2026.10.21

【企業転職】企業で働くCRAのリアルな1日を徹底紹介 - vol.2

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こんにちは、mMEDICI株式会社代表取締役の廣瀬直紀です。

私は看護師として病棟で働いた後に、イーライリリーやジョンソン・エンド・ジョンソンなどの外資系製薬会社で疫学に関する仕事に携わってきました。現在はmMEDICIを経営しながら、医療職・研究職の方々が企業へ転職する際のキャリア支援も行っています。

この記事では、企業で働くCRAの1日について解説していきます。

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この記事のまとめ

この記事を読むとわかること

  • CRA(臨床開発モニター)の仕事内容と、「病院訪問日」「在宅・内勤日」それぞれのリアルな1日のスケジュール

  • 看護師・薬剤師・理学療法士・医師の臨床経験が、CRA業務や企業転職でどのように活きるのか

  • 臨床現場から企業へ移ることで生じる働き方のギャップや、夜勤・在宅勤務・未経験採用といった転職時の疑問の実際

医療職・研究者のための企業転職コンパスシリーズ

【疫学専門家】

  • vol.1:疫学専門家の年収とは?!専門家が業界別に解説

  • vol.2:企業で働く疫学専門家のリアルな1日を徹底紹介

  • vol.3:企業で活躍する疫学専門家に求められる4つのスキルとは

【生物統計家】

  • vol.1:生物統計家職の年収とは?!専門家が業界別に解説

  • vol.2:企業で働く生物統計家のリアルな1日を徹底紹介

【看護師】

・vol.1:企業で働く看護師の年収とは?!専門家が職種別に解説

【医師】

・vol.1:企業で働く医師の年収とは?!専門家が職種別に解説

【薬剤師】

・vol.1:企業で働く薬剤師の年収とは?!専門家が職種別に解説

「企業で働く医療職」シリーズ

・vol.2:企業で働くCRAのリアルな1日を徹底紹介(本記事)

執筆者の紹介

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

【医療職の企業転職はじめの一歩】

10年後に「入ってよかった」と思える企業を見極めるために

「臨床以外の場所で働いてみたい。でも、これまで身につけてきた医療の専門性は活かしたい。」

医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、医療職として働いていると、一度はそんなことを考える方もいるのではないでしょうか。

病院や薬局などで患者さんと直接向き合う仕事には大きなやりがいがあります。

一方で、「夜勤や当直、シフト勤務による働き方を変えたい」、「医療をもっと違う角度から見てみたい」などの理由から企業で働く経験をしてみたいと考える方もいます。

そんな医療職の企業転職について調べていると、候補として目にする職種の一つがCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)です。しかしながら、「臨床開発モニター」と聞いただけで、毎日どんな仕事をしているのかを具体的に想像できる人は少ないのではないでしょうか。

病院へ行く仕事なのか、ずっとパソコンに向かう仕事なのか。医師や看護師、薬剤師などの経験はどう活きるのか。患者さんと接する機会はあるのか、出張はあるのか、企業へ転職することで生活がどのくらい変わるのか。

今回は、そんなCRAの仕事について、仕事内容を説明するだけではなく、朝起きてから仕事を終えるまでの「リアルな1日」を追いながら紹介していきます。

CRAは、医療機関へ訪問する日と、自宅やオフィスで仕事をする日では、1日の景色がかなり違います。そこで、その両方の景色を見ていきましょう。

「企業で働く医療職」シリーズ

医療職のキャリアは、病院とクリニックだけではありません。製薬企業、CRO、医療機器メーカー、ヘルステック企業など、企業の中にも医療の専門性を活かせる仕事があります。

しかしながら、企業の求人票を眺めていても、「転職したら実際にどんな毎日になるのか」はなかなか見えてきません。

そこで「企業で働く医療職」シリーズでは、企業で活躍する医療職の仕事を一つずつ取り上げ、仕事内容だけでなく、朝から夜までどのように働いているのかまで紹介していきます。

今回取り上げるのはCRAです。

まず、CRAって何をしている人?

