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『転職か大学院かそのままか』迷ったら、まずやるべき“たった一つのこと”

キャリアに違和感を抱えたとき、大学院進学や転職が気になるのは自然なこと。でも、どちらを選ぶか決める前に必要なのは、“目的”を整理し、自分に必要な手札を見極めることです。本記事では、そのための視点と行動を具体的に紹介します。

2025.06.18

「この会社のままでいいのかな」
「大学院に行ったほうがいい?」
「でも転職も視野に入れるべき?」

─そんな迷いを抱えたとき、選択肢ばかりに目がいって、動けなくなってしまうことはありませんか?

キャリアに違和感を抱いた瞬間は、実は最も大切な“準備のタイミング”です。

本記事では、大学院進学か転職かを判断する前に整理すべき「目的」と「現状」の見つめ方、そして、決断がまだ先でも始められる“キャリアの整備”について解説します。

「今すぐではないけれど、何かを変えたい」と思っているあなたにこそ、読んでいただきたい内容です。

この記事のまとめ

この記事を読むと分かること

  • 大学院進学がキャリアにどのような影響を与えるのか、目的とのズレがあるとどうなるのか

  • 進学以外にもキャリア課題を解決できる選択肢があること

  • 進学・転職に共通して有効な「キャリアの整備」に必要な四つのアクション

この記事は誰に向けて書いているか

  • 今の働き方や将来に違和感を抱き、「大学院進学」を選択肢に入れ始めた医療職・研究職の方

  • 転職も気になるが、まずは“今の自分に足りないもの”を知りたいと考えている方

  • 明確な目標はまだなくても、将来のためにキャリアを見直し整えておきたい若手〜中堅層の専門職の方

キャリアシリーズ

  • 疫学、その熱狂と魂 - 佐々木敏名誉教授インタビュー
    - Part 1:伝説の疫学講義はこうして生まれた
    - Part 2:地に生きる者たちのための疫学、ヨーロッパから世界をまなざして
    - Part 3:一つの学問が立ち上がり、波紋は広がる その稀有な現象を、栄養疫学という窓から垣間見た

  • 新谷歩教授インタビュー

    - Part 1:アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに

    - Part 2:アメリカに燃ゆる執念、人事を尽くし教育した医療統計がここに

執筆者

氏名:廣瀬直紀
所属:mMEDICI株式会社
専門性:保健学博士・公衆衛生学修士。東京大学・東京大学大学院を卒業後、外資系製薬企業の疫学専門家として薬剤疫学・リアルワールドデータ研究を専門とする。日本・グローバルの双方で活動したのちに、全ての人がアクセス可能な一流の知のプラットフォームを作り、「知に繁栄を、辺野に豊穣を」実現すべく、mMEDICI株式会社を創業。

はじめに:なぜ「何から始めればいいかわからない」のか

「転職を考えたほうがいいのかな」
「でも、大学院に進むっていう選択肢もあるよな」
「そもそも、今の自分には何が足りないんだろう……?」

─キャリアについて少し真剣に考えようとした瞬間、私たちは驚くほど多くの“選択肢”に直面することになります。

求人情報サイトを開けば、業界未経験歓迎のポジションが並び、SNSでは「学び直しでキャリアアップしました」という投稿が流れてくる。

大学院、MBA、資格取得、副業、スキルアップ講座……。気がつけば、“どの道が自分にとって正解なのか”がわからなくなってしまう。

これは、何かをやらなければと思っているあなたが怠けているのではありません。むしろ、真面目に考えているからこそ、選択肢の多さを前にして動けなくなっているのです。

特に医療職や研究者のように専門性の高いキャリアを歩んできた方にとって、「とりあえずで決断する」のは非常に難しいことです。

自分の専門性がどこでどう活きるのか、転職市場の中での価値はどうなのか、学位や資格を取得することで本当に可能性が広がるのか。
─一つ一つの判断に、重さと責任がついて回ります。

でも、ここで一つ忘れてはならない視点があります。 それは、「選択肢」よりも先に、「目的」を明確にすることのほうが重要だということです。

たとえば「大学院に進むかどうか」を検討する場合、本当に必要なのは「学位そのもの」なのでしょうか?それとも「自信を取り戻すこと」、「組織内での認知」、「専門性の再定義」など、他のことでしょうか?

