対象としている。
プログラムの構成:PCITの構成を継承し、子どもとよりよい関係構築の上で大切なスキルを学ぶ前半部分と、効果的な指示の出し方を学ぶ後半部分で構成される。少人数グループでロールプレイを通じて体験的に学ぶ。前半の「1日5分間の特別な遊びの時間」が日常生活で実践されることを重視している。4時間程度の1回の講座でも実施可能だが、2~3回に分けフォローアップも入れながらの実施が効果的である。(加藤,2014)(CARE-Japan)


謝辞:
・執筆にあたり前向きに後押しくださった秋田看護福祉大学の皆様
・mJOHNSNOWのご担当様
・加茂登志子先生作成のPCITフロー図をもとに見事なデジタルイラスト作成をしてくれた、神経発達症と共に生きる井門明日香様

皆様に心から感謝申し上げます。

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【研究助成金】

  • vol.1:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.2:科研費 基盤(C) - 生涯発達看護学関連

  • vol.3:古川医療福祉設備振興財団研究助成 - 医療・福祉、リハビリ分野

  • vol.4:科研費 若手研究 - 高齢者看護学および地域看護学関連

  • vol.5:科研費 スタート支援 - 基礎医学研究およびその関連分野

  • vol.6:富山県立大学研究協力会 奨励研究 - 看護工学連携分野

  • vol.7:住友生命 子育てプロジェクト女性研究者支援 - 社会医学領域

  • vol.8:ななーる訪問看護研究助成プロジェクト - 在宅・訪問看護分野

  • vol.9:科研費 基盤(C) - 社会医学、看護学およびその関連分野

  • vol.10:科研費 スタート支援 - 社会医学、看護学およびその関連分野(本記事)

【奨学金】

  • vol.1:吉田育英会 海外プログラム

  • vol.2:JEES・三菱商事 科学技術学生奨学金

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