CRAは、日本語では臨床開発モニターと呼ばれます。

新しい医薬品や治療法が世の中に出るまでには、有効性や安全性を確認するための臨床試験、いわゆる「治験」が行われます。CRAは、その治験が計画やルールに沿って適切に実施されるよう、医療機関と連携しながら確認し、臨床試験を前へ進めていく仕事です。

その中でもCRA(臨床開発モニター)は製薬会社の立場から治験の質を管理し、CRC(治験コーディネーター)は医療機関の立場から治験の進行を調整する役割を担っています。

CRAの主な勤務先の一つがCROです。CROはContract Research Organizationの略で、製薬企業などから臨床開発に関する業務を受託する会社を指します。他にも、製薬企業の臨床開発部門などでCRAとして働くケースがあります。

CRAになると、毎日オフィスの同じ席で仕事をするわけではありません。担当する医療機関へ出向いて、医師やCRC(治験コーディネーター)との面談や、治験に関する記録の確認を行う日もあります。一方で、自宅やオフィスで報告書の作成、Web会議、次回の訪問準備を進める日もあります。

つまり、CRAという仕事を理解するには、一つのタイムスケジュールを見るだけでは少し足りません。まずは、CRAらしさを最も感じやすい「医療機関へ訪問する日」から見てみましょう。

今日は担当病院へのモニタリング訪問日

6:30~7:00:起床。PCを持って病院へ

朝6時半に起床します。医療機関で働いていた頃であれば、この後白衣やスクラブに着替え、自分が勤務する病院や施設へ向かっていたかもしれません。

しかし、CRAになった今日は少し違います。向かうのは自分の勤務先ではなく、自分が担当している治験実施医療機関です。

遠方の施設を担当していれば、新幹線や飛行機で移動することもあります。バッグの中にはパソコンや仕事に必要な資料。患者さんを診察したり、看護したり、服薬指導やリハビリテーションを行ったりするために病院へ向かうわけではありません。

同じ「医療機関へ行く」という行為でも、立場は大きく変わります。今日は医療を直接提供する側ではなく、治験を適切に実施するために医療機関を支える立場として病院へ向かいます。

7:30~9:30:新幹線で担当施設へ。移動もCRAの仕事の一部

駅に着いたら新幹線へ。医療機関から企業へ転職すると、働く場所そのものが大きく変わることがあります。

医療職として働いていると、基本的には毎日同じ病院や薬局、施設へ向かうことが多いと思います。一方、CRAは複数の医療機関を担当することがあり、今日は都内、別の日は地方の大学病院、といった働き方になることがあります。

もちろん、全てのCRAが頻繁に遠方へ出張するわけではありません。担当施設や勤務先、プロジェクトや時期等によって訪問頻度は大きく変わります。

移動中はメールを確認したり、今日の訪問で確認しておきたい事項を見直したりします。「前回確認したこの症例はその後どうなったか」「医療機関に確認しておきたい文書は何だったか」「今日CRCに相談する事項は何か」。

臨床の朝が患者さんの情報収集から始まるとすれば、CRAの朝もまた、その日担当する医療機関の情報を頭に入れるところから始まります。

9:30:病院に到着。最初に会うのはCRC

医療機関に到着したら、治験事務局で受付を済ませ、CRCと話します。CRCはClinical Research Coordinator、治験コーディネーターのことです。医療機関側で治験がスムーズに進むよう、患者さん、医師、CRAを始めとした多くの関係者の間に立って調整しています。

「今日はこの症例を確認したいです」「先生にはこの件を相談したいです」「この書類について確認させてください」。そんな会話をしながら、その日の流れを整理します。

ここで、医療現場で働いた経験が思わぬ形で役立つことがあります。

医療機関独特の空気感や、忙しい外来の時間帯、医師や看護師、薬剤師などがどのように動いているのかといったこと、「今ここで声をかけるより、少し待った方がよさそうだな」といった感覚は、医療現場にいたからこそ分かることでもあります。

10:00~12:00:カルテと治験データを確認。医療職としての経験がふと効いてくる

ここからCRAらしい仕事が始まります。治験が計画通り適切に実施されているか、必要なデータや記録を確認していきます。

電子カルテを見ながら、「この検査はいつ実施されたのか」「治験薬を使用した後の経過はどうだったか」「必要な情報が適切に記録されているか」といった点を確認します。

ここで医療職として働いた経験が役立つことがあります。例えば、電子カルテには疾患名、検査値、薬剤名、医療略語などが並んでいます。医療業界の外から初めて臨床開発へ入る人にとっては、まずこれらを理解すること自体が大きな壁になります。