この“目的”が整理されていないままでは、せっかくの時間も費用も、途中で「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうリスクがあります。

だからこそ、まず立ち止まって考えていただきたいのです。

「私は、どんな働き方をしたいのか?」
「いま何にモヤモヤしていて、何を変えたいと思っているのか?」
「そして、そのために必要な“次の一手”とは何なのか?」

まずは、選択肢の一つとして特に検討されやすい「大学院進学」について、その魅力と同時に“落とし穴”となり得るポイントについて、詳しく見ていきます。

進学=正解ではありません。でも、正しく選べば、それは確かな武器にもなり得ます。 キャリアを動かす一歩は、「目的を考える」ことから始まるのです。

第1章:「大学院進学」という選択肢の魅力と、落とし穴

キャリアを考え始めたとき、真っ先に視野に入ってくる選択肢の一つが「大学院進学」でしょう。

「やっぱり博士号がないと、この先限界かも」
「もう一度、ちゃんと学び直したい」
「学位があれば、職場で認められるんじゃないか」
「専門性に箔がつけば、もっと自信が持てる気がする」

そうした声は、医療職・研究者・企業研究者など、私たちが接してきた多くの方々からも繰り返し聞かれてきました。

たしかに、大学院進学には大きな魅力があります。

  • 自分の専門領域を深めることができる

  • 社内外で“専門家”としての認知を得やすくなる

  • 将来的に研究職・教育職への道が開ける

  • 海外の学会や国際的なプロジェクトに関わりやすくなる

特に近年では、社会人向けのオンライン大学院が増えたこともあり、「働きながら学位を取る」ことのハードルは一見下がったように感じられます。

中でも、企業研究職にとって博士号(PhD)は、単なる称号ではありません。「専門性に裏付けられた判断ができる人」という信頼の証として、昇進や海外拠点への異動条件に「PhD必須」と記載されていることも少なくないのです。

だからこそ、「このままでは上に行けないかも」という不安に駆られ、大学院進学を真剣に検討する方が増えているのです。

しかし──ここで立ち止まって、もう一度問い直してほしいことがあります。

その大学院、本当にあなたの「目的」に合っていますか?

進学を決意する理由が、「不安だから」「周囲に劣等感を感じるから」といったネガティブな動機だけで構成されていると、進学後の生活で、思わぬ“落とし穴”に足を取られることになります。

たとえば──

  • 社会人大学院は、想像以上に時間的・体力的にハード

  • 家族との時間、職場との調整が必要になる

  • 本業との兼ね合いで、研究テーマに制限が出る(企業コンプライアンス問題)