一方、医師や看護師、薬剤師などとして臨床情報に触れてきた人であれば、全てを知っているわけではなくても、何が書かれているのかをある程度理解できます。

理学療法士など他の医療職でも、自分が経験してきた診療領域であれば、患者さんの疾患や治療経過、医療現場の流れについての理解が仕事に活きる場面があります。

もちろん、治験にはGCPを始めとした独自のルールがあり、それらは新しく学ばなければなりません。医療職だからそのままCRAとして働けるわけではありません。それでも、これまで医療現場で身につけてきた知識がゼロになるわけではないのです。

12:00:病院の近くで昼食。臨床とは少し違う昼休み

午前中の確認を終えたら、一度昼休みです。病院の食堂へ行くこともあれば、近くの飲食店へ行くこともあります。

医療現場で働いていた頃とは、休憩の感覚も少し変わります。病棟なら患者さんの状態が変わって休憩時間がずれることがありますし、医師であれば外来や手術の進行によって昼食が遅くなることもあります。薬局でも患者さんの来局状況によって忙しさが変わります。

CRAも訪問の進み具合によって予定通りにいかないことはありますが、患者さんを直接受け持っているわけではありません。

同じ病院の中にいるのに、自分が担っている役割は臨床にいた頃とは違う。医療職からCRAへ転職した直後には、そんな不思議な感覚を持つかもしれません。

13:00:CRCと打ち合わせ。一緒に治験を進める

午後になったら、午前中に確認した内容についてCRCと話します。

「この患者さんの次回来院はいつでしょうか」「この情報について追加で確認できますか」「この書類について先生にも確認をお願いできますか」。

こうしたやり取りを繰り返しながら治験を進めていきます。

CRAという仕事に対して、「医療機関をチェックする人」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、チェックするだけでは治験は進みません。CRC、医師、薬剤師、治験事務局、社内のプロジェクトメンバーなど、多くの人とコミュニケーションを取りながら仕事を前へ進める必要があります。

この点は、臨床でチーム医療を経験してきた人にとって、意外と馴染みやすいところかもしれません。職種も組織も違いますが、「立場の違う人と一緒に一つの目的を達成する」という仕事の基本は変わりません。

14:00:医師との面談。限られた時間で、伝えるべきことを伝える

続いて、治験責任医師や分担医師との面談です。医師はCRAとの面談だけをするために1日を空けているわけではありません。外来、手術、カンファレンスなどの合間に時間をもらうこともあります。

そこでCRAには、「今日確認した事項」「今後の治験スケジュール」「先生に判断や確認をお願いしたい内容」などを、限られた時間で分かりやすく伝える力が求められます。

医療現場で働いてきた人であれば、忙しい医師とどのようにコミュニケーションを取るべきかを経験的に知っていることがあります。一方で、CRAになると、自分自身も企業側の専門職として説明し、必要なアクションを相手にお願いしなければなりません。

企業で働くようになると、専門知識だけではなく、「相手に伝え、合意し、動いてもらう力」がより重要になってきます。

15:00:薬剤部や治験関連文書を確認

CRAが確認するのは、患者さんのカルテだけではありません。治験薬が適切に管理されているか、必要な文書が揃っているか、治験に関する手続きが適切に行われているかなど、様々な情報を確認します。

ここで、臨床からCRAへの大きな視点の変化があります。医療職として働いている時は、一人一人の患者さんに対して「どう診断するか」「どうケアするか」「どの薬を使うか」「どのように機能を回復させるか」と考えることが中心です。

一方でCRAになると、「この医療機関で、この治験全体が適切に動いているか」という、もう一段広い視点から医療を見ることになります。

一人の患者さんへ直接医療を提供する仕事から、臨床試験という仕組みを通して未来の医療に関わる仕事へと視点が変化することは、CRAならではの面白さの一つです。

16:00~17:00:病院を出る

必要な確認を終えたら、医療機関を出ます。ただし、「病院を出たら今日の仕事が全て終了」というわけではありません。

今日分かったこと、追加で確認が必要なこと、次回訪問までに対応すること、社内へ共有すること、報告書へ残しておくこと。それらを忘れないうちに整理します。

臨床でも記録や申し送りがありますが、CRAでは、今日のモニタリングで確認した内容を治験全体の中でどう次につなげるかを考えながら記録します。

18:00~19:00:帰宅

家に着きます。夜勤のある看護師、当直のある医師、土日を含むシフトで働く薬剤師などから企業へ転職すると、勤務時間や生活リズムが変わる人もいます。

ただ、「企業に転職したら仕事が楽になる」と考えるのは少し違います。

1日中資料に集中する疲れ、医療機関との調整、締切、報告書、複数施設や複数タスクを自分で管理するプレッシャーがあります。出張が続けば、移動そのものが負担になることもあります。

仕事が楽になるというより、忙しさの種類が変わると言えます。医療現場から企業へ移るというのは、そういう変化でもあります。

CRAの在宅・内勤日

医療機関から帰宅した翌日。今日も新幹線に乗って病院へ向かう、というわけではありません。今日は医療機関への訪問がない日です。自宅やオフィスで仕事をします。これもまた、CRAの日常です。

9:00:自宅でPCを開く。今日は通勤せず仕事開始

朝9時、自宅のデスクでパソコンを開きます。まずはメールや社内チャットを確認し、担当している医療機関から連絡が来ていないか、社内メンバーから確認事項がないかを見ながら、その日に対応すべき仕事を整理します。

企業やプロジェクトによって在宅勤務制度は異なりますが、CRAにはWeb会議、データ確認、報告書作成、次回訪問の準備など、医療機関へ行かなくてもできる仕事が数多くあります。

10:00~12:00:メール、データ確認、問い合わせ対応

医療現場から企業へ転職した人がギャップを感じやすいのが、この時間かもしれません。

とにかくパソコンを使います。メールを書き、資料を確認し、データを見て、オンラインで会議をし、複数のファイルやシステムを使いながら仕事を進めます。

医療機関でも電子カルテは使いますが、仕事の中心そのものがPCになる感覚はかなり違います。そのため、医療知識が豊富だからといって、それだけでCRAとして仕事ができるわけではありません。

文章を簡潔に書くこと、情報を整理すること、期限を管理すること、相手が必要としている情報を端的に伝えること、そして複数の仕事に優先順位をつけることなど、企業で働くようになると、こうしたビジネススキルがかなり重要になります。

逆に言えば、最初から全てを完璧にできる必要があるということでもありません。医療職として積み上げた専門性に、企業での仕事の進め方を新しく加えていくイメージです。

12:00:家で昼ご飯

昼休みです。在宅勤務なら、冷蔵庫にあるもので簡単に昼食を作ることもあれば、近所へ食べに行くこともあるでしょう。

医療現場で、患者さんや業務の状況を気にしながら休憩を取っていた頃とは、かなり違った時間の流れになるかもしれません。もちろん、在宅勤務ができるかどうか、どの程度利用できるかは会社によって異なります。それでも、働く場所そのものに選択肢が生まれることは、臨床から企業へ移った時の大きな変化の一つです。

13:00~15:00:昨日のモニタリング報告書を書く

午後は、昨日医療機関で確認した内容を報告書へまとめます。

医療機関へ行って確認したら終わりではありません。何を確認したのか。問題はなかったのか。今後対応が必要な事項は何か。それを、別の人が読んでも状況を理解できる形で記録します。

医療職として働いていた時にも、診療録、看護記録、薬歴、リハビリテーション記録など、それぞれの職種で記録を書いていたと思います。CRAになっても記録すること自体は変わりませんが、企業の文書として、情報をより構造的に整理することが求められます。

昨日病院で確認したことが今日の報告書になり、その報告書が治験全体の品質管理につながっていきます。現場とデスクワークが一続きになっているのも、CRAという仕事の特徴です。

15:00~16:00:プロジェクトチームのWeb会議

午後3時。今度は社内メンバーとのWeb会議です。担当施設の進捗、治験全体の状況、今後のスケジュール、対応が必要な課題などについて話します。

CRAは、一人で医療機関を回って仕事を完結させる職種ではありません。一つの臨床試験には、様々な専門性を持った人が関わっています。

医療現場でチーム医療を経験していた時とはメンバーが変わりますが、「異なる専門性を持つ人たちが、一つの目的に向かって動く」という仕事の基本は意外と似ています。

16:00〜18:00:次の訪問準備

会議を終えたら、次回の医療機関訪問の準備です。確認したい症例、必要な文書、医療機関へ事前に依頼すること、面談したい医師、移動時間などを整理します。

CRAは、自分で先を読んで仕事を組み立てる場面が多い仕事です。

医療現場では、その瞬間の患者さんの状態や来院状況によって仕事の優先順位が大きく変わることがあります。CRAの場合は、それとは違った意味で、複数の案件や締切を並行して管理しなければなりません。

「誰かが次にやることを教えてくれる」のを待つのではなく、自分で優先順位を考え、前倒しで準備する。この仕事の進め方も、医療現場から企業へ転職した時に身につけていくものの一つです。

18時になったらパソコンを閉じます。今日は一度も病院へ行きませんでした。昨日とはまるで別の仕事のようですが、どちらもCRAの1日なのです。

医療職の経験は、CRAでどのように活きるのか?