  • 教員や研究室のサポート体制が不十分な場合、卒業までに何年もかかる

  • 進学前に思い描いていたキャリアの変化が、得られない可能性もある

大学院は「行けば何かが変わる」場所ではありません。 目的と手段が合致したときに初めて、進学はあなたのキャリアの強力な武器となるのです。

進学すべきか、転職すべきか、まだ決められない──

そんなときにこそ必要なのは、「どちらが正解か」ではなく、「自分は何のために動きたいのか」を見極める目線です。

次章では「キャリアの土台整備」、つまり、自分の現在地を言語化し、必要な“手札”を戦略的に選ぶ方法について、より具体的に見ていきましょう。

第2章:実は“大学院以外”のルートが正解な人もいる

「このままでいいのか」
「もっと専門性を深めた方がいいのかも」

そう思ったとき、真面目な人ほど「大学院」という選択肢に気持ちが向きやすいものです。

でも実は、大学院が“今の自分にとってベストな道”ではないケースも、決して少なくありません。たとえば、このような事例があります。

ケース①:専門性よりも“実務成果”が評価された研究職

企業の研究部門で働いていた30代前半の方。 博士号を持っていないことに引け目を感じ、大学院進学を検討していました。

しかし、キャリアを整理していく中で見えてきたのは、複数のプロジェクトでリーダーとして成果を出しており、他部門との連携や業務改善でも高く評価されていた事実。

進学に進むのではなく、今の実績をより適切に言語化し、外に伝える手段を整えることで、結果的には研究企画・戦略寄りのポジションに転職。キャリアは大きく前進しました。

ケース②:「研究」よりも「事業づくり」に惹かれていた薬剤師

製薬企業で製剤開発を行っていた30代薬剤師の方は、「もう一度研究を学び直した方がいいのでは」と大学院を検討していました。

でもよく話を聞いてみると、本当にやりたいのは「研究」そのものではなく、自分の関わったものを製品として世に出すことでした。

その結果、製品戦略や事業開発に近い職種に移り、大学院に行くことなく、本人の望んでいたやりがいを得られるポジションを手に入れました。

こうした例が示しているのは、“キャリアに必要な手札”は人によってまったく違うということです。

「みんなが大学院に行ってるから」
「この職種なら博士号が当たり前だから」

そんな“空気”に流されてしまうと、本当に必要だった選択肢を見落としてしまいます。

大事なことは、「自分にとって必要な武器は何か」を見極めること。

大学院進学がその答えになる人もいれば、むしろ“すでに持っている武器”を見える形に整えることこそ、今やるべきことという人もいます。

だからこそ「じゃあどうやって“必要な手札”を選び取るのか?」

次章では、そのために役立つ視点や方法を、より具体的にご紹介していきます。

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第3章:選択に迷ったら、まず“目的の地図”を描こう

大学院に行くべきか、転職すべきか、それとも現職で粘るべきか── 悩んでいる方の多くが口をそろえて言うのが、「結局、何が正解かわからない」という言葉です。

でも実は、この「正解がわからない」という状態にはある共通点があります。 それは、選択肢に迷っているようでいて、本当は“目的”がぼんやりしているということ。

大学院に行けば、どんな未来が開けるのか? 転職すれば、自分は何を得たいのか? 現職にとどまるなら、何を守りたいのか?

それが明確になっていないと、どの選択肢も「なんとなくよさそう」に見えてしまい、結果として決めきれず、動けず、時間だけが過ぎていきます。

ここで必要なのは、“選ぶこと”ではなく、“整理すること”です。

つまり、「何のために動きたいのか」というキャリアの目的地を言葉にすること。これを「目的の地図」と呼ぶこととしましょう。

目的の地図を描くための三つの問い

まずは、紙でもPCでも構いません。以下の問いに、素直に答えてみてください。

1.今の働き方で、心から満足しているか?

  • 疲弊していないか?

  • 周囲に求められている役割と、自分の専門性にズレはないか?

2.キャリアのどこに“不安”があるか?

  • 将来的に評価されるかどうか?

  • 年収や待遇?

  • 立場・肩書き・裁量?

  • 家族との両立?

  • 専門性の陳腐化?

3.理想の働き方を言葉にするとしたら?

  • 「誰と」「何に向かって」「どのような立場で」働いていたいか

  • 今より増やしたいのは、評価?裁量?社会貢献?自由度?

この三つをしっかり整理することで、「だから自分は大学院に行きたいんだ」 「だから今は転職ではなく、キャリアの整理を優先しよう」 といった“自分だけの選択基準”が見えてきます。

一人で整理しきれないときは、他者との対話を使う

「わかってはいるけど、一人だと答えが出ない」 そう思ったときにこそ、誰かとの対話を使ってください。

信頼できる同僚でも、家族でも、エージェントでも構いません。 特にヘルスケアや研究職の事情に精通したキャリア支援者であれば、あなたの言葉の背景にある「価値観」や「思考のクセ」に気づき、まだ整理しきれていない目的地を一緒に描いてくれるはずです。

重要なのは、「まず目的を整える。手段を選ぶのは、そのあとでいい」ということです。大学院進学も、転職も、あるいは現職を続けるという選択も、目的と一致していればどれも“正解”になり得ます。

逆に言えば、目的が曖昧なままでは、どんな選択肢を選んでも不安や後悔がつきまとってしまうのです。

次章では、目的がある程度見えてきたあなたに向けて、「今すぐ転職しなくても、キャリアを整えておく」ためにどんな準備ができるのか、具体的にお伝えしていきます。

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第4章:今すぐ転職しなくても、「準備」は始められる──キャリアに手を入れる四つの方法

「方向性は少し見えてきた気がする。でも、いま本格的に転職活動をするかといえば、そこまでは…」

そんなふうに思っている方にこそ、知っておいてほしいことがあります。

それは、転職する・大学院に行くといった“決断”をまだ下していなくても、できることはたくさんあるということ。むしろ、キャリアの方向性を見つめ直す“今このとき”だからこそ取り組めることがあるのです。

ここでは、進学・転職のどちらにもつながる「キャリアの整備」として、四つのアクションをご紹介します。

1. 今の業務を整理して、言語化する

まずは、自分がどんな業務に関わり、どんな成果を出してきたかを、ただの職務内容の羅列ではなく、“価値”として言語化していきます。

やり方の例:

  • 直近1~2年のプロジェクトや業務をリストアップ

  • 以下の観点でメモをとる:

    課題:どんな状況だったか?