CRAは医療資格そのものが必要な職種ではありません。ただ、医師、看護師、薬剤師などを始め、医療の知識や臨床経験を持つ人がCRAとして働いているケースがあります。

大きな強みは、医療情報への抵抗が少ないことです。具体的には、疾患、治療、薬剤、検査値、医学用語、電子カルテなどです。CRAの仕事には、医療現場で日常的に使われている情報が数多く登場します。

また、医療機関の中で人がどのように動いているのかを理解していることも役立ちます。CRAは医師やCRCだけではなく、薬剤部や治験事務局など、様々な立場の人と仕事をします。医療現場で多職種と仕事をしてきた経験は、企業へ転職してからも活きます。

一方で、医療知識を持っているだけではCRAとして働く上では不十分です。GCPや治験についての知識、文書作成、PCスキル、プロジェクト管理、社内外とのコミュニケーションなど、企業で働くための新しい力を身につける必要があります。

つまり、医療職からCRAへの転職は、これまでのキャリアを捨ててゼロから始めるわけではありません。「医療職として持っているものに、企業人として必要な力を加えていく」キャリアチェンジと考えると分かりやすいかもしれません。

看護師・薬剤師・理学療法士・医師の企業転職で、CRAはどんな選択肢になるのか?

一口に医療職といっても、これまで経験してきた仕事は大きく異なります。当然、CRAへの転職で評価されやすい経験や、他に検討すべき企業職も変わります。ここからは、それぞれの職種ごとに見てみましょう。

看護師の企業転職:臨床経験をCRAでどう活かせる?

「看護師 企業転職」で仕事を探した時、CRAやCRCは比較的見つけやすい選択肢の一つです。

看護師が持っている強みは、患者さんの治療経過をカルテから読み解く力、医師や他職種とのコミュニケーション、医療機関の業務フローに対する理解などです。特に、様々な疾患や薬剤に触れる病棟などでの臨床経験は、CRAの仕事との接点があります。

一方、患者さんを直接ケアする仕事から、デスクワークやプロジェクト管理が多い仕事へ変わるため、「患者さんのそばにいること」に強いやりがいを感じてきた方には大きな変化になります。

看護師から企業転職を考える場合も、「夜勤がないから」という理由だけでCRAを選ぶのではなく、仕事内容そのものが自分に合っているかまで確認することが大切です。

薬剤師の企業転職:薬の専門知識はCRAと相性がいい?

「薬剤師 企業転職」では、製薬企業やCROは代表的な選択肢になります。CRA以外にも、安全性情報、薬事、メディカルアフェアーズなど、薬剤師としての専門性と接点を持つ企業職があります。

CRAでは治験薬を扱い、治療内容や有害事象などについて確認するため、薬剤に関する基礎知識を持っていることは一つの強みになります。また、病院薬剤師であれば医師や看護師などと連携した経験、薬局薬剤師であれば患者さんや医師とのコミュニケーション経験も企業で活かせる部分があります。

一方で、薬剤師だから必ずCRAが最適というわけではありません。薬そのものを深く扱いたいのか、臨床開発を進めたいのか、安全性を扱いたいのかによって、向いている企業職は変わります。

薬剤師の企業転職では、CRAだけを見て決めるよりも、製薬企業やCROにある複数の職種を比較して考える方が、自分に合ったキャリアを見つけやすくなります。

理学療法士の企業転職:CRAを目指すことはできる?

「理学療法士 企業転職」で探すと、医療機器メーカー、リハビリテーション関連企業、ヘルステック、介護・予防領域など、病院以外にも様々な選択肢があります。

CRAについては、看護師や薬剤師などと比べると、理学療法士からの転職ルートとして必ずしも代表的とはいえません。企業ごとの採用要件によっては医療職としての臨床経験を評価される可能性がありますが、全てのCRA求人で理学療法士が応募対象になるわけではないため、求人ごとの確認が必要です。

その一方で、整形外科、神経疾患、循環器、呼吸器など、理学療法士として特定疾患の患者さんに深く関わってきた経験は、企業の様々な仕事で価値を持ちます。

理学療法士が企業転職を考える場合には、「CRAになれるか」だけではなく、「自分の専門性を最も高く評価してくれる企業職は何か」という少し広い視点から探すことをおすすめします。