    行動:どんな工夫をしたか?どんなスキルを使ったか?

    成果:どんな変化が起きたか?どんな評価を得たか?

これは職務経歴書づくりだけでなく、進学時の研究テーマ選定や推薦書準備にも有効です。

2. 自分の「関心」「強み」「評価されること」を言葉にしてみる

大学院進学でも転職でも、聞かれるのは「あなたは何ができる人ですか?」という問いです。それに答える準備は、実は誰にとっても必須です。

おすすめの整理軸:

  • 関心:どんな業務なら時間を忘れて集中できる?

  • 強み:周囲に「早い」「助かる」と言われた経験は?

  • 評価されたこと:上司や同僚に褒められた言動は何だった?

この三つの交差点に、あなたが次に伸ばすべき領域が見えてきます。

3. 「理想のキャリア」に必要なスキルや経験を可視化する

キャリアの整理とは、いわば自分のキャリア資産を“棚に並べる”作業です。そのうえで、足りない部分にラベルを貼っておけば、次に身につけるべきスキルが自然に見えてきます。

具体的なステップ:

  • 気になる求人や大学院要項を三つ選ぶ

  • 求められているスキル・資格・経験をメモ

  • 現在の自分とのギャップを整理し、「準備ToDoリスト」をつくる

進学なら、「どの研究分野に進むと、自分の価値が活きるか」 転職なら、「どのポジションが、自分の可能性を広げてくれるか」を選ぶ基準にもなります。

4. エージェントとの対話で、準備計画をアップデートする

キャリアの棚卸しやギャップの整理は、一人でもある程度できます。 でも、「本当にこれで合ってるのか?」という視点は、他者と話してみないと見えてきません

おすすめの活用法:

  • 転職エージェントやキャリア支援者との初回相談で、以下を伝える:

    今すぐ転職したいわけではない

    でも将来的に動く可能性があるので、準備の方向性を知りたい

  • スキルの整理がうまくできているか、客観的にフィードバックをもらう

特にmDAVINCIのような、医療・研究領域に特化した支援を行うエージェントであれば、進学・転職の両方を視野に入れたキャリア相談が可能です。

今この段階では、「進学する」「転職する」まで踏み切れなくて構いません。でも、準備していた人ほど、ある日“動くとき”が来たときに迷わず決断できます。

未来の選択を焦らず、でも放置せず。
「キャリアの整備」というかたちで、一歩前に進んでみませんか?

最後に、その“最初の一歩”として、今すぐ動かなくてもいいけれど、「動き出す準備を整える」という発想の大切さについて、お話しします。

まとめ:迷っているあなたへ──今すぐ動かなくていい。でも、立ち止まりっぱなしにはしないで

キャリアを考え始めたとき、多くの人が直面するのは、「何から始めたらいいかわからない」という、静かな迷いです。

大学院に行けばいいのか、今の職場で踏ん張るべきか、それとも転職か。 どれも間違っていないように見えて、決め手が見えない。そんなとき、人は動けなくなるものです。

この記事を通してみなさんにお伝えしたかったことは「今の自分を見つめる時間は、未来の選択を確実に楽にしてくれる」ということでした。

大学院進学は、目的と一致してこそ武器になります。何となく不安だから、ではなく、「この技術を深めたい」「このテーマに研究で向き合いたい」といった明確な意図があってこそ、学びは将来のキャリアに力強くつながります。

そして、大学院だけが選択肢ではありません。

今ある実績や経験をきちんと整理し、言語化し、必要に応じて補強していくことで、あなたの可能性は進学なしでも大きく広がっていきます。

大切なのは、“何を選ぶか”ではなく、“どう考え、どう整えるか”。

まずは、今感じている違和感や「こうなったらいいな」という気持ちに、そっと言葉を与えてみてください。そこから、自分のキャリアに少しずつ手を加えていくことが、変化の始まりになります。

もし一人では整理しきれないと感じたなら、誰かと話してみるのも一つの手です。

mDAVINCIでは、「いますぐ転職したい」という方だけでなく、「少し気になってきた」「この先どうするか考えてみたい」という方からのご相談も多くいただいています。

キャリアは、ある日突然変わるものではありません。「考え始めた今」という瞬間から、少しずつ動き始めることで変わっていくのです。

まずは、その第一歩を、一緒に踏み出してみませんか。

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