医師の企業転職:CRAだけでなく臨床開発全体を見る

「医師 企業転職」では、製薬企業のメディカルドクターを始め、メディカルアフェアーズ、臨床開発、安全性、ヘルステックなど幅広い選択肢があります。

医師は疾患や治療に関する非常に高い専門性を持っているため、CRAの業務でも医学的な理解を活かすことはできます。一方で、医師が企業へ転職する場合、必ずしもCRAが最も一般的な入り口になるわけではありません。医師だからこその専門性をより直接活かせるポジションが存在するからです。

そのため、医師の企業転職では、「CRAという職種だけを見る」のではなく、臨床開発やメディカル部門全体の中で、自分の専門性をどこで活かしたいのかを考えることが重要です。

当直や診療から離れたいという理由だけではなく、「一人の患者さんを診る医療から、薬やサービスを通じてより多くの患者さんへ影響を与える仕事へ移りたい」と考える方にとって、企業は大きなキャリアの選択肢になります。

医療職からCRAになって戸惑いやすいこと

医療職としての経験が活かせる一方で、企業に入った瞬間からCRAとして即戦力になれるわけではありません。

実際、仕事の仕方はかなり変わります。

大きな違いの一つが、患者さんとの距離です。医師、看護師、薬剤師、理学療法士などとして臨床で働いていれば、程度の差はあっても患者さんと直接関わります。CRAでは、一人の患者さんへ直接医療を提供するのではなく、臨床開発という仕組みを通じて未来の患者さんへ貢献します。

「患者さんの目の前で役に立っている」と感じる機会は減るかもしれません。一方で、一つの薬が承認され、多くの患者さんへ届いていくことに大きなやりがいを感じる人もいます。

また、思っていた以上にデスクワークが多いことにも驚くかもしれません。例えば、メールのやり取り、文書の作成、データの確認、会議への参加、報告書の作成などが挙げられます。臨床で1日中動き回ることに慣れている人にとって、PCに向かう時間の長さは大きな変化です。

さらに、複数の医療機関、締切、社内外から届く連絡、訪問準備、報告書などを自分で整理しながら進める必要があります。臨床とは違う種類の段取り力や自己管理能力が求められます。

出張についても同じです。色々な地域へ行けることを楽しいと感じる人もいれば、移動を負担に感じる人もいます。仕事内容だけでなく、自分がどんな働き方を心地よく感じるかまで考えることが大切です。

CRAについて、企業転職を考える医療職からよく聞かれる疑問

CRAに夜勤や当直はある?

病棟看護師の夜勤や医師の当直のような交代制勤務を前提とする職種ではありません。

ただし、勤務制度や残業の程度は会社やプロジェクトによって異なります。「夜勤がない」という一点だけではなく、実際の勤務時間、フレックス制度、繁忙期の働き方まで確認しましょう。

土日も仕事をする?

企業の勤務カレンダーに沿った平日勤務が中心となるケースが一般的ですが、業務状況や勤務先によって異なります。「企業だから絶対に休日対応がない」と考えず、転職時に確認しておく方が安心です。

在宅勤務はできる?

在宅勤務を取り入れている企業もあります。一方、医療機関へ訪問する業務がある以上、CRAは完全に自宅だけで完結する仕事ではありません。

在宅勤務の頻度やルールも会社によって異なるため、「リモート可」という言葉だけではなく、実際にどのような働き方になるのかまで確認しておくことが大切です。

英語は必要?

担当するプロジェクトや企業によって異なります。国内の臨床試験を中心に担当する場合と、グローバル試験に関わる場合では英語の使用頻度も変わります。

現時点で英語が得意ではないことだけを理由にCRAを諦める必要はありませんが、将来的にグローバルな臨床開発へ関わりたいのであれば、英語力はキャリアの選択肢を広げる一つの武器になります。

医療職なら未経験でもCRAになれる?

未経験からCRAへ転職する人はいます。ただし、どの医療資格・経験が対象になるかは企業や求人によって異なります。

看護師や薬剤師、臨床検査技師などの医療資格や臨床経験を対象とする求人もありますが、「医療資格があれば誰でもCRAになれる」というわけではありません。年齢、経験、学歴、英語力、募集のタイミングなどによっても状況は変わります。

自分の職種で現在応募できる求人があるかどうかを、実際の募集要件で確認することが大切です。

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